業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の収入面は、電気事業の火力発電所利用率の低下(当社個別:75%→67%)により火力の販売電力量は大幅に減少しましたが、電力販売価格が上昇したことや卸電力取引市場等から調達した電力の販売が増加したこと等により、売上高(営業収益)は前連結会計年度に対し19.3%増加の1兆846億円となりました。営業外収益は、持分法投資利益の増加等により、前連結会計年度に対し100.7%増加の225億円となり、経常収益は前連結会計年度に対し20.3%増加の1兆1,071億円となりました。

一方、費用面は、退職給付費用の減少はあったものの、電気事業の他社購入電源費や火力の燃料費及び定期点検等修繕費の増加等により、営業費用は前連結会計年度に対し20.0%増加の9,976億円となりました。営業外費用は為替差損の計上等により、前連結会計年度に対し30.5%増加の366億円となり、経常費用は前連結会計年度に対し20.3%増加の1兆342億円となりました。

この結果、経常利益は前連結会計年度に対し19.6%増加の728億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等の税金費用が減少したこと等により、前連結会計年度に対し212.4%増加の696億円となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用による連結財務諸表への影響は軽微です。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

(電気事業)

電気事業の販売電力量は、水力は出水率が前連結会計年度を上回った(96%→99%)こと等により、前連結会計年度に対し4.3%増加の92億kWhとなりました。また、卸電力取引市場等から調達した電力の販売は、前連結会計年度に対し32.6%増加の163億kWhとなりました。火力については、設備トラブル等による発電所利用率の低下等により、前連結会計年度に対し8.0%減少の479億kWhとなり、電気事業全体では前連結会計年度並みの747億kWhとなりました。

売上高(電気事業営業収益)は、電力販売価格が上昇したことや卸電力取引市場等から調達した電力の販売が増加したこと等により、前連結会計年度に対し19.8%増加の8,788億円となりました。

セグメント利益は、火力発電所利用率の低下や電力取引価格の上昇による他社購入電源費及び火力の定期点検等修繕費の増加があったものの、退職給付費用の減少や前連結会計年度の持分法適用関連会社における損失の反動減等により、前連結会計年度に対し39.8%増加の266億円となりました。

 

(電力周辺関連事業)

売上高(その他事業営業収益)は、収益認識会計基準等の適用に伴い、連結子会社の海外炭輸入販売収入が3,024億円減少したこと等により、前連結会計年度に対し34.8%減少の2,439億円となりました。

セグメント利益は、豪州連結子会社の石炭販売収入において販売単価が上昇したこと等により、前連結会計年度に対し110.2%増加の258億円となりました。

なお、収益認識会計基準等の適用によるセグメント利益への影響はありません。

 

(海外事業)

海外事業の販売電力量は、前連結会計年度並みの110億kWhとなりました。

売上高(海外事業営業収益)は、燃料価格の上昇等により、前連結会計年度に対し5.1%増加の1,451億円となりました。

セグメント利益は、持分法投資利益の増加はあったものの、為替の影響等により、前連結会計年度に対し28.7%減少の220億円となりました。

 

 

(その他の事業)

売上高(その他事業営業収益)は、前連結会計年度に対し14.3%増加の210億円となりました。

セグメント利益は、前連結会計年度に対し17.6%増加の12億円となりました。

 

資産については、円安の影響に加え、インドネシアセントラルジャワ石炭火力発電所や米国ジャクソンガス火力発電所建設工事の進捗及び流動資産の増加等により、前連結会計年度末から2,242億円増加し3兆661億円となりました。

一方、負債については、前連結会計年度末から1,137億円増加し2兆1,020億円となりました。このうち、有利子負債額は前連結会計年度末から1,217億円増加し1兆7,864億円となりました。なお、有利子負債額のうち2,894億円は海外事業のノンリコースローン(責任財産限定特約付借入金)です。

また、純資産については、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に加え、繰延ヘッジ損益や為替換算調整勘定の増加等により1,104億円増加し9,641億円となりました。

以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の28.5%から29.9%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額の増加等により、前連結会計年度に対し395億円減少の1,283億円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、インドネシアセントラルジャワ石炭火力発電事業への投融資の増加等により、前連結会計年度に対し355億円増加の1,788億円の支出となりました

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、借入れによる収入は減少したものの、コマーシャル・ペーパーの発行による収入の増加や社債の償還による支出の減少等により、前連結会計年度に対し770億円増加の840億円の収入となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に対し372億円増加の2,225億円となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループが実施する事業のうち、電気事業の受給実績、販売実績、資材の状況及び海外事業の販売実績について記載しております。

 

○ 電 気 事 業

a.受給実績

種別

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

発受電電力量(百万kWh)

77,277

101.1

損失電力量等(百万kWh)

△1,933

148.2

内部取引(百万kWh)

