業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要、及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下、「収益認識会計基準」という。)等を当事業年度の期首から適用しております。この結果、前事業年度と収益の会計処理が異なることから、以下の経営成績に関する説明において、増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。

 また、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

 ① 経営成績の分析

 当事業年度における我が国経済は、内閣府の2022年8月の月例経済報告によると、「景気は、緩やかに持ち直している」とされております。先行きについては、「感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め等を背景とした海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇による家計や企業への影響や供給面での制約等に十分注意する必要がある」とされております。

 UGCサービス事業(注1)を展開するインターネット関連業界におきましては、『消費動向調査(令和4(2022)年3月実施分)』(内閣府経済社会総合研究所)によりますと、スマートフォン世帯普及率は91.9%(前年比3.0ポイント増)と普及が進んでおり、今後もスマートフォン市場は緩やかに拡大していくものと予測されます。

 また、2022年8月に総務省情報通信政策研究所が公表した『令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書』によりますと、「インターネット利用の平均利用時間が、各年代では平日は10代、休日は10代及び50代を除き増加または横ばい。特に、20代の平均利用時間が長い傾向」、「スマートフォンの利用率は全年代で95.3%となり、平成24年の調査開始以降、一貫して増加。年代別には、10代から50代で90%を超過し、60代で85%を超過している」とされており、インターネットの情報通信メディアとしての存在がテレビと肩を並べ、今後もスマートフォンなどの機器の保有・利用により、インターネットを取り巻くマーケットサイズは拡大していくものと予測しております。

 さらに、『2021年 日本の広告費』(㈱電通)によりますと、「日本の総広告費は6兆7,998億円となり、前年比110.4%となった。これは、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の拡大や、社会のデジタル化の加速によるインターネット広告費の更なる成長、東京五輪の開催などの影響を受け、前年のマイナス成長より一転、プラス成長となった」とされております。インターネット広告費は伸長傾向にあり、各種イベントや広告販促キャンペーンの復調傾向が見受けられます。また、2022年のインターネット広告媒体費は、前年比115.0%になると予測されるなど、市場環境は緩やかに回復することが望めるものと予測しております。

 このような事業環境のもと、当社におきましては、自社で開発したユーザー参加型サービス群を「コンテンツプラットフォームサービス」と位置付け、その運営を通して培われた技術力やユーザーコミュニティを活かし、法人顧客向けに「コンテンツマーケティングサービス」、「テクノロジーソリューションサービス」をサービス領域として提供しております。市場環境の変化や、それに伴う経済的予測等を鑑み、人的資本や知的財産、資金等の経営資源を各サービスへ効率的に配分することで、経営の機動力の向上を図ってまいります。

 ② 業績の概況

(ⅰ)サービス別の販売動向

<コンテンツプラットフォームサービス>

 コンテンツプラットフォームサービスでは、ユーザーがコンテンツを発信、拡散するUGCサービスとして、「はてなブログ」、「はてなブックマーク」などのサービスを展開しております。

 当事業年度においては、主力サービスとなっている「はてなブログ」の登録ユーザー数は順調に増加し、月間ユニークブラウザ数(注2)や、「はてなブログ」の個人向け有料プラン「はてなブログPro」などの課金売上についても、堅調に推移しました。「はてなブログ」においては、「はてなブログMedia」を活用した本格的なオウンドメディア構築よりも手軽な情報発信を要望するスタートアップ企業や、スモールビジネスを展開する企業のニーズの高まりに対応するため、使いやすい機能に絞ったうえで、戦略的な価格で「はてなブログ」を法人向けに提供する「はてなブログBusiness」が堅調に推移しました。有料課金サービスについては、ブログ形式で自社商品やサービスを発信していきたいと考える顧客の契約件数を着実に積み上げ、広告収入以外の収益基盤を育成してまいります。

 コンテンツプラットフォームサービス上に掲載するアフィリエイト広告については、広告枠を提供したい数多くの広告媒体の運営事業者との間で、広告を出稿したい数多くの広告主を集めた広告配信ネットワーク(アドネットワーク(注3))が形成されるなど、関係者は年々増加傾向にあり、各事業者の関与の仕方は、多様かつ複雑なものとなっております。このような事業環境の中で、前年同期においては、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う景気悪化懸念から、一部の業界における国内の広告出稿量が減少したものの、当事業年度においては、緩やかな回復基調にあるため、売上は底堅く推移いたしました。

