事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしも以下に記載するリスク要因に該当しない事項につきましても、投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から、以下に記しております。当社グループにおきましては、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び万が一発生した場合の迅速な対処に努める方針ではありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項並びに本書における本項以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 電子決済市場に関するリスク

① 電子決済市場について

当社グループが営んでいるハウスプリペイドカード事業及びブランドプリペイドカード事業は、電子決済市場に属しており、当社グループのカード発行枚数及び決済金額は増加傾向にあります。しかしながら、電子決済市場の将来性には不透明な部分があり、同市場における新たな規制の導入、個人消費の衰退、その他予期せぬ事象の発生によって、電子決済市場が順調に成長しない場合、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 法的規制等について

当社グループが営んでいるハウスプリペイドカード事業及びブランドプリペイドカード事業は、電子決済市場に属しており、資金決済法の規制を受けております。当社グループでは顧問弁護士等を通じて新たな規制の情報を直ちに入手し対応するための体制を整えておりますが、今後、新たに資金決済法における資金保全義務(供託金等)に関する規制等の制定等又は改正が実施された場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 事業内容に関するリスク

① 他社との競合について

当社グループは、ハウスプリペイドカード事業及びブランドプリペイドカード事業を主たる事業領域としておりますが、当該分野においては他企業も事業を展開しております。資金決済に係る同事業は参入障壁が比較的高いと当社グループは認識しているものの、市場の拡大により競合が激しい状況にあります。当社グループは、最適なユーザビリティを追及したシステムの構築、コンテンツの提供、システム利用時の安全性の確保及びカスタマーサポートの充実等に取り組み、差別化をして競争力の向上を図っております。しかしながら、当社と同様のサービスを展開する企業等との更なる競合激化や、価格競争等が発生し、十分な差別化が図られなかった場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② ブランドプリペイドカード事業について

当社グループは、ブランドプリペイドカード事業を2013年7月より開始いたしました。当社グループは、当該事業を軌道に乗せ、早期に投資資金の回収をすべきと認識しておりますが、サービス開始からシステムの安定的な稼働を維持するための外注費が発生したことにより、2期連続で赤字となったため、2015年6月期にブランドプリペイドシステム開発投資のうち413,946千円を減損処理いたしました。また、2019年6月期においては、当初計画した投資回収期間に対して長期化が見込まれると判断したため、これらに係る固定資産について減損損失66,817千円を計上しております。

しかしながら、当社グループにおけるブランドプリペイドカード事業の位置づけは、ハウスプリペイドカード事業同様に当社グループの主たる事業領域であることで変わりはなく、ハウスプリペイドカードの利便性をより高めた決済ツールとしての商品性及び当社サービスにおける成功事例を当社ハウスプリペイドカードの既存顧客・販売代理店へ訴求し、導入顧客の拡大を図る他、ブランドプリペイドカードと親和性を期待できる領域(ポイントサービス事業者等)への積極的な展開を計画しております。また、「残高管理センター」のセンター機能見直しや提供先を追加する際のプロセスを簡略化することで導入コストを削減し、競争優位性を強化する等の施策によって導入企業数を増加させております。ただし、市場規模の拡大が鈍化した場合や当社の想定以上に開発費が増加した場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 資産の減損について

当社グループは、ハウスプリペイドカード事業及びブランドプリペイドカード事業の開発に係わるコストについて、資産性のあるものについては自社サービス用のソフトウエアとして無形固定資産に計上し、費用化すべきものについては各事業年度において費用化しております。しかしながら、各事業の事業収益が悪化した場合には、減損会計の適用による減損処理が必要となる場合があり、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ システム障害及び情報セキュリティ事故

当社グループの提供するハウスプリペイドカード事業及びブランドプリペイドカード事業のサービスは、基本的にインターネットまたは専用回線を用いて店舗と当社データセンター間を接続しサービスを提供しております。当社グループは、外部のIT事業者とも連携し、事業の安定的な運用の為のシステム強化や、予期せぬ情報システムの障害や内外からの不正アクセス・攻撃に対する対策を講じておりますが、情報セキュリティ事故や通信事業者側の回線障害、役職員の過誤によるシステム障害が発生した場合、営業活動への支障や損害賠償等の法的な紛争が生じる可能性があり、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 自然災害等の発生

