業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度において当社グループは、地域社会への貢献という経営理念に基づき、地方自治体や地域事業者のパートナーとして、広報やプロモーションを通じてサポートいたしました。また、官民協働による行政情報誌『わが街事典』の発行やデジタルサイネージ『わが街NAVI』の設置など、地方創生プラットフォーム構想により、様々な分野で地方創生支援事業に取り組んでまいりました。

その結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は対前期比9.1%増の141億71百万円と過去最高となりました。利益面におきましては、売上高の伸長もあり、営業利益は対前期比62.8%増の4億54百万円、経常利益は対前期比47.7%増の4億91百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、対前期比23.1%増の2億78百万円となりました。

また、個別決算の業績につきましては、第3四半期より、子会社株式会社サイネックス・ネットワークのeコマース事業を吸収分割により承継したこともあり、売上高は対前期比6.4%増の81億45百万円、営業利益は対前期比72.5%増の3億71百万円、経常利益は対前期比52.3%増の4億20百万円、当期純利益は対前期比62.4%増の2億69百万円となりました。

財政状態につきましては、当連結会計年度末における総資産は、145億17百万円となり、前連結会計年度末比6億91百万円の増加となりました。その主な要因は、現金及び預金の増加額5億15百万円、リース資産の増加額1億2百万円等によるものであります。負債は72億48百万円となり、前連結会計年度末比4億98百万円の増加となりました。その主な要因は、前受金の増加額1億70百万円、未払消費税等の増加額1億30百万円、リース債務の増加額(一年内返済予定のもの含む)の増加額1億12百万円等によるものであります。なお、純資産は72億68百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末比1.1ポイント下降し50.1%となりました。

セグメント別の状況は次のとおりであります。なお、第2四半期より、有限会社マルヤマ歯科商店(令和3年9月13日付にて株式会社マルヤマ歯科商店に商号変更)を連結子会社化してヘルスケア事業を開始したため、「ヘルスケア事業」を報告セグメントに追加しております。また、第1四半期より従前の「出版事業」は「メディア事業」に、「不動産事業」は「投資事業」に改称しております。

a.メディア事業

メディア事業におきまして、官民協働による行政情報誌『わが街事典』は、新規発行自治体の開発に努めるとともに、既存発行自治体との改訂版の発行に取り組み、埼玉県三郷市や岐阜県各務原市などで新たに発行するとともに、埼玉県越谷市や大阪府八尾市などで改訂版を発行するなど、当連結会計年度において、205の市区町村と共同発行した結果、当連結会計年度末における累計の共同発行自治体数は1,028、改訂版を含めた累計発行版数は2,155、累計発行部数は1億1,200万部となりました。また、地域の子育て支援のための子育て情報誌や、マイナンバーカード普及のためのマイナンバーカードQ&A集など、ジャンル別行政情報誌の発行に取り組むとともに、50音別電話帳『テレパル50』は、引き続き行政情報や特集企画を掲載した電話帳の発行を進めました。

以上の結果、メディア事業の外部顧客への売上高は、対前期比1.5%減の64億44百万円、セグメント利益は対前期比16.8%増の11億84百万円となりました。

b.ICTソリューション事業

ICTソリューション事業におきまして、まずデジタル・トランスフォーメーション(DX)を促進すべく、デジタルサイネージ『わが街NAVI』の設置や、CMS型ホームページリニューアル、AIチャットボット等の受託を進めました。

『わが街NAVI』は三重県松阪市など、当連結会計年度において44の自治体の庁舎に設置するとともに、イオンモール等の大型商業施設へも36地区設置と拡大いたしました。『わが街NAVI』は、自治体から地域情報やイベント情報などの提供を受けるとともに、本体費用および設置、放映にかかる費用は地域事業者からの広告収入により賄い、『わが街事典』と同様に官民協働事業として拡大しております。

また、住民の質問に対しAIが自動応答する「AIを活用した総合案内サービス」AIチャットボットは、富山県富山市より子育て支援AIチャットボット導入を受託し、累計の契約自治体数は82となりました。CMS型ホームページ再構築サービスにつきましては、石川県金沢市のホームページリニューアルなどを実施した結果、累計の契約自治体数は83となりました。

さらに、当連結会計年度においては、埼玉県や山梨県で自治体からの受託で、インバウンド向けWEB環境の整備・充実を目的とした観光DX事業として『Google マイビジネス』の拡大に取り組みました。

