文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社の社会的使命は『快適な食空間、心温まる接客、そして美味しい料理は人々を「幸せ」にします。私たちは、それらを高品質で提供しながら、低価格で実現する努力を行う事によって、より多くの人に「幸せ」を感じてもらう事を使命とします。』と定めています。そして、その使命を全うするために、『お客様から褒められる店を創ろう!』というわかりやすい言葉を経営理念としております。
お客様から褒められる店舗づくりを実現する為には、顧客ニーズをくみ取り、それに応えていく必要があり、そのためには従業員の「考える」「発言する」「行動する」「反省する」という主体性が不可欠です。当社は創業当時よりそうした「自奮自発の精神」を大切にし、従業員が自己成長することをサポートすることで、真のお客様サービスの追求と実践を行ってまいりました。今後もこの精神を伝承し、個人と会社の成長を促進してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社は前述の通り、美味しい料理を提供して、より多くの人に幸せを感じてもらいたいという社会的使命に基づき、「売上高」(増収)を目標とするとともに、原価率の適正な水準やコスト管理を重視する方針から、「売上高営業利益率」を重要な指標と捉え、8%を目標水準としております。
また、企業価値のさらなる向上を図るため、成長のための設備投資と人的資本への投資を推進するとともに、将来の事業展開のための内部留保の水準に留意しながら、安定的かつ持続的な配当による株主還元の向上に努めてまいる所存です。
当面の業績は新型コロナウイルスの感染拡大状況に左右されることが予想されますが、経営目標の達成に向けて最大限の努力を行ってまいります。
(3)会社の経営戦略・優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 食材価格・エネルギーコスト等の上昇と価格改定
当社では、餃子や麺の主要食材に国産を使用し、生産地との安定的な契約に基づく調達を行うことで、お客様に安心安全をお届けするだけでなく、食材価格の安定化に注力してまいりました。また、電気・ガスに関しましては、徹底した合理化や無駄の削減を行ってまいりました。
しかしながら、ここにきて、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢など先行きに対する不確実性が増しており、特に、食材や資源等の価格高騰は、企業収益を圧迫しつつあります。
そのため、当社は本年5月14日より、一部商品の価格改定をさせていただくことといたしました。当社グランドメニュー全体の約2割の商品の価格について税抜き20円から30円の改定をし、同時に、さらなる美味しさを追求したレシピの改良を行いました。
この度の価格改定とレシピの改良により、快適な食空間、心温まる接客、そしておいしい料理に磨きをかけ、より多くのお客様に幸せを感じていただくという当社の社会的使命を全うしてまいります。
本価格改定は2023年3月期の連結業績予想に織り込んでおり、価格改定による増収部分が食材原価や物流費等の上昇、及び人件費に充てられるだけでなく、業績向上に資するものと考えております。
② サステナビリティの取り組み
当社は「サステナビリティ基本方針」を、
『快適な食空間、心温まる接客、そして美味しい料理は人々を「幸せ」にします。私たちの社会的使命は、自社の事業を通じて、より多くの人に「幸せ」を感じてもらう事です。そして、自社の事業は、食材という自然の恵みや供給者の営みとともにあります。そのため、私たちの社会的使命はサステナビリティの追求と同義であり、私たちの経営理念である「お客様から褒められる店創り」は、サステナビリティへの取組みでもあります。当社は経営理念を追求することで、当社の企業価値の向上はもとより、持続可能な社会形成を目指します。』
と定めております。
また、「サステナビリティ基本方針」を具現化した「サステナビリティビジョン」では、「食に困らない豊かな社会の実現」「全てのステークホルダーとの共栄」「地球環境の保全」を掲げております。
特に、「全てのステークホルダーとの共栄」では、従業員満足度の向上を重視しており、毎年、専門業者による従業員満足度調査を実施しております。直近の従業員満足度調査によると、待遇や労働環境の改善とともに、「できない仕事ができるようになった時」や「お客様からお褒めの言葉をいただいた時」に働き甲斐を感じるとの結果が出ました。こうした働く喜びが起点となって、お客様を始めとした「全てのステークホルダーとの共栄」を実現できると考えることから、このような機会をたくさん与えられるように、人材育成等の人的資本への投資に最優先で取り組んでいくこととしております。
また、「食に困らない豊かな社会の実現」、「地球環境の保全」は、当社事業の根幹にかかわるテーマであり、以前より、地震や大雪などの被災地での食事支援を始めとした様々な社会貢献の取り組みや、KES(京都議定書の地である京都から発信された「環境マネジメントシステム」の規格)活動等を通じて、その一助となるべく注力してまいりました。将来に向けて、こうした問題がより深刻化し、リスクが増大している状況を受け、TCFD提言に沿った取り組みや「プラスチック資源循環促進法」への対応等、引き続き全社を挙げて着実に取り組んでまいります。
③ 人の技の向上とDXの推進
日本経済の長期にわたる低迷に、新型コロナウイルス感染症の流行や緊迫したウクライナ情勢の長期化が加わり、社会情勢はより混迷を深め、閉塞感が強まっております。こうした時に、明るい未来を創っていく最大の原動力となるのが「食」であり、今年の当社スローガンである「おいしい力が、未来を変える。」という信念のもと、改めて、「人の技の向上(匠の技を磨く)」に取り組むこととしました。
当社は、これまで多くの成果を生んだ人材育成を更に強化し、人にしかできない技を磨き、料理技術のさらなる向上を図ってまいります。今まで以上においしい料理を提供しつつ、創業時からのオープンキッチンでは、「気持ち」も「熱」も伝わり、人の「温かみ」が溢れ、来店されたお客様が他では味わえない幸福を感じる食体験を提供することを目指します。
その一方で、効率化すべきところは効率化する考えで、「デジタル技術の活用」による革新的な業務効率向上を、もう片方の課題と捉えています。
当社は、店舗、工場、本社、それぞれの組織がデジタル技術を用いた業務プロセスの見直しを行い、無駄を無くし、効率性、生産性を高めてまいります。デジタル技術を活用するにあたり、人が行わなくてもよいものは、徹底的に機械、或いはデジタル技術を活用し、人が創造的な仕事に集中出来る環境を構築することを目指します。
具体的事例として、売上予測に基づく店舗シフト管理、食材の自動発注、現金管理の自動化、工場でのIoTによる省力化、AIによる配送ルート編成の効率化、物流改革等があり、そのいくつかは既に導入し、実証段階に入っております。
当社は、このように「人にしか創り出せない価値」と「デジタル技術が創り出す価値」を融合させることにより、新たな価値を創造し、次なる発展を目指してまいります。
お知らせ