文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。
当社は、「子供たちを元気にする塾」をコンセプトに「楽しくて、かつ力がつく」授業をモットーとしてきました。「生徒たちの健全な成長を学習面で応援し、生徒たちの学力向上を通して社会に貢献する」ことを基本理念としています。
これを実現するため、以下の6項目を経営の基本方針としています。
① 学習塾専業に徹し、経営資源を専門分野に集中的に投下する。
② スクールは、神奈川県内に集中して展開する。
③ 授業内容とシステムの高品質化を不断に追求する。
④ 県内公立トップ高校への進学実績No.1を堅持し、さらに難関国私立高校への合格実績を一層向上させる。
⑤ 公立高校生を中心にした地元現役高校生をサポートする大学受験STEPの発展を推進する。
⑥ 学童教室STEPキッズを通して、子供たちの安全で豊かな放課後ライフを実現する。
当社は経営の一つの目安として、原価比率70%前後、販管費比率10%前後の数字を念頭に、売上高営業利益率20%程度での継続を指標としています。学習塾という業態は人材集約産業的な側面が濃いため、社員一人あたりの売上高は決して多額とは言えません。「20%程度の営業利益率」は、この学習塾という業態の中で、継続的な成長を図りながら設備のリニューアル等にも積極的に取り組んでいくための目安としている数値です。
今後については、神奈川県において横浜市に次ぐ年少人口を抱えていながら未だ当社が本格的開校に着手したばかりの川崎市におけるネットワーク、そして横浜市の中でも鶴見区・中区・南区・金沢区等の東部地区・臨海地区・南部地区にスクールのネットワークを形成していくという課題があります。
開校余地が多く残っている横浜市と川崎市に戦略的に注力し、強力なスクールネットワークを中期的に形成していくために、横浜・川崎地区の公立進学校として評価の高い横浜翠嵐高校と多摩高校の合格者数をさらに伸ばし、当社がこの地域においても教務力で評価されるトップブランドとしてさらに強く認知されていく必要があります。
2023年の新年度、高校受験ステップについては、4スクールの新規開校を計画しています。うち2スクールは川崎市に、2スクールは横浜市に開校予定です。川崎市については、Hi-STEP武蔵小杉スクール(東急東横線武蔵小杉駅)、溝の口スクール(東急田園都市線溝の口駅)、横浜市では鶴見スクール(JR京浜東北線鶴見駅)、井土ヶ谷スクール(京浜急行線井土ヶ谷駅)の開校が決まっています。鶴見スクールは横浜市鶴見区で初の開校、井土ヶ谷スクールは横浜市南区で2校目(Hi-STEPを除くと初)の開校となります。いずれも当社のドミナント展開はまだこれからの地域での出発となりますが、「学習塾ステップ」のスタンスが地域に伝わり、それが生徒募集につながるよう、努力してまいります。
既存校舎においては、地域の信頼をさらに高め、充席率の向上を図っていきます。また満員により入会希望をお受けできていない校舎においては、クラス増設、増床、移転等の検討を引き続き進めていく予定です。
また、2023年春には、STEPキッズの4教室目となるSTEPキッズ白楽教室(東急東横線白楽駅)を開校する予定です。STEPキッズとして横浜市で初めての教室となります。白楽教室ではこれまでの3教室のノウハウを活かし、初年度から小1~小4の4学年募集とする予定です。
今年の8月30日、厚生労働省から2022年上半期(1月~6月)の出生数が公表されました。昨年同期と比べ、5.0%少ない38万4942人でした。この上半期の実績から2022年の年間出生者数は80万人を切ることが予想されています。コロナ禍の中で出生数の減少は加速しています。2019年は86万5239人だったものが、2020年84万835人、2021年が81万1622人、そして今年は80万人を切るとの予想です。
現在の中学3年生が誕生した2007年~2008年はおよそ109万人の出生数でしたから、これから15年後の中学3年生は現中3生よりもおよそ29万人、率にして26%以上の減少となることがほぼ確実です。人口の社会的流入が比較的多い神奈川県では、この出生数の減少割合がそのまま当てはまるわけではありませんが、減少の波は確実に到来します。当社は、この人口減の流れを的確に把握し、それに対応していく長期的方針が求められています。そこで踏まえておきたいのは、少子化が進むにつれ、「一人ひとりの子どもをより丁寧に大切に育てていこう」という保護者の志向が全般に高まっているということです。したがって今後ますます求められていくのは、一人ひとりに丁寧に対処できる、質の良い授業・質の良いシステムであり、低価格での薄利多売、粗製濫造的なシステムではありません。
そこで、当社の長期的方針の基本をここで改めて確認しておきます。
① 授業とシステムの質の向上を、不断に誠実に追求していく。
② 今後の校舎の展開は、県内でも人口増が続いている、あるいは社会的流入の多い川崎市や横浜市をメインにしていく。川崎市や横浜市は、ステップが早くから開校した藤沢市や大和市、茅ヶ崎市、相模原市等と比べ今後シェアを伸ばしていく余地が大きい。
③ 人口減が進む地域の校舎は、その規模を徐々に縮小していくが、指導の質は堅持していく。小ぶりだが、質の高い、そして収益性も健全な校舎として運営していく。校舎の規模縮小によって浮いた人員は、人口の多い地域の校舎に振り向ける。
④ 川崎・横浜地区でのネットワークの拡大により、今後とも校舎数は増加していくが、校舎単体の規模は抑え気味にしていく。15年後には、今よりも小ぶりだが、質の高い充実したスクール網を横浜・川崎を初め、全県に張りめぐらせている状況にしていきたい。
⑤ それと共に大学受験ステップの校舎を全県に広げ、県内のライブ授業を行う現役高校生の塾として不動のブランドにしていく。
⑥ 学童教室のネットワークの基盤をこれからの10年で強固なものにし、その後の拡大期に備えていく。
以上のような長期的スタンスを実現していくには、それを支えてくれる人材の継続的な獲得が不可欠です。新年度に向けた今年の採用活動は順調に進んでいますが、今後は今まで以上に採用活動に注力してまいります。
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