当社の事業所は東京都中央区のみに設置しており、事業活動に関わる設備及び人員が同施設に集中しております。そのため、周辺地域において、地震等の自然災害、大規模な事故、火災、テロ等が発生し、事業設備の損壊、各種インフラの供給制限等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 人材育成・確保について

当社グループが成長を続けていくために不可欠な要素の一つが、優秀な人材の確保であります。当社グループは今後のグローバルな事業展開を見据えて、人材の採用及び人材育成を重要な経営課題の一つと位置付けており、統括的なプロジェクトマネジメント能力を有する人材を重点的に確保しつつ、将来当社グループを担う人材の育成に注力しております。

しかしながら、人材育成が円滑に進まない場合、又は各部門において中心的役割を担う特定の従業員が万一社外に流出した場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 大日本印刷株式会社との関係について

当社グループの販売代理店である大日本印刷株式会社は、当社とサービス提供における包括的な業務提携を行っております。具体的には、代理店契約に基づき、当社グループの再販代理店として販売代理店取引を行っており、当連結会計年度における同社に対する売上高の割合は15.8%となりました。そのため、同社との取引は、当社の売上高の増減に対して一定の影響を与える可能性があります。特にブランドプリペイドカード事業においては、当初、同社のサポートを受けながら当該事業を立上げた経緯もあり、当連結会計年度における当該事業の売上高の大半は同社が占めております。今後は販売代理店との関係維持・強化を図りながら、販売代理店を増加させ、同社への過度な依存の低減に努めると共に当該事業基盤の強化を図ってまいります。なお、同社との間には、従業員の派遣出向及び受け入れ出向並びに営業外取引は存在しておらず、当社グループの事業戦略、人事政策及び資本政策について、何ら制約は受けておりません。同社と当社グループの関係は良好でありますが、今後取引の継続が困難になった場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 代理店との取引関係について

当社グループは、当社グループのバリューカードASPサービスの顧客確保及び事業拡大を図るに当たって、多くの導入企業と業務上取引のある企業を当社グループのバリューカードASPサービスの販売代理店として代理販売契約を締結し、販売促進に向けた協業を行っております。例えば、全国の飲食店・小売店へPOSレジシステムの導入を行っている大手POSベンダーと提携し、当該代理店が自社の顧客である飲食店・小売店へ当社プリペイドカードサービスの紹介を行うほか、同代理店のPOSレジシステムに当社プリペイドカードサービスの機能を標準搭載することでサービス導入のリードタイムを短縮可能とする取組みを行っております。販売代理店には、再販代理店及び取次代理店が存在しております。また、販売代理店と当社グループの関係は良好でありますが、今後取引の継続が困難になった場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 業務委託先との取引関係について

当社グループは、サーバー管理型プリペイドカードシステムをASPで提供しており、ユーザに継続して安定的にサービスを利用していただくために、これらサービスの一部を外部に委託しております。例えば、導入先企業の顧客向けのメール配信サービスの委託やシステムの運用管理の一部を外部に委託しております。これらの業務委託先と当社グループの関係は良好でありますが、今後取引の継続が困難になった場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 季節性による収益の偏重について

当社グループのハウスプリペイドカード事業において、当社グループのバリューカードASPサービスの主要な導入企業は飲食業・小売業が中心であり、繁忙期である夏季商戦、次いで年末商戦を見据えての導入を行うケースが多く見られます。このことから、当社売上も夏季商戦直前の第4四半期がピークとなり、それを過ぎた翌連結会計年度の第1四半期はその反動でやや落ち着く傾向があります。また、案件の進行状況によっては、稼働時期の遅延等により、予定されていた事業年度内に売上高が計上されない可能性があり、その場合、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 事業体制に関するリスク

