業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

国内の自動車関連業界の動向といたしましては、世界的な半導体不足をはじめとした部品調達難の影響で新車の減産が発生し、新車・中古車登録台数の減少を招く厳しい市場環境となりました。カー用品関連においては、新型コロナウイルス感染拡大による活動規制や外出自粛の影響を受けましたが、寒波や降雪により冬季用品の需要が高まりました。一方で、カーエレクトロニクス商品においては、半導体不足の影響を受け、販売の減少を余儀なくされました。

当社グループにつきましては、新型コロナウイルス感染拡大防止に努め、ご来店される地域の皆様、お取引先様、従事する従業員の健康と安全を最優先に、安心してご来店、就業できる環境整備に努めてまいりました。半導体不足や新型コロナウイルス感染拡大による影響がありましたが、戦略的な冬季需要の獲得や、お客様に寄り添った各セグメントの活動を通じ、業績の向上に努めました。

このような環境下、当社は、社会・クルマ・人の暮らしの変化をいち早く捉えて適応することで市場競争力の向上に努めております。当社グループが向かうべき方向性を示す「5ヵ年ローリングプラン」では、より成長の可能性の高い領域への集中に加え、持続的成長に向け、ネットワークおよび事業基盤の強化と事業の推進を図っております。

当社は、当連結会計年度より、事業内容をより適正に表示するため、従来の「ディーラー・BtoB・ネット事業」のセグメント名称を「ディーラー・BtoB・オンラインアライアンス事業」に変更しております。

この変更はセグメント名称の変更であり、セグメント情報に与える影響はありません。

 

① 連結損益状況

売上高、売上総利益

 当社グループの当連結会計年度における売上高は、2,285億86百万円(前年同期は2,204億49百万円)、売上総利益は771億50百万円(前年同期は732億88百万円)となりました。

 

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:百万円)

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

国内オートバックス事業

175,285

174,894

海外事業

9,625

10,763

ディーラー・BtoB・オンラインアライアンス事業

32,683

39,042

その他の事業

2,855

3,886

報告セグメント計

220,449

228,586

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

販売費及び一般管理費、営業利益

 販売費及び一般管理費は655億98百万円(前年同期は627億11百万円)、営業利益は115億52百万円(前年同期は105億77百万円)となりました。

 販売促進活動の増加により、販売費が増加いたしました。それ以外の要因といたしましては、国内でディーラー事業を運営する事業会社や車検・整備・タイヤ販売を行う事業会社の譲受により人件費や設備費が増加いたしました。

 

 

 

セグメント別の従業員の状況

(単位:人)

セグメントの名称

2021年3月期

2022年3月期

増減

国内オートバックス事業

2,835

(768)

2,842

(706)

7

(△62)

海外事業

563

(27)

548

(20)

△15

(△7)

ディーラー・BtoB・オンラインアライアンス事業

545

(19)

670

(22)

125

(3)

その他の事業

138

(7)

136

(3)

△2

(△4)

全社(共通)

198

(32)

192

(28)

△6

(△4)

合計

4,279

(853)

4,388

(779)

109

(△74)

(注)従業員数は就業人員であり、出向者は除いております。臨時雇用者数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しています。全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。

 

営業外収益、営業外費用、経常利益

営業外収益は、18億78百万円(前年同期は22億83百万円)となりました。営業外費用は、21億84百万円(前年同期は16億40百万円)となりました。

持分法適用会社について収益性の低下が認識されたため、のれん相当額の減損損失を「持分法による投資損失」として営業外費用に計上しております。

 この結果、経常利益は112億46百万円(前年同期は112億19百万円)となりました。

 

特別損失

 特別損失は固定資産の減損損失2億38百万円を計上いたしました。

 

法人税等合計

 法人税等合計は39億90百万円(前年同期は34億90百万円)となりました。

 

親会社株主に帰属する当期純利益

 親会社株主に帰属する当期純利益は、70億10百万円(前年同期は70億50百万円)となりました。

 

