当事業年度におけるわが国経済は、いまだ新型コロナウイルス感染症の終息がみられず、特に前半は断続的に緊急事態宣言等が発出されるなどコロナ禍で収縮した状態が継続しました。飲食業界においては、人流抑制を目的とした自粛要請により活動が大きく制限され、厳しい経営環境での営業を余儀なくされました。10月の宣言解除以降は人流の回復がみられましたが、新たな変異株の出現により東京都に3度目のまん延防止等重点措置が発出されるなど、先行きは依然として不透明な状態が継続しています。このような経営環境のなか当社は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、飛沫感染対策・接触感染対策を徹底してお客様が安心してご利用いただける体制を維持強化するとともに、万が一に備えた勤務体制など事業継続対策を徹底して、お客様ならびに従業員の安全を最優先にした事業運営を進めてまいりました。6月には逸早く医療機関等と連携することで、東京會舘の全従業員ならびに業務委託先企業様の接種希望者を対象にワクチン接種を開始し、8月には対象者の2回目の接種を完了させました。また、宣言解除を前に「活動制限の緩和」に際してもお客様が安心してご利用いただける体制の強化を図るなど、寄せては返す感染症の波の各場面に対応できる体制を強化してまいりました。
当事業年度の売上高は、収益認識基準の新規適用の影響もあり、前期比で4,365百万円増加し、8,399百万円となりました。従前の基準による前期比においても売上高は2,185百万円増加と確実に回復基調にあり、ワクチン接種などの新型コロナウイルス感染症に対する社会的対応に加えて、当社の感染対策と実績をご評価いただいたことによるものと確信しております。しかしながら、当事業年度においては未だ売上高が固定費を吸収できる水準にはとどかず、営業損失は1,743百万円(前期は営業損失3,374百万円)となりました。営業外収益においては、社員の雇用・感染症防止対策・営業時間の短縮などに対する助成金や協力金を計上し、経常損失は683百万円(前期は経常損失2,869百万円)となりました。また、当期末において来期以降を見据えた財務基盤の構築のために不動産信託を活用した資金調達を行うのと同時に、不動産の一部を信託して、その受益権を譲渡したことにより、特別利益に当該譲渡益を固定資産売却益として計上し当期純利益は844百万円(前期は当期純損失3,219百万円)となりました。
これを部門別にみますと
宴会部門につきましては、婚礼部門は、前年後半から引き続き回復基調で推移しコロナ禍前の施行水準に届くまで回復が進みました。一方、一般宴会では法人顧客の会合等の需要はあるものの断続的に発出される宣言等によりキャンセルが発生するなど、回復は限定的なものとなりました。この結果、一般宴会、婚礼合計の宴会部門売上高は、収益認識に関する新たな会計基準を適用した影響を除いた段階で前期比118.5%増加し、さらに新会計基準の適用による増加もあり、5,754百万円(前期比251.3%増)となりました。
食堂部門につきましては、上半期のほぼ全期間にわたって発出された緊急事態宣言等の期間中において営業時間短縮や酒類提供を休止するという大変厳しい環境下での営業となりました。このような中でも、お客様のニーズにお応えすべく独自に開発したノンアルコールカクテルやテイクアウトメニューなど商品ラインを充実させ集客・売上の拡大に努めました。宣言等が解除された10月以降は回復に勢いがみられ、1月に再び発出された宣言等により制限は受けたものの、宣言等による売上高の下方圧力は従来よりも緩やかでありました。しかしながら、上半期の営業制限の影響は大きく、売上高は1,641百万円(前期比8.0%増)にとどまりました。
売店・その他の営業につきましては、本舘売店ではレストランの味をご自宅でお楽しみいただける新商品の投入を積極的に行いました。食品部門では百貨店等の店舗や催事での販売が前年同期より大幅に増え、個人需要を中心としたオンライン販売も引き続き好調でありました。この結果、売上高は2期連続の増加となる1,004百万円(前期比14.5%増)となりました。
②財政状態の状況
総資産は、前事業年度末に比べて1,692百万円増加し24,942百万円となりました。その主な要因は、現金及び預金が2,048百万円増加し、有形固定資産が976百万円減少したことであります。
負債は、前事業年度末に比べて842百万円増加し17,819百万円となりました。その主な要因は、長期借入金が2,781百万円増加し、未払消費税等が367百万円、預り金が876百万円、リース債務が225百万円それぞれ減少したことであります。
純資産は、当期純利益の計上により、純額で前事業年度末に比べ850百万円増加し7,122百万円となりました。
これらの結果、自己資本比率は前事業年度末に比べて1.6ポイント増加して28.6%となりました。
当事業年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ2,048百万円増加し、4,444百万円となりました。
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、2,005百万円の純支出(前事業年度は1,264百万円の純支出)となりました。これは主に税引前当期純利益965百万円に、有形固定資産売却損益1,648百万円や減価償却費783百万円等の非資金取引による増減、その他の流動負債の増減1,318百万円等の運転資本の増減によるものであります。
当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、1,813百万円の純収入(前事業年度は2,227百万円の純収入)となりました。これは主に有形固定資産の売却による収入1,990百万円によるものであります。