 その結果、コンテンツプラットフォームサービスの売上高は、487,389千円(前年同期は524,775千円)となりました。

<コンテンツマーケティングサービス>

 コンテンツマーケティングサービスでは、BtoB向けストック型ビジネスとして、CMS(注4)である「はてなブログMedia」を活用したオウンドメディア(企業が顧客などに向けて伝えたい情報を発信するための自社メディア)の構築・運用支援サービスや、「はてなブログ」などのUGCサービスを活用したネイティブ広告、バナー広告、タイアップ広告などを展開しております。

 当社が提供する「はてなブログMedia」について、Googleが業界各社と協力して開発を進める「モバイル環境でWebコンテンツの表示を高速化するプロジェクト」であるAMP(Accelerated Mobile Pages)に国産CMSとしてはいち早く対応し、大手企業、ベンチャー企業を問わず、幅広い企業層に対してサービス提供実績を積み上げてまいりました。

 デジタルマーケティングを目的としたオウンドメディアの開設が活発化している昨今の市場環境において、フルサービスを提供する「レギュラープラン」はもとより、「ライトプラン」という販売価格面での戦略的提示により、顧客のオウンドメディアの新規開設を推進したことや、「採用オウンドメディアプラン」として、自社で求める人材の獲得や、働き方改革に関する情報発信や社員インタビューなど、採用マーケティングの一環として、採用を成功に導くための機能と、素早く安価にオウンドメディアを立ち上げられるプランを訴求し、顧客サイドのオウンドメディアの導入障壁をさらに押し下げた結果、新規導入のメディア数が増加しました。前年同期においては、新型コロナウイルス感染症拡大による景気悪化懸念から、当社UGCサービスに掲載されるネイティブ広告、バナー広告などの広告売上、コンテンツ作成支援料について厳しい販売環境となりましたが、当事業年度においては、ニューノーマルな時代におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の浸透に加えて、新型コロナウイルス感染症の発生初期段階において顕著であった、予算の縮減による広告需要の減少から、予算の確保による広告需要の増加へ、緩やかに回復基調へ転じ、売上は好調に推移いたしました。今後は、メディア当たり売上単価の向上施策として、公式SNS運用やメディアコンサルティングなどのサービスを拡充していくほか、記事制作や記事広告などのサービスに対する費用対効果を可視化していくことで、更なる売上成長を目指してまいります。

 その結果、コンテンツマーケティングサービスの売上高は、795,489千円(前年同期は662,161千円)となりました。

<テクノロジーソリューションサービス>

 テクノロジーソリューションサービスでは、受託サービスとして、顧客独自のネットワークサービスに関する企画、開発、運用の受託と、ビッグデータサービスとして、BtoB向けストック型ビジネスであるサーバー監視サービス「Mackerel(マカレル)」を展開しております。

 Webマンガサービスに向けたマンガビューワ「GigaViewer for Web」については、当事業年度においては、「サンデーうぇぶり」(サービス提供者:㈱小学館)、「&Sofa(アンドソファ)」(サービス提供者:㈱講談社)、「コロコロオンライン」(サービス提供者:㈱小学館)、「COMIC OGYAAA!!」(サービス提供者:㈱ホーム社)の4サービスに搭載され、合計15社、搭載累計19サービスとなりました。2021年11月には、アプリマンガサービスに向けたマンガビューワ「GigaViewer for Apps」の提供を開始し、「コミックガルド+(プラス)」(サービス提供者:㈱オーバーラップ・プラス)に採用されました。ユーザー向けの各種機能に加え、サービス提供者のサービス運用コストの削減に貢献する管理機能の継続的な機能開発の提供により、売上は堅調に推移いたしました。出版業界の調査研究機関である公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所の発表によると、日本のコミック(マンガ)の2021年の推定販売額は、紙媒体と電子媒体を合わせた総額で前年比10.3%増の6,759億円となり、2年連続で過去最高を更新しております。そのなかでも出版市場におけるコミックのシェアは40.4%で、初めて4割を超え、コロナ禍における巣籠り需要がプラス効果となって市場規模が拡大しております。このような市場環境において、「GigaViewer for Web」、「GigaViewer for Apps」の利便性や広告運用を含めたソリューションは、顧客から評価されており、Web版、アプリ版ともにデファクトスタンダードの位置を築き上げるべく、導入拡大を推進してまいります。また、開発・運用料のみならず、レベニューシェア(広告・課金収益など)の収益拡大にも注力してまいります。