 なお、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」等を適用しており、対前年同期増減率は記載しておりませんが、当期の実績値と前期の実績値を単純比較した場合、売上高は前年同期比3.7%増加、売上総利益は前年同期比5.3%増加、販売費及び一般管理費は前年同期比4.6%増加、営業利益は前年同期比9.2%増加、経常利益は前年同期比0.2%増加、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比0.6%減少となります。

 

 

②セグメントごとの経営成績

 

当社グループ 報告セグメントの概要

0102010_003.png

 

セグメントごとの売上高、利益又は損失

(単位:百万円)

 

報告セグメント

調整額

連結財務諸表計上額

国内オートバックス

事業

海外事業

ディーラー・BtoB・オンラインアライアンス事業

その他の

事業

合計

売上高

 

 

 

 

 

 

 

 顧客との契約から生じる収益

173,167

10,763

39,042

3,267

226,241

226,241

 その他の収益

1,726

618

2,344

2,344

外部顧客への売上高

174,894

10,763

39,042

3,886

228,586

228,586

前期比(%)

セグメント間の内部

  売上高又は振替高

3,379

321

9,484

1,117

14,302

△ 14,302

178,274

11,084

48,527

5,003

242,889

△ 14,302

228,586

前期比(%)

セグメント利益又は

  損失(△)

20,343

△ 321

△ 339

△ 795

18,886

△ 7,333

11,552

前期比(%)

(注)「収益認識に関する会計基準」等を当連結会計年度の期首から適用しているため、前期比は記載しておりません。

 

 

国内オートバックス事業

 国内オートバックス事業は、新型コロナウイルス感染拡大などにより、上期は外出や帰省の自粛の影響を受けましたが、下期は寒波や降雪による冬季用品の需要拡大もあり好調に推移いたしました。その結果、当連結会計年度の売上高は、1,782億74百万円(前年同期は1,779億37百万円)となりました。売上総利益は、利益率の高い商品やサービスの構成比が高くなったことなどにより、 603億43百万円(前年同期は588億91百万円)となりました。販売費及び一般管理費は、400億円(前年同期は401億34百万円)となりました。この結果、セグメント利益は203億43百万円(前年同期は187億56百万円)となりました。

営業の状況といたしましては、当連結会計年度における国内のオートバックスチェン(フランチャイズチェン加盟法人店舗を含む)の全業態の売上高は、前年同期比で既存店が0.8%の増加、全店が1.0%の増加となりました。

 

国内オートバックスチェン売上高および客数(既存店前年比/月別)2021年4月~2022年3月

0102010_004.png

 

 国内オートバックスチェンでは、車は生活する上で重要なインフラであることから、お客様の安心・安全な車生活を守るため、お客様と従業員の接触機会を最小限にするなど、新型コロナウイルス感染拡大防止に最大限配慮し、営業をいたしました。

 上期は感染急拡大による外出や帰省の自粛の影響を受け客数が減少いたしましたが、下期は感染者の減少にともない売上・客数ともに回復傾向となり、12月以降は冬季用品を中心に売上が好調に推移いたしました。

 タイヤについては、外出自粛の影響を受けロングドライブを控える傾向もありましたが、10月以降は、品ぞろえや販売促進を強化したことなどにより、夏タイヤやオールシーズンタイヤが好調であったことに加え、寒波や降雪によるスタッドレスタイヤの需要を戦略的に獲得したことにより売上が増加いたしました。また、タイヤチェーンなどの冬季用品も好調に推移いたしました。

 カーエレクトロニクスについては、世界的な半導体不足の長期化により、新車の減産による需要減と商品供給に影響を受け売上が減少いたしました。

 プライベートブランドについては、「AQ.(オートバックスクオリティ.)」や、心躍るガレージライフを提案するブランド「GORDON MILLER(ゴードンミラー)」のラインアップを増やし、自信をもっておすすめできる価値ある商品の開発・販売を進めました。加えて、店舗におけるオペレーションの改善を進めるとともに、売場やピットなど、設備面のリノベーションも進めました。