△551

99.1

販売電力量(百万kWh)

74,792

100.3

 

(注)発受電電力量は、水力・汽力・内燃力・風力発電電力量等の合計です。

 

b.販売実績

① 販売実績

 

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比 (%)

電力量 (百万kWh)

電力料・託送料
(百万円)

電力量

電力料・託送料

発電事業・電力販売事業

74,792

822,946

100.3

122.7

送電事業

48,776

98.2

合計

74,792

871,722

100.3

121.0

 

(注)発電事業の販売電力量及び電力料は、水力・汽力・内燃力・風力等の合計です。

 

② 主要顧客別売上状況

 

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

売上高(百万円)

割合(%)

売上高(百万円)

割合(%)

(一社)日本卸電力取引所

225,754

30.9

230,835

26.3

中国電力㈱

95,498

13.1

128,877

14.7

東京電力エナジーパートナー㈱

68,540

9.4

80,398

9.2

関西電力㈱

51,496

7.0

78,442

9.0

 

(注)割合は電気事業営業収益に対する割合です。

 

c.資材の状況

① 石炭、重油及び軽油の受払状況

(イ) 石 炭

 

期首残高(t)

受入量(t)

払出量(t)

棚卸修正(t)

期末残高(t)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

1,136,472

17,662,443

17,740,070

111,000

1,169,845

前年同期比(%)

66.1

94.4

91.8

309.1

102.9

 

 

(ロ) 重 油

 

期首残高(kl)

受入量(kl)

払出量(kl)

棚卸修正(kl)

期末残高(kl)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

26,893

36,852

39,124

561

25,182

前年同期比(%)

109.2

96.5

108.9

93.6

 

 

(ハ) 軽 油

 

期首残高(kl)

受入量(kl)

払出量(kl)

棚卸修正(kl)

期末残高(kl)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

10,363

28,115

28,153

204

10,529

前年同期比(%)

89.3

102.3

97.7

216.7

101.6

 

 

 

○ 海 外 事 業 

① 販売実績

 

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

電力量(百万kWh)

電力料(百万円)

電力量(百万kWh)

電力料(百万円)

ガス火力(コンバインドサイクル)

11,097

136,737

11,061

143,355

 

(注)タイにおけるプロジェクトのうち、主要な販売実績について記載しております。

 

② 主要顧客別売上状況

 

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

売上高(百万円)

割合(%)

売上高(百万円)

割合(%)

タイ電力公社(EGAT)

123,969

89.8

130,007

89.6

 

(注)割合は海外事業営業収益に対する割合です。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、当連結会計年度末における資産及び負債の報告数値並びに当連結会計年度における収益及び費用の報告数値に影響を与える見積りを行う必要があります。当該見積りについては、経営者は過去の実績や見積り時点で入手可能な情報等に基づく仮定を用いて合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。

当社グループは、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、以下のものが重要であると考えております。

 

a.固定資産の減損

当社グループは、継続的に収支の把握を行っている管理会計上の区分を基本として資産をグルーピングしております。減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産及び資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を認識します。

減損の兆候の判定並びに減損損失の認識及び測定に当たっては、過去の実績や入手可能な情報等を踏まえた合理的な見積り及び仮定に基づき検討しておりますが、経営環境、市況又は事業計画の変化により当該見積り及び仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

b.有価証券の減損

当社グループは、時価のある有価証券について、時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、当該時価を以て貸借対照表価額とし、評価差額を減損損失として認識します。また、時価のない有価証券について、当該会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく下落したときは、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合を除き、相当の減額を行い、評価差額を減損損失として認識します。

回復可能性の検討に当たっては、過去の実績や入手可能な情報等を踏まえた合理的な見積り及び仮定に基づき検討しておりますが、経営環境、市況又は事業計画の変化により当該見積り及び仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

c.退職給付費用及び債務

当社及び一部の国内子会社は、数理計算上で設定される前提条件(割引率、将来の退職金ポイント累計、退職率、死亡率、年金資産の長期期待運用収益率等)に基づき、従業員に係る退職給付費用及び債務を算出しておりますが、実際の算出結果が前提条件と異なる場合、特に株価等市況が大きく変化し年金資産の実運用収益率が影響を受けた場合又は割引率が低下した場合、数理計算上の差異が大きくなり、その償却により人件費が影響を受けます。

 

d.繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の判断に当たって、将来の課税所得を合理的に見積もっております。将来の課税所得の見積りに当たっては、合理的な要因に基づく業績予測等を前提としておりますが、経営環境の変化又は税制改正による法定実効税率の変更等が生じ、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産を減額し費用を計上します。また、当該変更等により計上金額を上回る繰延税金資産を将来回収できると判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産を増額し収益を計上します。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の分析

