事業等のリスク

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

当社グループは、リスク管理の基本方針および管理体制を「リスク管理規程」において定め、その基本方針および管理体制に基づき、全社横断的なリスク管理のため、執行役員社長をリスク管理の最高責任者とし、リスク管理担当執行役員を委員長とするリスク管理委員会で管理を行っております。また、リスクが顕在化した場合でも、経営への影響を最小限に食い止めるべく対応してまいります。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できない、または重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。

なお、文中における将来に関する事項の記載は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものです。

 

①精製糖への依存と精製糖消費量減少・農業政策等に関するもの

当社グループは、売上収益の約9割を砂糖その他食品事業によっており、その主力製品は精製糖です。そのため業績は、精製糖業界を取り巻く環境の変化を受けやすい構造にあります。精製糖業界は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」等の適用を受けており、政府の農業政策および国際経済協定の影響を受けます。また、国内の精製糖消費量は、減少傾向にあります。当社は政府の農業政策に関する情報に対し随時慎重に対応を進め、原価低減に努めるとともに、精製糖事業以外の事業領域へ進出し、精製糖事業への依存度を低下させてまいりますが、政府の農業政策の変更および精製糖消費量減少の進行は、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

②新規事業領域への進出に関するもの

当社グループは、既存事業において堅実にキャッシュ・フローを創出しつつ、成長への投資を行うことを通じ、変化する事業環境に対応し、ステークホルダーへの信頼に永続的に応えるよう努めております。しかし、投資には不確実性があることから、当社においては投資審査委員会、経営会議および取締役会において、慎重に審査を実施しておりますものの、事業環境の変化その他の理由により、所期の利益をあげられない可能性があり、その場合には固定資産、のれんまたは投資の減損損失の計上を行い、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③食品の安全に関するもの

当社グループは、豊かで快適な生活の実現のため、『食』と『健康』で貢献することを使命とし、食品の安全性向上のため品質保証体制を確立し、品質不良を発生させない仕組みを構築しております。しかし、特に近年の食品業界においては、食の安全に関わる問題が数多く発生しており、当社グループの取組みの想定を超える、予測できない原因により品質問題が発生するリスクは完全に排除できないため、製品不良による製品回収、損害賠償の発生、社会的評価の毀損等により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④医薬品の安全に関するもの

当社グループのツキオカフィルム製薬株式会社は、医薬品事業を営んでおり、製品の安全性には万全を期しておりますものの、何らかの原因で製品の安全性、品質および副作用に懸念が発生した場合、製品回収、損害賠償の発生、社会的評価の毀損等により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤原材料の高騰に関するもの

精製糖の原料である輸入粗糖やその製造過程で使用されるエネルギー・資材は、海外商品市況と為替相場の影響を受けて価格が変動します。製品の販売価格は、これらの市況に従って変動する傾向にありますが、昨今の地政学リスクの急激な高まりを背景とした価格競争、世界的な需給バランスの変動、投機的な相場変動による価格高騰等により、原材料価格の上昇の一部または全部を製品価格に転嫁できない状態が生じた場合、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥災害・感染症等に関するもの

当社グループは、災害や事故に備えたリスク管理を実施しております。従業員の安全・健康を経営の基盤ととらえ、法令を遵守し、安全で働きやすい環境を整えるべく活動を行うとともに、地震・台風等の災害に備えたBCP訓練を定期的に実施しております。しかし、電力・ガス・水等のライフラインに問題が生じた場合には、生産や物流機能に支障が生じ、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、大規模な感染症の蔓延による、砂糖その他食品事業における消費低迷や、サプライチェーンの混乱、健康産業事業における店舗の一時閉鎖や利用客減少による影響、ならびに従業員や取引先への感染等による事業活動全般への影響が、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦情報システムに関するもの

当社グループは、生産、販売、管理等の情報をコンピュータにより管理しております。情報セキュリティの確保としては、経済産業省のサイバーセキュリティ経営ガイドラインに沿って計画的に、サイバー攻撃に強いシステム導入を行うとともに、外部への社内情報の漏洩が生じないように施策を実施しています。しかし、当社グループの取組みの想定を超える事態が発生し、情報システムの障害により、外部へ社内情報が流出する事態が生じた場合、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧環境に関するもの

