(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、前連結会計年度に続き新型コロナウイルス感染症の終息が見えず、またウクライナ情勢等の地政学リスクの高まりを受け、世界情勢が緊迫化する等先行きは依然不透明な状況にあります。
斯かる状況下、当社グループが属する情報サービス産業においては、IT投資の抑制や先送りの懸念がありつつも、「AI」「IoT」「ビッグデータ」「クラウド」等ITイノベーションを活用したDXを優先度の高い経営課題として掲げる企業が増加していることから、引き続き成長が予想されております。
当社グループは、ビジョン『「カテゴリートップの具現!」~特定分野において、ダントツの存在感を発揮する~』のもと、柔軟な連携基盤とAI等先端技術を駆使し、お客様がデータをビジネス意思決定に俊敏に繋げるとともに異分野連携を加速できるサービスを提供する「データエンジニアリングカンパニー」を目指しております。このため、前連結会計年度から、HULFT製品及びクラウド技術を活用しファイル連携やデータ連携サービスをクラウド上で提供する次世代クラウド型データ連携プラットフォーム「HULFT Square」の開発に着手しております。
当連結会計年度におきましては、「HULFT Square」の開発に引き続きリソースを集中し、開発が進んだことで先行ユーザー様によるトライアル利用を開始いたしました。また、「HULFT Square」上での将来的なサービス展開を見据えつつ、フィナンシャルITサービス事業においてはISDNサービスの終了に先駆け、インターネットでセキュアなファイル伝送を可能にする新たなサービス「HULFT Multi Connect Service」、流通ITサービス事業においてはECサイトの商品登録を自動化することにより品質向上・時間短縮を実現する新たなサービス「HULFT Master Entry Service」をリリースいたしました。「HULFT Square」の今後の展開としては、今回のトライアルを経てユーザー様の意見をサービスに反映後、先行ユーザー様向けリリースを2022年度第1四半期に行う予定です。更にその後は、2022年度第4四半期の日米同時リリースを予定しております。
このような中、当連結会計年度における当社グループの業績は、事業モデルの転換に伴う既存事業の一部縮小はあった一方、成長の柱に位置付けるリンケージ事業及びHULFT事業の売上拡大により、売上高は23,218百万円(前連結会計年度比3.2%増)、売上総利益は10,020百万円(同5.2%増)となりました。また当社は、研究開発費、教育研修費、社内IT投資を未来事業費と定め、事業モデルの転換と人的資本への投資を進めており、当連結会計年度においては「HULFT Square」の研究開発費等が増加したことにより、営業利益は2,916百万円(同2.4%減)、経常利益は2,943百万円(同2.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,051百万円(同16.6%減)となりました。
なお、2016年3月期末から事業の選択と集中、業務プロセスの刷新・最適化に取組んできたことにより生産性が向上し、2022年3月期における1人当たり売上高は32.9百万円(2016年3月期比35.2%増)、1人当たり売上総利益は14.2百万円(同109.4%増)に成長しております。引き続き生産性の向上に努めてまいります。
当連結会計年度におけるセグメント別の業績は次のとおりであります。以下、セグメント間取引については相殺消去しておりません。
(HULFT事業)
HULFT事業は、データ連携プラットフォームのデファクトスタンダードである当社の主力製品「HULFT」製品群及び「DataSpider」製品群に係る事業を展開しています。「HULFT」の累計出荷本数は、前連結会計年度末から7,422本増加し229,411本となり、導入社数は前連結会計年度末から393社増加し累計10,913社、海外導入社数も累計933社となりました(2022年3月末現在)。DXやデータ活用に取組む企業が増加していることから、今後も市場が拡大し、新しいお客様導入が増えていくものと推察しております。
売上高は、「HULFT」「DataSpider」のサポートサービスの更新が順調に推移したこと等により、8,775百万円(前連結会計年度比4.5%増)となりました。営業利益は、お客様への提案モデルの具体化等、営業活動の改善による生産性向上に伴う販売費及び一般管理費の減少等により、3,245百万円(同31.5%増)となりました。
(リンケージ事業)
リンケージ事業は、当社の強みである「HULFT」「DataSpider」を活用し、企業内・企業間のシステムやデータと有力SaaSをつなぐことで、お客様業務の効率化、経営情報の可視化による意思決定支援及び経営刷新に繋げるサービスを展開しております。これらのサービスは、経営・業務のDX化を支援する「モダンマネジメントサービス」、DXプラットフォームを提供する「データ連携基盤構築サービス」、財務・経理のDX化を支援する「モダンファイナンスサービス」の3つのサービスで構成されています。
売上高は、モダンマネジメントサービス及びデータ連携基盤構築サービスの取引規模拡大、財務経理部門のデジタル化を支援するモダンファイナンスサービスで新規お客様獲得が進展したこと等により、1,953百万円(同42.4%増)となりました。また、上記のサービス拡大に伴う1人当たり売上高及び1人当たり売上総利益の改善による収益性向上により、221百万円の営業損失(前連結会計年度は525百万円の営業損失)まで改善いたしました。
(流通ITサービス事業)
流通ITサービス事業は、流通小売業のシステム開発等で培ったノウハウの活用によるパブリッククラウド環境への移行や、依然として残るアナログ業務のデジタル化による業務改善等、新しい技術を活用した新規サービスを提供しております。
売上高は、当社の強みが活きるDX領域への選択と集中を図ったこと等により、3,059百万円(前連結会計年度比4.8%減)となりました。営業利益は、売上高の減少等に伴い、147百万円(同10.9%減)となりました。
(フィナンシャルITサービス事業)
