(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響が長期化する中、コロナワクチン接種の促進や社会全体での感染予防対策の効果により、経済活動のレベルを段階的に引き上げ、徐々に持ち直しの動きはあったものの、半導体等の供給不足や原材料価格の上昇の影響に加え、新たな変異株の発生による新型コロナウイルス感染症の再拡大やロシアによるウクライナへの侵攻をめぐる経済への影響懸念も生じ、景気の先行きは不透明な状況が続きました。
世界経済は、欧米先進国ではコロナワクチン接種の普及に伴い経済活動は回復傾向がみられたものの、原油、原材料価格、物流費の高騰や国内同様に新型コロナウイルス感染症の再拡大や半導体供給不足、ロシア・ウクライナ情勢による資源価格高騰や金融市場の動揺などから拡大ペースの鈍化が懸念される状況が続いており、今後の動向を注視していく必要があります。
ICT業界におきましては、「ニューノーマル(新常態)」を実現するうえでDX(デジタルトランスフォーメーション)への期待や需要は高まりつつあり、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などのデジタル技術の進化とともに、企業の生産性向上や業務効率化を目的としたシステムの更新、クラウドサービスやセキュリティ対策需要には底堅さがあるものの、先行き不透明な景況感の中で投資判断には慎重さが続きました。
このような経営環境のもと、当社グループは従業員参加による活性化委員会の活動を中心として経費の削減、原価低減に取り組むとともに、既存ビジネスの深耕と新しいソリューションならびにサービスの分野に積極的な受注拡大に努めました。
コンポーネント・デバイス・ソリューション分野では、世界的な半導体その他原材料の供給遅れによる顧客の生産計画の減少により、車載向け製品は減少しましたが、医療装置向けディスプレイや空調機器向け部品などの需要が増加し、売上高は増加となりました。
ICTソリューション・サービス分野では、長引く新型コロナウイルス感染症、原材料価格の高騰によるICT投資意欲の減退、半導体不足による一部の情報通信機器の納期遅延の影響がありましたが、医療機器向け組込み用コンピュータ商談、民需向け基幹システム商談が好調に推移し、売上高は増加となりました。
システムソリューション分野では、サーバ、パソコンの供給遅延による受注延伸、売上延伸の影響を受けましたが、ERP(統合基幹業務システム)ビジネスやネットワーク設備が堅調に受注でき、またサーバの仮想化、クラウドサービスとのハイブリッド化などの社会インフラ基盤構築商談、ICタグやタブレットを活用した製造業等のIoT商談も獲得でき、売上高は増加となりました。
フィールドサービス分野においては、保守サービスを軸にネットワーク構築・データセンター運用サービス、ICTのLCM(ライフ・サイクル・マネジメント)サービス等に取り組みましたが、コロナ禍での展開作業の中止や縮小などにより、売上高は減少となりました。
当社グループの当連結会計年度の業績につきましては、長引く新型コロナウイルス感染症や原材料費高騰などによる先行きの不透明感からユーザーのICT投資計画の見直しや半導体不足による一部の情報通信機器の納期遅延の影響がありましたが、電子デバイス、医療機器向け組込み用コンピュータ商談、民需向け基幹システム商談が増加し、売上高は227億1百万円(前年同期は221億12百万円)となりました。
損益面につきましては、売上構成の変化により原価率が上昇したことに加えて、前期に反して当期は年金資産の運用が改善したことによる退職給付費用の負担減の影響がなく、営業利益は7億15百万円(前年同期は12億46百万円)、経常利益は7億47百万円(前年同期は12億74百万円)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は4億64百万円(前年同期は8億3百万円)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
「首都圏」は、フィールドサービスが減収となりましたが、電子デバイス、パソコン・サーバ等の情報通信機器やシステムエンジニアリングサービスが増収となったことから、売上高は128億76百万円(前年同期は123億16百万円)となりました。
損益面につきましては、売上構成の変化により原価率が上昇し、営業利益は4億68百万円(前年同期は6億32百万円)となりました。
「東日本」は、自治体・文教商談が減少し、またコロナ禍の影響で病院・介護施設や宿泊施設向け商談も振るわず、サーバやパソコン等の情報通信機器、フィールドサービスが減収となったことから、売上高は52億2百万円(前年同期は54億36百万円)となりました。
損益面につきましては、売上高の減少とフィールドサービスの稼働低下により、営業利益は3億16百万円(前年同期は5億37百万円)となりました。
「西日本」は、システムエンジニアリングサービスやフィールドサービスが減収となりましたが、電子デバイスが増加し、基幹システムの更新商談や自治体・文教向け商談も堅調に獲得し情報通信機器が増収となったことから、売上高は45億9百万円(前年同期は42億55百万円)となりました。
損益面につきましては、売上構成の変化により原価率が上昇し、営業利益は1億61百万円(前年同期は2億30百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、10億97百万円増加し、76億58百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は、2億37百万円(前年同期は15百万円の増加)となりました。その主な要因は、法人税等の支払額3億86百万円、棚卸資産の増加額3億32百万円、未払消費税等の減少額1億70百万円などの資金の減少があった一方、税金等調整前当期純利益7億42百万円、売上債権の減少額1億71百万円、仕入債務の増加額1億24百万円などの資金の増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は、43百万円(前年同期は92百万円の減少)となりました。その主な要因は、有形固定資産の取得による支出27百万円などの資金の減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果増加した資金は、8億94百万円(前年同期は13億56百万円の増加)となりました。その主な要因は、長期借入金の返済による支出1億円などの資金の減少があった一方、短期借入金の純増加額1億38百万円、長期借入れによる収入9億円があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
首都圏(千円) |
3,082,741 |
94.7 |
東日本(千円) |
1,254,732 |
100.3 |
西日本(千円) |
879,146 |
103.0 |
報告セグメント計(千円) |
5,216,621 |
97.3 |
その他(千円) |
56,648 |
179.5 |
合計(千円) |
5,273,270 |
97.8 |
(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
首都圏(千円) |
7,978,234 |
118.9 |
東日本(千円) |
2,997,526 |
104.3 |
西日本(千円) |
2,724,615 |
109.4 |
