業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種の浸透や各国政府の経済施策効果による世界経済の回復に伴う米国、中国向けを中心とした輸出の増加が景気回復を牽引し、一部の業界には依然弱さがみられるものの持ち直しの動きが続いております。しかし、依然として新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴う国内経済への影響が継続していることに加え、ウクライナ情勢悪化に伴う資源価格上昇の影響等もあり、先行き不透明な状況が続いております。

当社グループが属するセキュリティ業界においては、クラウドサービスやテレワークの活用による社会生活のデジタル化が進むことでインターネットの範囲が拡大し続けており、組織内部からの情報漏洩リスクに加えて、特定の企業や国家機関等の組織を狙った標的型攻撃等外部からのサイバー攻撃が多様化・高度化していることから、ますますセキュリティ対策の重要性が増しております。加えて、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化による影響を受けて、企業向け市場においては、テレワーク環境の整備とセキュアで効率的な業務運用を行うためのソフトウエア製品への需要が増加しております。また、公共向け市場においても、在宅学習を可能とするために、児童生徒に1人1台端末の環境整備を行う「GIGAスクール構想」に加え、自治体のセキュリティ対策強化も進められております。

 

このような状況の中、企業向け市場においては、テレワークの普及等によりWebサービスやメール環境のクラウド化が進んでいることを背景として、クラウドサービス系製品「i-FILTER@Cloud」、「m-FILTER@Cloud」を拡販し、クラウド環境においても、Webやメールを安心して利用できる世界を提供してまいりました。また、公共向け市場においては、「GIGAスクール構想」のニーズに合わせた「i-FILTER」の特別版を提供するとともに、「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」に準拠したサービスを無償提供する等のキャンペーンを継続し、学校向けの拡販に引き続き努めました。加えて、来年度より本格化する自治体向けのセキュリティ対策強化に対応したソリューションの提案に注力しました。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、企業向け市場および公共向け市場において、クラウドサービス系製品への需要が高まりました。従来からの主要製品であるライセンス販売系製品は、出荷時に契約高の大部分を一括で売上計上するのに対し、クラウドサービス系製品は、サービス提供期間を通じて月額按分で売上計上します。そのため、前期に引き続き、当期もクラウドサービス系製品の受注獲得が好調であったことから、翌期以降に繰り延べられる売上高が前期末から増加しております。

以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下の通りとなりました。

 

a.財政状態

(資産)

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて4,485百万円増加し、19,341百万円となりました。これは主として、現金及び預金が4,391百万円増加したことによるものであります。

(負債)

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて2,387百万円増加し、7,181百万円となりました。これは主として、受注した契約高の増加に伴い、前受金が2,313百万円増加したことによるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて2,097百万円増加し、12,159百万円となりました。これは主として、配当金の支払いによる減少を上回る親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加があったことによるものであります。

 

b.経営成績

当連結会計年度における 売上高は9,051百万円 ( 前期比132.6% )営業利益は4,126百万円(前期比138.6%)、経常利益は4,135百万円(前期比138.2%)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,900百万円(前期比140.8%)となりました。

 

連結経営成績の概況

(単位:百万円)

 

2021年3月

2022年3月

増減額

増減率

(%)

売上高

6,825

9,051

+2,226

+32.6

営業利益

2,977

4,126

+1,148

+38.6

経常利益

2,991

4,135

+1,143

+38.2

親会社株主に帰属する当期純利益

2,059

2,900

+841

+40.8

 

 

 

各市場の業績は次の通りです。

 

企業向け市場

企業向け市場においては、企業の運用管理負荷軽減とコスト低減を考慮した「i-FILTER」、「m-FILTER」のクラウドサービス系製品の受注が増加しました。また、PPAP(ファイルをパスワード付きZIPファイルにしてメールで送付し、パスワードを別送するファイルのやり取り)対策やEmotet等の標的型攻撃に対応した機能追加により「m-FILTER」を順調に拡販することができました。加えて、セキュリティコンサルティングサービスを提供している子会社デジタルアーツコンサルティングが、企業のサイバーセキュリティとDXにおけるコンサルティング需要の高まりを受けて、新規顧客の獲得を進め、売上高が増加しました。

 

 以上の結果、企業向け市場の売上高は、4,559百万円(前期比114.5%)となりました。

 

公共向け市場

公共向け市場において、当社は従来から国産セキュリティ対策メーカーとして高い認知とシェアを獲得しておりますが、「GIGAスクール構想」においても安心な自宅学習を可能にするその信頼性と機能性が評価され、前期に引き続き「i-FILTER」のクラウドサービス系製品が多くの学校において採用され、売上高が増加しました。また、官公庁・地方自治体の受注獲得が好調に推移し、「i-FILTER」、「m-FILTER」の売上高が増加しました。

 

以上の結果、公共向け市場の売上高は、4,046百万円(前期比168.0%)となりました。

 

 

家庭向け市場

家庭向け市場においては、携帯電話事業者やMVNO事業者等との連携、1つのシリアルIDで複数OSでの利用が可能な「i-フィルター for マルチデバイス」の販売に注力したことにより、利用者数が増加しました。

 

以上の結果、家庭向け市場の売上高は、444百万円(前期比102.8%)となりました。

 

当連結会計年度(2021年4月1日2022年3月31日)の売上高

 