 車検・整備については、お客様の利便性向上と接触機会低減の取り組みとして、WEBや電話による予約を推進したことに加え、公式アプリに車のメンテナンス時期を通知する新機能を追加いたしました。また、運転支援機能、自動運転機能が付いた先進安全自動車を整備するために設けられた制度である「自動車特定整備制度」への対応を進め、434店舗ある車検指定工場の全店が特定整備認証(電子制御装置整備)を取得いたしました。車検実施台数は前年同期比0.1%増加の約65万2千台となりました。

 車買取・販売は、新車の減産の影響を受けたものの、中古車の単価上昇や買取台数の増加を背景にオークションへの販売が好調に推移いたしました。これらにより、国内オートバックス事業における総販売台数は前年同期比1.3%増加の約2万9千8百台となりました。

 国内における出退店は、新規出店が4店舗あり、2022年3月末の店舗数は588店舗となりました。

 

 

国内オートバックス事業セグメントにおける商品別売上(連結調整後)

(単位:百万円)

 

2021年3月期

2022年3月期

増減

タイヤ・ホイール

45,147

50,155

5,008

カーエレクトロニクス

30,240

26,671

△3,568

オイル・バッテリー

15,077

15,487

409

アクセサリー・メンテナンス用品

43,806

42,674

△1,132

車検・サービス

19,809

16,806

△3,002

車買取・販売

10,023

10,718

694

その他

11,180

12,380

1,200

合計

175,285

174,894

△390

 

国内出退店実績

(単位:店)

 

2021年3月末

新店

退店

2022年3月末

オートバックス

490

4

494

スーパーオートバックス

74

74

オートバックスセコハン市場

6

6

オートバックスエクスプレス

11

11

オートバックスカーズ

3

3

国内計

584

4

588

 

国内店舗数の内訳

(単位:店)

 

2021年3月末

2022年3月末

直営

11

12

連結対象子会社

122

123

連結対象外法人※

451

453

合計

584

588

※関連会社を含む

 

海外事業

 海外事業における売上高は110億84百万円(前年同期は100億77百万円)、セグメント損失は3億21百万円(前年同期は1億72百万円のセグメント損失)となりました。

 

 小売・サービス事業については都市封鎖による休業や外出自粛の影響を受け売上が減少した一方、卸売事業については、新規取引先の開拓などにより売上が伸長いたしました。

フランスにおいては、感染拡大による外出規制と解除を繰り返し不安定な状況が続いたものの、売上は徐々に回復傾向となりました。シンガポールにおいては、特に9月以降の感染拡大が著しく、外出自粛や行動制限の影響を受け、売上が減少いたしました。マレーシアにおいては、オーソライズドディーラーとしての認定店を増加させたことなどにより、売上が増加いたしました。中国においては、中国国内の新規卸売先の獲得に苦戦したものの、中国国外への卸売の開拓を進め売上が増加いたしました。オーストラリアにおいては、一部地域でのロックダウンによる影響を受けましたが、カーエレクトロニクス商品や無線機が堅調だったことに加え、新たな卸売先の開拓や新規OEM商品の導入などの営業活動により売上が増加いたしました。

 

 海外における出退店は、タイのフランチャイズチェン加盟法人が16店舗を出店したことなどにより、新規出店が18店舗、退店が1店舗あり、合計62店舗となりました。

 

主要海外子会社の損益

(単位:百万円)

 

 

2021年3月期

2022年3月期

増減

フランス

売上高

5,784

6,395

610

営業利益

△183

△30

153

シンガポール

売上高

1,503

1,282

△221

営業利益

189

△31

△220

タイ※

売上高

329

△329

営業利益

△33

33

中国

売上高

778

1,021

243

営業利益

5

△49

△54

マレーシア

売上高

40

52

12

営業利益

△17

△14

3

オーストラリア

売上高

1,689

2,478

789

営業利益

74

130

56

※タイのSIAM AUTOBACS Co., Ltd.は、前連結会計年度に株式の一部売却とその後の株式の一部追加取得を行い、連結子会社から持分法適用関連会社に異動しております。

 

 

