業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの第7波により感染者数が高止まりする一方で、ウィズ・コロナ下での日常生活を取り戻すために、積み上がった家計貯蓄の消費喚起や行楽シーズンにおける行動制限の撤廃等も見られたものの、先の見えないロシアによるウクライナ侵攻長期化による資源価格の高騰が収束しないことに加え、日米間の金融政策の大きな乖離から来る急速な円安ドル高が四半世紀振りの水準にまで進み、エネルギー価格を筆頭に生活関連コストの上昇が消費意欲を減衰させる方向に働きました。

 

このような環境のもと、100円ショップ「Watts(ワッツ)」「Watts with(ワッツ ウィズ)」「meets.(ミーツ)」「silk(シルク)」等を展開する当社グループは、収益源の多角化を図るべく、国内100円ショップ事業だけではなく、ファッション雑貨店やディスカウントショップの運営等の国内その他事業、並びに海外事業にも取り組んでおります。

 

国内100円ショップ事業につきましては、2021年9月1日にオンラインショップをリニューアルし、掲載商品数を約10倍の1万アイテム以上へと大幅に拡充した他、「Buona Vita(ブォーナ・ビィータ)」、「Tokino:ne(ときのね)」商品の取扱いも開始いたしました。また、精算業務の効率化による生産性向上等を目的にキャッシュレス専用のセルフPOSレジ導入を進めるとともに、既存店舗のブラッシュアップを図るため、ハンドメイド関連コーナーの導入やリニューアルを順次行っております。

出店状況につきましては、通期計画の230店舗に対して193店舗の出店を行いました。また、2021年10月1日付で100円ショップ「FLET'S」等を145店舗(うちFC5店舗)運営する㈱音通エフ・リテールの全株式を取得し子会社化いたしました。一方で不採算店舗の整理や母店閉鎖等による退店が61店舗(うちFC5店舗)あり、当連結会計年度末店舗数は、直営が1,618店舗(277店舗純増)、FCその他が23店舗(増減なし)の計1,641店舗となりました。また、Wattsブランド店舗である「Watts」「Watts with」については、1,029店舗(204店舗純増)と全体の6割へ拡大いたしました。

 

 

国内その他事業につきましては、心地よい生活を提案する雑貨店「Buona Vita」は当社100円ショップにおしゃれ感を補完し、事業間でのシナジー強化を目的として、100円ショップ内への委託型の出店を行っており、23店舗(2店舗増)となりました。時間をテーマにしたおうち雑貨店「Tokino:ne」は、3月にイオン海浜幕張店を出店し、2店舗となりました。生鮮スーパーとのコラボである「バリュー100」は1店舗(増減なし)、ディスカウントショップ「リアル」は6店舗(増減なし)となっております。

 

海外事業につきましては、東南アジアを中心とした均一ショップ「KOMONOYA(こものや)」は、タイで37店舗(4店舗減)、ペルーで14店舗(5店舗減)となりました。また、マレーシアで2店舗、ベトナムで3店舗それぞれ退店いたしました。中国での均一ショップ「小物家園(こものかえん)」は、4店舗(増減なし)となっており、自社屋号の「KOMONOYA」「小物家園」の店舗数は55店舗(14店舗減)となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ4,259百万円増加し、25,600百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ3,550百万円増加し、13,669百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ708百万円増加し、11,931百万円となりました。

 

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は18,561百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,511百万円増加いたしました。これは商品及び製品が1,302百万円、受取手形及び売掛金が536百万円、現金及び預金が518百万円それぞれ増加したことなどによるものであります。

固定資産は7,039百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,747百万円増加いたしました。これは㈱音通エフ・リテール及び㈱ニッパンの取得に伴いのれんが526百万円増加したことに加え、差入保証金が475百万円、建物及び構築物が314百万円、工具、器具及び備品が275百万円、繰延税金資産が130百万円それぞれ増加したことなどによるものであります。

この結果、総資産は25,600百万円となり、前連結会計年度末に比べて4,259百万円増加いたしました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は9,932百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,312百万円増加いたしました。これは支払手形及び買掛金が825百万円、電子記録債務が655百万円それぞれ増加した一方、未払法人税等が271百万円減少したことなどによるものであります。

固定負債は3,736百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,238百万円増加いたしました。これは長期借入金が1,915百万円、資産除去債務が222百万円それぞれ増加したことなどによるものであります。

この結果、負債合計は13,669百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,550百万円増加いたしました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は11,931百万円となり、前連結会計年度末に比べ708百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金が485百万円増加したことに加え、自己株式の消却及び譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分により自己株式が139百万円減少したことなどによるものであります。

この結果、自己資本比率は46.6%(前連結会計年度末は52.6%)となりました。

 

 

b.経営成績

100円ショップ事業を営む㈱音通エフ・リテール及び㈱ニッパンを子会社化したことで、当連結会計年度の売上高は58,347百万円(前期比15.1%増、計画比100.6%)と増加いたしました。