報告セグメント計(千円) |
13,700,376 |
113.4 |
その他(千円) |
83,541 |
105.0 |
合計(千円) |
13,783,917 |
113.4 |
(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。
c.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高 (千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比 (%) |
首都圏 |
13,816,098 |
108.2 |
3,275,028 |
140.2 |
東日本 |
5,438,333 |
96.1 |
1,066,093 |
128.4 |
西日本 |
4,770,372 |
107.5 |
1,163,217 |
128.9 |
報告セグメント計 |
24,024,804 |
105.1 |
5,504,339 |
135.3 |
その他 |
112,872 |
109.2 |
- |
- |
合計 |
24,137,677 |
105.1 |
5,504,339 |
135.3 |
(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
首都圏(千円) |
12,876,518 |
104.5 |
東日本(千円) |
5,202,847 |
95.7 |
西日本(千円) |
4,509,620 |
106.0 |
報告セグメント計(千円) |
22,588,985 |
102.6 |
その他(千円) |
112,935 |
109.2 |
合計(千円) |
22,701,920 |
102.7 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
株式会社富士通エフサス |
3,379,165 |
15.3 |
1,410,178 |
6.2 |
富士通株式会社 |
855,295 |
3.9 |
2,989,800 |
13.2 |
PHC株式会社 |
2,273,615 |
10.3 |
2,875,393 |
12.7 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ、11億61百万円増加し、182億4百万円となりました。この主な要因は、受取手形及び売掛金が2億65百万円、繰延税金資産が44百万円、仕掛品が38百万円減少した一方、現金及び預金が10億97百万円、商品が3億71百万円、電子記録債権が95百万円増加したことによる流動資産の増加などによるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ、7億59百万円増加し、98億16百万円となりました。その主な要因は、未払法人税等が1億51百万円減少した一方、短期借入金が4億51百万円、長期借入金が5億円、支払手形及び買掛金が1億26百万円増加したことなどによるものであります。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ、4億2百万円増加し、83億87百万円となりました。その主な要因は、利益剰余金が4億21百万円増加したことによる純資産の増加によるものであります。以上の結果、自己資本比率は46.1%(前連結会計年度末は46.9%)と0.8%の減少となりました。
b.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高につきましては、「ニューノーマル(新常態)」への対応を体現しながら、従業員参加による活性化委員会の活動を中心として経費の削減、原価低減に取り組むとともに、既存ビジネスの深耕と新しいソリューションならびにサービスの分野に積極的な受注拡大に努め、「首都圏」での電子デバイス、パソコン・サーバ等の情報通信機器が増収、「西日本」での電子デバイスが増加し、基幹システムの更新商談や自治体・文教向け商談も堅調に獲得し情報通信機器が増収となりましたが、「東日本」での自治体・文教商談が減少し、またコロナ禍の影響で病院・介護施設や宿泊施設向け商談も振るわず、サーバやパソコン等の情報通信機器、フィールドサービスが減収もあり、売上高は227億1百万円(前年同期は221億12百万円)となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益につきましては、売上高は増加したものの、売上構成の変化により原価率が上昇したことにより、売上総利益は39億77百万円(前年同期は43億58百万円)、売上高総利益率は17.5%(前年同期は19.7%)となりました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益につきましては、売上構成の変化により原価率が上昇したことに加えて、前期に反して当期は年金資産の運用が改善したことによる退職給付費用の負担減の影響がなく、営業利益は7億15百万円(前年同期は12億46百万円)、売上高営業利益率は3.2%(前年同期は5.6%)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益につきましては、営業利益の減少により、経常利益は7億47百万円(前年同期は12億74百万円)、売上高経常利益率は3.3%(前年同期は5.8%)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、経常利益の減少により、親会社株主に帰属する当期純利益は4億64百万円(前年同期は8億3百万円)、売上高当期純利益率は2.0%(前年同期は3.6%)となりました。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大による、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」をご参照ください。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、自己資本比率の向上を目指しておりますが、事業規模の多様化などで事業資金の需要が多く、当面は銀行からの借入で充当する方針であります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、ソフトウェア制作費、販売費及び一般管理費などの営業費用であります。ソフトウェア制作費は制作にかかわるシステムエンジニアの人件費および外注費などで、売上原価に計上しています。また、保守業務に関わるカスタマエンジニアの人件費および外注費なども同様に売上原価に計上しています。営業費用の主なものは人件費及び旅費交通費などの販売費用であります。
当社グループの運転資金源泉のうち主なものは、売上債権の回収などの営業活動によるキャッシュ・フローおよび資金の借入等の財務活動によるキャッシュ・フローであります。当連結会計年度末における有利子負債の残高は前連結会計年度末に比べ9億51百万円増加し34億64百万円、現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ10億97百万円増加し76億58百万円となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
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