フィナンシャルITサービス事業は、既存領域に係るシステム開発の規模縮小が想定されるため、クレジットカード会社向けシステム開発から運用に至る実績を強みとして、RPAを活用した業務改善支援やパブリッククラウド上へのインフラ環境構築等の新規サービス提供に取組んでおります。
売上高は、上記新規サービス提供の進展及び一部利益率の高い案件の前倒し精算があったものの、既存領域に係る売上の減少等により、9,490百万円(同0.7%減)となりました。営業利益は、減価償却の減少に伴い売上総利益が向上したこと等により、1,480百万円(同40.9%増)となりました。
当社グループは、既存事業の徹底した生産性向上によって収益性の向上を実現するとともに、新たな市場・顧客へより収益性の高い事業を展開して、更なる事業の成長を目指しております。具体的には、①New Business 創出、②HULFT事業のグローバル化、③サービス・製品企画開発力強化、④事業活動品質向上の4つの重点施策を実行してまいりました。重点施策の主な取組み状況は以下のとおりです。
(重点施策の主な取組み状況)
①New Business 創出
当社の強みである“つなぐ”技術をキーにした新技術・新市場への製品・サービス創出をテーマに掲げ、リンケージビジネスを推進してまいりました。「HULFT」「DataSpider」を活用し、企業内・企業間のシステムやデータと有力SaaSをつなぐことで、お客様業務の効率化、経営情報の可視化による意思決定支援及び経営刷新に繋げるサービスを展開し、リンケージビジネスにおけるお客様数は大手企業を中心に198社まで拡大し、当社事業の柱として確立するに至りました(2022年3月末現在)。その結果、当社事業の柱として確立するに至り、リソース配分を高めること等により一層の成長を図ります。また、リンケージビジネス、HULFT製品及びクラウド技術の活用を通じた、「HULFT Square」の構築に取り組んでおります。
②HULFT事業のグローバル化
当社オリジナル製品「HULFT」は1993年の発売以来、ITシステム上を流れるデータの安全性、信頼性の担保と、効率的なデータ連携を行うために必要とされる機能を実装し続け、進化しております。その結果、Fortune Global 500のうち、78社に採用頂く等(Fortune Global FY2021 Top500社より)、世界44ヵ国の国・地域(2022年現在当社調べ)に拡がっております。
また、当社グループ会社のHULFT,Inc.では、新たに2つのサービス(ビジネスに関わるKPIや業績データの可視化と様々なデータソースを柔軟に短期間で接続可能にする「HULFT Business Intelligence」、クラウドベースで取引企業間を接続可能なEDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)サービス)をリリースし、計5つのマネージドサービスを展開しております。グローバルでHULFT製品群を活用したデータ連携サービス等の事業拡大に努めております。
③サービス・製品企画開発力強化
テクノベーションセンター及びビジネスイノベーションセンター推進のもと、R&Dや開発標準化に取組みました。また、SPPC(Service & Product Planning Committee)によって行われる事業を横断したサービス・製品の企画開発支援の推進により、サービス・製品の品質向上や「HULFT Square」を活用した新サービス開発の促進に努めてまいりました。その結果、「HULFT Square」上での将来的なサービス展開を見据えつつ、フィナンシャルITサービス事業においてはISDNサービスの終了に先駆け、インターネットでセキュアなファイル伝送を可能にする新たなサービス「HULFT Multi Connect Service」、流通ITサービス事業においてはECサイトの商品登録を自動化することにより品質向上・時間短縮を実現する新たなサービス「HULFT Master Entry Service」をリリースいたしました。
④事業活動品質向上
テレワーク、モバイルワークを前提とする業務プロセスの構築、それを支えるシステムの刷新に取り組んでまいりました。社内システムのクラウド化率は90%(2022年3月末現在)まで進捗し、この取組みを外部イベントや大学等で事例講演しております。また、国際競争力強化のため、新たにジョブ型雇用を導入し、個人の専門性を高め、プロフェッショナル人材の育成に努めております。中でも、未来の社会環境で活躍できる人材の採用と育成を組み合わせ当社オリジナルの取組みである「Skill Boot Camp」では、従来「クラウド」「アジャイル」「データアナリスト」等、IT業界で求められる先端スキルをテーマとして実施してきており、当連結会計年度においても「セキュリティ」「サービスデザイナー」「フロントエンジニア」で実施いたしました。結果、社内外からの累計応募者数は671名となり、22名を採用しております。
当連結会計年度の財政状態の概要は次のとおりであります。
a.資産
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末より362百万円増加し、20,833百万円となりました。主な増加要因は、現金及び預金が同980百万円増加したこと、退職給付に係る資産が同206百万円増加したこと等によるものであります。また、主な減少要因は、繰延税金資産が同596百万円減少したこと、減価償却等により有形及び無形固定資産が同461百万円減少したこと等によるものであります。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
(HULFT事業)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末より698百万円減少し、3,802百万円となりました。主な減少要因は、減価償却等により有形及び無形固定資産が同464百万円減少したこと、現金及び預金が同193百万円減少したこと等によるものであります。
(リンケージ事業)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末より119百万円増加し、548百万円となりました。主な増加要因は、売掛金が同68百万円増加したこと等によるものであります。
