課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、「インターネットテクノロジーカンパニー」として高い技術力をもった人材を豊富に抱え、数多くのサービスを世に送り出してきました。これからも技術力の向上や活用に一層注力し、便利で質の高いインターネットサービスを提供してまいります。また、当社が提供するサービスを通じて、質の高いインターネットコンテンツの発信や伝播を支援しています。楽しく役に立つコンテンツが増え、手に届きやすくすることで「より豊かなインターネット社会」を実現してまいります。

 当社は、インターネットを活用して『「知る」「つながる」「表現する」で新しい体験を提供し、人の生活を豊かにする』ことをミッションに掲げ、一般の利用者がコンテンツを発信するコンテンツプラットフォームサービス「はてな」を、技術の力を梃子に一貫して提供し続けてまいりました。

 現在、上記サービスの他にコンテンツマーケティングサービスやテクノロジーソリューションサービスを新たな事業領域として、事業拡大に努めております。

 コンテンツマーケティングサービスは、顧客が自らウェブサイトを所有し(オウンドメディアと呼ばれます)、コンテンツを発信、ソーシャルメディアにおいて拡散する際に、オウンドメディアを構築・運用支援するサービス「はてなブログMedia」、アフィリエイト広告等を提供しております。

 テクノロジーソリューションサービスは、創業以来培ってきたサービス開発力やITインフラ構築力、保有する大規模データとその分析力を活かし、顧客にソリューションサービス(受託開発・運用サービス、サーバー監視サービス「Mackerel(マカレル)」)を提供しております。

 上記の3サービスを基軸として、更なる良質なサービスや価値を創造し、発信・提供していくことで企業価値・株主価値の向上を目指しております。

 また、当社は、持続的成長を見据えた戦略的投資を強化してまいります。「はてなブログMedia」「はてなブックマークネイティブ広告」等のコンテンツマーケティングサービスの営業人員強化や、コンテンツプラットフォームサービスにおけるテクノロジー基盤への投資、サービス開発の制作人員強化など、各有力分野で未来成長を意識した攻めの重点投資を実施します。

 

(2)目標とする経営指標

 当社が重視している経営指標は、売上高、営業利益及び経常利益であります。売上高、営業利益及び経常利益を継続的に成長させることにより、事業の安定的な成長による企業価値の向上、株主価値の向上を目指してまいります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 インターネットを取り巻く市場は、通信速度の向上、テクノロジーの進化等を背景に、引き続き高い成長が見込まれております。目まぐるしく変化する市場の中で、新技術、新サービスの実現により、顧客に対してより付加価値の高いサービスを提供できるよう、努めてまいります。

 当社は自社コンテンツプラットフォームの開発・運営を通して新規顧客を開拓しつつ、そこで獲得した資産、知見を最大限に活用して「はてなブログMedia」「Mackerel(マカレル)」などの法人顧客向けサービスを提供するハイブリッド戦略を採用しております。当該戦略を通して、読者・利用者誘導や開発ノウハウなど強みをさらに強化し、自社コンテンツプラットフォームへの還元によるシナジー効果を図ってまいります。当社の主要な3サービスに関する経営戦略は以下のとおりであります。

 

① コンテンツプラットフォームサービス

 当社は、個人向けにユーザーが文章や画像などのコンテンツを発信・閲覧・拡散するプラットフォームを提供するコンテンツプラットフォームサービスからスタートしました。ユーザーがコンテンツを発信・拡散するUGCサービスとして「はてなブログ」「はてなブックマーク」等のサービスを展開しています。任意のWebページにユーザーがコメントを簡潔に付けることができる「はてなブックマーク」があることで、「はてなブログ」の記事に他のユーザーの意見や批評が集まりやすいことや、長い文章や論考、コラムのようなものを発信するITリテラシーの高いブロガーが比較的多いことが「はてなブログ」の特長であり、競合優位性となっております。コンテンツプラットフォームサービスにおいては、「はてなブログ」「はてなブックマーク」を始めとしたUGCサービスの利用は、スマートフォンの普及とともに、ユーザーがコンテンツを発信、拡散するサービスとして伸張しており、登録ユーザー数やユニークブラウザ数は、今後も拡大する見通しであります。より競合優位性を確保するため、機能開発を継続してまいります。

 

 

