(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の新たな変異株の発生による感染再拡大に加え、ウクライナ情勢の悪化による原材料価格の高騰や為替変動リスクの影響により経済活動の停滞が懸念され、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
不動産関連サービス業界におきましても、新型コロナウイルス感染症対策としてのテレワーク導入や郊外のサテライトオフィス設置などにより、都市集中型から分散型へ変わりつつあり、オフィスや商業ビルの空室率は、一部の地域を除き緩やかな上昇基調が継続しております。また、取引先企業における管理コスト削減の意識は更に高まり、厳しい経営環境が継続すると予想されます。
このような事業環境のもと、当社グループにおきましては、顧客ニーズに応えた良質なサービスを継続的に提供するため、先進的な技術と対応力で「最適な建物管理」を追求し続け、建物の資産価値の向上に努めております。
また、主力のビル管理業務の一層の強化・向上を図るとともに、PFI事業や公共施設マネジメント事業などの周辺業務にも積極的な展開を図っております。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a 財政状態
当連結会計年度末の資産の合計は821億41百万円(前連結会計年度末比1.1%増)、負債の合計は204億89百万円(前連結会計年度末比16.7%減)、純資産の合計は616億52百万円(前連結会計年度末比8.7%増)となりました。
b 経営成績
当連結会計年度の売上高は1,037億37百万円(前年同期比0.4%減)、営業利益は75億円(前年同期比0.6%減)、経常利益は82億76百万円(前年同期比3.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は61億77百万円(前年同期比20.0%増)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の売上高は64百万円、売上原価は39百万円、営業利益及び経常利益は24百万円それぞれ減少しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
なお、セグメント利益は連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。
(建物管理運営事業)
建物管理運営事業につきましては、当連結会計年度の売上高は719億77百万円(前年同期比2.4%減)、セグメント利益は99億12百万円(前年同期比0.2%増)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は69百万円、売上原価は45百万円、セグメント利益は24百万円それぞれ減少しております。
(住宅管理運営事業)
住宅管理運営事業につきましては、当連結会計年度の売上高は169億80百万円(前年同期比4.6%増)、セグメント利益は16億93百万円(前年同期比8.1%増)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用による売上高及び利益に与える影響は軽微であります。
(環境施設管理事業)
環境施設管理事業につきましては、当連結会計年度の売上高は115億54百万円(前年同期比1.8%増)、セグメント利益は15億80百万円(前年同期比7.1%増)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用による売上高及び利益に与える影響は軽微であります。
(不動産ファンドマネジメント事業)
不動産ファンドマネジメント事業につきましては、当連結会計年度の売上高は15億30百万円(前年同期比7.3%減)、セグメント利益は43百万円(前年同期比4.3%減)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用による売上高及び利益に与える影響はありません。
(その他の事業)
その他の事業につきましては、当連結会計年度の売上高は19億95百万円(前年同期比32.7%増)、セグメント利益は3億14百万円(前年同期比32.1%増)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用による売上高及び利益に与える影響はありません。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ3億86百万円(1.2%減)減少し、残高は324億44百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりであります。
当連結会計年度における営業活動の結果増加した資金は44億56百万円であり、前連結会計年度に比べ30億24百万円収入が減少いたしました。
その主なものは、仕入債務の減少(前年同期比21億25百万円資金減)や、法人税等の支払額の増加(前年同期比10億91百万円資金減)であります。
当連結会計年度における投資活動の結果減少した資金は18億40百万円であり、前連結会計年度に比べ18億22百万円支出が増加いたしました。
その主なものは、投資有価証券の売却による収入の減少(前年同期比9億82百万円資金減)、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出の増加(前年同期比5億11百万円資金減)によるものであります。
当連結会計年度における財務活動の結果減少した資金は30億74百万円であり、前連結会計年度と比べ20百万円支出が増加いたしました。
その主なものは、配当金の支払額の増加(前年同期比1億64百万円資金減)や長期ノンリコースローンの返済による支出の減少(前年同期比1億54百万円資金増)であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社グループの業務内容は、役務提供を主体としているため、該当事項はありません。
当連結会計年度の外注費及び商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 本表中の( )内は、商品仕入額で、( )外記載の内数であります。
2 外注仕入は、当社グループの管理受託業務の一部又は全部を下請(外注)業者に作業委託しているものであります。
3 商品仕入は、主として衛生・清掃用消耗品の仕入であります。
当社グループの業務内容は、役務提供を主体としているため、記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 本表中の( )内は、工事関連業務に係る売上高で、( )外記載の内数であります。
3 工事関連業務に係る売上高は、建物修繕・設備更新工事等に係る売上高であります。
4 当連結会計年度において、履行義務の充足に係る進捗度を見積り収益を認識する工事は、PFI等の維持管理・運営業務に含まれる長期修繕工事以外にありません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ8億61百万円(1.1%増)増加し、821億41百万円となりました。
流動資産は前連結会計年度末に比べ16億33百万円(3.1%減)減少し518億49百万円、固定資産は前連結会計年度末に比べ24億94百万円(9.0%増)増加し302億91百万円となりました。
増加の主な要因は、関連会社株式取得等による投資有価証券の増加(前連結会計年度末比16億18百万円増)によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ40億96百万円(16.7%減)減少し204億89百万円となりました。
減少の主な要因は、支払手形及び買掛金等の減少(前連結会計年度末比29億47百万円減)によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ49億57百万円(8.7%増)増加し616億52百万円となりました。
増加の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加(前連結会計年度末比42億71百万円増)によるものであります。
