当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
当連結会計年度の我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の断続的な感染拡大が見られたものの、経済社会活動が正常に向かうなかで景気の持ち直しが期待されていたが、新たな変異株への警戒が急激に高まりつつあり、引き続き感染症による内外経済への影響を注視する必要がある。
エネルギー業界においては、世界的な脱炭素社会の流れを受け、日本国内においても、その取り組みが加速しエネルギーの在り方が大きく変わろうとしている。また、冬期における電力需要の増加や世界的なLNGのひっ迫が卸電力取引市場の価格高騰を引き起こし、事業領域の拡大を目指す当社にとって大きな課題となっている。
このような状況のなか、当社は2019年からの3ヵ年を実施期間とする中期経営計画に定めた3年後のありたい姿「変革と挑戦によりお客さまの豊かで快適な暮らしを支える新しい価値を創造して提供し続けている」の実現に向け、諸施策に着実に取り組んできた。
当連結会計年度の売上高については、電力小売事業の売上高が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ1.2%増加の89,711百万円となった。売上原価については、原料価格上昇の影響でガス原材料費が増加したことや電力小売事業における購入電力料が卸電力取引市場の価格高騰の影響により増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ14.1%増加の53,500百万円となった。この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ70.5%減少の1,870百万円、経常利益は63.0%減少の2,610百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は64.8%減少の1,735百万円となった。
セグメント別の業績は、次のとおりである。
① ガス
当連結会計年度のガス販売量は、家庭用については、気温が前連結会計年度に比べ高めに推移した影響などにより、0.3%減少した。また、業務用については、お客さま設備の稼働が前連結会計年度と比べて改善し、2.7%増加した。この結果、ガス販売量合計では、前連結会計年度に比べ1.3%増加の695,443千m3となった。
ガス事業の売上高については、ガス販売量は増加したものの原料費調整制度による販売単価の下方調整などにより、前連結会計年度に比べ0.7%減少の68,843百万円となった。
費用面については、秋以降のLNG価格高騰の影響で原材料費が増加した結果、営業利益は前連結会計年度に比べ38.1%減少の 6,187百万円となった。
② 電力小売
電力小売事業の売上高は、お客さま件数の増加により、前連結会計年度に比べ20.5%増加の10,554百万円となった。一方で冬期の電力需給ひっ迫に伴う卸電力取引市場等の価格高騰の影響により購入電力料が増加したことから、1,473百万円の営業損失(前連結会計年度は558百万円の営業利益)となった。
③ 不動産
不動産事業の売上高は、ほぼ前連結会計年度並みの1,359百万円となった。営業利益は3.1%減少の668百万円となった。
④ その他
ガス工事・ガス機器販売等その他の売上高は、前連結会計年度に比べ2.4%増加の11,325百万円となった。営業利益は前連結会計年度に比べ19.7%増加の924百万円となった。
(注) 1 本報告書でのガス量はすべて1m3当たり45メガジュール(MJ)換算で表示している。
2 事業の状況に記載する金額には、消費税等は含まれていない。
総資産は、前連結会計年度末に比べ8,578百万円増加の131,766百万円となった。これは、有形固定資産の増加や再生可能エネルギー事業への出資金の増加などにより固定資産が7,047百万円増加したことや受取手形及び売掛金の増加などにより流動資産が1,530百万円増加したことによるものである。
負債は、前連結会計年度末に比べ6,489百万円増加の46,340百万円となった。これは、グリーンボンド発行による社債の増加や長期借入金の増加などにより固定負債が6,039百万円増加したことや支払手形及び買掛金の増加などにより流動負債が450百万円増加したことによるものである。
純資産は、前連結会計年度末に比べ2,088百万円増加の85,426百万円となった。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が1,136百万円増加したことなどによるものである。
この結果、自己資本比率は62.9%となった。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ5,502百万円減少の8,674百万円の収入となった。これは、税金等調整前当期純利益が前連結会計年度に比べ4,453百万円減少したことなどによるものである。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ2,305百万円支出減少の17,184百万円の支出となった。これは、有形及び無形固定資産の取得による支出が前連結会計年度に比べ967百万円減少したこと、長期貸付けによる支出が前連結会計年度に比べ2,913百万円減少したことなどによるものである。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ3,048百万円増加の6,679百万円の収入となった。これは、社債による収入が前連結会計年度に比べ1,000百万円増加したこと、長期借入による収入が前連結会計年度に比べ2,000百万円増加したことなどによるものである。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,830百万円減少の11,740百万円となった。
当社グループにおいては、ガス事業が生産及び販売活動の中心となっている。
このため、以下はガス事業セグメントにおける生産及び販売の状況について記載している。
最近2連結会計年度におけるガスの生産実績は、次のとおりである。
ガスについては、その性質上受注生産を行わない。
ガスは、導管を通じて直接お客さまに販売している。
最近2連結会計年度におけるガスの販売実績は次のとおりである。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの販売活動の中心であるガス事業において、その販売量は気温・水温の変動により影響を受ける。家庭用ガス販売の主な用途は暖房・給湯需要であるため、暖冬の場合には販売量が減少し、減益要因となる。さらに、家庭用以外のガス販売では、商業施設やホテル向けを含む商業用や、学校や官公庁向けを含むその他用において、暖房・冷房用の需要が冬場・夏場の気温の変動の影響を受けるため、販売量が増減する。
また、当社グループが供給するガスの原料であるLNG等の価格は、原油価格や為替相場等の変動の影響を受ける。原料価格の変動は原料費調整制度によりガスの販売価格に反映され、中長期的には回収されるが、その反映までにタイムラグが生じることにより、連結会計年度末時点において経営成績等に影響を及ぼすことがある。
(6) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、ガス導管を中心とした設備投資資金であり、そのための資金調達については、自己資金及び金融機関からの借入れを基本としている。
なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は22,025百万円、現預金残高は14,739百万円である。
(7) 目標とする経営指標の実績
中期経営計画(2019-2021)の、当社の経営指標の実績は以下のとおりである。
(8) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されている。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要な事項については、入手可能な情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づき、会計上の見積りを行っている。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりである。
① 退職給付債務の算定
当社及び一部の連結子会社は、確定給付型の制度として、退職一時金制度を設けている。
また、当社は確定給付企業年金制度(キャッシュバランス類似制度)を、一部の連結子会社は中小企業退職金共済制度を採用している。
退職給付債務及び退職給付費用は、割引率や期待運用収益などにより算定しているが、これらの前提条件が変動した場合、将来の退職給付費用に影響を与える可能性がある。
なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)2 確定給付制度 (8)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載している。
② 固定資産除却損失引当金
市川工場の廃止に伴う除却損及び撤去費用の発生に備えるため、該当工事委託先へ見積額の算定を依頼し、その見積額を計上している。
工事の進捗状況や工法の変更等により、見積額と実際の費用が異なる場合、将来の費用に影響を与える可能性がある。
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