(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、処方箋に基づき調剤を行う調剤薬局事業と医薬品・化粧品を中心とした商品を販売するコスメ&ドラッグストア事業を主として展開しており、いずれも人々の健康に関与していることから、社会的に重大な責務を負っております。
医薬分業の進捗に伴う積極的な出店による企業収益及び株主価値の増大を図ることに加えて、人々の生命に携わる企業として、その業務の安全性及び専門性の継続的向上に努めることが、当社に課せられた使命であると考えております。
したがって、当社は「市場環境に応じた積極的な事業拡大を重視する一方で、調剤過誤等の事業リスクの徹底的な排除に取り組み、お客様に安心して足を運んでいただける薬局を作ることにより、その社会的使命を果たす。」ことを経営の基本方針としております。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、様々な要因により実際の結果と異なる可能性があります。
(2) 目標とする経営指標
当社は、積極的な出店による企業規模の拡大を推し進めると同時に、財務体質を強化し、企業価値を高めることを重要視しており、当社グループではROA4.5%、ROE15.0%を目標としております。
なお、当連結会計年度においてはROA3.4%、ROE6.0%となっております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、積極的な営業開発及びM&Aによる調剤薬局の全国展開及びコスメ&ドラッグストアの展開を事業の柱と位置づけ、事業規模の拡大並びに企業価値の向上を目指しております。
ファーマシー事業は、グループ各社がそれぞれにおいて、地域住民の「かかりつけ薬剤師・薬局」となる付加価値の高い調剤薬局の営業開発を継続するとともに、M&Aに対しても、慎重に調査検討のうえ積極的に推進する方針であります。
ジェネリック医薬品についても、グループとして引き続き使用促進を図る方針であり、同医薬品の卸である子会社株式会社ホールセールスターズの販売体制及びグループ全薬局における患者さまへの啓発活動を強化することにより、グループとして積極的にジェネリック医薬品の普及を推進いたします。
また、教育研修の充実をはじめ、ICT技術を応用した調剤技術の開発導入により、患者さまに対する安全性の確保、サービス・業務効率の向上に努めるとともに、DX推進を通じ患者さまに多様なサービスを提供することで付加価値の向上と事業基盤の強化を進めてまいります。
リテール事業は、コスメ&ドラッグストア「アインズ&トルペ」を展開し、コスメを中心とした独自性のある商品構成とすることで、他のドラッグストアとの明確な差別化を図るとともに、更なる拡大を目指してまいります。
以上のことから、中長期的な経営戦略は、次の方針を基本としております。
① 調剤薬局は、「患者のための薬局ビジョン」の実現に向け、教育研修の充実により、かかりつけ薬剤師となれる人材の育成に努めるとともに、在宅医療及び24時間対応への積極的な参画、ジェネリック医薬品の使用促進等かかりつけ薬局としての機能の充実に加え、地域住民のための健康サポート機能を備えることを目指す。
② 営業開発は、M&Aを視野に入れた営業開発を含め、積極的な出店により事業規模の拡大を図る。
③ ICT技術を応用した調剤技術の開発及び最新の調剤機器のグループ導入を積極的に推進し、個々の機器・システムの複合的活用により、患者さまに対する安全性、サービス向上を図る。またDX推進を通じ患者さまへ多様なサービスを提供することで付加価値の向上、事業基盤の強化を進める。
④ ジェネリック医薬品の使用促進、薬剤師の採用、出店エリアに応じた営業開発体制等、グループ会社間における共通業務の相互補完体制を充実するとともに、組織再編成、人事交流等による合理化を推進し、グループとしての機動性及び業務効率の向上により、グループ収益力を強化する。
⑤ リテール事業は、コスメ&ドラッグストア「アインズ&トルペ」を集客が確実に見込める好立地へ出店するとともに、店舗特性に応じたMDを強化し、同業他社との差別化を図る。
⑥ 「アインズ&トルペ公式アプリ」による顧客拡大、WEB媒体、SNS、紙面広告等を複合的に活用した効果的な販売促進活動により、店舗収益力を向上させる。
⑦ 優秀な人材の確保及び女性の活躍推進等のため、働きやすい職場環境の整備に取り組む。
(4) 経営環境及び優先的に対処すべき課題
・各事業について
ファーマシー事業においては、2021年8月より特定の機能を有する薬局として都道府県知事が認定する認定薬局制度、2022年4月より導入されたリフィル処方箋やオンライン服薬指導の要件の緩和、今後予定されている電子処方箋の開始等、調剤薬局を取り巻く環境は変化しています。これらにより、患者ニーズが多様化していく中で、より質の高い患者サービスの提供や「かかりつけ薬剤師・薬局」としての地域医療貢献が求められており、調剤薬局の役割と責任は更に大きいものとなっています。
当社グループは、薬剤師の専門性を一層強化するとともに、2022年2月に運用を開始したアイン薬局公式アプリ「いつでもアイン薬局」を通じ、患者様が住み慣れた地域で安心して薬物治療を継続していただける環境を提供してまいります。
また、新規出店・M&A等による事業規模の拡大を推し進め、スケールメリットを最大限に活用した事業戦略を継続いたします。
リテール事業においては、長期化する新型コロナウイルス感染症拡大により、顧客の行動エリア、購買動向が変化いたしました。引き続き、顧客ニーズに合った商品を強化していくことで、魅力的な売り場づくりに取り組むとともに、確実に収益が見込める立地への出店及びコスト適正化を進めております。集客が確実に見込める好立地への新規出店を継続し、「アインズ&トルペ」のブランド力向上を推進するとともに、収益に関してファーマシー事業と両輪の位置づけとなるべく、拡大のための投資を推進いたします。
なお、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大に際しては、感染の拡大防止策の徹底を最優先事項としたうえで、当社グループが果たすべき調剤業務の継続等の社会的責任をまっとうすべく、事業継続計画書(BCP:Business Continuity Plan)に沿って対応を行っており、今後も緊急事態が発生した際には、BCPに基づいた迅速かつ適切な対応を行ってまいります。
