(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しておりますが、当連結会計年度については従来の会計基準を適用した場合と比べて、売上、利益に与える影響は軽微であります。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
また、文中の前年同期比較については、収益認識会計基準等の適用前の前年同期実績を用いております。
① 財政状態の状況
当連結会計年度末の資産につきましては11,735百万円となり、前連結会計年度末に比べ46百万円減少しました。流動資産は8,522百万円となり、前連結会計年度末に比べ407百万円増加となりました。固定資産は3,213百万円となり、前連結会計年度末に比べ454百万円減少しました。主な要因は、有価証券の償還等により現預金が増加したものの、それ以上に投資有価証券が減少したことによります。
負債につきましては2,064百万円となり、前連結会計年度末に比べ42百万円減少しました。主な要因は、前連結会計年度末に比べ流動負債その他が減少したことによります。
純資産につきましては、9,671百万円となり、前連結会計年度末に比べ4百万円減少しました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が増加したものの、投資有価証券の時価下落に伴いその他有価証券評価差額金が減少したことによります。
この結果、自己資本比率は82.4%となりました。
② 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、社会経済活動の正常化に向けた新型コロナウイルス感染症に対する感染防止対策が行われる中、持ち直しの動きが継続しました。一方、新たな変異株出現のリスクや、ウクライナ情勢をめぐるサプライチェーンの混乱、原油をはじめとする様々な原材料の高騰などで、景気の先行きは不透明な状況で推移しました。
情報サービス産業におきましては、ソフトウェア投資は緩やかに増加しており、デジタル庁の発足によりデジタル社会の実現に向けた行政サービスや民間企業でのデジタル化の推進も期待されるものの、IT投資の動向については慎重に見極めていく必要が生じております。
こうした環境の中、当社は、「ソフトウェアで社会インフラ分野の安全・安心、快適・便利に貢献する」を中期経営ビジョンとする新中期経営計画(2021年6月~2024年5月)を策定し、人材育成のための大規模案件請負の推進、トータル・ソフトウェア・エンジニアリング・サービスのトータル度向上を基本方針といたしました。
人材育成のための大規模案件請負の推進としては、営業力強化を図り大規模案件を受注し、開発を通じて、新規設計能力やマネージメント力の向上などの人材育成を積極的に進めてまいります。トータル・ソフトウェア・エンジニアリング・サービスのトータル度向上としては、これまでも顧客のご協力を得ながら長期的に継続している「ソフトウェアの要件定義、開発から運用・保守までをトータルにサービスすることで、顧客に最大のメリットを提供する」という取組みを、各セグメントの事業環境に応じてさらなるトータル度向上を図り、顧客への付加価値向上を狙ってまいります。
新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けた取組みとしましては、当社グループ社員及び家族の健康や安全を確保しつつ、顧客に安定したサービスを継続的に提供するため、ガイドラインを適宜更新し、外出/国内外出張の自粛、Webでの会議/研修、リモートワークなどを継続し、新型コロナウイルス感染症拡大リスクの低減に努めてまいりました。
この結果、売上高は7,947百万円(前年同期比4.0%増)、営業利益は775百万円(前年同期比10.5%増)、経常利益は808百万円(前年同期比0.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は532百万円(前年同期比2.1%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(制御システム)
制御システムでは、火力発電所向け監視・制御システムは作業量が減少したものの、再生可能エネルギーシステムで新規案件を受注し好調に推移しました。在来線の運行管理システムは、前期より継続している大規模請負案件が順調に推移したものの、第4四半期は作業量が減少したため、売上、利益とも減少しました。また、海外高速鉄道の運行管理システムは横ばいとなりました。
この結果、売上高は1,408百万円(前年同期比2.9%減)、セグメント利益は330百万円(前年同期比17.8%減)となりました。
(自動車システム)
自動車システムでは、自動運転/先進運転支援関連は新型コロナウイルス感染症の影響に加え、開発案件の端境期となったため一部体制を縮小しました。一方、電動化案件は、開発規模の拡大が継続し受注量が増加しました。
この結果、売上高は1,871百万円(前年同期比3.6%増)、セグメント利益は490百万円(前年同期比4.4%増)となりました。
