業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスのワクチン接種率が向上し、感染拡大の抑制が期待されておりましたが、変異ウイルスの発生による感染再拡大への懸念が拭えないことから、個人消費の停滞は依然として続き、総じて先行きが不透明な状況となりました。また、諸資源の価格は変動が続き、世界的な原燃料価格の高騰や供給不安があるなど、注視すべき状況にあります。

国内需要については、2021年9月30日発出の緊急事態宣言終了後、国内における新型コロナウイルスの新規感染者が減少傾向にある一方で、外出自粛の傾向が完全には終息しておらず消費マインドも完全には戻らない状況であります。

海外需要については、欧州を中心として、新型コロナウイルスのワクチン接種の普及が進み、活動制限の緩和によって、個人消費を悪化させている供給制約も和らいでいることから回復傾向にあると見られます。

こうした経済環境のもと、当社事業に関し、中東の民族衣装分野では下期に入り回復基調となるも、上期の需要低迷を受けて前期比減となりました。一方で、欧州ラグジュアリ―ブランド向けが牽引したことに加え、国内及び北米市場における需要拡大により、衣料ファブリック部門を中心に前期対比増収となりました。また、市場低迷を克服するとともに、多様に変化する市場ニーズにおいて、新たな需要を喚起するため、継続的に技術開発や新商品開発に挑み、当期におきましては13件の特許登録を進めてまいりました。

また、販売管理費を含めた費用管理の強化を前期より継続的に行い、トータルコストダウンを強力に推進したことから、前期比で増収増益を果たしました。

なお、当連結会計年度では、当社グループのサステナブルなモノづくりを主題とし、積極的に展示会への出展を行いました。また、ファブリックの魅力と歴史を再発信するとともに、当社のものづくりを多くの方に感じていただく主旨のもと、ファブリックラボラトリー「fa-bo(ファーボ)」をリニューアルし、多くのお客様にご来館いただきました。加えて、当社の新たな取り組みとしてBtoC拡大に向け新設したファクトリーショップ「mono-bo(モノーボ)」については、開店当初より地元のみならず、県外も含め多数のご来客をいただき、好評を得ております。

新商品として、昨年10月には、不織布によるウイルスカット機能と抗ウイルス機能を持ち合わせ、JIS(日本産業規格)適合審査を通過した「ダントツマスクール Premier(プレミア)」を新商品として発表しました。

トピックスとしては、地元公立小松大学のアカデミックガウンの製作があります。世界的建築家・隈研吾氏が初めてデザインしたセレモニーウェアであり、テレビや新聞に大きく報じられました。当ガウンの素材には当社のオリジナル素材「KONBU」が用いられ植物の天然成分で染め上げました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は314億49百万円(前期比4.8%増)となり、営業利益は15億93百万円(前期比12.5%増)、経常利益は21億54百万円(前期比12.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は21億84百万円(前期比20.7%増)となりました。

 

セグメントの業績につきましては、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。

 

(繊維事業)

衣料ファブリック及び資材ファブリックの両部門について、上期におきましては、個人消費の不振を発端とする需要低迷の影響から伸び悩みを見せました。一方で、下期においては、回復基調をみせ、事業環境は改善方向に推移しております。

まず、衣料ファブリック部門に関しては、国内外において、高感性・高機能素材、環境配慮型素材の開発と市場導入を進めてまいりました。中東向けの民族衣装分野は、下期は若干持ち直しを見せたものの、上期の需要減少により大きく減収となりました。一方で、ファッション及びスポーツ分野については、国内・北米市場が順調に推移したことに加え、欧州ラグジュアリ―ブランド向けが牽引したことから、当部門全体として増収となりました。

次に、資材ファブリック部門については、リビング、生活関連資材及び医療分野における需要が回復へと転換したことから堅調に推移し、当部門全体としては、増収となりました。

製品部門におきましては、前期の大幅な衛生関連商品の需要拡大に対して、当期においては需要が減少したことから大幅な減収となりました。

以上の結果、当連結会計年度の当事業の売上高は309億90万円(前期比4.4%増)、セグメント利益(営業利益)は15億47百万円(前期比17.2%増)となりました。

 

(その他の事業)

物流分野の当連結会計年度の売上高は4億59百万円(前期比36.4%増)、セグメント利益(営業利益)は31百万円(前期比63.2%減)となりました。

 

 当連結会計年度末における総資産は、476億円となり、前連結会計年度末に比べ19億65百万円増加しました。負債は、117億61百万円となり、前連結会計年度末に比べ21億99百万円増加しました。純資産は、358億39百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億34百万円減少しました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ3億83百万円減少し、95億71百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は13億85百万円(前年同期は30億69百万円の資金の増加)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益29億39百万円、減価償却費10億82百万円、仕入債務の増加額10億51百万円であり、支出の主な内訳は、棚卸資産の増加額9億12百万円、売上債権の増加額9億3百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の増加は1億57百万円(前年同期は1億17百万円の資金の減少)となりました。収入の主な内訳は、投資有価証券の売却及び償還による収入25億18百万円であり、支出の主な内訳は、投資有価証券の取得による支出13億2百万円、固定資産の取得による支出6億35百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は24億1百万円(前年同期は16億49百万円の資金の減少)となりました。支出の主な内訳は、自己株式の取得による支出17億71百万円、配当金の支払額6億75百万円であります。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

