(1) 会社の経営の基本方針
「食」は人間にとって最も根源的な欲求に根ざしたもので、あらゆるビジネスの中でも永遠に続くテーマであります。近年、人々は健康や心の豊かさなどを「食」を通して求めるようになってきております。
当社は、「食」に携わる企業としていわゆる「食育」を実行し、健康的な子供達や家族全体に食の喜びを与えられるような企業でありたいと考えております。そのためにも、かつて母親が家族の健康を願い、愛情あふれた家庭料理を作る場であった「日本の台所」の役割を果たしていきたいと考えております。
当社は、企業理念として「人類の健康と心の豊かさに奉仕する」を掲げておりますが、店舗に来店されるお客様を家族と思い、愛情あふれる接客サービスや手作り料理の提供により、理念の具現化を図ってまいりたいと考えております。
具体的には、食材については産地とトレーサビリティ(食材の生産履歴)を明確にし、安全・安心、旬で健康的な食材を使用し、店舗には鮮度を保ちながら毎日配送する体制を構築しております。また、品質管理面では、食品衛生に関する2つの専門機関を設けて厳重なチェック体制を構築しております。例えば、「食品衛生研究所」においては、食の安全・安心確保のプロ集団として、ご提供する料理や店舗環境の衛生管理、並びに従業員の衛生教育など、外食企業として欠かすことのできない重要な機能を担っております。もう一つの「大庄総合科学新潟研究所」においては、店舗で使用する農産物・水産物などの食材全般について、独自の使用基準として「大庄基準」を定め、農薬残留分析や重金属・食品添加物、栽培履歴、あるいは放射能汚染チェックなどの安全確認を行い、お客様が安心して飲食して頂けるように日々厳格に検証を行っております。
店舗業態においてはいわゆる居酒屋ではなく、熟練調理人による手作り料理と高級感のある雰囲気やサービスを割安価格で提供する「大衆割烹」をコンセプトとして掲げており、「庄や」「大庄水産」ブランドを中心として日本全国に店舗展開しております。また、一方では最新のお客様の飲食ニーズを取り込み、高品質食材を使用した新しい「専門店」業態の開発にも積極的に取り組んでおります。
当社は、こうした食文化にこだわりをもち、社会貢献を果たしながら、営利企業として収益拡大を図り、企業価値の向上を目指す所存であります。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、「キャッシュ・フロー経営」を基本方針として、安定的な収益体制の確立と強固な財務基盤の構築を目指しております。また、収益性指標として、全ての面で最も重要となる「売上高営業利益率」を掲げており、中長期的には5%の達成を目標として経営革新を図ってまいります。
(3) 優先的に対処すべき経営課題
日本国内の新型コロナウイルスの感染状況につきましては、足許で再度拡大に転じており先行きが不透明な状況が続いております。外食業界におきましては、新型コロナウイルスの影響に加え、原材料価格の高騰に伴う物価上昇や光熱費の高騰等が続いていることもあり、当面は予断を許さない状況が続くことが予想されます。
このような状況の中、当社は、「利他の心」を持って誠実な店舗運営・業務運営に努め、日本の食文化と居酒屋文化の発展に貢献するという基本方針にこだわって、事業運営を行ってまいります。また、アフターコロナを見据え、各種施策に取組んでまいります。
具体的に対処すべき課題としては、以下の点を重視して実施してまいります。
①業態変更への取組み
アフターコロナにおける消費者ニーズや店舗利用形態の需要変化を見据え、新業態を含めた一定数の業態変更を推進してまいります。足許では、お母さんの愛情たっぷりの手づくり料理のような、素朴であたたかいお惣菜を中心に提供する新業態『たんと!キッチン』を11月22日に出店しております。また、店舗業態戦略として、高価格帯と低価格帯を棲み分け、それぞれ出店を推進してまいります。高価格帯では、藁焼きや新鮮な魚料理を提供する『お魚総本家』、低価格帯では、店舗規模が比較的小さく少人数グループで利用しやすい『満天酒場』など、足許の状況を見ながら各業態の出店を推進してまいります。
②グランドメニューの改定
主力業態である『庄や』において、2022年8月にグランドメニューの改定を実施しております。「刺身」「煮込み」「焼きとり」といった昔からの名物はそのままに、旬の食材を活かした、板前の技術が光る料理、酒場ならではのお酒に合う料理などのラインナップに刷新しております。その他の各業態においても、順次グランドメニューの改定に取り組んでまいります。メニューの改定においては、足許の原材料価格の高騰に対し、一部メニューでの適正な価格転嫁やポーション調整等により原価率上昇の抑制を図ってまいります。
③外販事業及びロジスティクス事業等の展開
経営環境の変化や将来的な事業展開なども鑑み、事業構成比の是正も踏まえた「事業ポートフォリオの見直し」に取組んでまいります。その中で、外販事業・ロジスティクス事業の展開を強化してまいります。
外販事業につきましては、当社物流センター『DS・Lヘッドクォーター羽田』を拠点とし、物流子会社ディ・エス物流等を実運送業者とする「第一種貨物利用運送事業」を強化し、「総合物流サービス」の展開により他社飲食店チェーン等を誘致してまいります。一方で、当社の調理人の技術を活かすため魚の加工場を新設しており、大手スーパー・量販店等への薄造りやフィーレ等の商品やお惣菜等の商品提供などの強化に取り組んでまいります。
また、当社オリジナル商品の物販・おせちの販売につきましては継続して取り組んでまいります。EC(オンライン)にて、Amazonの他、販売チャネルを拡大して販売を推進してまいります。
④デリバリー/テイクアウト事業
デリバリー・テイクアウト事業につきましては、一定以上の売上規模の確保を図り、取組みを継続してまいります。デリバリーにおける業態・メニューの厳選と見直し継続、ペットボトル飲料の追加導入、スマートフォンでのテイクアウト事前予約の適正運用など、利用者の利便性向上等で売上の獲得を図ってまいります。
⑤DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進
DXへの取組みにつきましては、攻め(集客・販売促進等)と守り(間接部門の業務効率化等)の両面で取り組んでまいります。
集客面の取組みにつきましては、デジタルマーケティングによる集客力強化に引き続き取り組んでまいります。各種SNSを活用し、各店舗における情報配信内容のさらなる充実を図ることで、来店客の囲い込みや新規のお客様の誘致を図ってまいります。また、『庄や』業態が2023年3月に50周年を迎えるにあたり、記念ドラマを制作し公式YouTubeチャンネルなどのSNS等を利用して公開しており、裾野を広げた集客を図っております。
また、本社・管理部門においては引き続き、AI・IoTなどのデジタル技術の活用やRPAによる省人化・コンパクト化を進めるとともに、物流センターにおいては食材等仕入・発注管理業務におけるEDIシステムの取引先との共有化を拡充するなど、業務効率化および経費の削減を図ってまいります。一方で、発注・勤怠管理等を含めた店舗システムのリプレイスを進めており、店舗における業務効率化を図っております。
⑥従業員のモチベーション向上施策
従業員のモチベーション向上施策の一環として、VC(ボランタリーチェーン)事業を推進してまいります。2022年8月期には、35店舗がVC店舗へ移行しており、今後も各店舗の運営状況や業績など各条件を精査し状況に応じて判断のうえ、推進してまいります。VC店舗に対しては事務代行や営業指導などのサポートを強化してまいります。また、能力のある人材の適正な評価と、組織の改編に合わせた適材適所の人材配置を図ってまいります。
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