(特定情報システム)
特定情報システムでは、衛星画像関連と自動運転/先進運転支援関連の画像認識/識別案件が好調に推移しました。危機管理関連の大規模請負案件で体制を拡大したことで、堅調に推移しました。
この結果、売上高は739百万円(前年同期比8.2%増)、セグメント利益は165百万円(前年同期比8.0%増)となりました。
(組込システム)
組込システムでは、ストレージデバイスは既存製品、新ストレージ開発とも担当範囲の拡大に伴い体制を大きく拡大し好調に推移しました。一方、IoT建設機械関連は開発案件の谷間となり減少しました。
この結果、売上高は1,223百万円(前年同期比13.4%増)、セグメント利益は284百万円(前年同期比29.8%増)となりました。
(産業・ICTソリューション)
産業・ICTソリューションでは、航空宇宙関連は大型リプレース案件で体制を拡大し好調に推移しました。システム構築関連はクラウドシステム構築案件の獲得を強化したことや、開発環境構築案件が増加したことなどで、好調に推移しました。社会基盤関連は消防システムが堅調に推移しました。
この結果、売上高は2,705百万円(前年同期比3.1%増)、セグメント利益は510百万円(前年同期比7.1%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ465百万円増加し、3,755百万円(前年同期比14.1%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、572百万円(前年同期は840百万円の獲得)となりました。当連結会計年度においては、主に税金等調整前当期純利益が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は、259百万円(前年同期は696百万円の獲得)となりました。当連結会計年度においては、主に有価証券の償還による収入が増加したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、386百万円(前年同期は250百万円の使用)となりました。当連結会計年度においては、自己株式の取得及び配当金の支払を行ったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
制御システム |
1,078,729 |
+2.8 |
自動車システム |
1,380,658 |
+3.3 |
特定情報システム |
573,279 |
+8.3 |
組込システム |
938,126 |
+9.2 |
産業・ICTソリューション |
2,194,214 |
+2.2 |
合計 |
6,165,008 |
+4.1 |
(注)金額は製造原価によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
制御システム |
1,310,648 |
△15.4 |
88,150 |
△52.7 |
自動車システム |
1,995,857 |
+6.5 |
439,093 |
+39.7 |
特定情報システム |
786,147 |
+16.0 |
191,344 |
+32.6 |
組込システム |
1,190,162 |
+1.5 |
104,490 |
△23.9 |
産業・ICTソリューション |
2,797,056 |
+8.2 |
485,114 |
+23.4 |
合計 |
8,079,871 |
+2.9 |
1,308,192 |
+11.3 |
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
制御システム |
1,408,868 |
△2.9 |
自動車システム |
1,871,121 |
+3.6 |
特定情報システム |
739,127 |
+8.2 |
組込システム |
1,223,032 |
+13.4 |
産業・ICTソリューション |
2,705,075 |
+3.1 |
合計 |
7,947,225 |
+4.0 |
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
株式会社日立製作所 |
2,107,989 |
27.6 |
2,070,490 |
26.1 |
日立Astemo株式会社 |
914,956 |
12.0 |
1,011,915 |
12.7 |
キオクシア株式会社 |
635,305 |
8.3 |
800,982 |
10.1 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、この連結財務諸表の作成に当たりましては、「第5 経理の状況」に記載のとおりです。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ)経営成績等の状況
売上高は、特定情報システムでの危機管理関連の大規模請負案件や産業・ICTソリューションでの航空宇宙関連の大型リプレース案件などが好調に推移したこと、組込システムでの担当範囲拡大に伴う体制の大幅拡大などから、前連結会計年度に比べ303百万円増加し、7,947百万円(前年同期比4.0%増)となりました。