当社グループは、気候変動が当社グループの事業に与えるリスクおよび機会を考察し、その結果を用いて、グループ全体で地球環境への負荷を低減した事業活動を行います。しかし、環境対策の対応不足が生じた場合には、環境に配慮しない製品の排除などにより、当社グループの企業価値に影響を及ぼす可能性があります。

 

(気候変動への取組)

当社グループでは、サステナビリティの推進は経営品質の向上に繋がると考えており、国連SDGs(持続可能な開発目標)の目標年度である2030年における当社の「ありたい姿」を6つのCSR重点領域として定め、取り組んでいます。

その中で気候変動問題に対しては重点領域2「環境に配慮した事業プロセスの追求」として当社グループが注力すべき領域としており、その実践として、金融安定理事会の気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、「TCFD」という。)の提言に沿った適切な情報開示を行います。

今後も継続的にシナリオ分析を行い、気候変動が当社グループの事業に与えるリスクおよび機会を考察し、その結果を用いて、グループ全体で地球環境への負荷を低減した事業活動を行います。

 

[TCFD提言に基づく開示]

a.ガバナンス

当社では、社長直轄の「サステナビリティ推進委員会」を適宜開催し、気候変動を含めた環境全体の取組を全社的に検討・推進します。

サステナビリティ推進委員会では、気候変動に係る当社のリスクおよび収益機会が事業活動や収益等に与える影響について考察を行い、そのために必要なデータの収集と分析を全社横断的に行います。

また、気候変動を含む環境問題の基本方針や重要事項を策定し、それらを実践するための体制構築・整備、具体的な施策の審議・決定をするとともに、各種施策の進捗については定期的なモニタリングを行い、必要に応じて取締役会に報告します。

サステナビリティ推進委員会にて審議・検討した結果、当社経営に重大な影響を与えると判断された事項については、適宜取締役会にその内容を上程し、取締役会にて対応を審議・決議します。

社内体制図については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ②コーポレート・ガバナンスの体制の概要および当該体制を採用する理由 a.コーポレート・ガバナンスの体制の概要 コーポレート・ガバナンス体制の概要図(2022年6月28日現在)」に記載しています。

 

b.戦略

シナリオ分析

初年度のシナリオ分析として、当社を中心に4℃シナリオ、1.5℃シナリオ(一部2℃シナリオも併用)の2つのシナリオで、CSR全体像でも指標としている2030年時点を想定し、考察しました。

 

当社事業に想定されるリスク

分類

種類

項目

想定されるリスク

影響度

時期

4℃

1.5℃

移行リスク

政策・法規制

カーボンプライシングの導入

・炭素税をはじめとする気候変動問題対策による操業コストの増加

中期

温室効果ガス(GHG)排出規制の強化

・施設や設備等のGHG排出削減対応コストの増加

再エネ/省エネ政策の強化

・再生可能エネルギー価格の上昇や省エネ設備什器への更新コストの発生

技術

低炭素技術の進展

原材料(サトウキビ)がバイオエタノールに多く使用されることによる、原材料調達コストの変化

市場

エシカル消費への変化

サステナビリティ認証等、環境に配慮した商品を展開しない場合、環境負荷未対応商品の売上減や、他社製品への顧客流出が発生

評判

顧客および投資家からの評価

自社の気候変動への取り組みが不十分である場合、レピュテーションリスクが発生

物理リスク

急性

異常気象の激甚化
(台風、洪水、高潮、土砂等)

・サプライチェーンの寸断による一時的な操業停止

短期

・川沿い・海沿いに立地する工場が被災した場合、該当拠点の操業停止および復旧コストが発生

慢性

干ばつの発生や降雨量の変化

主要原材料(サトウキビ・てん菜)の生育不良や収量の低下

中期

時間軸

評価

短期:0~3年 中期:4~10年(2030年)

長期:11年~

事業活動に与える影響を「大」「中」「小」で評価。

 

4℃シナリオ

現状を上回る気候変動対策はとられず、産業革命時期比で2100年時点3.2~5.4℃上昇するとされているシナリオ。カーボンプライシングの導入はなく、再生可能エネルギーへの転換などは現状から特段大きく進展しないため、平均気温が上昇し、異常気象の激甚化などが顕著に表れる。

参考シナリオ:IEA Stated Policies Scenario

 