② コンテンツマーケティングサービス

 オウンドメディア(企業が顧客等に向けて伝えたい情報を発信するための自社メディア)の構築・運用支援サービス「はてなブログMedia」を2014年より開始しています。「はてなブログMedia」はSaaSで提供されており、当社がUGCサービスで培ったシステム・ノウハウを生かし、顧客が費用対効果の高いオウンドメディアを構築できることが競合優位性となっています。コンテンツマーケティングサービスにおいては、BtoB向けストック型ビジネスである「はてなブログMedia」を成長事業として位置づけております。企業がインターネットを活用して動画、画像、テキストを提供し、潜在顧客の認知や興味関心を獲得する重要性がますます増加する見通しであります。デジタルマーケティング戦略や人材採用戦略において、ひとつの企業で複数のはてなブログMedia媒体を運用しているケースもあり、ここ最近では働き方改革に関する情報発信や社員インタビューといった人材採用分野での活用を目的としたオウンドメディアのニーズが増大しているのが特徴となっております。オウンドメディアの活用がなされるマーケット傾向にあることから、潜在顧客に対しても、鋭意アプローチしてまいります。コンテンツ制作支援とともに、ネイティブ広告等の広告展開を実施することで、より収益獲得機会の拡大に努めてまいります。

 

③ テクノロジーソリューションサービス

 コンテンツプラットフォームサービスで蓄積したサービス開発力やITインフラ構築力等を生かして、企業のオウンドメディアをスクラッチで開発・構築する受託サービスや、顧客企業の情報システム担当向けに、情報システムにおけるサーバーを監視・管理するツールをSaaSで提供するサーバー監視サービス「Mackerel(マカレル)」を展開しています。受託サービスは、ユーザーによる投稿や閲覧行動を顧客企業のビジネスに生かすサービスを構想し、実装に落とし込む企画力や拡張性のある設計を迅速に実装できる開発力を有していること、また、サービスの規模が拡大しても表示速度等のパフォーマンスを落とすことなく、ローコスト運営を維持することが可能なITインフラの設計・構築・運営力が競合優位性となっております。「Mackerel(マカレル)」は、サーバーやアプリケーションサービスの稼働状況を、異なるクラウドサービスやデータセンターサービスであっても一元的に監視できるほか、使いやすいUIと効率的なAPIにより簡単に導入・運用できることが競合優位性となっております。また、Web企業、ゲーム制作企業やアドテク企業での導入が顕著であり、エンタープライズ領域における利用も試行されるなど、市場は拡大しております。テクノロジーソリューションサービスにおいては、受託サービスとして受託開発・運営サービスの継続的な事業展開のみならず、BtoB向けストック型ビジネス「Mackerel(マカレル)」を成長事業と位置づけております。サーバーの監視ツールは、顧客が企業内で内製化していることが多いため、より品質の高い追加機能を継続開発のうえで、潜在顧客に対しても、鋭意アプローチしてまいります。

 

(4)会社の経営環境並びに優先的に対処すべき課題

 

① 新型コロナウイルス感染症等に伴う短期的な業績への影響

 新型コロナウイルス感染症について、感染力が強いとされるオミクロン株BA.5系統への置き換わりが進み、感染者の急増多発リスクが高まっております。また、地政学リスクによる資源価格の高騰、世界的な半導体等の部品不足など、様々な景気下振れリスクが残り、先行きは依然として不透明な状況であると認識しております。

 当社では、足許における新型コロナウイルス感染症の影響の長期化に伴う景気の冷え込みを、業績に影響する課題として認識しております。この課題において、業績については新型コロナウイルス感染症の収束時期との関わりが強く、一定期間は負の影響を受けるものの、鎮まった後の回復は十分に見込めるものと捉えております。かかる状況下、新しい生活様式を意識した即応力のある経営が必要であるとの認識のもとに、感染防止策を徹底し、従業員の健康と安全の確保を図るとともに、コロナ禍における事業資金の確保及び事業継続に注力します。

 

 

 

② コスト管理の徹底と財務基盤の強化

 新型コロナウイルス感染症は、突然変異を繰り返し、次々と新しい変異株が出現しております。その流行から2年半以上が経過したものの、依然として、経済や企業活動に広範な影響を与えております。当該事象がより長期化した場合に備え、販売費及び一般管理費などのコスト管理を徹底してまいります。財務面では、リスク・ファイナンスの一環として、複数の金融機関との間で、手元流動性の更なる補完に向けた交渉を必要に応じ継続してまいります。

 