企業向け市場

公共向け市場

家庭向け市場

合計

 

百万円

百万円

百万円

百万円

2022年3月

4,559

4,046

444

9,051

2021年3月

3,984

2,408

432

6,825

 

                                     (百万円未満切捨)

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて、4,391百万円増加し、15,773百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益4,136百万円及び減価償却費890百万円の計上等により、6,169百万円の収入(前連結会計年度は5,221百万円の収入)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得等により、978百万円の支出(前連結会計年度は830百万円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の処分による収入があったものの、配当金の支払等により、 810百万円の支出(前連結会計年度は671百万円の支出)となりました。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

  a.生産実績 

 

当連結会計年度
(自 2021年4月1日
 至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

企業向け市場   (百万円)

4,398

114.3

公共向け市場   (百万円)

4,007

167.8

家庭向け市場   (百万円)

444

102.3

 合 計  (百万円)

8,849

132.7

 

 (注) 1 金額は販売価格によっております。

  2 当社グループは、セキュリティ事業のみの単一セグメントであるため、セグメントに係る記載は省略しております。

 

  b.受注実績

当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

  

  c.販売実績 

 

当連結会計年度
(自 2021年4月1日
 至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

企業向け市場   (百万円)

4,559

114.5

公共向け市場   (百万円)

4,046

168.0

家庭向け市場   (百万円)

444

102.8

合 計  (百万円)

9,051

132.6

 

(注) 1 輸出販売高はありません。

 2 当社グループは、セキュリティ事業のみの単一セグメントであるため、セグメントに係る記載は省略しております。

   3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度
(自 2020年4月1日
 至 2021年3月31日)

当連結会計年度
(自 2021年4月1日
 至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

ダイワボウ情報システム

株式会社

1,409

23.2

2,045

22.6

SB C&S株式会社

1,287

21.2

1,541

17.0

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は以下の通りであります。

a.経営成績等の状況

(売上高)

当連結会計年度の売上高は9,051百万円となり、前連結会計年度と比較し2,226百万円増加(前期比132.6%)となりました。

これは、企業向け市場においてテレワークの普及が追い風となりi-FILTERシリーズの受注が増加したこと、公共向け市場において「GIGAスクール構想」におけるi-FILTERシリーズの受注が増加したこと、さらにデジタルアーツコンサルティング株式会社において新規顧客による売上が拡大したことが主要因です。

 

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度の売上原価は2,676百万円となり、前連結会計年度と比較し729百万円増加(前期比137.5%)となりました。また、売上総利益は6,374百万円となり、前連結会計年度と比較し1,496百万円増加(前期比130.7%)となりました。

当連結会計年度は、クラウドサービス系製品の拡販に伴うクラウドサーバー費用の増加、デジタルアーツコンサルティングのコンサルタント人員数の増強による労務費の増加等はあったものの、売上高の増加に伴い、売上総利益が増加いたしました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は2,248百万円となり、前連結会計年度と比較し347百万円増加(前期比118.3%)となりました。また、営業利益は4,126百万円となり、前連結会計年度と比較し1,148百万円の増加(前期比138.6%)となりました。

当連結会計年度は、売上増加に伴う社員の上期賞与支給額増加による人件費の増加等があったものの、売上高の増加に伴い、営業利益は増加いたしました。

 

(経常利益)

当連結会計年度は、為替差益6百万円等を営業外収益に計上したことにより、経常利益は4,135百万円(前期比138.2%)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、2,900百万円(前期比140.8%)となりました。

 

 

b. 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標についての分析

当連結会計年度における客観的な指標は以下の通りであります。

契約高成長率と売上高成長率との乖離は、主に当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴い、企業向け市場及び公共向け市場において、クラウドサービス系製品への需要が急激に高まったことによるものであります。

従来からの主要製品でありますライセンス販売系製品は、出荷時に契約高の大部分を一括で売上計上するのに対し、クラウドサービス系製品は、サービス提供期間を通じて月額按分で売上計上いたします。

当連結会計年度におきましては、前連結会計年度に「GIGAスクール構想」案件でクラウドサービス系製品の全契約高に占める割合が急増した反動により、契約高成長率はマイナスとなった一方で、前連結会計年度から繰り延べられる売上高が増加した影響等もあり、売上高成長率が大きくなっております。

 

 

前連結会計年度

( 自  2020年4月1日

 至  2021年3月31日 )

当連結会計年度

( 自  2021年4月1日

 至  2022年3月31日 )

契約高成長率        (%)

103.1

△19.7

売上高成長率        (%)

21.0

32.6

営業利益率         (%)

43.6

45.6

自己資本当期純利益率(ROE) (%)

22.0

26.2

 

 

c. 資本の財源及び資金の流動性についての分析

資本政策につきましては、企業価値の持続的な向上を目指し、成長分野に対して迅速に投資可能な水準の内部留保の充実と株主の皆様への利益還元を総合的に勘案し、実施していくことを基本方針としております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は15,773百万円となっているのに対して、有利子負債残高はございません。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、高付加価値なソリューションを提供するために必要な優秀人材の確保と育成に関する人件費等であります。内部留保については人材の確保と育成に対して優先的に充当し、既存事業の安定的・継続的な成長を持続すると共に、新しいニーズの発掘に積極的に取り組んでまいります。
 
d.経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

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