研究開発活動

5【研究開発活動】

 当社グループでは、研究開発を事業展開上の最優先課題として捉えており、従業員624人中、19名の博士を含めた研究開発スタッフ71名で実施しております(2022年7月31日現在)。当連結会計年度の研究開発費は、研究開発スタッフの人件費を含めて、766百万円となっており、この中には各セグメントに配分できない基礎研究費用22百万円が含まれております。

 組織としては、事業、開発アイテム及びその開発段階によって、担当部毎に研究テーマの分類を行っており、組織的・系統的な研究開発ができる体制を構築しております。さらに、会社設立当初より、当社グループ内だけでなく国内・海外の研究開発ネットワークを活用した外部協力者との共同研究を進めております。

 

(1)特許出願等

 特許権は研究成果を事業化する上で重要な位置を占めること、更には市場独占を果たす上で極めて重要であり、戦略的に優位性を持った特許出願を行っております。

 

(2)研究補助金

 当社グループでは、各省庁や京都府、政府機関系の各種公益団体などより、多数の研究補助金(助成金、委託事業を含む)を受けております。研究補助金により研究開発に対する投資額の一部を補うことは、投資リスクの低減とともに、主催機関・大学その他組織等の第三者判断を経ることで、研究テーマの市場性・社会性を判断する基準としても重要であります。

 

(3)研究開発事業

 各セグメント別の研究開発活動の状況および研究開発費の金額は、次のとおりであります。

① BtoB事業

 BtoB事業においては、研究開発担当部署を開発部とし、開発部長以下48名の研究開発スタッフで、「価値ある豊かさと価値ある健康」の創造を目指して、健康維持と生活の質の向上に役立つ機能性食品素材及び機能性化粧品素材の新規開発を行っております。

 機能性素材として求められるものは、エビデンスを有した独自性のある素材であり、本事業の根幹は研究開発にあります。当社グループの研究開発の優位性は、創業以来培ってきた当社独自の技術、発想による他社が有しない独自の製品の開発及びエビデンスの取得にあると考えております。また、顧客に対する商品開発の提案や機能性表示食品の届出支援など、サポート・アフターサービス体制を整えております。

 主な研究開発の成果は次のとおりであります。

a.ファーマギャバ

 GABAは、非タンパク系のアミノ酸の一つで、脳内で抑制系の神経伝達物質として働くといわれており、その機能性としては「ストレス緩和」「疲労感の軽減」「血圧の改善」及び「睡眠の質の改善」が知られております。これに加え、「筋肉量増加」及び「認知機能改善」等の効果を見出すなど、ファーマギャバのエビデンス強化を行っております。大手飲料メーカーの認知機能改善効果を謳った製品に採用され、機能性表示食品として消費者庁に受理されております。

 

b.HGP(エイチ・ジー・ピー)

 HGPは、卵黄由来のペプチド成分で、経口摂取による育毛・発毛促進作用を有しております。HGPのメカニズム及びヒトへの効果を明らかにし、論文化しております。

 

c.HAS-Ⅱ(ハス・ツー)

 HAS-Ⅱは、鶏足の抽出物から得られたペプチド成分で、優れたヒアルロン酸産生促進作用を有しております。HAS-Ⅱの膝関節痛に対する効果のメカニズムを明らかにし、論文化しております。

 

d.モリンガ

 モリンガは、古来よりスーパーフードとして知られている植物で、脂質代謝の改善、抗老化作用を有しております。モリンガ葉に含まれる脂質代謝改善成分を明らかにしております。

 

 

e.リピスマートTM

 ゴマ油抽出残渣の脂肪吸収抑制効果を高める加工方法を開発し、特許を出願いたしました。また、ヒト臨床試験において、ゴマ油抽出残渣の食後中性脂肪吸収抑制効果を明らかにいたしました。さらに、活性成分の1つを同定し、特許を出願いたしました。

 

f.Egg placenta(エッグプラセンタ)

 鶏卵の未利用部位であるカラザを用いた化粧品素材を開発し、細胞、ヒトにおける効果を検証いたしました。当該素材はエッグプラセンタと名付け、特許を出願し、商標登録を完了しております。

 これら主な研究開発の他、当社独自の技術と発想により他社と差別化した独自の素材、製品を開発しております。

 当セグメントにおける研究開発費は、354百万円であります。

 

② BtoC事業

 通信販売事業においては、当社グループの開発部が開発した機能性素材を配合したサプリメント及び化粧品等を、外部委託で生産し販売しております。通信販売事業部の研究開発は、開発部が行っており、当社の機能性食品素材のエビデンス取得試験等を行っております。

 当社グループが販売しております「タマゴサミン」は、当社独自の成分であるヒアルロン酸産生成分「iHA(アイハ)」を配合することで、他社との差別化に成功し、主力商品となっております。「タマゴサミン」に代表されるように、当社グループの特性は、確かな研究力を基礎とした商品開発力であり、研究により取得したエビデンスが非常に重要であると考えております。

 このように、確かなエビデンスを備えた主力となり得る商品開発を継続することが必要不可欠です。研究開発素材である「ファーマギャバ」「HGP」「モリンガ」等の独自成分を配合した新規商品の開発を行っております。その結果、「HGP」を配合した「ニューモ育毛剤」は、当連結会計年度において連結売上高の46.5%を占めました。

 当セグメントにおける研究開発費は、10百万円であります。

 

③ バイオメディカル事業

 バイオメディカル事業においては、バイオ医薬品(抗体医薬、ペプチド医薬)の研究開発を行っております。担当部署はバイオメディカル部であり、部長以下23名のスタッフが研究開発に従事しております。

a.抗体医薬

 当社独自のニワトリ由来抗体作製技術を用いた創薬事業への展開を進めております。抗体医薬開発の上流から下流までの網羅的な開発基盤の構築に成功し、これら網羅的な開発基盤技術を、ALAgene technology(アラジンテクノロジー)と命名しました。

 本技術は、免疫動物としてニワトリを用いることで、従来の抗体作製方法では実現できなかった抗体を創出し、さらにヒト化抗体を作出することで臨床応用を可能とする技術です。

 ALAgenetechnologyを活用し、現在、主に二つのプロジェクト(自己免疫疾患及び悪性腫瘍)について開発を進めております。

 

b.ペプチド医薬

 当社グループは、卵黄由来の骨代謝改善ペプチドの単離・同定に成功し、この生理活性物質をリプロタイトと称し、骨疾患を標的とした医薬品候補物質として創薬研究を行っております。

 骨疾患の代表的な疾患である骨粗鬆症は、骨密度の低下や骨組織の構造異常を特徴とし、骨の脆弱化から骨折リスクの増大をまねく疾患です。既存の治療薬の多くは骨密度の低下を抑制するものですが、根本的な骨折リスクの低減には、骨代謝バランスの正常化による強固な骨組織の再生が重要とされています。

 リプロタイトは、骨形成と骨吸収の両面から骨代謝改善に働きかける希少な薬理作用を示すことが期待されており、そのような医療ニーズに応える次世代のペプチド医薬品として実用化を目指します。

 当セグメントにおける研究開発費は、378百万円であります。

 

 

 

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