文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社企業集団が判断したものであります。
当連結会計年度における我が国経済は、前期に引き続き新型ウイルス感染症拡大の断続的な影響やそれに伴う行動制限の発出がありながらも、ワクチン接種が進展したことにより徐々に持ち直しに向けた動きが見られました。一方で、半導体不足による各産業への影響や原油など資源価格の高騰、急激な為替変動もあり、依然として不透明な状況で推移いたしました。また、2月後半には「ロシアによるウクライナ侵攻」という事案が発生し、世界規模で景気の先行きに対する不安が高まるに至りました。
ステンレス鋼業界におきましては、原料や副資材価格の上昇を背景にメーカー各社は値上げを継続的に実施しました。これを受け、流通マーケットにおいても市況は強含みの展開となり、ステンレス鋼市場は需給タイトな状況で推移しました。その結果、令和3年暦年のステンレス鋼生産量(熱間圧延鋼材ベース)は、前年比18.7%増の257.9万トンと前年を上回りました。
このような状況のなか、当社企業集団の連結業績は、主力事業であるステンレス鋼その他金属材料の販売事業において、引き続き在庫販売に重点をおいた営業活動を推進するとともに、加工品やチタンなど高付加価値商品の販売に注力した結果、売上高は45,524,473千円(前連結会計年度は49,379,392千円)となりました。利益面では、販売数量の増加やメーカー値上げに対応した販売価格の改定により売上総利益率が上昇し、営業利益は前連結会計年度に比べ4.7倍の2,121,708千円、経常利益は前連結会計年度に比べ4.5倍の2,252,127千円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ6.3倍の1,400,118千円となりました。
当社企業集団は、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。そのため、売上高についての前年比較数値を記載しておりません。なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の売上高及び売上原価は、それぞれ16,175,476千円減少しております。(この影響はステンレス鋼その他金属材料の販売事業に限定されます。)
UEX単体のステンレス鋼の販売について、前連結会計年度に比べ販売価格が8.6%上昇し、販売数量も14.6%増加したことに加え、連結子会社においても店売り販売や半導体関連向け販売が好調に推移したことにより、売上高は43,624,608千円(前連結会計年度は47,559,166千円)となりました。営業利益は仕入価格に対応した販売価格の改定に注力したことにより売上総利益率が上昇し前連結会計年度に比べ7.8倍の1,922,557千円を計上しました。
当事業におきましては、仕入価格の一段の上昇に対応した販売価格の改定が喫緊の課題であります。非価格面での価値ある流通機能の提供やサービスを高めることに注力するとともに、需要家に対し丁寧に説明をしてまいります。また、在庫販売に重点をおいた営業活動を継続するとともに、加工品分野を中心に付加価値を高める提案営業をさらに充実させてまいります。加えて、チタン販売及び建材の拡販にも注力してまいります。一方で、コストと収益性を重視した販売を進めていくことにより収益力の向上に取り組んでまいります。
国内建築分野のステンレス加工品販売事業及び中国における造管事業ともに堅調に推移し、売上高は前連結会計年度に比べ12.3%増加の1,174,645千円となりました。営業利益は、国内事業の増収効果に加え中国造管事業の売上総利益率が上昇したことにより、前連結会計年度に比べ23.4%増加の149,959千円を計上しました。
中国造管事業におきましては、引き続き新規需要家の開拓が課題と認識しております。既存顧客の深掘りに加え中国に進出している日系企業を中心に営業活動を展開し、確固たる収益基盤を構築してまいります。
化学及び食品関連向けの受注がありましたが、大型物件の工事が延期となったことにより売上高は前連結会計年度に比べ6.3%減少の725,220千円となりました。物件工事における購買費用の削減に努めたものの営業利益は前連結会計年度に比べ37.9%減少の47,901千円となりました。
当事業におきましては、顧客基盤の拡大が課題と認識しております。そのため、機械商社や機器メーカーとの連携強化等により顧客開拓に全力を尽くしてまいります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動により1,932,197千円の収入、投資活動により448,283千円の支出、財務活動により1,137,151千円の支出となりました。この結果、現金及び現金同等物は換算差額も含め466,445千円の増加となり、期末残高は前連結会計年度末に比べ9.4%増加し、5,418,768千円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加がありましたが、税金等調整前当期純利益の計上2,232,825千円、仕入債務の増加などにより、1,932,197千円の収入となりました。(前連結会計年度は1,218,638千円の収入)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び投資有価証券の取得による支出などにより、448,283千円の支出となりました。(前連結会計年度は439,729千円の支出)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出903,778千円などにより、1,137,151千円の支出となりました。(前連結会計年度は498,020千円の支出)
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しておりません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。そのため、ステンレス鋼その他金属材料の販売事業の販売実績についての前年比較数値を記載しておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社企業集団の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社企業集団が判断したものであります。
