業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当社グループにおいては、顧客企業の事業多角化や海外展開、業務プロセスの高度化や複雑化に伴い発生する業務のアウトソーシング事業者として、「人」によるチェック、テスト、モニタリングや審査等のサービスを提供しております。市場において新たなサービスが創出されることにより、デバッグ・検証事業及びネットサポート事業ともにビジネスチャンスにつながっております。当連結会計年度においては、当社及び主要子会社の営業・管理部門を同一オフィスへ集約するため、2月に本社移転・増床を行いました。また、当社は経営効率化の観点から、3月に中間持株会社であるペイサー株式会社を吸収合併いたしました。ポールトゥウィン株式会社では、メディア・コンテンツ関連事業の拡大を図ることを目的として、2月に株式会社CRESTへゲームの難易度等のチューニング、開発サポートに関する事業を譲渡いたしました。ゲーム以外のソフトウェアやシステム開発を受託すると同時に第三者検証サービスも受託することを目的として、7月に株式会社MSDホールディングスを子会社化いたしました。また、デバッグ業務とセキュリティ診断を融合したサービスを展開することを目的として、1月に株式会社Ninjastarsを子会社化いたしました。株式会社キュービスト及び株式会社CRESTは、両社のメディア・コンテンツ事業分野におけるシナジーを向上させるために、4月に同一ビルへ本社移転・増床を行いました。株式会社キュービストでは、ゲームグラフィック受託開発のシェア向上を目的として、8月にPanda Graphics株式会社を子会社化いたしました。エンタライズ株式会社では、音声収録に関する対応能力向上を目的として、8月に株式会社デルファイサウンドを子会社化いたしました。ピットクルー株式会社では、今後の受注増加を見据え、7月に新潟サービスセンター開設、仙台サービスセンターを移転・増床いたしました。また、経営資源の集約、効率化を目的としてアイメイド株式会社を吸収合併いたしました。海外では事業拡大を目的として、OneXP LLC(米国現地法人)、OneXP UK Limited(英国現地法人)、1518 Studios Rus LLC(ロシア現地法人)及びSIDE France SAS(フランス現地法人)を設立いたしました。国内拠点と海外12ヵ国21拠点の連携により、デバッグ、ローカライズ、音声収録、ゲーム開発・マーケティング支援、モニタリング、カスタマーサポート等の「ワンストップ・フルサービス」の提供をグローバルで推進いたしました。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a. 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,892,163千円(9.3%)増加し、22,281,489千円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて79,015千円(1.7%)減少し、4,635,220千円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,971,179千円(12.6%)増加し、17,646,268千円となりました。

 

b. 経営成績

当連結会計年度の売上高は34,252,376千円(前年同期比28.1%増)、営業利益は3,305,200千円(同2.7%増)、経常利益は3,382,780千円(同5.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,241,103千円(同5.7%増)となりました。

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

1) デバッグ・検証事業

当事業におきましては、国内外グループ会社の連携を図ることで、国内外ゲームソフトメーカーのグローバル展開サポートに努め、デバッグ、ローカライズ、カスタマーサポート(海外)、音声収録等のゲームソフトメーカー向けアウトソーシングサービスの受注を推進いたしました。株式会社クアーズでは、ノンゲーム市場における第三者検証サービスの受注が増加いたしました。株式会社キュービスト、株式会社カラフル、Panda Graphics株式会社、株式会社CRESTでは、グラフィックやゲーム・アニメ制作に関連するメディア・コンテンツ業務の拡大を推進いたしました。また、株式会社MIRAIt Service Designでは、官公庁から新型コロナウイルス感染症に関する各種申請を受け付けるシステムの開発を受注いたしました。この結果、デバッグ・検証事業の売上高は26,439,240千円(前年同期比31.3%増)となりましたが、M&Aに関連する一時費用やゲーム・アニメ制作をはじめとしたメディア・コンテンツ業務の拡大に関連する先行費用が増加し、営業利益は2,461,133千円(同7.1%減)となりました。

 

