文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)企業理念
帝国ホテルは、創業の精神を継ぐ日本の代表ホテルであり国際的ベストホテルを目指す企業として、最も優れたサービスと商品を提供することにより、国際社会の発展と人々の豊かでゆとりのある生活と文化の向上に貢献する。
(2)経営方針・経営戦略
当社グループはこの度、東京事業所建て替え後を見据えた『中長期経営計画2036』を策定いたしました。
私たちは私たちの誇る誠実で人間味あふれる従業員の存在が企業価値を高める上で何よりも大切な、企業としての原点だと考えています。
ホテル業として従業員の満足度を高めながらサービスレベルを向上させれば、お客様の満足度が上がり、その結果として収益が向上し、その収益をハードウェアの改善や人材投資につなげることで従業員満足度とサービスレベルが更に高まるという理想的なサイクルが出来上がります。そのサイクルを発展的に循環させることであらゆるステークホルダーの期待に応えていくことが我々の使命であると考えています。
しかし、昨今、競合する新規ホテルの相次ぐ開業によりハードウェアにおける差は拡大し、従業員の努力だけではお客様に十分にご満足いただくことが難しくなってきました。
また、コロナ禍によりホテル事業のボラティリティの高さをあらためて思い知るところとなりました。
当社は足元のコロナ禍を新たな取り組みで乗り越え、地域一帯の再開発により新たなハードを手に入れ、当社の誇る従業員がその力を最大限に生かせる環境を整えるとともに、不動産事業の拡充により収益を安定させます。
また、視野が広く、語学、ICTなどに長けた顧客対応力の高い従業員を育成することでお客様の満足度を更に高めると共に、新たなハードや新規事業を通じて更に幅広い顧客を獲得し、日本の迎賓館としての役割を継続して担っていきます。
目指すべき姿
創業の精神を継ぐ「日本を代表するホテル」として、人を原点とする帝国ホテルブランドをより進化させる。また、いかなる経営環境下においても企業継続できる体制を構築し、来る2040年の開業150周年を目指す。
基本戦略
①グランドホテルの進化
日比谷本館建て替えによるハードウェア刷新と人材育成強化によるヒューマンウェアの充実をもって当社ブランド力を高める。
②企業としての安定的成長
今後のホテル事業を盤石の体制とするため、不動産事業等の拡充により、収益力・財務基盤の強化を図る。
③社会的課題の解決
当社企業活動の全てについてSDGs貢献度を最大限向上させる
(3)経営環境及び優先的に対処すべき課題
新型コロナウイルスは感染力の強い変異型を中心に流行が長期化しインバウンド需要は当面厳しい状況が続くことに加え、不安定な国際情勢に伴う原材料価格の高騰や円安などが企業収益に影響を与えると予想されますが、感染防止と経済活動の両立により国内個人消費は徐々に回復に向かうことが期待されます。
このような状況のもと、当社グループにおきましては急速に変化する時代に対応すべく『サービスアパートメント』や『帝国ホテル 寅黒』などの新規事業により収益力の向上に引き続き取り組むとともに、感染防止に努め顧客に安心して利用いただけるサービス体制を構築し、政府や自治体が実施する観光支援策等による需要の回復に万全の態勢で臨んでまいります。
当社は2021年3月に帝国ホテル東京の建て替え計画を、同年5月には京都における新規ホテル計画を発表いたしました。さらに、東京については新本館のデザインや内幸町一丁目街区内における新ブランドの宿泊特化型ホテルの開業計画を公表したほか、京都についても本年4月に建築工事が始まるなど本格的な準備が始まり、第二の創業ともいえる両計画の遂行に全社一丸となって取り組んでまいります。
さらに、当社グループは2036年の帝国ホテル東京の建て替え計画の完了を見据え、「(2)経営方針・経営戦略」に記載の通り『中長期経営計画2036』を策定いたしました。建て替えによる最新のハードウェアとサービスの原点ともいえるヒューマンウェアに一層磨きをかけることを基本戦略とし、より進化した帝国ホテルブランドを確立いたします。
また、環境への配慮、社会貢献などのSDGsにつきましてもより一層取り組みを強化してまいります。2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、2030年度に事業所全体のCO2排出量を2013年度比で40%削減する計画目標を新たに策定したほか、目標の達成に向け今期より上高地帝国ホテルではグリーン電力の導入等によりCO2排出量を実質ゼロにいたします。このほか、食品ロスの削減、脱プラスチック対策、女性活躍推進などの課題に取り組み今後も社会的責任を果たしてまいります。
ホテル・観光業界は依然として厳しい状況下にありますが、日本を代表するホテルとしてあり続けるため、新たな事業や施策を積極的に展開することで安定的な収益の確保を図るとともに、コロナ収束後の将来を見据えて企業価値向上に全力で取り組んでまいります。
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