(イ)営業収益

営業収益は、前連結会計年度に対し1,754億円(19.3%)増加の1兆846億円となりました。

このうち電気事業営業収益は、電力販売価格が上昇したことや卸電力取引市場等から調達した電力の販売が増加したこと等により、前連結会計年度に対し1,451億円(19.8%)増加の8,764億円となりました。

海外事業営業収益は、連結子会社であるGulf JPが運営するガス火力において燃料価格が上昇したこと等により、前連結会計年度に対し70億円(5.1%)増加の1,451億円となりました。

また、その他事業営業収益は、前連結会計年度に対し233億円(58.7%)増加の630億円となりました。

 

(ロ)営業費用及び営業利益

営業費用は、前連結会計年度に対し1,662億円(20.0%)増加の9,976億円となりました。

電気事業営業費用は、退職給付費用の減少はあったものの、他社購入電源費や火力の燃料費及び定期点検等修繕費の増加等により、前連結会計年度に対し1,486億円(22.0%)増加の8,244億円となりました。

海外事業営業費用は、Gulf JPの燃料費の増加等により、前連結会計年度に対し91億円(8.4%)増加の1,182億円となりました。

また、その他事業営業費用は、前連結会計年度に対し84億円(18.3%)増加の548億円となりました。

この結果、営業利益は前連結会計年度に対し92億円(11.8%)増加の869億円となりました。

 

(ハ)営業外収益と費用及び当期経常利益

営業外収益は、持分法投資利益の増加等により、前連結会計年度に対し112億円(100.7%)増加の225億円となりました。なお、前連結会計年度の持分法投資利益は、日本卸電力取引所から調達した電力を小売電気事業者向けに販売している持分法適用関連会社において、電力取引価格高騰による損失を計上したこと等により大幅に減少しておりました。

営業外費用は、為替差損の計上等により、前連結会計年度に対し85億円(30.5%)増加の366億円となりました。為替差損は、主にGulf JPが保有するドル建て借入金の決算時における為替変動の評価により発生します。前連結会計年度はドルに対してバーツ高が進行しましたが、当連結会計年度はドルに対してバーツ安が進行したことから、為替差損が発生しました。

為替差損の計上により営業外費用は増加したものの、営業利益や持分法投資利益が増加したことにより、当期経常利益は前連結会計年度に対し119億円(19.6%)増加の728億円となりました。

 

(ニ)親会社株主に帰属する当期純利益

税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に対し81億円(12.6%)増加の728億円となりました。

法人税等合計は、当社個別決算での課税所得の減少に加え、連結子会社であった㈱J-POWERサプライアンドトレーディングの吸収合併に伴い承継した繰越欠損金について繰延税金資産及び法人税等調整額(益)を計上したこと等により、354億円減少しました。

また、非支配株主に帰属する当期純利益は、Gulf JPの為替差損の増加等により37億円(42.6%)減少の50億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に対し473億円(212.4%)増加の696億円となりました。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因

○ 営業収益

(電気事業営業収益)

当社グループの電気事業営業収益は主に、当社グループの発電設備で発電した電力の販売による収入、卸電力取引市場等から調達した電力の販売による収入、並びに一般送配電事業者からの託送料収入により構成されます。当社の販売電力量は、小売電気事業者等の電力需給動向により影響を受けるため、当社の電力量料金に係る収入は間接的に小売電力需要の影響を受けます。

 

(イ) 発電設備容量

当社は、発電施設建設にあたり、長期的な電力需要の見通し、市場競争の進展度合い等の想定されうる将来の事業環境を前提に、当該発電施設の収益性を判断し、開発計画を策定しております。想定以上の事業環境の変化により当社が期待する収益性を確保できない可能性はありますが、基本的には発電設備容量の増加が販売電力量及び販売電力料の増加に結びつきます。

 

(ロ) 電力需要

日本の最終電力需要の見通しによっては、長期的に当社が建設・運転可能な発電所数が左右されることになり、間接的に当社収益に影響します。短期的には当社火力発電所の発電量の多寡を通じ、営業収益に影響します。また、電力需要は冷夏・暖冬等の天候によっても影響を受けます。

 

(ハ) 電気料金等

発電事業に関する料金は、小売電気事業者等への販売料金と卸電力取引市場への販売料金により構成されます。小売電気事業者等への販売料金は、電気事業法の改正に伴い、2016年4月より卸規制等が撤廃され、販売先との協議により決定しております。卸電力取引市場への販売料金は電力市場価格に基づくため、当該価格変動の影響を受けます。一方、送電事業に関する料金は、健全な送配電ネットワーク維持のため引き続き規制分野として原価主義を採用しており、送電事業で必要と想定される適正な原価に適正な利潤を加えて算定しております。

小売電気事業者等への販売料金及び送電事業に関する料金の詳細な条件は契約当事者間で協議の上、適宜改定を行っています。また、料金の構成としては、揚水を除く発電設備については、原則として基本料金と販売電力量に応じた従量料金としています。一方、揚水発電設備、送・変電設備については、原則として全額を基本料金としております。