 

 

 

海外出退店実績

(単位:店)

 

2021年3月末

新店

退店

2022年3月末

フランス

10

10

シンガポール

2

2

タイ

17

16

33

台湾

6

1

△1

6

マレーシア

4

4

インドネシア

3

1

4

フィリピン

3

3

海外計

45

18

△1

62

 

海外店舗の内訳

(単位:店)

 

2021年3月期

2022年3月期

連結対象子会社

12

12

連結対象外法人※

33

50

※関連会社を含む

 

ディーラー・BtoB・オンラインアライアンス事業(旧:ディーラー・BtoB・ネット事業)

 ディーラー・BtoB・オンラインアライアンス事業における売上高は485億27百万円(前年同期は414億8百万円)、セグメント損失は3億39百万円(前年同期は2億87百万円のセグメント損失)となりました。

 

 ディーラー事業は、半導体不足による新車の減産の影響を受けたものの、営業活動の最適化などにより、前年同期を上回る収益となりました。また、2021年4月に当社の完全子会社である株式会社オートバックス・ディーラーグループ・ホールディングスが、栃木県および千葉県北部にてAudiの正規ディーラーを3拠点運営する株式会社TAインポートの全株式を取得(当社の孫会社化)し、株式会社バックス・アドバンスとして運営を開始いたしました。これにより、ディーラー事業は、BMW、MINIにAudiが加わり3ブランドとなりました。

 

ディーラーの運営会社と店舗数

(単位:店)

会社名

2021年3月末

2022年3月末

㈱アウトプラッツ

6

6

㈱モトーレン栃木

5

5

㈱バックス・アドバンス

3

 

 BtoB事業は、2021年4月に関東近郊で車検・整備・タイヤ販売を6拠点運営する株式会社ジョイフル車検・タイヤセンターの全株式を取得いたしました。その後、社名を株式会社BACS Bootsに変更し、店舗屋号をAUTO IN車検・タイヤセンターとして新たに運営を開始いたしました。また、2021年4月に日産自動車株式会社(以下、日産)と業務提携し、同社に供給した洗車用品などのカー用品が新車カタログに掲載されたことに加え、特別仕様車のアイテム開発を行いました。そのほか、法人のお客様に向けて、「オートバックス法人会員制度」を稼働いたしました。これまで営業所単位で都度精算していた社用車のメンテナンスやカー用品などの支払処理の手間を省き、法人で月締め一括払いが可能になりました。

 

 オンラインアライアンス事業(旧:ネット事業)は、ECサイトの品ぞろえを強化し、ナショナルブランドタイヤや日産NISMOブランド商品の取り扱いを開始いたしました。加えて、検索機能の拡張などのプラットフォームを整備することにより、お客様の利便性向上を図りました。また、飲酒運転の根絶を目指し、社用車を運転する前のドライバーの酒気帯び状態をチェックし、その情報をクラウド上で管理する法人向けサービス「ALCクラウド」を開始いたしました。そのほか、地方自治体との連携による地域活性化および地域課題の解決への取り組みなど、事業開発を推進いたしました。

 

 

その他の事業

 その他の事業における売上高は50億3百万円(前年同期は34億71百万円)、セグメント損失は7億95百万円(前年同期は5億18百万円のセグメント損失)となりました。

③財政状態に関する分析

a.連結貸借対照表の各項目の状況

流動資産

 流動資産は、前連結会計年度末に比べ26億60百万円減少し、1,079億17百万円となりました。主に仕入れリベートの増加により未収入金が増加した一方、現金及び預金が減少したことなどによるものです。

 

有形固定資産、無形固定資産

 有形固定資産は、前連結会計年度末に比べ31億81百万円増加し、452億68百万円となりました。主に土地を取得したことによるものです。

 無形固定資産は、前連結会計年度末に比べ17億93百万円増加し、89億51百万円となりました。主にソフトウエアを取得したことによるものです。

 

投資その他の資産

 投資その他の資産は、前連結会計年度末に比べ3億18百万円減少し、277億73百万円となりました。

 