ふるさと納税支援事業も新たに埼玉県東松山市と契約を締結するなど、引き続き取り組みました。

新たな試みとしては、官民協働で構築するシティプロモーション特設サイトを、大分県宇佐市と令和4年2月より宇佐市公認準オフィシャルサイト『リアルタウンうさ』として開始いたしました。

eコマース事業は、『わが街とくさんネット』や『食彩ネット』等では引き続き、取扱商品点数を拡大しつつ、コロナ禍における巣ごもり需要を獲得してまいりました。

また、食品に特化して、特産品を持つ地方生産者やブランド品メーカー等のサプライヤーと、小ロットからでも取り扱う多数のバイヤーとを結びつけるマーケットプレイス型サービス『シイレル』を開始いたしました。

前期に子会社化したシステム開発を営む株式会社ベックの業績も通期で寄与し、以上の結果、外部顧客への売上高は、対前期比14.8%増の23億95百万円となり、セグメント利益は、対前期比427.8%増の1億91百万円となりました。

c.ロジスティクス事業

ロジスティクス事業におきまして、DMソリューション事業は、新規の代理店獲得や既存顧客の取引拡大に努め、ポスティング事業も既存顧客との紐帯強化に努めた結果、外部顧客への売上高は対前期比5.6%増の45億57百万円、セグメント利益は販路拡大のためのコスト増により、対前期比46.4%減の45百万円となりました。

d.ヘルスケア事業

ヘルスケア事業におきまして、歯科医師向けの歯科医療機械器具・歯科材料の販売に努め、外部顧客への売上高は7億円(前期の売上高はなし)、セグメント利益は28百万円(前期は1百万円のセグメント損失)となりました。

e.投資事業

投資事業におきまして、当社の不動産賃貸収入による外部顧客への売上高は、当連結会計年度より新本社ビルのテナント賃貸事業を開始したこともあり、対前期比89.0%増の73百万円、セグメント利益は対前期比103.5%増の46百万円となりました。

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、投資有価証券の取得による支出8億80百万円、定期預金の預入による支出8億36百万円、有形固定資産の取得による支出1億32百万円、法人税等の支払額又は還付額1億16百万円、

連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1億15百万円、長期借入金の返済による支出94百万円等により一部相殺されたものの、定期預金の払戻による収入7億71百万円、投資有価証券の償還による収入6億50百万円、税金等調整前当期純利益が4億87百万円(対前期比27.6%増)得られたこと、減価償却費2億7百万円、投資有価証券の売却による収入1億98百万円、営業活動によるキャッシュ・フローのその他1億37百万円、前受金の増加額1億12百万円等により、前連結会計年度末に比べ3億98百万円増加し、当連結会計年度末には42億66百万円となりました。
 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動の結果得られた資金は8億62百万円(対前期比398.8%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益4億87百万円、減価償却費2億7百万円、その他1億37百万円、前受金の増加額1億12百万円等の収入に対し、法人税等の支払額又は還付額1億16百万円等の支出によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動の結果使用した資金は2億87百万円(対前期比80.0%増)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出8億80百万円、定期預金の預入による支出8億36百万円等に対し、定期預金の払戻による収入7億71百万円、投資有価証券の償還による収入6億50百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動の結果使用した資金は1億76百万円(前期は31億31百万円の収入)となりました。これは、主に長期借入の返済による支出94百万円、配当金の支払額68百万円等によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産及び仕入実績

 当連結会計年度の生産及び仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 令和3年4月1日

至 令和4年3月31日)

前期比(%)

メディア事業(千円)

1,334,910

93.6

ICTソリューション事業(千円)

1,594,589

105.9

ロジスティクス事業(千円)

4,463,288

106.0

ヘルスケア事業(千円)

607,378

投資事業(千円)

26,853

166.6

合計(千円)

8,027,020

112.2

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 令和3年4月1日

至 令和4年3月31日)

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

メディア事業

6,204,681

98.5

761,389

76.0

ICTソリューション事業

3,161,152

152.8

1,152,514

381.0

ロジスティクス事業

4,557,333

105.6

ヘルスケア事業

700,407

投資事業

73,398

189.0

合計

14,696,972

115.5

1,913,903

146.7

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 令和3年4月1日

至 令和4年3月31日)

前期比(%)

メディア事業(千円)

6,444,944

98.5

ICTソリューション事業(千円)

2,395,862

114.8

ロジスティクス事業(千円)

4,557,333

105.6

ヘルスケア事業(千円)