なお、火力発電設備の従量料金の大半を占める燃料費相当部分については、海外炭の価格動向など市況の変動が大きいため、原則として販売先との間で燃料調達に係る市況の変動を適宜反映する仕組みを導入しております。

また、卸電力取引市場等から調達する電力についての販売料金は、販売先との契約により決定し、適宜改定を行っております。

 

(海外事業営業収益)

当社グループの海外事業営業収益の大半は、当社の連結子会社とタイ電力公社(EGAT)との長期電力販売契約に基づく販売電力料収入です。販売電力料収入には固定料金である基本料金収入と販売電力量に応じた電力量料金収入があります。当社の連結子会社の販売電力量は、販売先であるタイ電力公社の電力需給動向により影響を受けるため、当社の連結子会社の電力量料金に係る収入は間接的に電力需要の影響を受けます。

 

 

○ 営業費用

(電気事業営業費用)

(イ) 減価償却費

重要な減価償却資産の減価償却の方法は、定額法によっております。今後、新たに大規模な設備が資産計上されると減価償却費も増加します。

 

(ロ) 燃料費

火力発電所の燃料に使用する石炭については、主として長期契約若しくは期間1年程度の契約により行っております。また、補完的にスポットでの調達も行っております。長期契約に基づく石炭の購入価格は、通常、1年に1回市場価格を踏まえて調整されます。当社の燃料費は、石炭の価格変動、輸送船舶の需給状況、燃料調達先の設備・操業トラブル等の影響を受けます。

 

(ハ) 人件費

従業員に係る退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件(割引率、将来の退職金ポイント累計、退職率、死亡率、年金資産の長期期待運用収益率等)に基づき算出されておりますが、実際の算出結果が前提条件と異なる場合、特に株価等市況が大きく変化し年金資産の実運用収益率が影響を受けた場合又は割引率が低下した場合、数理計算上の差異が大きくなり、その償却により人件費が影響を受けます。

 

(ニ) 修繕費

設備信頼性を維持するため計画的な補修を実施しておりますが、定期点検の内容、規模等により修繕費は変動します。

 

(ホ) 他社購入電源費

電力市場価格や販売先との契約に基づく販売電力量等により、卸電力取引市場等からの電力の調達に要する他社購入電源費は変動します。

 

(海外事業営業費用)

(イ) 燃料費

タイにおける火力発電に用いる燃料の天然ガスは、タイ石油公社(PTT)と長期燃料供給契約を締結し購入しております。当社の連結子会社の燃料費は、ガス価格の変動、タイ石油公社の設備・操業トラブル等の影響を受けます。

 

○ 営業外収益・費用

営業外費用には、支払利息のほか為替差損があり、金利及び為替の変動によって影響を受けます。

 

c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(イ) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

(ロ) 資金需要の動向

当社グループの主な資金需要は、電気事業及び海外事業への設備投資並びに長期負債の借換資金です。当連結会計年度の電気事業に係る設備投資は、前連結会計年度より167億円減少の899億円、海外事業に係る設備投資は、前連結会計年度より209億円減少の393億円です。

 

(ハ) 資金調達の方法及び状況

当社グループの資金需要は設備投資と債務の借換に係るものが大半であるため、資金調達は長期資金で手当てすることを原則としています。

長期資金調達に際しては、低利かつ安定的な資金調達手段として普通社債の発行及び金融機関からの借入を行っており、当連結会計年度末の普通社債発行残高は7,264億円、借入残高は9,584億円となりました。

短期資金については、運転資金に加え、調達の即応性を高める観点から機動的なつなぎ資金調達を実施することとしており、これら短期の資金需要を満たすために2,000億円のコマーシャル・ペーパーの発行限度枠を設定しています。

なお、当連結会計年度末の有利子負債残高は、前連結会計年度末から1,217億円増加の1兆7,864億円となりました。

○ 長期有利子負債

当連結会計年度末の長期有利子負債は、社債7,064億円、長期借入金8,396億円です。なお、長期借入金のうち2,738億円はノンリコースローン(責任財産限定特約付借入金)です。

○ 短期有利子負債

当連結会計年度末の短期有利子負債は、1年以内に償還予定の社債200億円、1年以内に返済予定の長期借入金1,188億円及び短期借入金81億円です。なお、1年以内に返済予定の長期借入金のうち190億円はノンリコースローン(責任財産限定特約付借入金)です。

 

d.目標とする経営指標の達成状況等

当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標」に記載のとおり、2023年度に実現を目指す財務目標として「連結経常利益900億円以上」及び「連結自己資本比率30%以上」を設定しています。

当連結会計年度における連結経常利益は728億円、連結自己資本比率は29.9%となりました。

 

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