100円ショップ既存店売上高対前期比が97.9%と想定を若干下回って推移したことや、M&Aによるのれんの償却費の計上等もあり、営業利益は998百万円(同40.2%減、計画比90.8%)、経常利益は1,148百万円(前期比27.6%減、計画比99.9%)となりました。

一方で当社連結子会社を吸収合併したことによる税金費用の減少、税務上の繰越欠損金発生に伴い繰延税金資産及び法人税等調整額(益)を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は781百万円(前期比19.1%減、計画比94.1%)となりました。(前期比は前連結会計年度実績比、計画比は2022年7月11日付「業績予想の修正に関するお知らせ」にて公表した2022年8月期連結会計年度の連結業績予想比)

なお、当社グループの事業は、100円ショップの運営及びその付随業務の単一セグメントであるため、セグメントの記載をしておりません。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ518百万円増加し、6,687百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は1,721百万円(前年同期は378百万円の獲得)となりました。収入の主な内訳は税金等調整前当期純利益975百万円、仕入債務の増加額657百万円、減価償却費571百万円であります。支出の主な内訳は法人税等の支払額674百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は975百万円(前年同期は778百万円の使用)となりました。主な内訳は敷金及び保証金の差入による支出567百万円、有形固定資産の取得による支出542百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は328百万円(前年同期は51百万円の使用)となりました。主な内訳は長期借入れによる収入3,000百万円、長期借入金の返済による支出2,813百万円、配当金の支払額296百万円、短期借入金の純減少額200百万円であります。

 

③ 仕入及び販売の実績

当連結会計年度の仕入、販売の実績は次のとおりであります。

a.商品仕入実績

当連結会計年度における事業部門別の商品仕入実績は、以下のとおりであります。

区分

当連結会計年度

(自 2021年9月1日

至 2022年8月31日)

前年同期比(%)

100円ショップ事業(千円)

36,123,984

115.0

合計(千円)

36,123,984

115.0

 

b.販売実績

当連結会計年度における事業部門別の販売実績は、以下のとおりであります。

区分

当連結会計年度

(自 2021年9月1日

至 2022年8月31日)

前年同期比(%)

100円ショップ事業(千円)

直営

51,829,031

117.0

卸他

6,518,469

101.6

合計(千円)

58,347,501

115.1

(注)1.上記の100円ショップ事業「卸他」には、100円ショップ以外の業態の販売額を含めております。

2.販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の得意先はありません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.売上高及び売上総利益

売上高は58,347百万円(前期比15.1%増)で、内訳は、100円ショップ事業直営店舗が51,829百万円(同17.0%増)、卸他が6,518百万円(同1.6%増)であります。これは、2022年10月1日付で㈱音通エフ・リテール及び㈱ニッパンを子会社化したことが主な増加要因であります。

この結果、売上総利益率は38.2%(同0.5ポイント減)、売上総利益は22,281百万円(同13.5%増)となりました。

 

b.販売費及び一般管理費及び営業利益

販売費及び一般管理費は21,282百万円(同18.5%増)となりました。これは、のれん償却費を含むM&Aに伴う増加の他、基幹システム刷新に伴う減価償却費増加等によるものであり、売上高に占める比率は36.5%(同1.1ポイント増)となりました。

この結果、営業利益率は1.7%(同1.6ポイント減)、営業利益は998百万円(同40.2%減)となりました。

 

c.営業外損益及び経常利益

営業外収益は181百万円で、前連結会計年度に比べ142百万円増加いたしました。営業外費用は31百万円で前連結会計年度に比べ89百万円減少いたしました。

この結果、経常利益率は2.0%(同1.1ポイント減)、経常利益は1,148百万円(同27.6%減)となりました。

 

d.特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益

特別利益は36百万円で、前連結会計年度に比べ275百万円減少いたしました。特別損失は210百万円で、前連結会計年度に比べ102百万円減少いたしました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は781百万円(同19.1%減)となりました。また、1株当たり当期純利益は57円83銭であります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの運転資金需要の主なものは、商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、新規出店及び改装に係る設備投資等によるものであります。

当社グループの運転資金及び設備資金につきましては、自己資金及び借入金等にて充当しております。なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、3,018百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は6,687百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成においては、過去の実績やその時点で合理的と考えられる情報に基づき、会計上の見積りや判断を行っておりますが、見積りや判断は特有の不確実性を伴うため、実際の結果と異なることがあり、結果的に連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。

また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。

 

(3)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。

なお、売上高経常利益率は、2020年8月期が3.3%、2021年8月期が3.1%、2022年8月期が2.0%と推移しております。ROEは、2020年8月期が7.5%、2021年8月期が8.9%、2022年8月期が6.7%と推移しております。

当該指標の目標達成に向けて、引き続き取り組んでまいります。

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