(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるビルメンテナンス業界を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症拡大の波が繰り返され、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が繰り返し発出される中、経済活動停滞の影響を大きく受け続けております。さらに、以前から懸念されていた資源価格の高騰が、年度末にかけてのロシアによるウクライナ侵攻の影響や4月からの円安続伸と不安定な為替相場等により拍車がかかることとなり、事業環境は引き続き不透明な状況にあります。
このような状況下、当社グループにおいても、特にホテル事業やフランチャイズ事業について大きな影響を受けておりますが、各事業はコロナ禍の影響を織り込んで事業展開を進めております。また、物流施設関連のメンテナンス業務の受注や、お客様の事業形態の変化による事務所移転・集約に伴う原状回復工事等の受注等が、コロナ禍前を上回る状況にあります。不動産事業においては大口の不動産売却が成立しましたが、案件売上・事業利益とも前期の不動産売却には及びませんでした。以上の要因に加えて、全体的な原価改善も進み、売上高は減少いたしましたが、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益が増加いたしました。
その結果、当連結会計年度の売上高は31,393百万円(前期比9.3%減)、経常利益は2,012百万円(前期比22.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,356百万円(前期比29.4%増)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(ビルメンテナンス事業)
ビルメンテナンス事業では、引き続きコロナ禍による経済活動停滞の影響はありますが、物流施設関連のメンテナンス業務の受注増、お客様の事業形態の変化による事務所移転・集約に伴う原状回復工事等の受注増等、コロナ禍における除菌作業等の受注増、後ろ倒しになっていた業務の取込等により、前期と比較して売上高、セグメント利益が増加いたしました。
その結果、当連結会計年度の売上高は26,511百万円(前期比6.4%増)、セグメント利益は3,217百万円(前期比15.9%増)となりました。
(不動産事業)
不動産事業では、不動産の売買、仲介及び保有している不動産の賃貸等を行っております。当連結会計年度においても大口の不動産売却が成立しましたが、前期の実績には及ばず、売上高、セグメント利益が減少いたしました。
その結果、当連結会計年度の売上高は2,532百万円(前期比64.3%減)、セグメント利益は526百万円(前期比26.8%減)となりました。
(介護事業)
介護事業では、介護施設の運営や介護サービスの提供を行っており、入居者様・ご家族様の立場に立った高いレベルのサービスを提供しております。前連結会計年度に1施設を外部に譲渡したことや、1施設において入居者サービス向上に向けての改修工事実施のために一時的に新規入居者を抑制したこと及び修繕費を計上したことから、売上・利益両面に影響が出ました。
その結果、当連結会計年度の売上高は928百万円(前期比10.2%減)、セグメント損失は78百万円(前期は20百万円のセグメント損失)となりました。
(フランチャイズ事業)
フランチャイズ事業では、サルヴァトーレ・クオモ、やきとり家すみれ、プロント、ミスタードーナツ、ツタヤ、銀座に志かわ等の店舗展開を行っております。前連結会計年度に1店舗閉鎖したことや、コロナ禍での営業時間短縮等により、前期と比較して売上高は減少いたしました。しかし、コロナ禍の影響を受けて、テイクアウト・デリバリーのウエイトを高めながら経費削減に努めており、セグメント損失については抑えられました。
その結果、当連結会計年度の売上高は901百万円(前期比13.4%減)、セグメント損失は85百万円(前期は124百万円のセグメント損失)となりました。
(ホテル事業)
ホテル事業では、東京と沖縄で合計3棟のホテルを運営しております。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が繰り返し発出される中で、厳しい状況が続いております。感染防止策を徹底しながら経費削減に努めて回復を待っている状況にあり、地道な努力により前期と比較して売上高が増加し、セグメント損失が抑えられることとなりました。
その結果、当連結会計年度の売上高は196百万円(前期比8.8%増)、セグメント損失は273百万円(前期は306百万円のセグメント損失)となりました。
(その他事業)
その他事業では、フードコート運営事業、太陽光発電事業、当社の営業活動のネットワークを生かした関連商品の販売事業等を行っております。コロナ禍の影響で、連結子会社で製造販売している除菌水の売上は引き続き好調ですが、前期実績には及ばず、前期と比較して売上高は減少いたしました。しかしながら、フードコート運営事業において原価改善が進み、セグメント利益計上となりました。
その結果、当連結会計年度の売上高は322百万円(前期比3.9%減)、セグメント利益は5百万円(前期は19百万円のセグメント損失)となりました。