流動負債

 流動負債は、前連結会計年度末に比べ2億18百万円増加し、467億95百万円となりました。主に銀行への返済により短期借入金が減少した一方、支払手形及び買掛金が増加したことなどによるものです。

 

固定負債

 固定負債は、前連結会計年度末に比べ27億19百万円増加し、202億23百万円となりました。主に銀行からの借入により長期借入金が増加したことによるものです。

 

純資産合計

 純資産合計は、前連結会計年度末に比べ9億41百万円減少し、1,228億92百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益による増加があった一方、自己株式の取得および利益剰余金の配当を行ったことなどによるものです。

 

セグメントごとの資産

(単位:百万円)

 

2021年3月末

2022年3月末

増減

国内オートバックス事業

94,293

107,721

13,428

海外事業

13,171

13,395

224

ディーラー・BtoB・オンラインアライアンス事業

19,797

21,924

2,127

その他の事業

26,963

29,289

2,325

全社(共通)

33,688

17,579

△16,109

総合計

187,914

189,910

1,996

 

資産合計/負債純資産合計

 資産合計、負債純資産合計は、前連結会計年度末に比べ19億96百万円増加し、1,899億10百万円となりました。

 

 

b.連結キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益が110億8百万円、仕入債務の増加による収入および長期借入による収入等があった一方で、有形及び無形固定資産の取得による支出、売上債権の増加による支出および法人税等の支払等により、前連結会計年度末に比べ141億52百万円減少し、247億51百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は57億12百万円(前年同期は171億63百万円の獲得)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益110億8百万円に対し、非資金損益項目等の調整を加減した営業取引による収入112億12百万円であり、支出の主な内訳は、法人税等の支払額55億65百万円等であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は77億10百万円(前年同期は60億85百万円の使用)となりました。収入の主な内訳は、差入保証金の回収による収入3億21百万円等であり、支出の主な内訳は、有形及び無形固定資産の取得による支出63億円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出10億78百万円等であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は123億円(前年同期は3億9百万円の使用)となりました。収入の主な内訳は、長期借入による収入32億6百万円等であり、支出の主な内訳は、短期借入金の返済(純額)53億56百万円、配当金の支払額47億34百万円および自己株式の取得による支出30億円等であります。

 

c.設備投資の状況

 当社グループでは、新規出店用地の購入や既存店舗の改装、次期店舗情報基盤の構築などの情報システム投資その他に対し総額63億円の設備投資を実施いたしました。

 

設備投資の主な内訳

(単位:百万円)

 

2021年3月期

2022年3月期

新規出店(リニューアル含む)

363

179

既存店改装・改修

645

470

土地

77

2,317

情報化投資

1,625

1,993

その他

1,284

1,338

合計

3,996

6,300

 

セグメント別設備投資額

(単位:百万円)

 

2021年3月期

2022年3月期

国内オートバックス事業

1,864

4,957

海外事業

192

218

ディーラー・BtoB・オンラインアライアンス事業

1,271

726

その他の事業

379

186

全社(共通)

287

211

合計

3,996

6,300

 

④資金調達の状況

 当連結会計年度において、グループ全体として運転資金需要等に対する借り換え等による資金調達を行いました。なお当連結会計年度末の短期借入金および長期借入金の残高が18億12百万円減少した主な要因は、運転資金の適正水準を考慮した借り換えによるものです。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 消費全般を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が長期化したことで、経済活動が停滞するなど厳しい状況が続いております。また、原油や原材料価格の高騰に加え、ウクライナ情勢も重なり、先行きの不透明感は一層強まっております。

 自動車関連市場におきましては、カーボンニュートラルの実現に向けたパワートレインの電動化などへの動きが

加速し、自動運転、運転支援機能に代表される先進安全技術の開発・普及が進んでおります。当社においては、それら次世代自動車の整備技術への対応も必須となってまいります。大きな変革期を迎える自動車業界においては、当社グループが強みとする国内の自動車用品市場(カーアフター市場)のみならず、自動車整備、車検、中古車販売などの領域をはじめとした業種・業態を越えた競争が激化していくものと考えられます。さらに自動車整備士の不足も課題として顕在化しております。