営業利益は、プロジェクト管理の強化による不採算プロジェクトの最小化などにより、前連結会計年度に比べ73百万円増加し、775百万円(前年同期比10.5%増)となりました。
経常利益は、営業利益が増加したものの、前連結会計年度に比べ保険解約返戻金が減少したことなどにより、4百万円増加し、808百万円(前年同期比0.6%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等の増加により、532百万円(前年同期比2.1%減)となりました。
なお、セグメントごとの業績につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
また、新型コロナウイルス感染症への取組みとしては、当社グループ社員及び家族の健康や安全を確保しつつ、顧客に安定したサービスを継続的に提供するため、ガイドラインを適宜更新し、外出/国内外出張の自粛、Webでの会議/研修、リモートワークなどを継続し、新型コロナウイルス感染症拡大リスクの低減に努めてまいりました。その結果、サービスレベルを下げることなく、業務を遂行しており、業績への影響は軽微でありました。
当期は「ソフトウェアで社会インフラ分野の安全・安心、快適・便利に貢献する」を中期経営ビジョンとする新中期経営計画(2021年6月~2024年5月)を策定し、人材育成のための大規模案件請負の推進、トータル・ソフトウェア・エンジニアリング・サービスのトータル度向上を基本方針として取組んでまいりました。
初年度となる当期は、営業力の強化により大規模案件を受注いたしました。案件の遂行と合わせて社員の新規設計能力やマネージメント力の向上などの人材育成を進めております。トータル・ソフトウェア・エンジニアリング・サービスのトータル度向上については、顧客への付加価値を拡大させるため、セグメント毎の事業環境を考慮し、推進しております。
ロ)資本の財源及び資金の流動性についての分析
(a)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概況 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(b)資金需要
当社グループの営業活動において必要な資金は、主にソフトウェアの開発・運用・保守業務を行うための運転資金(主に人件費・外注費等)と事業活動を維持していくための管理費、継続的な発展を実現するための人材投資(採用・教育費等)が主になります。また投資活動においては、事業シナジーを意図した投資有価証券の取得や、余剰資金を有効活用するための債券投資が主になります。今後も持続的な成長を目指し、人材投資と事業シナジーを意図した投資を進めていく予定であります。
(c)財政政策
当社グループでは、営業活動及び投資活動ともに内部資金を充当しており、有利子負債による調達は行っておりません。なお、当社グループでは、資本効率の向上と持続的な企業価値創造を目指し、自己株式の取得・保有・消却の基本方針を以下のとおり定め、取り組んでおります。
i)自己株式の取得に係る基本方針
・当社は、株主に対する利益還元を経営の重要政策と位置付けており、安定的な配当の継続と連結配当性向概ね50%以上の目標に加え、自己株式取得による利益還元も弾力的に実施していきます。
・当社は、資本効率の向上を図るため、自己株式の取得を進めていきます。
ⅱ)自己株式の保有・消却に係る基本方針
・当社は、M&A戦略(M&Aや業務資本提携等)を実施するため、一定の自己株式を保有します。
・当社は、役職員と共に持続的な企業価値創造を実現していくため、その動機付けの原資として一定の自己株式を保有します。
・当社は、株主の自己株式処分による希薄化の懸念を少しでも払拭できるよう、自己株式の保有については、発行済株式総数の10%程度を上限とし、それを超過する部分は、原則として毎期消却します。
ハ)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準にもとづき作成しております。なお、連結財務諸表の作成に当たり採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
連結財務諸表を作成するにあたっては、重要な会計方針に関する見積り及び判断を行っており、これらの見積りは、過去の実績等を慎重に検討した上で継続的に評価を行い、必要に応じて見直しを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性によって異なる場合があります。また、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性のある会計上の見積りがないため重要な会計上の見積りに関する注記は記載しておりません。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しているとおりであります。
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