 受託サービスについては、「収益認識に関する会計基準」の適用後は、契約における取引開始日から完全に履行義務を充足すると見込まれる時点までの期間が、ごく短い場合の受託開発案件については、完全に履行義務を充足した一時点で収益を認識しました。ごく短い場合を除いた受託開発案件については、履行義務の充足につれて一定期間にわたり収益を認識しました。いずれの場合も、当事業年度において、Web小説サイト「カクヨム」の収益還元プラットフォームの機能開発など、複数の受託開発案件で成果物の納品及び検収が完了しました。保守運用サービスでは、運用案件数の積上げにより、売上成長に繋がりました。

 「Mackerel(マカレル)」については、AWS(アマゾンウェブサービス)のパートナー制度「AWS パートナーコンピテンシープログラム」において、「AWS DevOps コンピテンシー」認定を、当社が国内企業で初めて取得しております。さらに、「AWS Partner Network(APN)Award2019」において、「Mackerel(マカレル)」を通じたAWSへのビジネス貢献が評価され、「APN Technology Partner of the Year 2019 - Japan」を受賞いたしました。これにより、AWS(アマゾンウェブサービス)の中で、サーバー監視サービスとしての認知度が向上し、更なる導入実績の積上げを図ることができました。今後は、AWS(アマゾンウェブサービス)などの大手クラウドプラットフォーマーのサービスを活用している顧客が、「Mackerel(マカレル)」を簡単に利用、運用しやすくなる「インテグレーション機能」をさらに充実させることで、利用開始の心理的ハードルの引き下げに注力していくとともに、販路拡大のためのパートナー拡充にも継続的に取り組んでまいります。

 2022年5月には、ソフトバンク㈱のクラウドサービス「ホワイトクラウド ASPIRE」のオプションメニューとして「Mackerel(マカレル)」が採用されました。また、展示会への出展などリアル商談の機会の縮小傾向は依然として継続していることから、オンライン展示会への出展やデジタルマーケティングを積極的に推進し、潜在顧客への効果的なアプローチに努めてまいります。

 その結果、テクノロジーソリューションサービスの売上高は、1,780,300千円(前年同期は1,434,283千円)となりました。

 

(ⅱ)利益の概況

 中長期的な企業価値の向上への取り組みの結果、営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費の合計)について2,738,273千円(前年同期は2,372,509千円)となりました。

 主な増加要因は、レベニューシェアに伴う収益配分原価が増加したこと、主要3サービスの拡張と事業創出のため、人材投資を積極的に行ったことによります。人材への経営資源の配分は、当社が将来にわたり、競争優位性を確保するために、収益基盤の確立に向けた成長戦略投資として位置づけております。サービスの高成長を中長期的に実現していくために、エンジニアを中心とした更なる人材投資について、フレキシブルな対応をしてまいります。

 営業外損益や特別損益については、受取利息及び配当金796千円の計上、為替差益16,707千円の計上、投資有価証券売却益741千円の計上、支払利息520千円の計上、固定資産除却損10,816千円の計上、事務所移転費用3,347千円の計上などがありました。

 以上の結果、当事業年度の売上高は3,063,179千円(前年同期は2,621,220千円)、営業利益は324,906千円(前年同期は248,711千円)、経常利益は342,635千円(前年同期は253,401千円)、当期純利益は240,222千円(前年同期は172,640千円)となりました。

 なお、当社はUGCサービス事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

(注)1.User Generated Contentの略。インターネット上で利用者自身がテキストや画像、映像などのコンテンツを発信することができる場を提供するサービス。

