(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用している。これに伴い「電気事業会計規則等の一部を改正する省令」(令和3年経済産業省令第22号 令和3年3月31日)の施行により改正された、「電気事業会計規則」を当連結会計年度の期首より適用し、再生可能エネルギー固定価格買取制度に係る再エネ特措法賦課金は、電気事業営業収益に計上せず、再エネ特措法交付金は、電気事業営業費用から控除している。この結果、当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度と比較して大きく減少している。
なお、これらの会計基準等の適用が財政状態および経営成績に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (会計方針の変更)および(セグメント情報等)セグメント情報 4.報告セグメントの変更等に関する事項」に記載している。
2021年度の当社グループは、2021年3月に策定した「よんでんグループ中期経営計画2025」の達成に向けて、電気事業における収益力の向上に取り組むとともに、情報通信事業・国際事業を中心とした成長事業の拡大に向けた諸施策を推進してきた。また、2022年1月には、伊方発電所3号機が通常運転の再開を果たし、電力需給の安定と経営の正常化に目途を付けることができた。
さらに、脱炭素社会の実現に向けた「よんでんグループ2050年カーボンニュートラルへの挑戦」をはじめ、持続的な企業価値創出に繋がる取り組みについても積極的に進めてきた。
こうしたなか、当連結会計年度の売上高は、燃料費調整額や卸販売収入は増加したものの、収益認識に関する会計基準の適用に伴う売上減などから、前連結会計年度に比べ772億82百万円(△10.7%)減収の6,419億48百万円となった。また、営業費用は、燃料価格の高騰や総販売電力量の増加等に伴う費用増があったものの、伊方発電所3号機の運転再開に伴う費用減や収益認識に関する会計基準の適用に伴う減少などから、前連結会計年度に比べ573億8百万円(△8.0%)減少の6,554億66百万円となった。
この結果、営業損益は、135億17百万円の損失(前連結会計年度は、64億56百万円の利益)、支払利息など営業外損益を差引き後の経常損益は、121億14百万円の損失(前連結会計年度は、51億88百万円の利益)、法人税等差引き後の親会社株主に帰属する当期純損益は、62億62百万円の損失(前連結会計年度は、29億99百万円の利益)となった。
セグメントごとの経営成績(セグメント間取引消去前)は、次のとおりである。
なお、報告セグメントの利益は、当連結会計年度より、「営業利益」から「経常利益」に変更しており、前連結会計年度のセグメント情報の利益は、変更後の利益により開示している。
[発電・販売事業]
売上高は、燃料費調整額や卸販売収入は増加したものの、収益認識に関する会計基準等の適用に伴う売上減などから、前連結会計年度に比べ725億27百万円(△12.5%)減収の5,082億3百万円となった。
経常損益は、伊方発電所3号機が運転再開を果たしたものの、燃料価格の高騰影響などにより需給関連収支が悪化したことから、402億17百万円の損失(前連結会計年度は、220億84百万円の損失)となった。
[送配電事業]
売上高は、接続供給託送収益や需給調整収益が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ47億49百万円(+2.2%)増収の2,198億54百万円となった。
経常利益は、人件費などの減少はあったものの、他社からの購入電力料が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ24億11百万円(△18.6%)減益の105億81百万円となった。
売上高は、光通信サービスやデータセンター事業の収入増などがあったものの、システム開発案件の減少などから、前連結会計年度に比べ8億24百万円(△1.8%)減収の446億24百万円となった。
経常利益は、データセンター事業における減価償却費の減少などから、前連結会計年度に比べ12億56百万円(+18.3%)増益の81億14百万円となった。
売上高は、石炭販売事業の販売数量の増などから、前連結会計年度に比べ63億76百万円(+31.7%)増収の264億97百万円となった。
経常利益は、LNG販売事業の調達単価が上昇したことなどから、前連結会計年度に比べ2億8百万円(△6.6%)減益の29億59百万円となった。
売上高は、請負工事の受注増などから、前連結会計年度に比べ73億49百万円(+11.9%)増収の691億91百万円となり、経常利益は、前連結会計年度に比べ9億58百万円(+31.6%)増益の39億89百万円となった。
[その他]
売上高は、収益認識に関する会計基準等の適用に伴う商事業の減などから、前連結会計年度に比べ137億12百万円(△27.5%)減収の361億72百万円となり、経常利益は、前連結会計年度に比べ17億44百万円(+123.3%)増益の31億58百万円となった。
(資産)
資産は、事業用資産が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ703億20百万円(+4.9%)増加の1兆5,007億44百万円となった。
(負債)
負債は、社債・借入金が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ829億77百万円(+7.5%)増加の1兆1,854億47百万円となった。
(純資産)
純資産は、純損失となったことや配当金の支払いなどから、 前連結会計年度末に比べ126億56百万円 (△3.9%)減少 の 3,152億97百万円 となった。
③キャッシュ・フロー
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