・持続可能な社会の実現にむけて
国連サミットでの持続可能な開発目標SDGs(Sustainable Development Goals)の採択等、国際社会が変化する中、企業の長期的な成長のためには、ESGの取り組みがさらに強く求められております。
SDGs・ESGを巡る課題への対応は、グループ・ステートメント(企業理念)に掲げる「すべてはお客さまの元気と笑顔のために」に通じ、これまでも当社グループでは、かかりつけ薬剤師・薬局や健康サポートを通じた地域社会への貢献や、環境を配慮した店舗づくり、新たな医薬品物流モデルの構築等に取り組んでまいりました。
当社グループは、CSR・ESGへの対応をさらに深化させ、社会の持続可能な発展に貢献することで、企業の持続可能な発展を実現するサステナビリティ経営を推進しております。
<推進体制>
CSR・ESGへの対応を深化させ、アイングループ全社で横断的に推進するため、取締役会承認のもと、「サステナビリティ委員会」を設置しています。サステナビリティ委員会では、委員長を代表取締役社長(大谷喜一)、副委員長を代表取締役専務(水島利英)、基幹グループ会社社長、各部門統括役員等を委員として構成し、当社グループのサステナビリティ推進の方針や施策の策定、推進体制の構築と整備、重要指標のモニタリング等を行い、経営トップのコミットメントのもと、CSR・ESG活動のさらなる強化を図ってまいります。
<6つの重要課題(マテリアリティ)>
ISO26000や国連グローバルコンパクト、国連SDGs等のグローバルな議論の動向を踏まえ、また、日本や業界特有の社会的課題を把握したうえで、「挑戦すべき機会」と「対応すべきリスク」の2つの観点から課題群を整理し、「ステークホルダーへの影響度」及び「自社における重要度」による判定から、サステナビリティ委員会にて協議・検討を進め、取締役会での議論を経て、6つのマテリアリティを特定いたしました。
マテリアリティ |
主な取り組み |
1.地域医療への貢献 CSV課題(S)※ |
・医薬品の適正使用を実現するため薬局に要請・期待されている役割を確実に実行し、社会が求める新しい仕組みづくりにも率先して挑戦する |
・効率的な医薬品使用及び医療サービスで医療費抑制を図り、社会保障制度の持続可能性へ貢献する |
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・災害やパンデミック等、いかなる状況下においても、社員の生命・健康を守り、医薬品及び医療サービスの提供を遂行する |
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2.美しさと健やかさの提供 CSV課題(S)※ |
・トレンドやニーズ、立地に対応した品揃えの店舗展開で、美しくありたい人々のエンパワーメントを図る |
・自分らしいライフスタイルを実現する、革新的なオリジナル商品を開発する |
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3.安全・安心と信頼 事業プロセス課題(S)※ |
・品質・安全性・管理マネジメントシステムの継続的な改善により、品質・安全性をより強固にする |
4.環境保護・負荷低減 事業プロセス課題(E)※ |
・温室効果ガス排出量の把握と削減を遂行する |
・廃棄物削減による環境配慮に取り組む |
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5.健全な経営基盤 経営基盤課題(G)※ |
・人権に関する取り組みを推進する |
・多様な人材の採用と効果的な人材配置により、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する |
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・社員の健康増進を強化する |
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・会社情報資産の保護体制及びシステムセキュリティ対策を強化するとともに、各種規程・基準等の設定や管理体制の整備を行い、確実な運用を遂行する |
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・多様なステークホルダーとのエンゲージメントを深め、取締役会の監督機能を継続的に強化する |
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6.地域社会・取引先との連携 地域社会・お取引先との 連携課題(S・E)※ |
・地域社会との調和と共生を目指し、健康活動等を通じた社会貢献を推進する |
・CSR調達の導入により、サプライチェーン全体でサステナビリティ活動を推進する |
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・医薬品卸と協働による環境負荷軽減への体制を構築する |
※( )内のESGは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)を指しています。
<アイングループのCSR・サステナビリティ経営方針>
- すべては、お客さまの元気と笑顔のために -
アイングループは、人々の健康や美に貢献する事業を通じ、グループ・ステートメントでもある「お客さまの元気と笑顔」を実現し続けるため、良識と倫理観を持った企業活動を行ってきました。これからも、お客さまをはじめ多様なステークホルダーの皆さまのことを考え、自ら変化し行動することで、企業の持続的な成長と、社会・環境・経済価値を創出し、サステナビリティ経営を実現します。
※詳細は、下記アイングループ公式HP「CSR・ESG」ページよりご確認ください。
https://www.ainj.co.jp/csr/
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