2.ある一定期間内にWEBサイトにアクセスした、重複のないブラウザ数。1人のユーザーが何度でも同じWEBサイトを訪れても1人と数えられる。「訪問数」ではなく、「訪問者数」を表し、WEBサイトの人気や興味の度合いを判断する指標。

3.アドネットワークとは、多数の広告媒体のWebサイトを束ねた広告配信ネットワークを形成し、それらのWEBサイト上で一括して広告を配信する手法であり、メディア運営者は、サイトページ上に広告枠のみをアドネットワーク事業者に提供し、掲載される広告が、システムにより自動配信される仕組み。

4.Contents Management Systemの略。HTMLやCSSのようなWEBサイトの制作に必要な専門知識を必要とせず、テキストや画像などの情報を入力するだけで、サイト構築を自動的に行うことができるシステム。

 

(ⅲ)新型コロナウイルス感染症による当社を取り巻く経営環境や想定されるリスクなど

 新型コロナウイルス感染症については、感染力が強いとされるオミクロン株BA.5系統への置き換わりが進み、感染者の急増多発リスクが高まっております。また、ウクライナ情勢等による原材料価格の高騰、物流・供給の規制及び遅延等、今後の経済活動、事業環境、雇用情勢など先行きは、不透明な状況が継続しております。

 『2021年 日本の広告費』(㈱電通)によりますと、「インターネット広告費は、継続して高い成長率を保ち、2兆7,052億円(前年比121.4%)に達し、マスコミ四媒体広告費の総計2兆4,538億円を初めて上回った。インターネット広告媒体費(インターネット広告費からインターネット広告制作費および物販系ECプラットフォーム広告費を除いたもの)は、動画広告やソーシャル広告の伸びが成長を後押しし、2兆1,571億円(前年比122.8%)となった」とされております。このように、動画広告やソーシャルメディア広告が牽引する形で市場が拡大し、特にモバイル向け広告の成長が顕著となり、明るい兆しも見え始めております。

 一方で、突然変異を繰り返し、新たな変異株が出現する新型コロナウイルス感染症の影響による景況感の不透明感から、広告出稿の取止めや予算縮小の影響は、依然としてあります。当社を含め、広告媒体社の業績は、景気によって広告支出を増減させる広告主の動向により、景気変動の影響を受けやすい傾向にあります。これに伴い、広告支出額の比較的大きい産業部門の事業環境の変化が、今後の当社の業績及び財政状態に負の影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社が保有するサービス開発力を、「はてなブログ」や「はてなブックマーク」などにおける機能開発や機能改善へ投下することにより、訪問者数の拡大を狙い、その結果として、有料オプション「はてなブログPro」の課金収入の伸長の実現や、ユーザー企業独自のネットサービスに関する企画、開発、運用を受託するサービス領域などで効果的に展開し、新たな収益機会の獲得を実現する好機とも見込んでおります。

 当社は、収益機会を積極的に獲得するために、売上の立ち上がりを見通しつつ、新たな収益基盤の確立に向けた戦略的投資を継続してまいります。

 経済的不透明感や危機感が継続することが予想される経営環境の中で、当社の資金の財源及び流動性については次のとおりであります。また、事業継続に対して万全の備えをする方針であります。

 当社における事業活動のための資金の財源として、主に手元の資金と営業活動により獲得したキャッシュ・フローでありますが、資金の手元流動性については、現金及び預金1,703,156千円と月平均売上高に対し6.7ヶ月分であり、現下、当社における資金流動性は十分確保されていると考えております。

 また、当社は事業運営上、必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本的な財務方針としており、金融機関からの借入により調達することを目的として、取引銀行4行との間で、総額1,400,000千円の当座貸越契約を締結しております。バックアップラインを確保し、資金の手元流動性の補完が実現しております。今後は、運転資金や設備投資の需要動向や、それに伴うキャッシュ・ポジションを精査しつつ、適切なタイミングで資金調達を実行してまいります。

 なお、当座貸越契約の未実行残高は、1,400,000千円となっております。

 

 