① 小規模組織であることについて

当期連結会計年度末日における当社組織は、取締役6名(うち社外取締役1名)、監査役3名(うち非常勤監査役2名)、従業員数87名(うち臨時雇用者数10名)であり、会社の規模に応じた内部管理体制や業務執行体制となっております。このため、業容拡大に応じた人員を確保できず役職員による業務遂行に支障が生じた場合、あるいは役職員が予期せず退社した場合には、内部管理体制や業務執行体制が有効に機能せず、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 代表取締役社長尾上徹への依存について

代表取締役社長である尾上徹は、当社グループの創業者であり、クレジットカード業界で得た豊富な経験と知識を活かし、グループの代表として指揮をとっております。何らかの理由により同氏が当社グループにおいて業務を継続することが困難となった場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 海外展開におけるリスク

当社グループは、現在、中国、韓国、シンガポール、タイ等アジア地域を中心に、海外への事業の進出を図っております。グローバルな事業活動を展開するうえで、各国における法的規制、政情不安や事業環境の不確実性等のリスクを完全に回避できる保証はありません。このようなリスクに直面した場合には、当該国における費用が当初の見込みを上回る可能性があり、当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があります。

 

 

(4) その他
① 外国為替相場の変動に関するリスク

当社グループは、中国に連結子会社を有し、アジア地域を中心として海外への事業進出を図っております。各国における取引は主に外貨建てで行っており、為替相場が変動した場合には、当社グループの経営成績及び財務状態に影響を及ぼすこととなります。

 

② 配当政策について

当社グループは、当面は株主への長期的な利益還元を実現するために、環境変化に対応した事業展開を行うとともに、内部留保資金の充実を図る方針でおります。将来は、株主への利益還元と財務体質ならびに内部留保の充実のバランスを考慮しながら、配当を検討する所存でおりますが、現時点においては、配当実施の可能性及びその実施時期につきましては未定であります。

 

③ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社グループは、当社及び子会社の取締役及び従業員に対するインセンティブ付与を目的とし、新株予約権を付与しております。新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、当連結会計年度末日現在におけるこれらの新株予約権による潜在株式数は78,700株であり、発行済株式総数の4.5%に相当しております。

また、当社は当連結会計年度において、中期経営計画実現に向けた資金調達を実施するために、マイルストーンキャピタル・マネジメント株式会社を割当先とする第11回新株予約権を発行しております。その後、当社は割当先であるマイルストーン・キャピタルマネジメント株式会社より当該新株予約権の権利未行使残数の全てについて取得しており、本報告書提出日現在において、自己新株予約権として2,000個(潜在株式数は200,000株であり、発行済株式総数の11.5%相当)を保有しております。

なお、これらの新株予約権が行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 

④ 新型コロナウイルス感染症による影響について

当社グループの展開するプリペイドサービスは、小売店や飲食店等を主要な利用チャネルとしております。

当連結会計年度においても、顧客企業の一部業態において、新型コロナウイルス感染症拡大による営業自粛等の影響を受けてプリペイド利用の減少等が見受けられました。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により営業活動の制限を余儀なくされ、新規案件の導入開始までにおける準備期間が長期化しており、新規の大型案件等の導入開始時期に一部遅れが生じております。

今後、新型コロナウイルス感染症が更に拡大し、事態が長期化、深刻化した場合には、消費低迷に伴うプリペイド利用の減少とそれによる当社収益の悪化や新規案件の獲得ペースの鈍化等が発生する可能性があります。

また、従業員の安全確保の観点から、グループ全体で海外への渡航、国内出張の制限、テレワーク(在宅勤務)等の対応を実施しておりますが、今後、更なる就労環境や業務プロセスの変容が必要となる可能性もあります。

現時点でリスクの全容を確定的に見積ることは非常に難しいものの、今後の状況次第ではこうした事態により、当社グループの業績および財務状況に影響が発生する可能性があります。

 

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