今後は、次世代自動車整備への対応に加え、シェアリングサービスやサブスクリプションなど、新たなサービスの急速な拡大とそれにともなうITプラットフォームの整備が求められます。さらに、同業他社やディーラー、ネット販売関連企業などの異業種との競争が激化するだけでなく、個人間売買といった取引形態の領域も拡大していきます。ほかにも、少子高齢化による顧客構成の変化、ニーズの多様化など、市場は今後も大きく、急速に変化するものと予想されます。

 

 当社は、このような外部環境の変化に加え、変化するお客様のニーズをとらえ、素早く対応できる体制を整えておかなければ勝ち残れないという考えから、2019年より時流に合わせて継続的に5年後の方向性および戦略の見直しを実施する「5ヵ年ローリングプラン」を策定しています。

 そして、「お客様の利用シーンに合わせ、お客様の求める商品やサービスを、スピード感を持って提供する」ことを目指す姿としローリングプランを実行しています。しかし、クルマの利用シーンを支えるすべての商品やサービスを、オートバックスグループだけで提供することはできません。

 そこで、それぞれの領域で強みを持つ事業者と連携することにより、ともに実現していくことを考えました。その「あらゆる事業者間の垣根を超えた連携」を「6つのネットワーク」と定義し、その確立によって連携を図るというのがローリングプランの根幹をなす考えです。当社は「目指す姿」を達成するため、「5ヵ年ローリングプラン」では、6つのネットワークの確立と連携、5つの事業基盤の整備、そして7つの事業の強化を進めています。

2022年3月期は、以下の「お客様との接点を増やす取り組み」「環境変化への能動的な対応」「人づくりのための取り組み」の方針を掲げ、重点的に推進してまいりました。

 

a.お客様との接点を増やす取り組み

 国内オートバックス事業はもちろん、他の事業においても、事業者との連携により、オートバックスチェンの店舗を利用されていない新たなお客様との接点を増やす取り組みも積極的に推進いたしました。オートバックス事業では、コロナ禍において、お客様の短い時間で大きな満足を得たいというニーズに応え、予約がスムーズに行えるためのアプリの開発をいたしました。加えて、次回のメンテナンスの時期をお知らせする機能を備え、双方向の関係も強化いたしました。また、不足する人員の課題を解決するために、DXを活用したさまざまな実証実験も進めています。オートバックス店内に設置したモニターを通し、遠隔で専門スタッフによるオンライン接客の実証実験では、手応えを感じており、今後は横展開を検討しております。

 他の事業においても、まだ接点のないお客様獲得に向け、さまざまな展開をいたしました。ディーラー事業においては、「BMW」「MINI」に続く3つ目のブランド展開として「Audi」正規ディーラーの運営を開始いたしました。

BtoB事業においては、日産自動車株式会社と業務提携し、カー用品、インテリアアイテムの企画・開発を行いました。これらは新車カタログへ掲載され、日産自動車のディーラーを通じお客様に提供されております。また、ホームセンターを中心に車検やタイヤ交換などを展開していた株式会社ジョイフル車検・タイヤセンターの全株式を取得し、AUTO IN車検・タイヤセンターとして運営を開始いたしました。今後も、さまざまな方法で、お客様とのタッチポイントを増やし、挑戦を続けていきたいと考えております。

 

 

b.環境変化への能動的な対応

 高度化する自動車整備において、次世代整備への対応は当社において喫緊の課題と考えております。オートバックスグループでは車検指定店舗434店が、特定整備認証の取得を完了いたしました。これにより、分解整備に加え先進安全自動車における電子制御装置整備の対象車両に対し、自動ブレーキやレーンキープ機能などの電子制御装置の整備を行うことができるようになります。今後は、オートバックスグループの普通認証店舗でも特定整備認証の取得を進め、将来的には、オートバックスグループ全店舗において特定整備認証の取得を目指します。