(生産実績)

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

繊維事業

26,429

1.9

その他の事業

合計

26,429

1.9

 

(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(受注実績)

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

繊維事業

31,063

6.3

2,461

3.1

その他の事業

合計

31,063

6.3

2,461

3.1

 

 

(販売実績)

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

繊維事業

30,990

4.4

その他の事業

459

36.4

合計

31,449

4.8

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

東レ㈱

4,876

16.2

5,901

18.8

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループに関する経営成績等の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成には、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の発生及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 なお、有価証券報告書提出日現在において新型コロナウイルス感染症による会計上の見積りに与える重要な影響はございません。

 

②財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は242億52百万円で、前連結会計年度末に比べて37億93百万円増加しております。現金及び預金が3億83百万円減少したものの、受取手形及び売掛金が10億72百万円、原材料及び貯蔵品が9億35百万円、有価証券が8億99百万円増加したことによるものであります。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は233億48百万円で、前連結会計年度末に比べて18億27百万円減少しております。土地が1億83百万円増加したものの、投資有価証券が19億24百万円減少したことによるものであります。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は75億57百万円で、前連結会計年度末に比べて20億97百万円増加しております。主に支払手形及び買掛金が11億23百万円、未払法人税等が5億87百万円増加したことによるものであります。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は42億3百万円で、前連結会計年度末に比べて1億2百万円増加しております。主に長期未払金が1億23百万円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は358億39百万円で、前連結会計年度末に比べて2億34百万円減少しております。利益剰余金が15億8百万円増加したものの、自己株式が17億29百万円増加、その他有価証券評価差額金が4億15百万円減少したことによるものであります。

 

③経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、314億49百万円(前連結会計年度の売上高300億18百万円に比べ14億31百万円増加)となりました。これは、国内外ともにファッション・スポーツ分野を中心に需要が拡大し増収となったことによるものであります。

 

(営業利益)

当連結会計年度の営業利益は、15億93百万円(前連結会計年度の営業利益14億16百万円に比べ1億76百万円増加)となりました。これは、衣料ファブリック及び資材ファブリックの両分野が堅調に推移したことによるものであります。

 

(経常利益)

当連結会計年度の経常利益は21億54百万円(前連結会計年度の経常利益19億16百万円に比べ2億37百万円増加)となりました。これは、持分法による投資利益が増加したことによるものであります。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

税金等調整前当期純利益は29億39百万円(前連結会計年度の税金等調整前当期純利益18億17百万円に比べ11億22百万円増加)となり、税効果会計適用後の法人税等負担額は7億55百万円(前連結会計年度11百万円に比べ7億43百万円の増加)となりました。その結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は21億84百万円(前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益18億10百万円に比べ3億74百万円増加)となりました。

 

④資本の財源及び資金の流動性に係る情報

・資本の財源

当社グループは、事業の成長と収益性を高めることにより資本の財源としております。

当連結会計年度においては、営業活動による資金の増加は13億85百万円、投資活動による資金の増加は1億57百万円、財務活動による資金の減少は24億1百万円となりました。

 

・資金の流動性に係る情報

資金の流動性については、今後継続的な企業価値の向上を実現するための資金需要に対して、迅速かつ確実に資金を確保することを基本としております。

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は95億71百万円となりました。

 

⑤経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑥経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは継続的な企業価値の向上を実現するため、事業の成長性と収益性を高めることを重視し、なかでも収益性の追求は欠かせないものと考え、売上高営業利益率7%以上を重要な目標指標として位置付けております。当連結会計年度における売上高営業利益率は5.1%であり、引き続き、生産性の向上及びコスト削減等に努め、当該指標の達成に向け取り組んでまいります。

 

⑦今後の見通し

新型コロナウイルス感染症拡大の影響や収束時期は、依然として現時点で合理的に予想することが困難な状況にあります。また、ロシアによるウクライナ侵攻をはじめとする海外情勢や為替動向など不透明な要因に加え、原油価格に落ち着きがなく、予断を許さない状況が続くものと思われます。このような急激な変化を受け、当社グループをとりまく外的環境は著しく変化し、事業の環境及び構図はこれまでとは様相を異にすると見られます。また、関連ビジネスは大きな転換が求められるようになっており、店舗を置かずインターネットを利用するEC事業の導入と拡大が今後、加速することが予想されます。当社グループにおきましても、こうした変化に対応すべく、ブランディング戦略を重視しつつ、EC事業を積極的に展開し、新商品の認知度を高め効果的に訴求してまいります。また、デジタル技術を最大限に活用し、新時代に柔軟に対応すべく経営投資を惜しみなく行っていかなければならないと考えております。

2023年3月期の連結業績は、売上高345億円(前期比9.7%増)、営業利益19億円(前期比19.2%増)、経常利益25億円(前期比16.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益18億50百万円(前期比15.3%減)を予想しております。現時点で当社が把握可能な情報に基づいておりますが、当予想は大きく変動する可能性があります。

 

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