(流通ITサービス事業)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末より70百万円増加し、764百万円となりました。主な増加要因は、売掛金が同75百万円増加したこと等によるものであります。
(フィナンシャルITサービス事業)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末より35百万円増加し、2,743百万円となりました。主な増加要因は、固定資産の取得により有形及び無形固定資産が同120百万円増加したこと等によるものであります。
b.負債
負債合計は同348百万円減少し、6,085百万円となりました。主な減少要因は、設備関係未払金が同281百万円減少したこと、流動負債のその他に含まれる未払消費税等が同150百万円減少したこと等によるものであります。また、主な増加要因は、前受金が同213百万円増加したこと等によるものであります。
c.純資産
純資産合計は同710百万円増加し、14,748百万円となりました。この要因は、利益剰余金が、剰余金処分による配当財源への割当てにより同1,457百万円減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により同2,051百万円増加したこと等によるものであります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末より2.2ポイント増加し、70.8%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末より980百万円増加し、12,911百万円となりました。各キャッシュ・フローの増減状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は3,236百万円(前連結会計年度は4,094百万円の獲得)となりました。
主な増加要因は、税金等調整前当期純利益が2,920百万円となったこと、前受金の増加により210百万円の収入となったこと等によるものであります。また、主な減少要因は、法人税等261百万円を支払ったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は865百万円(前連結会計年度は306百万円の使用)となりました。
主な減少要因は、ソフトウェア開発やハードウェア購入等に886百万円を支出したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1,502百万円(前連結会計年度は1,424百万円の使用)となりました。
主な減少要因は、配当金の支払1,457百万円があったこと等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
増減 |
|
生産高(千円) |
生産高(千円) |
生産高 (千円) |
増減率 (%) |
|
HULFT事業 |
8,405,985 |
8,770,769 |
364,784 |
4.34 |
リンケージ事業 |
1,365,372 |
1,957,919 |
592,547 |
43.40 |
流通ITサービス事業 |
3,211,431 |
3,068,990 |
△142,441 |
△4.44 |
フィナンシャルITサービス事業 |
9,626,631 |
9,436,606 |
△190,024 |
△1.97 |
合計 |
22,609,420 |
23,234,286 |
624,866 |
2.76 |
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
増減 |
|||
受注高 (千円) |
受注残高 (千円) |
受注高 (千円) |
受注残高 (千円) |
受注高 (千円) |
受注残高 (千円) |
|
HULFT事業 |
8,815,077 |
3,823,598 |
9,245,370 |
4,001,121 |
430,292 |
177,523 |
リンケージ事業 |
1,538,596 |
526,597 |
2,278,731 |
850,590 |
740,134 |
323,993 |
流通ITサービス事業 |
3,158,027 |
1,278,227 |
3,438,939 |
1,653,464 |
280,912 |
375,237 |
フィナンシャルITサービス事業 |
10,080,426 |
3,671,633 |
11,404,490 |
5,523,011 |
1,324,063 |
1,851,378 |
合計 |
23,592,127 |
9,300,056 |
26,367,531 |
12,028,188 |
2,775,403 |
2,728,131 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しておりません。
2 当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」等を適用しており、当連結会計年度の受注残高は当該会計基準等を適用した金額となっております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
増減 |
|
販売高(千円) |
販売高(千円) |
販売高 (千円) |
増減率 (%) |
|
HULFT事業 |
8,398,810 |
8,775,432 |
376,621 |
4.48 |
リンケージ事業 |
1,371,171 |
1,953,029 |
581,858 |
42.44 |
流通ITサービス事業 |
3,212,452 |
3,059,730 |
△152,722 |
△4.75 |
フィナンシャルITサービス事業 |
9,553,229 |
9,490,042 |
△63,186 |
△0.66 |
合計 |
22,535,663 |
23,278,235 |
742,571 |
