業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況が続く中で、段階的な経済活動の再開による持ち直しも見られましたが、新しい変異株による感染再拡大、世界的な半導体不足、更には、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を発端とした世界的な情勢不安に加え、原油価格の高騰や為替の大幅な変動による個人消費への影響など、景気の先行きは依然として不透明な状況にあります。

医療業界におきましては、医療費抑制政策等の社会的要請を背景に、引き続き後発医薬品の使用拡大及びセルフメディケーションに対する取組み強化等の対応が求められるとともに、2021年4月の薬価改定の影響に加え、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、更なる経営努力が求められる事業環境となっております。

このような状況の下、当社グループは、医療機関の多様化するニーズに応えた営業活動を展開し、継続的な企業価値の向上を実現すべく、各事業において新規顧客の獲得等による営業基盤の拡大と継続的な経費効率を重視した収益基盤の強化に努めてまいりました。なお、2021年5月25日に開示しておりました株式会社エスアールエルとの合弁会社2社は3月19日から稼働しております。

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高19,109百万円(前年同期比9.2%増)、営業利益1,537百万円(同34.6%増)、経常利益1,605百万円(同35.1%増)及び親会社株主に帰属する当期純利益1,042百万円(同31.4%増)と売上高、利益共に過去最高となりました。

セグメントの業績は次のとおりであります。

 

(臨床検査事業)

臨床検査事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、前年同期は医療機関による外来診療の抑制と受診する一般患者が減少する等の影響を受けましたが、当連結会計年度におきましては、それらの影響も回復基調となるに加え、PCR検査の受託が大幅に増加したことを主因として、売上高7,442百万円(前年同期比21.3%増)と前年同期を上回りました。

利益面につきましては、本社ビルの移転に伴い検査設備を刷新したことから、減価償却費は増加しましたが、売上高の増加を主因にセグメント利益1,025百万円(同64.0%増)と前年同期を上回りました。

 

(調剤薬局事業)

調剤薬局事業におきましては、薬価のマイナス改定がありましたが、新型コロナウイルス感染症拡大により、前年同期は医療機関を受診する一般患者が減少する等の影響を受けましたが、当連結会計年度におきましては、その影響も回復基調となり、処方箋枚数が増加したことから、売上高10,580百万円(同1.3%増)と前年同期を上回りました。

利益面につきましては、売上が増加したことから、セグメント利益879百万円(同1.9%増)と前年同期を上回りました。

(医療機器販売・保守事業)

医療機器販売・保守事業におきましては、備品及び福祉用具の販売が前年同期を上回ったことから、売上高983百万円(同17.7%増)、セグメント利益10百万円(前年同期はセグメント損失1百万円)と前年同期を上回りました。

(その他の事業)

臨床検査システムのソフトウェア販売及び保守の収入におきましては、売上高102百万円(前年同期比19.0%増)、セグメント利益70百万円(同6.6%増)になりました。

 

②財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における資産総額は、前年同期末に比し1,637百万円増加し16,149百万円(前年同期末比11.3%増)となりました。

流動資産は前年同期末に比し1,317百万円増加し7,229百万円(同22.3%増)となりました。

主な要因は、商品が23百万円減少しましたが、現金及び預金が629百万円、受取手形及び売掛金が244百万円、その他が458百万円それぞれ増加したことによるものです。

固定資産は前年同期末に比し320百万円増加し8,919百万円(同3.7%増)となりました。

主な要因は、土地が97百万円、差入保証金が66百万円、建物及び構築物が47百万円、工具、器具及び備品が40百万円それぞれ減少しましたが、リース資産が557百万円増加したことによるものです。

(負債)

当連結会計年度末における負債総額は、前年同期末に比し572百万円増加し5,811百万円(同10.9%増)となりました。

流動負債は前年同期末に比し175百万円増加し3,281百万円(同5.7%増)となりました。

主な要因は、支払手形及び買掛金が35百万円減少しましたが、リース債務が82百万円、未払法人税等が45百万円、その他が38百万円、資産除去債務が28百万円それぞれ増加したことによるものです。