純損失となったことなどから、収入が前連結会計年度に比べ24億51百万円(△4.7%)減少の498億41百万円となった。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
伊方発電所に係る安全対策工事や西条発電所1号機リプレース工事などから、支出が前連結会計年度に比べ357億70百万円(+40.0%)増加の1,251億2百万円となった。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
社債・借入金を純増調達したことなどから、収入が前連結会計年度に比べ339億50百万円(+70.3%)増加の822億61百万円となった。
以上の結果、当連結会計年度末における現金および現金同等物は、前連結会計年度に比べ74億84百万円増加し、729億28百万円となった。
[発電・販売事業および送配電事業]
(注)1 四捨五入の関係で、合計が合わない場合がある。
2 自社の発電電力量は、従来、発電端電力量を記載してきたが、当連結会計年度より送電端電力量に変更している。これに伴い、前年度比については、前連結会計年度の値を現在の記載に合わせ算定している。
3 原子力発電の前年度比については、前年度は伊方発電所3号機が稼働していないため、記載していない。
(注)1 販売電力量は、四捨五入の関係で、合計が合わない場合がある。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用している。これに伴い「電気事業会計規則等の一部を改正する省令」(令和3年経済産業省令第22号 令和3年3月31日)の施行により改正された、「電気事業会計規則」を当連結会計年度の期首より適用している。このため、小売販売に係る料金収入は、前連結会計年度に比べて減少している。
石炭、重原油およびLNGの受払実績
<石炭>
<重油>
<原油>
<LNG>
生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、受注生産形態をとらない品目も多いことから、生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示していない。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものである。
①財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
(ⅰ)経営成績の分析
※ 総資産利益率=事業利益(経常利益+支払利息)÷総資産(期首・期末平均)
<総資産利益率>
2017年~2019年度は、伊方発電所3号機の稼働により一定の事業利益(経常利益+支払利息)が確保できたため、2.5%程度で推移してきたが、2020年度以降は、伊方発電所3号機の停止や燃料価格の高騰影響により事業利益が大幅に悪化し、2020年度は0.8%、2021年度は△0.4%となった。
2017~2019年度は、一定の純利益が確保できたため、5~6%台で推移してきたが、2020年度以降は大幅に悪化し、2020年度は0.9%、2021年度は△2.0%となった。
(ⅱ)財政状態の分析
※ 有利子負債倍率=社債・借入金÷自己資本
<総資産>
伊方発電所の安全対策工事や西条発電所1号機リプレース工事などによる事業用資産の増に加え、海外事業投資の増などから増加傾向にあり、2017年度末から2021年度末にかけて約1,700億円増加した。
<社債・借入金>
設備投資等の増に伴い増加傾向にあり、2017年度末から2021年度末にかけて約1,800億円増加した。
<自己資本>
3,100~3,300億円のレンジでほぼ横ばいとなっている。
以上の結果、自己資本比率は、2017年度末の23.5%が2021年度末には20.8%に低下した。
また、有利子負債倍率は、2017年度末の2.2倍が2021年度末には2.7倍に上昇した。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性に係る情報
(ⅰ)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
◇キャッシュ・フローの推移 (単位:億円)
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
減価償却による回収などにより、2017年度から2021年度の5ヵ年平均で770億円程度の収入となった。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
伊方発電所の安全対策工事や西条発電所1号機リプレース工事などに加え、海外発電事業への出資などにより、支出額は増加傾向となっている。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
フリー・キャッシュ・フローに応じて変動しており、2021年度は822億円の収入となった。
(ⅱ)資本の財源および資金の流動性について
当社の主な資金需要は設備資金であり、自己資金および社債・長期借入金により調達している。なお、季節要因などによる短期的な資金需給の調整には、コマーシャル・ペーパーを活用している。
③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況」に記載している。
当社グループは、連結財務諸表を作成するにあたり、繰延税金資産の回収可能性、固定資産の減損、貸倒引当金、退職給付に係る負債、資産除去債務などに関して、過去の実績等を勘案し、合理的と考えられる見積りおよび判断を行っているが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りのうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載している。
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