また、EV普及の推進として、小型商用EVのスタートアップ企業への出資や、Tesla Motors Japan合同会社(以下、TESLA社)との車検・点検に関わる純正部品供給契約の締結など、さまざまな取り組みを進めております。TESLA社との取り組みにつきましては、オートバックスグループの旗艦店舗であるA PITオートバックス東雲にて、車検・点検に係わる純正部品供給契約を締結することにより、2021年12月よりA PITオートバックス東雲へ純正部品の供給が開始され、これまで店舗だけでは完結できなかった、純正部品の交換をともなう車検および法定点検ができるようになりました。

当社は、今後も、カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向け、活性化しているEV市場へ早期に参入することにより、EV市場における競争力を高めていく取り組みを進めてまいります。

2021年1月からは、社長執行役員をリーダーとしてESG・SDGsの推進プロジェクトを組成・開始いたしました。「社会・環境への対応なくして、企業の持続的成長はない」という考えの下、ESG・SDGsの推進についてもスピードを上げて取り組んでいます。2022年3月期は、執行役員や部課長を中心に、全社として本プロジェクトを推進しており、非財務目標の設定に取り組みました。

 

c.人づくりのための取り組み

整備士人材の確保・育成に関しましては、当社としても喫緊の課題と捉えており、子会社である株式会社チェングロウスと連携しながら、整備士学校の新卒者や、有資格者の獲得を進め、グループとして採用活動を継続・拡大しています。加えて、整備士資格取得に向けた分教場を福岡や千葉に開設し、整備士を育成する場の提供も積極的に進めるとともに、ピットの労働環境改善として、ピットの一斉休憩取得や、効率的作業が可能なピット機器の最新化などにも取り組んでいます。また、カーエレクトロニクス関連商品の取り付け方などを経験のあるスタッフがオンラインで教育することで、多くのスタッフにOJT教育が実践できる取り組みも進めており、これらは高齢のスタッフでも、その貴重なノウハウの共有ができるとともに、長く働ける場の提供にもつながることから、本格的な導入にむけて検討を進めております。

また、カンパニー制を導入したことにより、経営者の育成やグループ内での人材交流を進めており、若手人材のモチベーションアップや人材の活性化を図ることができています。加えて、頑張る人を褒める活動として、お客様からの声をもとにスタッフを表彰する「オートバックスアワード」の開催や、スタッフ同士で褒め合う文化を醸成する「価値観表彰」につきましても、継続して取り組んでいます。

人づくりは企業の成長のために不可欠であり、今後も継続して注力してまいります。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③財政状態に関する分析 b.連結キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、カー用品を中心とした商品の購入費用およびシステム等の運営コストの支払等である一方、主にフランチャイズチェン加盟法人に対する卸売と個人を中心とした一般のお客様への小売を行っているため、仕入債務の支払よりも売上債権の回収が進む傾向にあります。従いまして、基本的には営業キャッシュ・フローで得られる資金に加え短期借入を、季節によって変動する運転資金需要と投資に充てております。昨今の急激な環境の変化にともない、手元流動性につきましては、成長に必要な重要な投資は厳選し積極化する一方、それ以外の投資については抑制することで確保してまいります。

また、投資収益管理の強化により事業ポートフォリオを精査し、事業別、子会社別の投資収益状況を管理しています。積極投資を推進する一方で、投資収益の低い事業については撤退を含め検討し、資産効率向上および連結ROEの改善を目指してまいります。

 株主還元に関しましては、当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要課題の一つと位置づけております。「5ヵ年ローリングプラン」の計画期間である5年間累計の総還元性向を100%として、安定的かつ機動的な株主還元を基本方針としています。自己株式の取得につきましては、キャッシュ・フローの状況等を総合的に勘案し、資本効率と株主利益の向上に向けて適切な時期に実施を検討してまいります。

 なお、当連結会計年度における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は、107億63百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は247億51百万円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益および費用の計上に際し、様々な見積りおよび判断を行っておりますが、実際の結果につきましては、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループが連結財務諸表で採用する重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)および(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

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