(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、報告セグメントをデジタルエンタテインメント事業、アミューズメント事業、出版事業、及びライツ・プロパティ等事業と定め、各々のセグメントにおいて、事業基盤の強化と収益力の向上に努めております。
当連結会計年度の業績は、売上高は365,275百万円(前期比9.8%増)、営業利益は59,261百万円(前期比25.5%増)となりました。また、為替相場が前期末と比較して円安となり為替差益が10,489百万円発生したことなどにより、経常利益は70,704百万円(前期比41.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は51,013百万円(前期比89.3%増)となりました。
当連結会計年度の報告セグメント別の状況は次のとおりであります。
a .デジタルエンタテインメント事業
ゲームを中心とするデジタルエンタテインメント・コンテンツの企画、開発、販売及び運営を行っております。デジタルエンタテインメント・コンテンツは、顧客のライフスタイルにあわせて、家庭用ゲーム機 (携帯ゲーム機含む)、PC、スマートデバイス等、多様な利用環境に対応しています。
当連結会計年度は、HD(High-Definition:ハイディフィニション )ゲームにおいて、「OUTRIDERS」、「NieR Replicant ver.1.22474487139...」、「Marvel’s Guardians of the Galaxy」等の発売があったものの、前年に「FINAL FANTASY VII REMAKE」、「Marvel's Avengers(アベンジャーズ)」等の発売があったことから、前期比で減収となりました。
MMO(多人数参加型オンラインロールプレイングゲーム)においては、「ファイナルファンタジーXIV」の月額課金会員数が大幅に増加したことに加え、拡張パッケージの発売により、前期比で増収となりました。
スマートデバイス・PCブラウザ等をプラットフォームとしたコンテンツにおいては、既存タイトルが弱含んだものの、収益認識に関する会計基準の適用によって収益の表示方法の変更があったことから、前期比で増収となりました。
当事業における当連結会計年度の売上高は279,679百万円(前期比6.0%増)となり、営業利益は58,960百万円(前期比16.7%増)となりました。
b .アミューズメント事業
アミューズメント施設の運営、並びにアミューズメント施設向けの業務用ゲーム機器・関連商製品の企画、開発及び販売を行っております。
当連結会計年度は、前期において、政府の緊急事態宣言発出を受け、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策として、国内の店舗を臨時休業とした影響が大きかったことから、前期比で増収、黒字転換となりました。
当事業における当連結会計年度の売上高は45,882百万円(前期比33.6%増)となり、営業利益は2,003百万円(前期は営業損失1,568百万円)となりました。
c .出版事業
コミック雑誌、コミック単行本、ゲーム関連書籍等の出版、許諾等を行っております。
当連結会計年度は、デジタル販売の好調に加えて、紙媒体の販売においては、「その着せ替え人形は恋をする」の大ヒット等により堅調に推移したことから、前期比で増収増益となりました。
当事業における当連結会計年度の売上高は29,032百万円(前期比8.2%増)となり、営業利益は12,222百万円(前期比4.6%増)となりました。
d .ライツ・プロパティ等事業
主として当社グループのコンテンツに関する二次的著作物の企画・制作・販売及びライセンス許諾を行っております。
当連結会計年度は、自社コンテンツの新規キャラクターグッズの販売等が好調に推移したことから、前期比で増収増益となりました。
当事業における当連結会計年度の売上高は14,002百万円(前期比48.1%増)となり、営業利益は3,980百万円(前期比76.9%増)となりました。
当連結会計年度の財政状態の概要は次のとおりであります。
a .資産
流動資産は、前連結会計年度末に比べて、13.7%増加し、322,455百万円となりました。これは主として現金及び預金が16,858百万円、コンテンツ制作勘定が18,612百万円、受取手形及び売掛金が1,932百万円及び商品及び製品が857百万円増加したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて、11.3%増加し、58,447百万円となりました。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて、13.3%増加し、380,902百万円となりました。
b .負債
流動負債は、前連結会計年度末に比べて、4.3%増加し、83,800百万円となりました。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて、1.2%増加し、12,672百万円となりました。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて、3.9%増加し、96,472百万円となりました。
c .純資産
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて、16.9%増加し、284,429百万円となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益51,013百万円の計上、配当金の支払9,315百万円によるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ16,561百万円増加して、160,622百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
a .営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は27,570百万円(前期比21.2%減)となりました。
これは主として、税金等調整前当期純利益70,223百万円、法人税等の支払額26,161百万円、棚卸資産の増減額17,207百万円、為替差益10,043百万円及び減価償却費7,594百万円の増加によるものであり、全体としては資金が増加しました。
b .投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は8,124百万円(前期比22.1%増)となりました。
これは主として、有形固定資産の取得による支出5,494百万円及び無形固定資産の取得による支出2,464百万円によるものであります。
c .財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は9,343百万円(前期比40.5%増)となりました。