3.30 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しておりません。また、セグメント間の振替高を含めて表示しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
株式会社クレディセゾン |
7,859,406 |
34.9 |
7,907,319 |
34.1 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
・「当連結会計年度の経営成績等」及び「セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況」に関する分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
・経営成績に重要な影響を与える要因
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
・キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
・資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、外注費や労務費等の製造経費、人件費や借地借家料等の販売費及び一般管理費によるものであります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、国内及び海外拠点における製品開発、研究開発投資等によるものであります。運転資金及び投資資金は、主として自己資金で調達しております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は、リース債務8百万円となっております。また、現金及び現金同等物の残高は12,911百万円となっております。
③ 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。
連結財務諸表の作成に際し、当連結会計年度末日における資産・負債の報告数値及び当連結会計年度における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りは、過去の実績や当社グループを取り巻く環境等に応じて合理的と考えられる方法により計上しておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に下記の会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。
a.市場販売目的のソフトウェアの減価償却の方法
市場販売目的のソフトウェアの減価償却は、製品ごとに未償却残高を、見込販売収益を基礎として当連結会計年度の実績販売収益に対応して計算した金額と残存有効期間に基づく均等配分額のいずれか多い金額で償却を行うものとしております。見込販売収益が減少した場合、ソフトウェアの減価償却費が増加する可能性があります。
b.固定資産の減損
固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損処理の要否を検討しております。資産計上したサーバー等のハードウェアやサービスの提供に用いるソフトウェア、開発仕掛中のソフトウェア等について、事業環境の悪化や開発コストの増加等で当初想定した投資回収が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、固定資産の減損処理を実施する可能性があります。
c.繰延税金資産
繰延税金資産は毎期、過去の課税所得の推移や将来の課税所得の見込等を勘案し、回収可能性を慎重に検討し計上しております。回収の実現性が低いと判断した場合には適正と考えられる金額へ減額する可能性があります。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中長期において魅力的で稀有な高収益IT企業となり、企業価値を向上させていくことを経営の目標としており、具体的にはROE20%以上を恒常的に達成することを経営指標としております。当連結会計年度は、研究開発費が増加したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益が減少(前連結会計年度比16.6%減)いたしましたので、ROEは14.3%となりました。なお、計画値は上回りました。2023年3月期は、将来に向けた更なる投資を行うこと等により、ROEの計画値は8.9%を計画しております。
(ROE推移)
|
2019年3月期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
計画 |
12.1% |
15.3% |
15.0% |
14.0% |
8.9% |
実績 |
16.5% |
8.5% |
18.3% |
14.3% |
- |
また、当社グループは、目指す高収益企業にふさわしい株主還元を実現するためのベンチマーク目標として、TSR(株主総利回り)を経営指標に設定しております。当社グループは、システム開発・運用と自社パッケージソフトウェア販売とがバランスしている事業構造であり、情報技術産業の中でも類似の事業構造を持つ企業が少ないと考えます。従って、ベンチマークとするTSRは、一定数の上場企業を含み、恣意性を排除した対象とするため、GICS(世界産業分類基準)における当社が属する産業グループ(4510:ソフトウェア・サービス)に同様に属する国内上場企業のTSRとしております。評価期間は、2016年3月末を基準として評価をしておりその推移は次のとおりとなっております。
(TSRベンチマーク)
|
2017年3月期 |
2018年3月期 |
2019年3月期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
同業他社 平均 |
126.1% |
182.2% |
184.3% |
168.3% |
249.8% |
233.1% |
当社 |
160.7% |
190.8% |
158.0% |
189.7% |
255.4% |
237.9% |
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