また、当社グループの財政状態の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ4,342百万円増加し、39,718百万円となりました。これは主に、販売用不動産の取得によるものです。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ3,257百万円増加し、21,425百万円となりました。借入金の増加によるものです。
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,085百万円増加し、18,292百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上によるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ485百万円増加し7,139百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は488百万円(前期は5,478百万円の資金の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益2,069百万円(前期は1,514百万円)と棚卸資産の取得による支出2,159百万円(前期は4,245百万円の収入)によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は987百万円(前期は1,370百万円の資金の使用)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出572百万円(前期は1,309百万円)によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、獲得した資金は1,952百万円(前期は3,367百万円の資金の使用)となりました。これは主に、借入金の純増加額2,245百万円(前期は3,124百万円の減少)によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績及び受注実績
当社グループは生産活動は行っておりませんので該当事項はありません。
ロ.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
ビルメンテナンス事業(千円) |
26,511,835 |
6.4 |
不動産事業(千円) |
2,532,841 |
△64.3 |
介護事業(千円) |
928,605 |
△10.2 |
フランチャイズ事業(千円) |
901,438 |
△13.4 |
ホテル事業(千円) |
196,815 |
8.8 |
報告セグメント計(千円) |
31,071,535 |
△9.3 |
その他(千円) |
322,058 |
△3.9 |
合計(千円) |
31,393,594 |
△9.3 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況の分析
経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する分析内容は次のとおりであります。
なお文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度の経営成績等は「経営成績等の状況の概要」に記載のとおりでありますが、2021年5月14日に公表した2022年3月期の連結業績予想値は2022年5月13日付「連結業績予想値と実績値の差異および個別業績の前期実績との差異に関するお知らせ」にて差異発生をお知らせしております。2021年5月14日の予想値と2022年3月期連結会計年度業績との比較では、売上高が-7.1%、営業利益が+1.0%、経常利益が+18.4%、親会社株主に帰属する当期純利益が+35.7%となっていますが、これは当連結会計年度において、単体で見込んでいた大口の販売用不動産売却が翌期以降にずれこんだこと、その他に発生した販売用不動産の利益率が高かったこと、各セグメントにおいてコロナ禍を織り込んだ事業活動が功を奏したこと等があり、利益面ではカバーしつつ、かつ、コロナ禍関連助成金や保有株式売却により利益増加もあったことから、差異が発生したものであります。中長期的な経営指標の目標数値と定めておりますROE(自己資本利益率)10%及び営業利益率10%につきましては、当連結会計年度のROEが7.6%、営業利益率が4.5%となり、それぞれ前連結会計年度からは向上したものの、未だ道半ばであります。2年を超えるコロナ禍や、ロシアによるウクライナ侵攻が世界規模で経済活動に大きな影響を及ぼすような環境下ではありますが、コロナ禍を機に転換してきた経済活動・産業構造やデジタル化社会に順応した事業展開を図ることにより、事業の集中と選択を含めた改善に取り組み中であります。今後ともROE及び営業利益率の更なる改善に取り組んでまいります。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況、2 事業等のリスク」をご参照下さい。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当面の運転資金や設備資金等は、自己資金及び主力3行を中心とした金融機関からの資金調達にて賄っております。取引金融機関へは事業計画を随時説明し理解を得ており、良好な関係を継続して構築しております。今後、事業展開の中で新規事業やM&A等を検討することもありますが、その場合の資金調達も原則として金融機関からの調達を中心とする所存であり、金融機関に対しての事業計画説明も随時実施しております。
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