当連結会計年度における経営成績の状況の分析につきましては、本項目の「(業績等の概要)(1)業績」に記載しております。
当社企業集団はステンレス鋼の販売を事業の中核としており、ステンレス鋼価格の動向が当社企業集団の経営成績に重要な影響を与える要因であります。
ステンレス鋼価格は、国内外の需要動向や原料のニッケル及びフェロクロム価格の動向等により変動します。
①資産
資産合計は、電子記録債権等の売上債権の増加を主因に流動資産が増加し、前連結会計年度末に比べ6,225,328千円増加し、45,662,808千円となりました。
②負債
負債合計は、長期借入金の減少がありましたが、電子記録債務等の仕入債務及び未払法人税等の増加等により、前連結会計年度末に比べ4,619,419千円増加し、31,225,571千円となりました。
③純資産
純資産合計は、剰余金の配当88,156千円がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上1,400,118千円、その他有価証券評価差額金の増加等により、前連結会計年度末に比べ1,605,908千円増加し、14,437,237千円となりました。以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ0.8%減少し、30.3%となりました。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
(ステンレス鋼その他金属材料の販売事業)
当連結会計年度末におけるステンレス鋼その他金属材料の販売事業における資産は、前連結会計年度末に比べ6,051,538千円増加し、45,017,225千円となりました。
(ステンレス鋼その他金属加工製品の製造・販売事業)
当連結会計年度末におけるステンレス鋼その他金属加工製品の製造・販売事業における資産は、前連結会計年度末に比べ132,622千円増加し、1,073,745千円となりました。
(機械装置の製造・販売及びエンジニアリング事業)
当連結会計年度末における機械装置の製造・販売及びエンジニアリング事業における資産は、前連結会計年度末に比べ1,876千円増加し、472,165千円となりました。
①資金配分方針
資金配分方針については、適正な手許現金及び現金同等物の水準を定め、企業価値向上に資する資金の配分に努めており、それを超える部分については成長投資、株主還元等への原資と致します。株主還元については経営における重要課題の一つと考えており、連結配当性向30%の維持を目標としております。
②資金需要
毎期経常的な資金需要といたしまして、運転資金、設備投資、借入金の返済、配当等に資金を充当しております。
③資金の源泉
資金需要を満たすための資金は、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローを財源としますが、必要に応じて、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保及び財務の健全性・安定性を維持するため、銀行等から借入等を行う方針です。資金調達を行う際は、期間や国内外の市場金利動向等、また自己資本比率、DEレシオ(負債資本倍率)やROEといった財務指標への影響度等を総合的に勘案しながら、最適な資金調達を実施しております。
④キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、経営成績と同様、本項目の「(業績等の概要)(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フローが1,932,197千円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが448,283千円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが1,137,151千円の支出となった結果、当連結会計年度末は前連結会計年度末に比べ466,445千円増加し5,418,768千円となりました。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社企業集団の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
①繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。具体
的には、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対し
て評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタック
ス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計
上しております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連
結会計年度の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能
性があります。
②退職給付債務の算定
当社企業集団には、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連す
る勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数
理計算上の仮定には、割引率、年金資産の長期期待運用収益率等の様々な計算基礎があります。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)(9)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。
③のれんの評価
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に
記載しております。
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