これは主として、配当金の支払額9,308百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a .生産実績
当社グループの生産は同種の商製品であっても一様でないため、セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
b .仕入実績
仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比(%) |
デジタルエンタテインメント事業(百万円) |
11,657 |
△20.1% |
アミューズメント事業(百万円) |
11,933 |
24.1% |
出版事業(百万円) |
3,170 |
5.3% |
ライツ・プロパティ等事業(百万円) |
5,531 |
76.9% |
合計(百万円) |
32,291 |
6.4% |
c .受注実績
当社グループは受注による生産は行っておりません。
d .販売実績
販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比(%) |
デジタルエンタテインメント事業(百万円) |
279,655 |
6.0% |
アミューズメント事業(百万円) |
43,899 |
32.4% |
出版事業(百万円) |
28,871 |
7.6% |
ライツ・プロパティ等事業(百万円) |
12,849 |
48.7% |
合計(百万円) |
365,275 |
9.8% |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当該有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
・「当連結会計年度の経営成績等」及び「セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況」に関する認識及び分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
・経営成績に重要な影響を与える要因
「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおり、当該事業リスクが発生した場合、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響
「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループの事業領域においては、コンテンツに対する需要への影響、新作タイトルの開発スケジュールへの影響、アミューズメント施設運営の売上高減少などが生じる恐れがあり、その結果当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
為替変動の影響
当連結会計年度において主に円と米ドル及びユーロによる為替レートの変動の影響により10,489百万円の為替差益を計上しております。
・経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、収益性に裏付けられた利益成長を実現することが重要な経営課題と認識しており、売上高4,000~5,000億円、営業利益600~750億円を安定的に達成できる事業構造の確立と売上高営業利益率の改善を2024年3月期までの経営目標としてまいります。
当連結会計年度の経営成績は売上高3,652億円、営業利益592億円となっており、目標達成に向けて、安定的な収益基盤の確立と新規IP向けの継続投資に取り組んでまいります。
(億円)
指標 |
第39期 |
第40期 |
第41期 |
第42期 |
第44期以降 |
|
2019年3月期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
2024年3月期以降 |
売上高 |
2,712 |
2,605 |
3,325 |
3,652 |
4,000~5,000 |
営業利益 |
246 |
327 |
472 |
592 |
600~750 |
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
・「当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況」に関する認識及び分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
・資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものには、デジタルエンタテインメント事業及びアミューズメント事業におけるソフトウェア制作に係る人件費及び外注開発費のほか、家庭用ゲームソフトのディスク製造費、アミューズメント事業のプライズ商材、出版事業の印刷物、ライツ・プロパティ等事業のグッズ等の商材、TVコマーシャル等の広告宣伝費があります。
当社グループでは、運転資金及び設備資金は内部資金より資金調達をしております。
また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は160,622百万円となっており、当社グループの事業を推進していく上で充分な流動性を確保しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要な項目は以下のとおりであります。
a .コンテンツ制作勘定の評価
当社グループは、コンテンツ制作勘定の評価について、第5 経理の状況 連結財務諸表「注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおり、重要な会計上の見積りと認識しております。
b .返金負債
当社グループは、返金負債について、第5 経理の状況 連結財務諸表「注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおり、重要な会計上の見積りと認識しております。
c .関係会社貸付金の評価
当社は、欧州及び米州地域に関する関係会社貸付金の評価について、第5 経理の状況 財務諸表「注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおり、重要な会計上の見積りと認識しております。
d .新型コロナウイルス感染拡大の影響
当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大の影響について、第5 経理の状況 連結財務諸表「注記事項(追加情報)」に記載のとおり、会計上の見積りを実施しております。当該感染の影響が経営者の見積りの期間よりも長期となった場合には、追加の損失が発生する可能性があります。
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