固定負債は前年同期末に比し396百万円増加し2,529百万円(同18.6%増)となりました。

主な要因は、長期借入金が133百万円減少しましたが、リース債務が530百万円増加したことによるものです。

(純資産)

純資産は前年同期末に比し1,065百万円増加し10,337百万円(同11.5%増)となりました。また、自己資本比率につきましては、前年同期末比1.3%減少し62.6%となり、1株当たり純資産につきましては、前年同期末比307円61銭増加し、3,016円24銭となりました。

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フロー1,573百万円の資金増加、投資活動によるキャッシュ・フロー830百万円の資金減少及び財務活動によるキャッシュ・フロー112百万円の資金減少の結果、資金は629百万円増加し2,980百万円(前年同期比26.8%増)となりました。

当連結会計年度における各連結キャッシュ・フローの状況と増減要因は、次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によって得られた資金は、1,573百万円(同87.9%増)となり、前年同期に比し736百万円増加いたしました。

主な要因は、法人税等の支払額411百万円(同74百万円増)、売上債権の増加額244百万円(同78百万円増)及び仕入債務の減少額146百万円(前年同期は仕入債務の増加額117百万円)がありましたが、税金等調整前当期純利益1,502百万円(前年同期比326百万円増)、減価償却費547百万円(同275百万円増)及び未収消費税等の減少額191百万円(前年同期は未収消費税等の増加額195百万円)によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動で使用した資金は、830百万円(前年同期比73.6%減)となり、前年同期に比し2,317百万円減少いたしました。

主な要因は、有形固定資産の売却による収入94百万円(同92百万円増)がありましたが、有形固定資産の取得による支出838百万円(同2,303百万円減)及び無形固定資産の取得による支出110百万円(同99百万円増)によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動で使用した資金は、112百万円(前年同期は獲得した資金1,943百万円)となり、前年同期に比し2,056百万円減少いたしました。

主な要因は、非支配株主からの払込みによる収入220百万円がありましたが、長期借入金の返済による支出133百万円、自己株式の取得による支出95百万円及び配当金の支払額78百万円(前年同期比44百万円増)によるものであります。

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループの生産実績は、セグメントごとの販売実績と同一になるため記載を省略しております。

b.受注実績

当社グループの受注状況において、臨床検査事業は、検査の受託から報告までの所要日数が短いため、常に受注残高は僅少であり、期中受注高と販売実績とがほぼ対応するため記載を省略しております。

調剤薬局事業は、医療機関より発行される処方せんに基づき医薬品を調剤し販売しており、期中の受注高と販売実績とは同額であります。

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに表すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

臨床検査事業(千円)

7,442,596

121.3

調剤薬局事業(千円)

10,580,812

101.3

医療機器販売・保守事業(千円)

983,768

117.7

報告セグメント計(千円)

19,007,177

109.1

その他の事業(千円)

102,417

119.0

合計(千円)

19,109,595

109.2

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.相手先別販売実績において、総販売実績に対する割合が10%を超える相手先はありません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高、売上原価及び営業利益)

当連結会計年度における売上高は19,109百万円と、前年同期比9.2%増、1,607百万円の増加となりました。なお、セグメント別の内訳につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

また、利益面につきましても、売上原価は12,788百万円と、前年同期比8.7%増、1,020百万円の増加となり、販売費及び一般管理費は、4,784百万円と、前年同期比4.2%増、191百万円の増加となりました。

その結果、営業利益は1,537百万円、前年同期比34.6%増、394百万円の増加となりました。

(営業外損益及び経常利益)

営業外損益は、営業外収益134百万円、営業外費用66百万円となり、純額で68百万円の利益を計上しました。

その結果、経常利益は1,605百万円、前年同期比35.1%増、417百万円の増加となりました。

(特別損益及び税金等調整前当期純利益)

特別損益は、特別利益11百万円、特別損失114百万円となり、純額で103百万円の損失を計上しました。

その結果、税金等調整前当期純利益は1,502百万円、前年同期比27.7%増、326百万円の増加となりました。

(法人税等及び親会社株主に帰属する当期純利益)