当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、2,240百万円の純収入(前事業年度は286百万円の純支出)となりました。これは主に長期借入れによる収入12,000百万円、長期借入金の返済による支出9,525百万円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
(注) 1 サービス仕入は当事業年度の期首より「収益認識に関する会計基準」等を適用したことに伴い、他の当事者が関与している宴会部門及び食堂部門に係る収益について、従来は純額で収益を認識しておりましたが、顧客への財又はサービスの提供における役割(本人又は代理人)を判断した結果、総額で収益を認識する方法に変更したため計上した仕入実績であります。よって前事業年度では計上しておらず、前期比は表示しておりません。
2 当社の提供する製商品及びサービスは、各売上部門間に複雑に関連し、売上部門単位で生産実績を記載することができないので、基礎的な材料およびサービスの仕入額を記載しております。
(注) 1 当事業年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは主に前事業年度に新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けていたものの、当事業年度は宴会部門を中心にコロナ禍前の水準に届くまで回復が進んだため、および「収益認識に関する会計基準」等の適用に伴い、他の当事者が関与している宴会部門及び食堂部門に係る収益について、従来は純額で収益を認識しておりましたが、顧客への財又はサービスの提供における役割(本人又は代理人)を判断した結果、総額で収益を認識する方法に変更したためであります。
ハ 販売実績
(注) 1 当事業年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは主に前事業年度に新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けていたものの、当事業年度は宴会部門を中心にコロナ禍前の水準に届くまで回復が進んだため、および「収益認識に関する会計基準」等の適用に伴い、他の当事者が関与している宴会部門及び食堂部門に係る収益について、従来は純額で収益を認識しておりましたが、顧客への財又はサービスの提供における役割(本人又は代理人)を判断した結果、総額で収益を認識する方法に変更したためであります。
当事業年度の売上高は、新型コロナウイルス感染症が社会経済活動の制約となり前事業年度に続き低迷しましたが、ワクチン接種の進行などの社会的対応によって制約が緩和されるなどの回復要因があったことや収益認識基準の新規適用の影響もあり、前事業年度に比べ108.2%増加の8,399百万円となりました。従前の基準による前期比においても売上高は2,185百万円増加と確実に回復基調にあるものと認識しております。営業損失は前期から1,630百万円縮小したものの、当期においては未だ売上高が固定費を吸収できる水準にはとどかず、1,743百万円となりました。営業外収益においては、社員の雇用・感染症防止対策・営業時間の短縮などに対する助成金や協力金を計上し、経常損失は683百万円となりました。また、当期末において来期以降を見据えた財務基盤の構築のために不動産信託を活用した資金調達を行い、信託受益権の一部を譲渡したことにより、特別利益に当該譲渡益を固定資産売却益として計上し当期純利益は844百万円となりました。
総資産は前事業年度末に比べて1,692百万円増加し24,942百万円となりました。これは、不動産信託を活用した資金調達を行ったため、現金及び預金を中心に流動資産が2,186百万円増加したことが主因であります。当該資金調達において得た長期安定資金は従前の借入金や短期支払債務の返済などに充当し、流動負債は前事業年度末に比べて1,495百万円減少しました。これらの結果、流動比率は199.5%に回復し、固定長期適合率は17.3ポイント改善して88.6%となりました。
当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、雇用調整助成金収入等や減価償却費など税引前当期純利益からの増加要因の調整があったものの、固定資産売却益や短期支払債務の返済による支払債務の減少などにより営業損失(1,743百万円)を上回る2,005百万円の純支出となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却を主因として1,813百万円の純収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、上記資金調達と従前の借入金の返済などにより2,240百万円の純収入となりました。これらの結果、当事業年度末の現金及び現金同等物は、前事業年度末から2,048百万円増加して4,444百万円となりました。
当社は営業活動から生じるキャッシュ・フローを主たる資金の源泉としており、この内部生成資金が通常の事業活動、設備投資、法人税や配当の支払いなどをまかなうに足りると考えております。加えて、金融機関との間にコミットメントライン等を設定することで、急な資金需要や不測の事態にも備えております。コミットメントライン等の状況については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (貸借対照表関係)」に記載のとおりです。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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