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(2)キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は前事業年度に比べ、233,276千円増加し、

1,635,836千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、獲得した資金は327,357千円(前年は296,437千円の収入)となりました。

 これは主に、増加要因として、税引前当期純利益328,476千円の計上があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は43,917千円(前年は105,849千円の支出)となりました。

 これは主に、減少要因として、有形固定資産の取得による支出57,394千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、使用した資金は52,197千円(前年は6,923千円の収入)となりました。

 これは主に、減少要因として、自己株式の取得による支出60,238千円があったことによるものであります。

 

   (3)生産、受注及び販売の実績

(a)生産実績

 当社は生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

(b)受注実績

 当事業年度の受注実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。

サービスの名称

当事業年度

(自 2021年8月1日

 至 2022年7月31日)

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

テクノロジーソリューションサービス

660,940

163.1

299,570

108.7

合計

660,490

163.1

299,570

108.7

 (注)1. 金額は、販売価格によっております。

2. コンテンツプラットフォームサービス、コンテンツマーケティングサービスは受注によらないため、記載はしておりません。

3.当社は単一セグメントであるため、サービスごとに記載しております。

 

(4)販売実績

 当事業年度の販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。

サービスの名称

当事業年度

(自 2021年8月1日

至 2022年7月31日)

販売高(千円)

コンテンツプラットフォームサービス

487,389

コンテンツマーケティングサービス

795,489

テクノロジーソリューションサービス

1,780,300

合計

3,063,179

 

 (注)1.当社は単一セグメントであるため、サービスごとに記載しております。

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2020年8月1日

至 2021年7月31日)

当事業年度

(自 2021年8月1日

至 2022年7月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ストライプジャパン株式会社

278,282

10.6

292,751

9.6

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

(1)重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行わねばなりません。経営者は、債権、棚卸資産、投資、繰延税金資産等に関する見積り及び判断について、継続して評価を行っており、過去の実績や状況に応じて合理的と思われる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。また、その結果は資産・負債の簿価及び収益・費用の報告数字についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、

「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであり

ます。

 

 

(2)当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、当社が重視している経営指標は、売上高、営業利益及び経常利益であります。

 主要3サービスのシナジー効果を最大限に活用しつつ、売上高、営業利益及び経常利益を継続的に成長させることにより、企業価値の向上、株主価値の向上を目指してまいりました。当社は、経営方針に則った業績目標について、2021年9月10日に業績予想値を公表いたしました。当社が定める経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況については次のとおりです。

 なお、経営成績の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

(単位:千円)

 

区分

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

業績予想値(A)

3,069,022

284,230

284,230

196,119

実績(B)

3,063,179

324,906

342,635

240,222

増減(B-A)

△5,842

40,675

58,404

44,103

増減率(%)

△0.2

14.3

20.5

22.5

 

 当社の資本の財源及び資金の流動性については次のとおりであります。当社における事業活動のための資金の財源として、主に手元の資金と営業活動によるキャッシュ・フローによっております。資金の手元流動性については現金及び預金1,703,156千円と月平均売上高に対し6.7ヶ月分であり、当社における資金の流動性は十分確保されていると考えております。なお、当事業年度末時点において、有利子負債残高はありません。

 運転資金需要のうち主なものは、人件費やデータセンター利用料等の営業費用、法人税等の税金費用であります。また、投資を目的とした資金需要の主なものは、ITインフラ設備や事務所設備等の設備投資であります。

 当社は、事業運営上、必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。そのため、より一層の事業拡大を継続することに備え、金融機関からの借入により調達することを目的として、取引銀行4行との間で、総額1,400,000千円の当座貸越契約を締結しております。借入に関しては、経常的な運転資金需要の場合には、短期借入を基本方針とし、多額の設備投資需要の場合には、長期借入を基本方針としております。また、金利コストの最小化を図れるような調達方法を検討し、対応してまいります。

 また、当社は、フリーキャッシュ・フローを営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動により支出されたキャッシュ・フローの合計と定義しております。当社の経営者は、この指標を戦略的投資または負債返済に充当可能な資金の純額、あるいは資金調達にあたって外部借入への依存度合いを測る目的から、投資家に有用な指標であると考えており、以下の表のとおり、フリーキャッシュ・フローを算出しています。