1.5℃シナリオ

現状、各国が発表している以上の気候変動に対する厳しい対策がとられ、カーボンニュートラル実現を目指した積極的な取組が進むとされているシナリオ。気候変動対策としての法規制は現行より非常に強まり、再生可能エネルギーへの転換が進むとされる。

参考シナリオ:IEA Net Zero Emissions by 2050(一部、Sustainable Development Scenarioも併用)

 

 

リスク軽減および事業機会とするための取組

リスク項目

対応の方向性

リスク軽減および事業機会とするための取組

カーボンプライシングの導入

脱炭素化の推進

・千葉工場における太陽光設備設置および設置運用を予定(2023年運用開始予定)
・今福工場にて運河と「はしけ」を使った原料輸送

・社用車のエコカー「ハイブリッド車」 97%導入(残り3%は該当車両のリース契約が満了となる2023年10月に切り替え予定)

・物流部門でリードタイムの見直しや共同配送によるトラック台数の削減を行い、物流を効率化

・今福工場・千葉工場における照明のLED化

・グループ会社の新光糖業にて、バガス(サトウキビの搾りかす)を活用した電力で工場設備を稼働

GHG排出規制の強化

再エネ/省エネ政策の強化

エシカル消費への変化

エシカル嗜好に対応する商品の使用と開発

・包材の薄肉化による廃棄物の削減

・一部製品の包材の印刷インキに水性・植物油・バイオマス系インキを使用し、石油原料使用量を削減

・一部製品の紙ロールにFSC認証紙を使用

顧客および投資家からの評価

環境情報の適切な開示

・TCFDのフレームワークに沿った情報開示
・気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative)への参加

異常気象の激甚化

防災・減災対策の強化

・今福工場や千葉物流センターなどの当社グループ各拠点にて、地震・台風・水害といったあらゆる自然災害を想定し対策を実施

原材料調達の安定化およびコスト

変化

分散型調達の強化

・オーストラリアやタイ、国内産など様々な産地の原料糖を使用して砂糖を製造。原料や資材の調達が滞ることがないよう調達先の複数化・分散化

 

c.リスク管理

当社グループでは、企業経営を取り巻く様々なリスクに対応するため、リスク管理の基本方針および管理体制を「リスク管理規程」において定めています。

また、全社横断的なリスク管理のため、執行役員社長をリスク管理の最高責任者とし、リスク管理担当執行役員を委員長とする「リスク管理委員会」を設置し、個々のリスクについての管理担当部を定め、同規程に則ったリスク管理体制を確立しています。

同管理体制においては、顕在化あるいは潜在しているリスクを各事業所から抽出・特定し、経営に与える影響度等を基準に評価、分類のうえ、リスクレベルに応じた対応を行い、リスクの発生を未然に防止し、万一発生した場合でも、経営への被害を最小限に食い止めるよう措置を講じています。

当社事業活動で想定されるリスクの中でも特に気候変動関連リスクについて、当社では原料であるサトウキビなどの自然資本を活用して、精製糖の製造・販売を行っているため、気候変動による原料調達の変化等、気候変動関連リスクは重要な問題であると認識しており、また、砂糖製造のサプライチェーンの中で「製造」と「物流」は環境負荷が高くなっているため、当社の事業活動が地球環境に与える影響があることを把握し、その影響を軽減することはサステナビリティの推進・向上に繋がると考えています。

気候変動関連リスクについては、当社リスク管理体制の下、経営に与える影響度やシナリオ分析等により評価、分類し、サステナビリティ推進委員会、コンプライアンス委員会、リスク管理委員会が有機的に連動し、経営上重要なリスクについては、取締役会で審議・決議します。

 

d.指標と目標

温室効果ガス(GHG)排出量

当社では、気候変動が経営に及ぼすリスクと機会等の影響を測定・管理するための指標として、温室効果ガス(GHG)排出量を指標としています。

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※本社・千葉地区・今福工場を対象に算定

 

削減目標:2024年度時点温室効果ガス(GHG)排出量を15,357t-CO2に

     (2024年度までに対2019年度比5%低減)

⇒CSR5カ年中期目標(2020年度~2024年度)にて掲げた上記目標に対し、2020年時点(15,368t-CO2)でほぼ達成しています。

当社では今後もバリューチェーンにおけるGHG排出量の継続的な削減を目指していきます。

 

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