これらの結果、当連結会計年度末における自己資本比率は、前連結会計年度末の68.18%と比べ5.32ポイント増加し73.50%となりました。
当社グループは、経営に必要な流動性の確保と健全なバランスシートの維持を財務方針としております。
b 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高につきましては、工事関連業務の受注が伸び悩んだことにより、前連結会計年度に比べ3億86百万円減少し、1,037億37百万円となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は64百万円減少しております。
(売上原価)
売上原価につきましては、料金改定や仕様内容・作業効率の見直しを行ったことにより、原価率は前連結会計年度に比べ0.9ポイント減少し、77.6%となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上原価は39百万円減少しております。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費につきましては、新型コロナウイルス感染症対策や体制強化に伴う費用の発生により、前連結会計年度に比べ8億93百万円増加し、157億1百万円となりました。
(営業外損益)
営業外収益につきましては、持分法による投資利益の増加等により、前連結会計年度に比べ4億19百万円増加し、10億24百万円となりました。
営業外費用につきましては、固定資産除売却損の増加等により、前連結会計年度に比べ79百万円増加し、2億48百万円となりました。
(特別損益)
特別利益につきましては、投資有価証券売却益の減少により、前連結会計年度に比べ3億28百万円減少し、1億円となりました。
特別損失につきましては、当連結会計年度の計上はありません。
(法人税等)
法人税等の合計につきましては、前連結会計年度と比べ10億28百万円減少し、20億92百万円となりました。税効果会計適用後の法人税等の負担率につきましては、繰越欠損金の減少等により、前連結会計年度に比べ12.2ポイント減少し、25.0%となりました。
c セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析
(建物管理運営事業)
主たる業務であるビル管理業務及び保安警備の建物管理運営事業につきましては、契約更改が堅調であったものの、工事関連業務の受注が伸び悩んだことにより、当連結会計年度の売上高は719億77百万円(前年同期比2.4%減)となりました。
利益面におきましては、料金改定や仕様の見直し、コスト削減に努めたことにより、セグメント利益は99億12百万円(前年同期比0.2%増)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は69百万円、売上原価は45百万円、セグメント利益は24百万円それぞれ減少しております。
当連結会計年度末のセグメント資産は、売上債権の減少等により、前連結会計年度末に比べ10億79百万円(4.0%減)減少し257億32百万円となりました。
(住宅管理運営事業)
マンション及び公営住宅の管理を主体とする住宅管理運営事業につきましては、公営住宅管理における修繕業務が増加したことにより、当連結会計年度の売上高は169億80百万円(前年同期比4.6%増)となりました。
利益面におきましても、継続的なコスト削減に努めたことにより、セグメント利益は16億93百万円(前年同期比8.1%増)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用による売上高及び利益に与える影響は軽微であります。
当連結会計年度末のセグメント資産は、関連会社への出資に伴う投資有価証券の増加等により、前連結会計年度末に比べ8億39百万円(7.4%増)増加し122億45百万円となりました。
(環境施設管理事業)
上下水道処理施設等の生活環境全般にかかる公共施設管理を主体とする環境施設管理事業につきましては、新規管理案件の受託や契約更改が堅調であったことにより、当連結会計年度の売上高は115億54百万円(前年同期比1.8%増)となりました。
利益面におきましても、適正な人員配置を中心にコスト削減に努めたことにより、セグメント利益は15億80百万円(前年同期比7.1%増)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用による売上高及び利益に与える影響は軽微であります。
当連結会計年度末のセグメント資産は、現金及び預金の減少等により、前連結会計年度末に比べ14百万円(0.3%減)減少し、42億98百万円となりました。
(不動産ファンドマネジメント事業)
不動産ファンドの組成・資産運用を行うアセットマネジメント及び匿名組合への出資を主体とする不動産ファンドマネジメント事業につきましては、運用資産の売却収益が減少したことにより、当連結会計年度の売上高は15億30百万円(前年同期比7.3%減)となりました。
利益面におきましても、継続的なコスト削減に努めてまいりましたが、運用資産の売却に伴う利益が減少したことにより、セグメント利益は43百万円(前年同期比4.3%減)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用による売上高及び利益に与える影響はありません。
当連結会計年度末のセグメント資産は、運用資産の売却に伴う販売用不動産の減少等により、前連結会計年度末に比べ4億55百万円(9.7%減)減少し、42億28百万円となりました。
(その他の事業)
イベントの企画・運営、デザイン制作、給与計算業務を主体としたその他の事業は、収益性の高い業務を受託できたことや、第2四半期連結会計期間末に連結子会社となった株式会社ネオトラストの業績が寄与したことにより、当連結会計年度の売上高は19億95百万円(前年同期比32.7%増)、セグメント利益は3億14百万円(前年同期比32.1%増)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用による売上高及び利益に与える影響はありません。
当連結会計年度末のセグメント資産は、株式会社ネオトラストを連結子会社としたことにより、前連結会計年度末に比べ2億42百万円(29.8%増)増加し、10億57百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、現場の運営にかかる人件費や外注費とこれらを管理するための販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は、業容拡大に向けたM&A、投資有価証券の取得や設備投資等によるものであります。
運転資金及び投資資金につきましては、主に営業活動から得られるキャッシュ・フローを源泉とする内部資金を活用することを基本とし、必要に応じて金融機関からの借入等、最適な資金調達を選択しております。
また、当社グループ内におきましては、資金を一括して管理し、資金調達・運用を効率化することを目的として、資金集中管理(CMS)を導入しております。
なお、当連結会計年度末における借入金、ノンリコースローン及びリース債務等の有利子負債の残高は29億74百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は324億44百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産、負債の報告数値、偶発債務等の予測並びに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。これらの見積り及び判断・評価は、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因等に基づき継続的に行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
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