700,407

投資事業(千円)

73,398

189.0

合計(千円)

14,171,946

109.1

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.販売実績が総販売実績の10%以上の相手先はありません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.当連結会計年度の経営成績の分析

 当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高が141億71百万円(対前期比9.1%増)、営業利益は4億54百万円(対前期比62.8%増)、経常利益は4億91百万円(対前期比47.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億78百万円(対前期比23.1%増)と、前連結会計年度に比べ増収増益となっております。

(売上高の変動要因)

 売上高は対前期比9.1%増の141億71百万円となりました。主に株式会社マルヤマ歯科商店の子会社化による影響が大きいですが、ICTソリューション事業でデジタルトランスフォーメーションへの取り組みを加速した影響や、ロジスティクス事業において、既存顧客の取引拡大、新規販路の獲得等に努めた結果によるものであります。

(営業利益の変動要因)

 販売費及び一般管理費は、対前期比3.2%増の56億80百万円となりました。

主として、売上増の影響によるものであります。

 売上高及び営業利益の詳細及びセグメント別状況につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

(経常利益の変動要因)

 営業外収益は対前期比35.7%増の92百万円、営業外費用は対前期比285.7%増の55百万円となりました。営業外収益の増加は主に、為替差益や投資有価証券売却益の影響によるものであります。営業外費用の増加は主に、複合金融商品評価損の影響によるものであります。

(親会社株主に帰属する当期純利益の変動要因)

 特別利益は対前期比99.1%減の0.4百万円、特別損失は対前期比37.6%減の4百万円となりました。特別利益の減少は主に、前連結会計年度は連結子会社株式会社バズグラフの売却等があったためです。特別損失の減少は主に、前連結会計年度に比べ減損損失が比較的少額に留まったためです。

 

b.当連結会計年度の財政状態の分析

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比6億91百万円の増加となり、145億17百万円となりました。その主な要因は、現金及び預金の増加額5億15百万円、リース資産の増加額1億2百万円等によるものであります。

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末比4億98百万円の増加となり、72億48百万円となりました。その主な要因は、前受金の増加額1億70百万円、未払消費税等の増加額1億30百万円、リース債務の増加額1億12百万円(一年内返済予定のもの含む)、未払法人税等の増加額90百万円等によるものであります。

 なお、純資産は72億68百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末比1.1ポイント下降し、50.1%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析は、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

 

b.資本の財源および資金の流動性についての分析

イ.資金需要

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための材料費および外注費などの売上原価、給与および賞与、交通費、賃借料などの販売費及び一般管理費の営業費用および法人税等の支払いによるものであります。

 設備投資資金につきましては、生産能力の拡大と効率化をはかるため、生産設備と業務管理システムの更新を、キャッシュ・フローの動向を考慮しながら、継続的におこなっていく予定であります。

 戦略投資資金につきましては、機動的、タイムリーに実施するために手元流動性を重視し、且つ、金融機関からの調達も視野に入れた財務政策を採っております。

 機動的な資本政策として自己株式を取得することがあり、当該取得に係る資金需要が発生する可能性があります。

 

ロ.財政政策

 当社グループの資金状況は、運転資金、設備投資資金、戦略投資資金等の必要資金を主に事業利益から得られる内部留保資金または借入金により調達することとしております。このうち、借入金による資金調達については、短期借入金であり、未行使の借入枠利用により調達することが一般的であります。令和4年3月31日現在、短期借入金の残高は50百万円であります。
 令和4年3月31日現在、長期借入金の残高35億87百万円であります(一年内返済予定のもの含む)。これは、前連結会計年度において、新本社ビル建設資金及び新型コロナウイルス感染症拡大による影響に備えた手元流動性確保のため、金融機関から調達したものであります。

 当社グループは、その健全な財政状態、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力および未行使の借入枠により、当社グループの成長を維持するため将来必要な運転資金、設備投資資金、戦略投資資金を調達することが可能と考えております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積り及び仮定については、連結財務諸表 注記事項(追加情報)に記載のとおり、営業自粛や移動の制限がなされることにより、取引先である自治体や事業主の活動に遅れや縮小が生じる可能性があります。そのため、当社グループでは、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性などの判断にあたり、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、翌連結会計年度にかけて徐々に回復していくものの業績への影響が一定程度継続すると仮定して見積もっております。

 

④今後の見通し等について

 今後の見通しにつきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源等につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画(1)重要な設備の新設、拡充、改修」に記載のとおりであります。

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