研究開発活動

5 【研究開発活動】

当社は「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」という企業理念のもと、技術センターにすべての研究・技術開発機能を集約し、当社グループの総合力を結集してイノベーション創出に取り組んでおります。

将来にわたる持続的成長のために、研究・技術開発への継続的投資を行っており、コア技術である有機合成化学、高分子化学、バイオテクノロジー、ナノテクノロジーをベースに、重合、製糸、製膜など要素技術の深化と融合を進め、各事業セグメントで先端材料の創出、事業化を実現しております。近年は、ナノテクノロジーの極限を追求することで、「スーパーナノテクノロジー」とも表現できる、素材の不連続な特性向上も達成してきました。繊維分野での革新複合紡糸技術「NANODESIGN®」、樹脂分野での革新的微細構造制御技術「NANOALLOY®」、フィルム分野でのナノ多層積層フィルム「PICASUS®」などです。これらの技術は既に実用化され、従来になかった特性と特長により社会に付加価値を生み出しております。

 

当連結会計年度のセグメント別の研究・技術開発の概要は以下のとおりです。

 

(1) 繊維事業

アパレル用新製品に向けたポリマー、紡糸の要素技術の深化に加え、環境調和型の新規繊維の創出や、極限技術追求による高機能製品や繊維先端材料の創出・拡大に主眼を置いた研究・技術開発を推進しております。その成果として、低摩擦素材であるフッ素繊維「トヨフロン®」と高強度繊維を組み合わせることで、優れた摺動耐久性を持つ低摩擦・高摺動耐久テキスタイルを開発しました。本テキスタイルは、従来の当社品に比べて25倍以上の摺動耐久性を持つため、摺動材のメンテナンスコストの軽減や長寿命化を可能とします。今後、この特徴を活かして、各種産業用機械や工場設備、自動車関連部材、ベアリング等に用途展開を拡大します。

 

 

(2) 機能化成品事業

樹脂・ケミカル、フィルム、電子情報材料の新製品開発、及び既存製品の高性能・高機能化を目指した研究・技術開発に取り組んでおります。その成果として、当社が世界で唯一展開する2軸延伸ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム「トレリナ®」において、優れた耐熱性や難燃性と5G通信に適した誘電特性を保持しながら、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに匹敵する高い透明性を実現した透明耐熱フィルムを創出しました。5G透明アンテナをはじめ、透明フレキシブル回路基板(FPC)や透明ヒーター基材などの電子部品を中心とした幅広い用途展開が期待できます。また、パワー半導体用材料として、NMPフリーのポジ型感光性ポリイミドを開発しました。半導体保護膜として使用されるポリイミドは、製造の前工程で生じる高温に対応できる耐熱性に加え、耐薬品性や密着性、さらに使用する電子機器の電圧に応じた耐圧性も求められております。電気自動車(EV)のインバーターなどで求められる高い耐圧性をクリアし、かつ各国の環境規制にも準拠したNMPフリーグレードを製品ラインアップに加えることで、より幅広い用途での製品展開を目指します。

 

(3) 炭素繊維複合材料事業

炭素繊維の高性能化と品質信頼性の追求により世界ナンバーワンを堅持すると共に、地球温暖化問題に貢献する複合材料事業の拡大を目指した研究・技術開発に取り組んでおります。そのような中、同事業の開発において、マテリアルズ・インフォマティクス技術を、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)設計へ導入し、要求される特性から材料設計を絞り込む逆問題解析手法を駆使することで、短期間で材料を開発する技術を確立しました。本技術を活用して短期間で開発した、優れた難燃性と力学特性を持つ次世代の航空機用途向けCFRPについては、今後実証を進め、航空機用途をはじめ、自動車、一般産業用途向けCFRPへの幅広い展開を図り、CFRPの需要拡大を推進します。

 

(4) 環境・エンジニアリング事業

水処理膜とエンジニアリングを軸に成長分野での事業拡大を目指し、研究・技術開発に取り組んでおります。その成果として、食品飲料製造やバイオ分野において、精製・濃縮工程に用いる高耐久性の中空糸限外ろ過膜モジュールを開発し、サンプル提供を開始しました。本モジュールにより、従来食品分野の濃縮に用いられている熱濃縮法と比較して二酸化炭素(CO2)排出量で8割以上削減となる省エネルギー化が実現できます。

 

(5) ライフサイエンス事業

ライフイノベーション事業拡大のため医薬品、医療機器、バイオツールの研究・技術開発に取り組んでおります。その一例として、現在、がん患者による第一相臨床試験実施中のがん治療薬「TRK-950」の治験については新たな治験実施施設を追加し、数種類のがん種を対象に、既存抗がん剤との併用投与を行い、高い薬効が得られるがん種を絞り込み中です。引き続き、関係機関と連携して開発を加速し、早期に患者様にお届けできるよう努力します。

 

上記セグメントに属さない基礎研究、基盤技術開発として、中空糸状の多孔質炭素繊維を支持体とし、その表面に薄い炭素膜の分離機能層を有するオールカーボンの2層構造を持つ革新CO2分離膜を創出しました。本分離膜は、優れたCO2の分離性能と高耐久性を兼ね備え、従来の無機系分離膜と比較して設備の小型化が可能です。また、シーメンス・エナジーAGと「戦略的パートナーシップの構築」に係る基本合意書を締結しました。革新的な固体高分子(PEM)型水電解を用いたグリーン水素製造技術の創出により、再エネ由来グリーン水素の導入拡大、及び戦略的なグローバル事業展開を共同で推進してまいります。これらカーボンニュートラル、循環型社会の実現に向けた研究・技術開発を加速します。

 

当連結会計年度の当社グループの研究開発費総額は、621億円(このうち東レ㈱の研究開発費総額は455億円)です。セグメント別には繊維事業に約10%、機能化成品事業に約28%、炭素繊維複合材料事業に約14%、環境・エンジニアリング事業に約7%、ライフサイエンス事業に約4%、本社研究・技術開発に約37%の研究開発費を投入しました。

当連結会計年度の当社グループの特許出願件数は、国内で1,545件、海外で2,767件、登録された件数は国内で600件、海外で1,688件です。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得