2) ネットサポート事業

当事業におきましては、QRコード決済や暗号資産等のフィンテック関連サービスにおける不正モニタリング、本人確認手続き、アンチマネーロンダリングや振る舞い検知サービスの受注が増加いたしました。AI関連サービスにおけるデータ認識評価や、デバッグ・検証事業との営業連携によりゲーム市場向けのカスタマーサポートの受注も増加いたしました。また、ピットクルー株式会社では政府のGIGAスクール構想に基づく学校ICT化サポート事業者として、ICT環境整備の設計等のサービスを受注いたしました。この結果、ネットサポート事業の売上高は7,580,748千円(前年同期比17.7%増)、営業利益は819,736千円(同34.0%増)となりました。

 

3) その他

Palabra株式会社において、今後の映像バリアフリー化時代を見据え、テレビ番組や映画のバリアフリー字幕や音声ガイド制作のサービスを提供しております。ピットクルー株式会社では旧アイメイド株式会社の事業を譲受し、医療機関で働く外国人人材のビザ取得や就学等、国内生活手続きをサポートするサービスを提供しております。当事業の売上高は232,387千円(前年同期比46.6%増)、営業損失は15,902千円(前年同期は139,666千円の損失)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比べて1,423,330千円減少し、9,735,217千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、+1,844,490千円(前連結会計年度は+2,040,365千円)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益+3,241,419千円、減価償却費+492,796千円、減損損失+249,367千円、のれん償却額+400,659千円、固定資産売却益△230,813千円、売上債権の減少額+316,924千円、未払金の減少額△646,504千円、未払費用の増加額+217,164千円、預り金の減少額△134,141千円、法人税等の支払額△1,751,940千円等であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、△2,661,898千円(前連結会計年度は△963,219千円)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出△571,736千円、無形固定資産の売却による収入+230,813千円、投資有価証券の取得による支出△284,245千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出△1,529,015千円、事業譲受による支出△477,539千円、敷金及び保証金の回収による収入+117,164千円等であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、△659,830千円(前連結会計年度は△468,688千円)となりました。主な要因は、配当金の支払額△492,521千円、自己株式の取得による支出△125,405千円等であります。

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

該当事項はありません。

 

b. 受注実績

デバッグ・検証事業は、受注から販売までの所要日数が短く、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しております。ネットサポート事業は、継続的役務提供のため、該当事項はありません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年2月1日

至 2022年1月31日)

前年同期比(%)

デバッグ・検証事業(千円)

26,439,240

131.3

ネットサポート事業(千円)

7,580,748

117.7

報告セグメント計(千円)

34,019,988

128.0

その他(千円)

232,387

146.6

合計(千円)

34,252,376

128.1

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 財政状態

(資産の部)

流動資産は、前連結会計年度末に比べて762,518千円(4.5%)減少し、16,340,029千円となりました。これは、主に受取手形及び売掛金が436,826千円、その他(前払費用等)が171,726千円増加したものの、現金及び預金が1,423,330千円減少したこと等によります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べて2,654,682千円(80.8%)増加し、5,941,459千円となりました。これは、主に無形固定資産のその他(著作権等)が199,531千円減少したものの、工具、器具及び備品が143,797千円、のれんが1,865,511千円、無形資産が280,648千円、投資有価証券が148,066千円、繰延税金資産が305,413千円増加したこと等によります。

この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて1,892,163千円(9.3%)増加し、22,281,489千円となりました。

 

(負債の部)

流動負債は、前連結会計年度末に比べて295,366千円(6.6%)減少し、4,158,641千円となりました。これは、主に未払費用が344,352千円増加したものの、未払法人税等が327,947千円、その他(前受金等)が290,791千円減少したこと等によります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べて216,350千円(83.1%)増加し、476,579千円となりました。これは、主に長期借入金が217,024千円増加したこと等によります。

この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて79,015千円(1.7%)減少し、4,635,220千円となりました。

(純資産の部)

純資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,971,179千円(12.6%)増加し、17,646,268千円となりました。これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が1,748,582千円、自己株式が125,405千円、為替換算調整勘定が365,335千円増加したこと等によります。

 

b. 経営成績

(売上高)

当社グループの主要事業であるデバッグ・検証事業の関連市場においては、世界的な新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛により、ゲームソフト市場が拡大しておりますが、ハード市場では半導体不足の影響を受けております。また、株式会社MSDホールディングスをはじめとした新規連結子会社の増加により、売上が増加するとともに、提供可能サービス領域が拡大いたしました。

