当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析の検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響で世界経済が低迷する中で、ワクチン接種の促進等により景気持ち直しの動きも見られましたが、概して大変厳しい状況が継続しました。
ホテル業界においては、GoToトラベル事業の停止や渡航制限に伴うインバウンド需要の消失、酒類提供並びに大人数会食の自粛、イベント行事の中止・無観客開催などを背景に、様々な制約が事業領域に直接影響し、極めて深刻な経営環境が続きました。9月末の緊急事態宣言解除後は、明るい兆しも見え始めましたが、新たな変異株の出現と各国での急激な拡大により、先行き不透明な状況にあります。
このような環境の中で当社は、お客様と従業員の安全確保を最優先に考え、従業員とその家族、関係取引企業の希望者全員にワクチン職域接種を実施するとともに、ホテル館内施設についても各種感染防止対策を徹底し、衛生かつ安心安全な環境整備に取り組んでまいりました。
営業面では、新しい生活様式の浸透により社会的価値観が変容する中で、テレワーク・ワ―ケーションなど、働き方改革の需要に応じた「おこもりステイプラン」や、従来型結婚式に代わるニーズを捉えた「フォトウェディング」が好評を博すなど、新たなホテル活用を提案する様々な商品を展開してまいりました。また、まん延防止等重点措置発令下での開催となった、2021世界トライアスロンシリーズ横浜大会では、大会オフィシャルホテルとして選手、関係者の受け入れにあたり感染防止対策に万全を期し、結果ひとりの陽性者も出さずに大会を終える成功裏にその使命を完遂しました。このほか、テイクアウト商品・自社オンラインショッピング等の外販事業の強化、拡充を図るとともに、多様化するモバイル端末を踏まえ、公式ホームページのレスポンシブデザインへの変更や、当社顧客管理システム「横浜ニューグランドクラブWEB入会システム」の導入など、お客様の利便性向上にも努めてまいりました。
管理面においては、勤怠管理システムの導入により、時間外勤務及び適正人員配置のコントロール等、労務管理の効率化を進めるとともに、雇用調整助成金等の各種助成金を受けながら、従業員の雇用と事業基盤の維持に努めてまいりました。また、SDGsへの取り組みとしては、新たに社長直轄組織となる「サステナビリティ推進室」を設置し、持続可能な社会の実現に向けた全社レベルでの推進体制を構築し、事業を通じた社会課題の解決と持続的な企業価値の向上を目指してまいりました。
以上のような施策を展開してまいりました結果、当事業年度の売上高は3,195,670千円(前事業年度比4.4%増)、営業損失は742,139千円(前事業年度は885,087千円の営業損失)、経常損失は468,692千円(前事業年度は785,581千円の経常損失)となりましたが、ホテルタワー館底地の不動産譲渡に伴う固定資産売却益1,390,000千円を計上したことなどにより、当期純利益は1,319,982千円(前事業年度は1,095,337千円の当期純損失)となり、黒字転換いたしました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(ホテル事業)
ホテル事業の当事業年度の業績は、売上高3,144,698千円(前事業年度比4.6%増)、営業損失778,990千円(前事業年度は923,066千円の営業損失)となりました。
なお、主な部門別の売上高は、宿泊部門741,258千円(前事業年度比12.5%減)、レストラン部門1,008,231千円(前事業年度比2.2%増)、宴会部門1,122,823千円(前事業年度比21.5%増)となりました。
(不動産賃貸事業)
不動産賃貸事業の当事業年度の業績は、売上高50,972千円(前事業年度比6.1%減)、営業利益36,851千円(前事業年度比3.0%減)となりました。
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には消費税及び地方消費税は含まれておりません。
当社の財政状態は、次のとおりであります。
(資産)
資産合計は8,073,996千円(前事業年度末比197,044千円増)となりました。主な要因は現金及び預金2,177,199千円の増加や、売掛金31,265千円の減少、未収消費税等37,372千円の減少、有形固定資産2,041,100千円の減少、投資その他の資産115,739千円の増加であります。
(負債)
負債合計は4,878,298千円(前事業年度末比1,128,287千円減)となりました。主な要因は短期借入金1,200,000千円の減少や、1年内返済予定の長期借入金224,000千円の減少、未払消費税等36,973千円の増加、長期借入金683,000千円の増加であります。
(純資産)
純資産合計は3,195,698千円(前事業年度末比1,325,331千円増)となりました。主な要因は当期純利益1,319,982千円などであります。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ2,177,199千円増加し、2,719,631千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動による資金の減少は35,217千円(前事業年度は758,870千円の減少)となりました。主な減少要因は、固定資産売却益1,390,000千円であり、主な増加要因は、税引前当期純利益867,948千円、減価償却費296,016千円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動による資金の増加は2,966,684千円(前事業年度は81,619千円の減少)となりました。主な増加要因は、有形固定資産の売却による収入3,163,430千円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動による資金の減少は754,267千円(前事業年度は1,001,546千円の増加)となりました。主な減少要因は、短期借入金の純減額1,200,000千円、長期借入金の返済による支出541,000千円であり、主な増加要因は、長期借入れによる収入990,000千円などによるものであります。
当社の資金需要のうち主なものは、設備投資資金のほか、食材等の仕入や人件費等の販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
当社は、運転資金につきましては自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資につきましては自己資金及び金融機関からの長期借入金を基本としております。
なお、当事業年度末における借入金残高は2,804,000千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は2,719,631千円となっております。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っております。なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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