(単位:千円)

区分

前事業年度

(自 2020年8月1日

   至 2021年7月31日)

当事業年度

(自 2021年8月1日

   至 2022年7月31日)

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

296,437

327,357

30,920

投資活動によるキャッシュ・フロー

△105,849

△43,917

61,932

フリーキャッシュ・フロー

190,587

283,440

92,852

 

 なお、経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

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(3) 財政状態の分析

(資産)

 流動資産は2,383,052千円となり、前事業年度末に比べ、396,562千円増加いたしました。

 これは主に、増加要因として、現金及び預金が267,740千円増加したことによるものであります。

 

 固定資産は590,426千円となり、前事業年度末に比べ、32,701千円減少いたしました。

 これは主に、減少要因として、ソフトウエアが49,723千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

 流動負債は477,931千円となり、前事業年度末に比べ、192,553千円増加いたしました。

 これは主に、増加要因として、未払費用が43,598千円増加したことによるものであります。

 

 固定負債は50,666千円となり、前事業年度末と比べ、17,833千円増加いたしました。

 これは、増加要因として、資産除去債務が17,833千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 純資産は2,444,881千円となり、前事業年度末に比べ、153,474千円増加いたしました。

 これは主に、増加要因として、資本金及び資本準備金がそれぞれ4,020千円増加したこと、当期純利益を240,222千円計上したことによるものであります。

 

(4) 経営成績等の状況に関する分析

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

(売上高)

 当事業年度の売上高は3,063,179千円(前年同期は2,621,220千円)となりました。

 これは主に、テクノロジーソリューションサービスにおける受託開発売上や保守運用売上、「Mackerel(マカレ

ル)」サービス売上が堅調に推移したことによります。

 

(売上原価、売上総利益)

 当事業年度の売上原価は414,181千円(前年同期は278,206千円)となりました。

 これは主に、自社利用目的のソフトウエアの計上に伴い、ソフトウエアの減価償却費が増加したこと、広告レベニューシェアに伴う収益配分原価が増加したことによるものであります。

 この結果、当事業年度の売上総利益は2,648,998千円(前年同期は2,343,013千円)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度の販売費及び一般管理費は2,324,091千円(前年同期は2,094,302千円)となりました。

 これは主に、役員報酬や給料及び手当、及び法定福利費の増加によるものであります。

 この結果、当事業年度の営業利益は324,906千円(前年同期は248,711千円)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

 当事業年度の営業外収益は18,754千円(前年同期は5,097千円)となりました。

 これは主に、為替差益16,707千円の計上があったことによるものであります。

 当事業年度の営業外費用は1,025千円(前年同期は406千円)となりました。

 これは主に、支払利息520千円の計上があったことによるものであります。

 この結果、当事業年度の経常利益は342,635千円(前年同期は253,401千円)となりました。

 

(特別損益、当期純利益)

 当事業年度の特別利益は1,248千円(前年同期は157千円)となりました。

 これは主に、投資有価証券売却益741千円の計上があったことによるものであります。

 当事業年度の特別損失は15,406千円(前年同期は2,062千円)となりました。

 これは主に、固定資産除却損10,816千円の計上があったことによるものであります。

 この結果、当事業年度の当期純利益は240,222千円(前年同期は172,640千円)となりました。

 

(投下資本利益率、株主資本利益率)

 税引後営業利益(NOPAT:営業利益×(1-実効税率))は、225,419千円となり、投下資本(自己資本+有利子負債:期中平均)2,361,154千円に対する利益率(ROIC)は、9.1%となりました。また、株主資本利益率(ROE)は、10.1%となりました。株主資本コストと負債コストの加重平均(WACC)は、3.9%と認識しており、ROE、ROICの維持・向上によって株主資本に対する利益率(ROE)の維持・向上に努めてまいります。

 

 

2021年7月期

2022年7月期

税引後営業利益(NOPAT)(千円)

172,555

225,419

投下資本利益率(ROIC)(%)

7.6

9.1

加重平均資本コスト(WACC)(%)