③ 中長期的な成長を意識したサービスの展開

 「はてなブログ」「はてなブックマーク」を始めとしたコンテンツプラットフォームサービスは、他のSNSなどインターネットで投稿・閲覧するサービスが普及し一般化していく風潮とともに、ユーザーがコンテンツを発信、拡散するサービスとして投稿数が今後も拡大する見通しであります。より競争優位性を確保するため、機能開発とマーケティング活動を継続してまいります。

 コンテンツマーケティングサービスにおいては、BtoB向けストック型ビジネスである「はてなブログMedia」を成長事業として位置づけております。企業がインターネットを活用して動画、画像、テキストを提供し、潜在顧客の認知や興味関心を獲得する重要性がますます増加する見通しであります。デジタルマーケティング戦略や人材採用戦略において、オウンドメディアの活用がなされるマーケット傾向にあることから、潜在顧客に対しても、鋭意アプローチしてまいります。コンテンツ制作支援とともに、ネイティブ広告等の広告展開を実施することで、より収益獲得機会の拡大に努めてまいります。

 テクノロジーソリューションサービスにおいては、マンガビューワ「GigaViewer」の導入推進や、マンガ・小説投稿サービスを受託サービスとして受託開発・運営する事業の展開のみならず、BtoB向けストック型ビジネスである「Mackerel(マカレル)」を成長事業と位置づけております。サーバーの監視ツールは、クラウドサービスの市場拡大に伴い、顧客のニーズが高まり、潜在顧客も大きく広がってきています。高い品質と安定した運用を武器に、既存顧客・潜在顧客に対して鋭意アプローチしてまいります。

 

④ UGCサービス「はてな」の魅力の拡充

 当社のUGCサービスは、スマートフォンの端末の普及・拡大によるインターネットアクセス手段の多様化や音声などの入力手段の多様化、アプリストアと呼ばれるソフトウェア流通の手法の革新、他のSNSの台頭など、技術環境やサービス環境の進化に大きく影響を受けます。当社は、UGCサービスの新規機能開発やマーケティング活動の推進、新しいサービスの導入を適宜行っていくことでサービスの魅力を増大させて、投稿数や閲覧数を増加させていきたいと考えております。

 

⑤ 新規取引先の拡大と事業基盤の強化

 当社は、コンテンツプラットフォームサービスにおいては検索エンジンや他のSNSにアクセスを依存しており、広告売上がそのアクセスに左右されます。BtoB向けストック型ビジネスである「はてなブログMedia」、「Mackerel(マカレル)」、マンガビューワ「GigaViewer」においては、サービスの利用継続について顧客の投資動向の影響を受けるため、特に売上高上位顧客の解約率を低く保つことが事業上重要となります。コンテンツプラットフォームサービス自体のアクセス増大に取り組む他、他社への営業活動を積極的に行い、新規取引先の拡大に努めることで、事業基盤の強化を図ってまいります。

 

⑥ 組織体制の強化

 当社は、積極的に企業価値を拡大していくためには、優れたサービスを構築することができる専門的技術、知識を有した優秀な人材の採用を行うとともに、最大限に能力を発揮することができる組織体制の強化が重要な課題であると認識しております。このため、各事業フェーズに合わせ、即戦力となる人材確保を目的とした中途採用と、将来を担う社員の育成と組織の活性化を目的とした新卒採用を積極的に行ってまいります。

 また、業界を牽引する人材の育成を重点課題と位置づけ、職種別研修の実施や、専門資格の取得支援、広い成長機会の創出・支援を行ってまいります。

 さらに、年齢や国籍等に制限なく、高いスキルや潜在的な能力、情熱を持つ人材を積極的に登用し、適材適所を見極めながら事業状況に合わせた臨機応変な組織改編をスピーディーに行うことで、強固な組織体制を構築してまいります。

 また、従業員が新規サービスのアイデアを自発的に具現化する施策を行うなど、従業員のモチベーションを喚起し、イノベーションを創り出す組織文化を追求してまいります。

 

⑦ コーポレート・ガバナンス体制の強化

 当社は、株主、顧客、従業員、取引先、社会等のステークホルダーに対する社会的責任を果たすとともに、企業価値の最大化を図るためには、各ステークホルダーの立場を踏まえた上で、透明性が高く、公正かつ迅速で、果断な意思決定を行うための仕組みとしてのコーポレート・ガバナンス体制の構築と改善、強化が重要であると認識しております。業容拡大に伴う業務の増大に対応して、内部統制の仕組みを改善し、全社への教育や啓蒙を行うことで、より強固なコーポレート・ガバナンス体制を構築してまいります。

