課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、経済・社会を支えるインフラを担う基幹産業として、顧客の競争力強化、情報社会の更なる発展に貢献していくことを使命と考えております。

 

 基本方針

 

「顧客第一主義」

 全ての判断基準はお客様にとっての価値とし、お客様の視点で思考することを基本と致します。

「重点主義」

 企業には人、モノ、金と時間の4つの要素があります。これらを最大限に活かすために、顧客第一主義により決定された最重要事項に経営資源を集約致します。

「総員営業主義」

 ユーザーオリエンテッドなサービスを提供するため、全社員が自立したビジネスパーソンとして社業発展に邁進致します。

 

 この基本方針のもと、社員一人ひとりが株主、顧客をはじめとするあらゆるステークホルダーと向かい合い、個人と組織のもつノウハウの全てを駆使して、更なる顧客満足を創出してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは≪VISION 2026≫を策定し、2021年~2023年度までの第1次中期経営計画において以下の三つの指標を重視し、目標設定しております。

・株主にとっての企業価値向上の観点からROE13%以上

・収益性を計る指標として連結営業利益率9.0%

・従業員一人ひとりのパフォーマンスを高めていきたいとの趣旨から、従業員(海外子会社の従業員は除く)一人当たりの連結売上高23,000千円

 

 当期における状況は、以下のとおりです。

 1点目の指標であるROEは13.8%となりました。引き続き、資本効率を高め利益率の向上を図ることでROE13%以上を達成してまいります。

 2点目の指標である連結営業利益率は8.8%、3点目の指標である従業員一人当たりの連結売上高および従業員一人当たりの連結営業利益は、それぞれ22,548千円、1,985千円となりました。今後は、業務の効率化と教育研修の充実を図り、生産性・収益性の向上に取り組んでまいります。

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(3)中長期経営ビジョン≪VISION 2026≫について

 当社グループは、2012年に2020年度までの中長期経営ビジョン≪VISION 2020≫を策定し、「強みの強化」「SIビジネスの立ち上げ」「サービスメニューの創出」の3つのテーマに段階的に取り組み、新たな成長領域への展開やビジネスモデルの変革、海外での事業拡大を推進してまいりました。

 この実績と昨今の事業環境の大きな変容を踏まえ、2021年度を初年度とする2026年度までの中長期経営ビジョン≪VISION 2026≫を策定し、その実現に向けて各施策に取り組んでまいります。

 ≪VISION 2026≫では、社員一人ひとりが、事業を通じて社会に貢献し、事業成長を果たすとともに企業価値の向上を目指してまいります。そのために、「企画型+受託型ビジネスで事業成長を果たす」「社員自らが志とビジネスマインドを持ち、自ら考え、行動する」をミッション・ステートメントとして邁進してまいります。

 事業の方向性としては、以下の3つのビジネスモデルを強化推進する方針と目標をそれぞれ立案し、事業成長を進めてまいります。

 

・エンハンスビジネス

 お客様のビジネス環境の変化や新たな技術の進化に合わせて、システムの性能や品質を向上させ、システムの価値を高めるサービスで、当社がもっとも強みとしてきたビジネスモデルです。これまでも進めてきた高生産性、高収益性の実現に向けた取り組みを一層加速してまいります。

 

・SIビジネス

 システムの企画から、設計、開発、導入までを行うサービスです。マルチクラウド・マイクロサービス案件を軸としたシステムの提供と新しい運用モデルへの変革をテーマにレガシー環境のクラウド環境への移行(Lift)と新たな方法論の確立(Shift)による、Lift&Shiftモデルを確立してまいります。

 

・デジタルビジネス

 デジタル技術を活用した当社発の企画型ビジネスです。当社のノウハウを結集したコンサルティングサービス、自社プロダクト、当社発のソリューション、IP(知的財産)化などのアプローチによって新たな事業創出を目指します。そしてDXを通じて、お客様のビジネス変革を支援いたします。

 

 最終年度にあたる2026年度に向けて、エンハンスビジネスで創出した利益を源泉にSIビジネス、デジタルビジネスでの領域を拡大し、売上高構成比6:3:1を目指してまいります。そのために、当社グループの成長戦略を2つのステップに分けて推進してまいります。

 まず、2021年度から2023年度までの第1次中期経営計画では、新たなビジネスへの変革の時期としてビジネス資産を形成するとともに、成長を盤石なものにするために制度設計、事業推進上の体制整備等に注力し、事業成長の基盤を確立いたします。第1次中期経営計画の最終年度にあたる2023年度は、売上高190億円、営業利益率9.0%、ROE13.0%以上を計画しております。

 2024年度から2026年度までの第2次中期経営計画では、第1次中期経営計画で確立された基盤を活かし、エンハ

ンスビジネスでの圧倒的な生産性による収益の確保を行うとともに、デジタルビジネスおよびSIビジネスでの飛躍

的な事業成長を狙ってまいります。

 

(4)対処すべき課題

 今日の日本経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチンや治療薬の開発が進み、経済社会活動の制限が緩和され景気回復へと向かう動きが見られたものの、ウクライナ情勢を契機とする急激な円安等、先行きは不透明かつ厳しい状況にあります。このような状況の中、業種・企業によっては機会と捉え積極的な投資や業態の変革により事業拡大を図る企業もあり二極化の傾向が依然として続いています。