法人税等は455百万円となり、前年同期比19.2%増、73百万円増加となりました。

その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,042百万円、前年同期比31.4%増、249百万円の増加となりました。

当社は、「売上高経常利益率」5.0%及び「自己資本利益率(ROE)」8.0%の確保を目標として業務改革や経費削減等に取り組んでまいりました。当連結会計年度におきましては、「売上高経常利益率」8.4%、「自己資本利益率(ROE)」10.8%と目標を達成しました。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、法的規制等の実施、診療報酬及び薬価基準の改定、人材の確保及び育成、社会信用力の低下、調剤薬局店舗の環境の変化、不動産市況の悪化等の様々なリスク要因が考えられます。

そのため、当社グループでは中長期的な展望による人材の採用、研修による人材の育成、業務運営の適正化などを図り、経営成績及び財政状態に重要な影響を与える要因によるリスクを低減させるために適切な対応を行っております。

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

(臨床検査事業)

売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響により、前年同期は医療機関による外来診療の抑制と受診する一般患者が減少する等の影響を受けましたが、当連結会計年度は、PCR検査の受託が大幅に増加したことを主因として、前連結会計年度比21.3%増加し7,442百万円となりました。

セグメント利益は、本社ビルの移転に伴い検査設備を刷新したことから、減価償却費は増加しましたが、売上高の増加による利益の増加を主因に、前連結会計年度末比64.0%増加し1,025百万円となりました。

セグメント資産は、減価償却費324百万円がありましたが、有形固定資産及び無形固定資産の取得1,479百万円により385百万円増加したことに加え、現金及び預金が590百万円、受取手形及び売掛金が1,300百万円それぞれ増加したことから、前連結会計年度末に比し1,804百万円増加し4,308百万円となりました。

(調剤薬局事業)

売上高は、薬価のマイナス改正がありましたが、新型コロナウイルス感染症拡大により、前年同期は医療機関による外来診療の抑制と受診する一般患者が減少する等の影響を受けましたが、その影響も回復基調となり、処方箋枚数も増加したことから、前連結会計年度末比1.3%増加し10,580百万円となりました。

セグメント利益は、売上の増加を主因として、前連結会計年度末比1.9%増加し879百万円となりました。

セグメント資産は、有形固定資産及び無形固定資産の取得148百万円に加え、受取手形及び売掛金が37百万円増加しましたが、減価償却費87百万円、現金及び預金が153百万円減少したことから、前連結会計年度末に比し34百万円減少し3,292百万円となりました。

 

(医療機器販売・保守事業)

売上高は、備品及び福祉用具の販売が前年同期を上回ったことから、前連結会計年度末比17.7%増加し983百万円となりました。

セグメント利益は、売上の増加により、セグメント利益10百万円(前年同期はセグメント損失1百万円)となりました。

セグメント資産は、現金及び預金26百万円増加しましたが、棚卸資産52百万円減少したことから、前連結会計年度末に比し20百万円減少し816百万円となりました。

(その他の事業)

売上高は、前連結会計年度末比19.0%増加し、102百万円となりました。

セグメント利益は、売上が増加したことから、6.6%増加し70百万円となりました。

セグメント資産は、無形固定資産の取得8百万円に加え、受取手形及び売掛金3百万円増加したことから、前連結会計年度末に比し10百万円増加し23百万円となりました。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、投資活動に支出した資金が830百万円、財務活動に支出した資金112百万円でしたが、税金等調整前当期純利益の増加等により、営業活動によって得られた資金1,573百万円となり、資金は629百万円増加し2,980百万円となりました。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

(資金需要)

当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。

運転資金需要のうち主なものは、経常的にかかる事業全般の活動費用に加えて、臨床検査事業における原材料及び貯蔵品の仕入及び外部委託費、調剤薬局事業並びに医療機器販売・保守事業における商品の仕入によるものであります。また、設備資金需要としましては、臨床検査機器、調剤薬局出店などによる土地、建物及び調剤機器及びソフトウェアへの投資であります。

(財務政策)

当社グループの運転資金及び設備資金につきましては、内部資金より充当しており、不足が生じた場合は、借入金による外部資金の調達を行っております。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

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