 

⑧ 知名度の向上

 当社は、UGCサービスにおいて20年以上の提供実績を持ち、個人に対しては一定の認知度を有していると考えております。一方で、法人顧客に対しては認知度が十分ではないと考えております。セミナー開催や技術カンファレンスにおける登壇などを通じて、積極的な広報活動や宣伝活動を実施し、認知度の向上に取り組みます。

 

⑨ 技術革新や市場変化への対応

 UGCサービスは、インターネット関連市場として、今後も技術革新や新たなサービスモデルにより、既存サービスの陳腐化、代替サービス、類似サービスの登場により競争の激化が起こると考えております。これらの変化に対応するために、市場動向を把握し、顧客企業にとって最適なサービス、ソリューションを提供し続けられるよう努めております。今後も市場のニーズを先取りした商品・サービスを開発し、市場の変化に対応してまいります。

 

⑩ ブランドセーフティへの対応

 インターネット広告では、数多くの広告主により多くの広告配信ネットワークから広告が配信されることから、広告配信業者による審査をかいくぐった不正な広告表示や錯誤を誘発する広告表示が可能な状態となっています。当社は、当社UGCサービスにおける閲覧者にそのような錯誤を発生させないよう、広告取り扱いに関する社内方針を定めて社内レビュー体制を強化し、信頼性の低い広告配信ネットワークについては利用を止めるなど、該当する広告取引の減少に取り組んでまいります。

 また、UGCサービスにおいては投稿者がコンテンツを投稿することから、コンテンツの種類によっては内容として適合しない広告を掲載するページが生成される可能性があります。そのような場合、広告を実施した事によって広告主のブランド毀損が発生する可能性があるため、このようなブランド価値毀損が発生しうる広告掲載を防止するブランドセーフティが意識されるようになってきております。当社では、広告主がブランド価値毀損を起こしにくいよう、UGCサービスにおけるページ内容と広告枠の適合性を高める技術を開発し推進すると同時に、投稿者が利用規約を遵守した投稿を行うような監視・サポート体制の構築・強化を行うことで、該当する広告取引の減少に取り組んでまいります。

 

(5) サステナビリティについて

 当社では、中長期的な企業価値向上に向け、ESG(Environment/環境、Social/社会、Governance/企業統治)が非常に重要であるとの認識のもと、その実現に向け、サステナビリティに係る取組みを進めてまいります。

 

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◎多様性

 当社は、従業員の多様な価値観や個性に対応するダイバーシティ施策の一環として、就業規則等の社内規程における「配偶者」の定義を同性や事実婚のパートナーを含むものに変更しております。これにより結婚(法律上の婚姻)を対象とする福利厚生制度の適用範囲も拡大しております。

 多様な価値観や個性に対応し、従業員が持つ力を発揮しながら事業成長と働きやすさを高次元でバランスさせた働きがいのある環境づくりを目指しています。積極的な採用活動による従業員増加を見据え、多様な価値観や個性への企業姿勢を明文化するため、LGBT(※)にも対応した社内規程となっております。これにより、「配偶者」の定義を同性や事実婚のパートナーも含むものに拡大し、パートナーとの関係を「結婚に相当する」として、慶弔見舞、育児介護休暇、赴任などの福利厚生制度を適用しています。

 また、LGBTに関する理解を深める社内研修を実施し、就業規則での「性自認・性的指向に関わる差別」の禁止を明文化しております。

 当社では、あらゆる人が固有に持つ文化、国籍、信条、人種、民族、言語、宗教、性別、年齢や考え方の多様性を尊重し、ダイバーシティを推進するため、関係機関の動向を確認しながら、制度の変更や柔軟な対応に取り組んでおります。

(※)レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーなどの性的少数者の総称のひとつ。

 

◎人的資本

 当社では、当社が掲げるミッションを実現し、事業成長を加速するためには、社員1人ひとりが成果を最大化し、持続的な成長を続けていくことが重要であると考え、多様性の確保の観点も含め、当社及び社員にとって生産性が最大化される人材戦略の策定及び環境整備に取り組んでおります。

◎社内環境整備

・ほたて(TGIF(Thank God It's Fridayの略))