一方、ネットサポート事業の関連市場においては、同様に、非対面型、非接触型サービスであるEコマース、キャッシュレス決済市場が拡大しております。また、新型コロナウイルス感染症拡大は、学校における授業のオンライン化を促進させることになり、政府によるGIGAスクール構想の重要性も増しております。

この結果、当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度と比較して7,522,979千円増加し、34,252,376千円(前年同期比28.1%増)となりました。

 

(売上総利益)

当連結会計年度における売上原価は、増収、事業所の新設・増床、新規連結子会社の増加に伴う人件費増加、設備の整備費用等により、前連結会計年度と比較して5,813,407千円増加し、24,535,211千円(前年同期比31.1%増)となりました。

この結果、当連結会計年度における売上総利益は9,717,164千円(同21.3%増)となりました。

 

(営業利益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、売上原価と同様の理由の他、今後の受注増加や規模拡大を見据えた人材採用費の増加、M&Aアドバイザリー費用の増加等により、前連結会計年度と比較して1,622,050千円増加し、6,411,964千円(前年同期比33.9%増)となりました。

この結果、当連結会計年度における営業利益は3,305,200千円(同2.7%増)となりました。

 

(経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は、為替差益、保険解約返戻金及び国内外における新型コロナウイルス感染症対策関連の助成金収入の減少等により、前連結会計年度と比較して211,441千円減少し、174,387千円(前年同期比54.8%減)となりました。また、当連結会計年度における営業外費用は、為替差損及び持分法による投資損失を計上したこと等により、前連結会計年度と比較して89,024千円増加し、96,807千円(同1,143.8%増)となりました。

この結果、当連結会計年度における経常利益は3,382,780千円(同5.9%減)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における特別利益は、固定資産売却益を計上したことにより、230,813千円(前連結会計年度において特別利益は計上しておりません)となりました。また、当連結会計年度における特別損失は、固定資産除却損、投資有価証券評価損を計上した他、減損損失が増加したことにより、前連結会計年度と比較して239,734千円増加し、372,175千円(前年同期比181.0%増)となりました。

この結果、税金等調整前当期純利益は3,241,419千円となり、税効果会計適用後の法人税等負担額1,004,444千円及び非支配株主に帰属する当期純損失△4,129千円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は2,241,103千円(同5.7%増)となりました。

 

c. 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループは、ゲームソフト市場、パチンコ・パチスロ等のアミューズメント機器市場及びインターネット関連サービス市場等を主たる事業領域としており、当社グループの事業はこれら市場動向の影響を受けております。また、当社グループは、ソフトウエア開発会社及びインターネットサイト運営企業等を主たる顧客層として各種アウトソーシングサービスを提供しており、顧客企業等におけるアウトソーシング業務の需要の影響を受けております。この他、円安による為替相場の変動の影響も受けております。

なお、これらの要因以外に、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「2 事業等のリスク」に記載している要因につきましても、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a. キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b. 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、売上原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、国内事業所及び海外事業所の新設・増床等の設備投資及びM&Aによるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、運転資金及び設備資金につきましては、基本的に内部資金により資金調達することとしております。

また、資金の流動性については、当連結会計年度末における流動比率は392.9%となっており(当連結会計年度末流動資産16,340,029千円、流動負債4,158,641千円)、十分な流動性を確保しております。

 

③ 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。

この連結財務諸表の作成に当たりましては、部分的に資産・負債、収益・費用の数値に影響を与えるような見積り等の介在が不可避となりますが、当社経営陣は過去の実績や提出日現在の状況等を勘案し、会計基準の許容する範囲内かつ合理的にそれらの判断を行っております。

なお、重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況

当社グループは、長期的な持続的成長を目指すため、デバッグ・検証事業及びネットサポート事業のいずれにおいても売上高を重要な指標として位置付けており、現水準以上の高い売上高営業利益率を維持しつつ、当社グループとして売上高50,000,000千円の達成を目指しております。

当連結会計年度における売上高は34,252,376千円(前年同期比28.1%増)、売上高営業利益率は9.6%(前年同期比2.4ポイント低下)であり、引き続き当該指標の増加・改善に邁進いたします。

 

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