 当社グループにおいては、中長期経営ビジョン≪VISION 2026≫の2年目を迎え、計画達成にあたり事業拡大、収益性の改善、人材価値の向上、品質向上、ガバナンス体制の強化、サステナビリティ経営の実践が課題と捉えております。

 

上記課題に対し、以下の取り組みを重点施策として実施してまいります。

 

 

①事業拡大と収益性の向上

 ICT投資では、データとデジタル技術(クラウド、AI、IoT等)を活用し、業務や企業運営のモデル自体を変革することで競争上の優位性を確立したり、生産性を向上したりする、「デジタルトランスフォーメーション」(以下、DX)への投資が依然として堅調です。

 当社においては、積極的な研究開発投資を行い、AIやブロックチェーン、クラウドサービス等の技術を強みに転化させ、新たなデジタル技術を有するパートナー企業との業務提携等により、サービスメニューの充実や事業化に向けた取り組みを推進してまいりました。

 また、これまでの強みと実績を基に、≪VISION 2026≫ではデジタルビジネス、SIビジネス、エンハンスビジネスの3つを事業の軸として推進し、収益性の高い領域の見極め、選択と集中を行うことで事業拡大と収益性の向上に努めてまいりました。今後においてもデジタルビジネスでは、システムコンサル事業や当社発の製品開発を目的に、DXビジネスの推進や、積極的に継続した技術投資を行ってまいります。SIビジネスにおいては、レガシー環境をクラウド環境に移行する(Lift)と新たな方法論を確立する(Shift)によるLift&Shiftモデルを確立します。マルチクラウド、マイクロサービスにおけるSIer/メーカーとの協業ビジネスの拡大、クラウドベンダーとの共創促進による特化技術の確立とエンドユーザービジネスの拡大を行ってまいります。エンハンスビジネスでは、これまでも進めてきた高生産性、高収益性の実現に向けた取り組みを一層加速してまいります。

 

②人材価値の向上

 エンジニアリングのスキルは当社グループの競争力強化、差別化に直結するため、システムエンジニアの継続的なスキルアップや社員の健康、働き方改革は重要な経営課題と捉えております。技術力強化に向けた研修プログラムの充実に加え、先進的な技術を取り入れたPJの推進等による成長機会の創出や、研究開発によるエンジニアリング力の向上に努めてまいります。

 また、事業展開を推し進める中核人材の育成に加え、女性社員の活躍推進やグローバルで活躍できる人材を育成するため、人員配置も含め社員が果敢にチャレンジできる機会を創出すると同時にフォロー・サポートのサイクルを確立し、実施してまいります。

 今期においては引き続き新卒・中途採用の強化を継続するとともに、人材価値の向上を目的に、キャリアフィールドの整備やスキルの可視化を行い、事業成長を推進する人材育成を立案し、実行してまいります。また、人材開発会議を通じて、当社のあるべき人材像への成長のスピードアップを図り、高付加価値サービスを担う人的リソースを確保いたします。

 

③品質向上の取り組み

 当社の主要サービスであるシステム開発業務では、予期せぬ不採算案件の発生による収益性の低下リスクが懸念されます。これを回避するためにシステム開発会議を設け、見積もり・提案時のみならず、重要度の高いプロジェクトに対しては、全社横断的に工程毎のプロジェクトの状況把握・確認、次工程判定等のプロセスを経て全社に影響を及ぼすプロジェクトリスクを共有し、対策を講じております。今後も継続的にプロセスの見直しや品質マネジメントシステムの改善により品質を確保し、顧客満足を向上することで不採算案件の低減に努めてまいります。

 

④ガバナンス体制の整備

 前述の重点施策の実施をはじめ、お客様に満足いただけるソリューション・サービスを提供し続けるために、公正かつ効率的な経営に取り組むべく、コーポレートガバナンスの充実を重要課題と捉えております。会社の意思決定や伝達プロセスが有効かつ効率的に機能する体制の構築に努め、適切・適正な監督・モニタリングと意思決定の適正化・迅速化を図ることで、経営の実効性を高めております。また、事業戦略、人事戦略、コンプライアンス、セキュリティといった経営リスクに対しての報告を強化し、対策について議論検討を進めてまいります。

 パンデミックや、その他災害への対策、地政学的リスク等を加味した事業継続プログラム(BCP)の改善も進めていくことで、持続可能な運営に努めてまいります。

 

⑤サステナビリティ経営

 当社グループは、社員一人ひとりが社会発展のために果たすべき義務や役割を理解し、事業や地域貢献などの活動を通じて企業価値向上と社会課題解決の双方の実現を目指しております。また、その基盤となる法令や企業倫理などのコンプライアンスを徹底し、社会や環境に負の影響を与えうる企業活動のリスク軽減に取り組んでおります。

 この方針に基づいて、これまで培ってきた強固な「財務資本」と多様な「非財務資本」を活用し、ビジョン実現に向けた事業活動を通じて持続的な社会の発展に貢献し、企業価値向上を図る仕組みを価値創造モデルとしています。

 さらに、社会課題の解決やSDGsの達成にあたっては、ステークホルダーとの対話によって、当社自らが課題を発見し解決策を直接提供する方式と、お客様への高付加価値サービスを通じて寄与する間接的な社会還元があります。いずれも、ステークホルダーの声を経営に活かしていくことで、価値創造モデルを循環させ、持続的な成長を実現します。

 当社グループは、これからもステークホルダーとの対話を通じ、ビジョンを実現するための成長戦略を描いてまいります。

 

 

(ご参考)

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