 人数が少なかった創業時から、会社やサービスの方針を全社員で話し合う文化がありました。そこで生まれたのが、お酒を片手に行うはてな流の業務報告会「TGIF」です。Googleの全社ミーティング「TGIF」を参考にしており、社員間で気軽な報告会を行っています。「Hot」な「Task」を「手がけた」従業員を表彰するから、その頭文字を取って「ほたて」と呼んでいます。ほたての良さは、社員のアピール力の向上にとどまらず、普段、日の目を見ない社内向けの業務改善を広く社内に伝えられることにあります。「オフィス移転で賃料を交渉した」「メールサーバの改善で、レスポンスのスピードが上がった」といった細かな業務改善は、全社員が知ることはなかなかありません。京都と東京の2拠点にオフィスを構えており、この物理的な距離を縮め、同じオフィスにいても見えにくかった各部門の取り組みや会社の現状を、全社員が均等に知ることができます。

・多様な働き方

 当社では「フレキシブルワークスタイル制度」の開始からこれまでの間で、多くの従業員が在宅勤務中心の働き方を選択しています。社員を対象としたアンケートやサーベイの結果、1on1ミーティングなどによるヒアリング、生産性指数、そして在宅勤務の実施率(選択率)などから、従業員にとって「在宅勤務と出社勤務を選択可能」であることは満足度が高く、今後も継続を望まれている状態であると判断しています。

 また、在宅勤務中心となっても、安定的なサービス提供を実現できており、個人やグループの生産性についても「保たれている」または「向上している」状態であることを確認しています。

 これらの結果を踏まえ、当社では、ミッションにも掲げる「事業成長と働きやすさを高次元でバランスさせ、働きがいのある会社を目指す」ため、2年間の暫定的な制度であった「フレキシブルワークスタイル制度」を継続し、2022年5月1日より恒久的な制度とすることに決定しました。「所属オフィスから2時間以内」としていた居住地の制限を「全国」に拡大するとともに、フルフレックスを導入しております。これにより従業員は、オフィスや自宅といった場所や時間に捉われない働き方を選択できるようになります。

 なお、国土交通省「自転車通勤推進企業」宣言プロジェクトの「優良企業」に認定されている当社では、引き続き、オフィス出社の際の自転車通勤を推奨し、オフィス内に駐輪スペースを確保しています。

 

◎採用

 当社は、人材の多様性を、変化の激しい市場環境に対応し、スピードをもって事業展開できる組織の力へと変えるため、性別、国籍、様々な職歴をもつキャリア採用者など、多様な人材の採用、起用を、積極的かつ継続的に行いつつ、それぞれの特性や能力を最大限活かせる職場環境の整備やマネジメント層の教育などの取り組みを進めてまいりました。また、コロナ禍においても、学生向けにインターンシップをオンライン開催するなど、積極的な採用活動を継続しております。人材育成や組織の活性化を目的とした施策により、社員一人ひとりがパフォーマンスを最大化して働ける環境とカルチャーを生み出しております。具体的な施策として、テレワークの恒久化、フルフレックスの適用、フリーアドレス、フリースペースによる業務の実施制度などを通じて、社員一人ひとりが柔軟な働き方を選択できる業務環境を整えております。

 

◎人材評価

 当社では、優秀な人材については、性別、国籍、障害の有無等の属性に依ることなく、積極的に登用する方針の下、すべての社員に平等な評価及び登用の機会を設けております。管理職として登用するうえで、国籍や採用時期によって特段の差が生じているとは認識しておりません。

 以上のような状況のもと、現時点では、管理職登用等の目標設定や開示は行っておりません。

 

◎人材育成

 当社は、人材育成においては、主に新卒社員の早期戦力化を目的として、各種研修制度や、エンジニア向けの技術勉強会などを実施しております。社内のカルチャーを醸成する制度としては、業務報告会「TGIF」や半期に一度の社員納会などのイベントを通じ、社員が所属部門を超えた交流ができるような仕組みを構築、積極的に社員同士交流できるような環境を整備しております。また、当該業務の遂行に直接必要な技能、又は知識の習得又は研修等を受けるために要する費用支出について、会社負担としております。業務上有用な資格試験の受験補助、各種有料セミナーの受講補助、業務利用書籍等の購入補助など、従業員のキャリア形成に対して積極的な投資をしております。

 

◎健康経営、セーフティネット

・病気の予防

 当社では、毎年、インフルエンザの流行予防のため、予防接種を希望する従業員及びその家族に対して、会社負担による予防接種を行っております。社内におけるインフルエンザの蔓延を未然に防ぎ、欠勤に伴う業務停滞を防止することを目的とし、従業員の健康状態に配慮しております。

 