4.3

3.9

 

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(5) キャッシュ・フローの状況の分析

 当事業年度末の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は前事業年度に比べ、233,276千円増加し、

1,635,836千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、獲得した資金は327,357千円(前年は296,437千円の収入)となりました。

 これは主に、増加要因として、税引前当期純利益328,476千円の計上があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は43,917千円(前年は105,849千円の支出)となりました。

 これは主に、減少要因として、有形固定資産の取得による支出57,394千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、使用した資金は52,197千円(前年は6,923千円の収入)となりました。

 これは主に、減少要因として、自己株式の取得による支出60,238千円があったことによるものであります。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2021年7月期

2022年7月期

自己資本比率(%)

87.8

82.2

時価ベースの自己資本比率(%)

159.3

127.5

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

728.9

629.0

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注)1.株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

2.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

3.有利子負債がないため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率は記載しておりません。

 

(企業価値・キャッシュ創出力)

キャッシュ創出力を示す減価償却前の営業利益(EBITDA:償却前営業利益=営業利益+減価償却費)は、445,658千円となっており、キャッシュを生み出す力は着実に成長しております。

今後についても、運転資金の確保のための有利子負債の水準を一定程度に維持しつつ、人材投資やインフラ投資を行う方針を継続するとともに、主要3サービスにおける収益の柱を成長させることで、キャッシュ創出力を高め、企業価値を向上させてまいります。

2022年7月末の企業価値(EV:時価総額+ネット有利子負債)は、3,856,540千円となっております。企業価値とキャッシュ創出力の倍率を示すEV/EBITDA倍率は、8.7倍となっております。

 

 

(6) 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(7) 戦略の現状と見通し

 当社は『「知る」「つながる」「表現する」で新しい体験を提供し、人の生活を豊かにする』をミッションに掲げ、「技術で支えられているサービスを提供する会社」として技術を磨き、インターネット領域において様々なサービス提供を行っております。

 当社は今後も拡大されることが予想されるIT市場において、競争優位性を確保するために、顧客企業に対して高付加価値を提供するサービスの創造に鋭意努めてまいります。また、より強固なポジションを獲得するために、開発体制及び営業体制の強化を重要な戦略と認識し、事業の拡大に取り組んでまいります。

 

(8) 経営者の問題意識と今後の方針について

 当社が今後業容を拡大し、より高品質なサービスを継続提供していくためには、経営者は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対処していく必要があると認識しております。それらの課題に対応するため、経営者は常に市場におけるニーズや事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を認識したうえで、当社の経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針であります。

 

(9) その他会社の現況に関する重要な事項

 当社は、企業の社会性を認識し、社会貢献活動を重要な責務として捉え、以下のCSR活動を実施しております。

 「預金を通じて、困っている人や団体を支援する」という活動のもと、SDGsに貢献できる預金として「応援定期預金」を作成することで、定期預金の預入残高に一定割合を乗じた金額を、取引先金融機関が、応援先(こどもの医療支援、こどもの自立支援、障がい者スポーツ支援、環境保護の4つのテーマから選定)に寄付しております。寄付を通じて、重い病気や障がい等で長期入院するこどもたちを支援するなど、「支え合う気持ち」を繋いでまいります。

 発行額の0.15%を、新型コロナウイルス感染症による影響を受けたこどもたちへの支援を行う団体への緊急支援及び経済的に困難な状況下のこどもたちを支える団体の基盤づくり(組織のデジタライゼーションや事業のオンライン化を含む)への寄付にそれぞれ充当する新発債券の購入により、間接的に中長期的な支援をしております。

 脱炭素社会の実現のため、取引金融機関が販売するESG志向の投資信託を購入し、信託報酬の一部を植樹プロジェクトに間接的に寄付することで、苗木を植えることができました。苗木は森林組合により保育管理され、いずれ大きな森へと成長すると思われ、サステナブルな社会の実現を支援してまいります。

(注)CSRとは、Corporate Social Responsibilityの略。持続可能な社会形成を目的として、企業が経済活動に加えて、社会や環境などの要素に向けても責任ある活動をすべきであるという概念。

 

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