・万が一に備えるための保険

 当社では、福利厚生制度の一環として、目的別に複数の保険へ加入し、従業員に万が一の事態が生じた場合のセーフティネットを手厚くしております。従業員の健康面をサポートする福利厚生の1つとして有効であると考えております。

 

① 団体長期障害所得補償保険

 病気やケガで長期間働けなくなった従業員に対し、有給制度や健康保険だけでは補えない所得の喪失を最長で定年年齢まで補償する企業向けの保険に加入しております。収入ダウンを長期にわたりカバーすることで、安心して療養できる環境を整え、早期の就労復帰を支援しております。

 

② 業務災害総合保険

 自身が抱える病的疾患に関わらず、全従業員が加入可能であり、従業員が死亡した場合、その原因によって保険料がご遺族に支払われ、後遺障害が起きた場合は、その等級に応じた補償金が支払われ、病気で入院した際に入院1日あたり5,000円の給付金等が支払われ、かつ、がん通院医療費用、がん先進医療費用、疾病先進医療費用も充実し、「ガン・病気になっても通院治療を行い、日常を送る(就業も継続する)」という現代の治療トレンドにも沿った保険に加入しております。

 また、付随サービスとして、ティーペックのサービス(24時間対応の電話健康相談、メンタルケアカウンセリング、介護相談、セカンドオピニオンアレンジサービス、がん治療と仕事の両立支援サービス等)を利用することができます。

 

・ストレスチェック

 労働安全衛生法が改正され、2015年12月より、常時使用する労働者数が50人以上の事業場ではストレスチェックを年に一回実施することが義務化され、法令に則して毎年実施しております。

 

◎知的資産

 当社は、持続的な事業成長や価値の提供を目的として、知的資産への投資は必要不可欠であるものと認識しております。特に、商標権や著作権については、企業価値に大きく影響を及ぼすことから、当社の強みとして認識し、全社的に把握管理し、知財・無形資産の活動戦略を構築しております。

 例えば、一部の知財については、著作権を当社が保有し、商標登録することで、知的財産の強化を行っております。これにより、当社は利用顧客に対して、著作権に係るライセンスを付与し、月額利用料を収受(SaaS型サービス)するサービスを展開することで、競争力のある事業が創出されております。複数の利用顧客に対して横展開可能な知財となっており、持続的な価値の提供につながるビジネスモデルを構築しております。

 独自に開発した技術等のうち事業上の重要性等があるものについては、適宜特許出願を行ってまいります。事業の性格上、特許等に該当しない知的財産については、当社の社名やサービス名を、国内外において商標登録することにより、知的財産の強化を行っております。

 

◎環境関連

 2020年10月26日の所信表明演説において、我が国は、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。また、2021年4月の地球温暖化対策推進本部及び米国主催の気候サミットにおいて、「2050年目標と整合的で、野心的な目標として、2030年度に、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す。さらに、50%の高みに向けて、挑戦を続けていく」ことを表明しました。

 当社は、インターネット関連事業を主な事業として行っており、気候変動問題が当社事業に重要な影響を及ぼすことは想定されないために、TCFDに基づく開示等は、現時点では行っておりません。しかしながら、あらゆるグローバル課題の中でも、特に気候変動をはじめとする環境問題に関する認識は、この数年間だけでも劇的に変化しております。ビジネス面及び事業者としての取り組み双方で、喫緊の対応が迫られていると認識しております。スモールスタート&クイックウィンを目指し、「脱炭素(カーボン・ニュートラル)」を課題として認識しております。

 温室効果ガスの排出の抑制を図るために、まずは、当社自らの活動により排出される温室効果ガスの量を算定・把握しました(㈱enechainへ算定業務を委託)。その結果、当社のGHGプロトコルは、SCOPE1+2において、87.4tCO2となっております。これにより、排出抑制対策を立案し、対策の効果をチェックし、新たな対策を策定して実行することが可能となっております。再生可能エネルギーなどの非化石電源は、化石燃料を使う化石電源に比べ、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量が少ないという特徴があります。二酸化炭素を発生させない電気には、「環境価値」があり、その環境価値のひとつである「非化石価値」を取り出し、「非化石証書(※)」として取得することも検討してまいります。

(※)非化石証書とは、非化石電源により発電された電気について、非化石価値を分離し、証書にしたものです。

非化石電源には、再生可能エネルギー、原子力があります。

非化石証書には、FIT非化石証書、非FIT(再エネ指定)非化石証書、非FIT(再エネ指定無し)非化石証書の

3種類があります。

 

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