業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の概要)

(1)経営成績

 ① 経営成績全般

 当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の大流行による世界的な経済活動抑制の影響により厳しい状況にあったものの、堅調に推移している半導体関連業界を含む製造業で回復過程にあるなど、持ち直しの動きが見られた。国内経済においては、個人消費は持ち直しの動きが見られ、企業収益は輸出の増加傾向により製造業を中心に持ち直すなど、企業の業況判断は回復感が見られた。

 

 当社グループは、お客様、お取引先、従業員など関係する皆様の安全・健康を第一に考え、COVID-19感染予防の施策を実施している。具体的には、全社に在宅勤務制度を導入し、特に本社においては抜本的な業務の改善を併せて行うことで政府が求める水準を上回るテレワークを継続実施している。また、感染懸念時における特別休暇の付与、国内外出張の制限、完全フレックスタイム制度による時差出勤の励行など従業員の安全確保と感染拡大防止を最優先にした施策を継続している。同時に、生産拠点では感染防止策を徹底した上で生産活動の維持に努め、お客様に対する製品供給の継続など社会インフラ機能の維持に注力している。

 

 当連結会計年度の連結営業成績については、売上高は、その他セグメントは昭光通商㈱の株式譲渡による非連結化で大幅減収となり、アルミニウムセグメントもアルミ圧延品、アルミ缶の各事業売却により減収となったが、石油化学セグメントは市況回復、化学品、エレクトロニクス、無機の各セグメントはCOVID-19の影響を受け落ち込みの大きかった前連結会計年度に比べ数量が回復し、さらに昭和電工マテリアルズセグメントの通期連結化により、総じて大幅な増収となる1兆4,196億35百万円(前連結会計年度比45.8%増)となった。営業利益は、各セグメントで半導体供給不足に伴う自動車等生産減や、原材料価格高騰の影響を受けるなか、昭光通商㈱の非連結化によりその他セグメントは減益となったが、石油化学セグメントは主にナフサ要因の大幅な改善、無機セグメントは鉄鋼需要の回復に伴う販売数量の大幅な増加、昭和電工マテリアルズセグメントの通期連結化により増益となった。化学品、エレクトロニクス、アルミニウムの3セグメントも諸施策の効果顕現等により増益となり、総じて大幅増益となる871億98百万円(同1,066億47百万円増)となった。営業外損益は、支払利息は増加したが、前連結会計年度の旧日立化成㈱株式取得に関連する一過性の各種手数料等がなく、為替差益、持分法による投資利益が増加し、経常利益は868億61百万円(同1,308億32百万円増)となった。

 親会社株主に帰属する当期純損益は、特別損失として蓄電デバイス・システム事業の譲渡に係る事業構造改善費用301億円、アルミ機能部材事業の生産拠点における環境対策費90億円等を計上したことにより、120億94百万円の損失となったものの、前連結会計年度比では642億10百万円の大幅な改善となった。

 

  ② セグメントの経営成績

(石油化学)

 当セグメントでは、オレフィン事業は、中国需要の回復による東アジアの需給バランスの改善、原料価格上昇によるエチレン・プロピレン等の製品市況の改善により増収となった。有機化学品事業は、酢酸エチル・酢酸ビニルは定修のあった前連結会計年度に比べ販売数量の増加に加え市況も大幅に上昇し増収となった。

 この結果、当セグメントの売上高は2,831億45百万円(前連結会計年度比46.4%増)となり、営業利益はナフサ要因の大幅な改善、製品市況の上昇により大幅な増益となる207億1百万円(同320.2%増)となった。

 

(化学品)

 当セグメントでは、基礎化学品事業は、液化アンモニアは数量増、アクリロニトリルは米国ハリケーンに伴う需給タイト化と原燃料価格高騰による大幅な市況上昇と数量増、クロロプレンゴムは輸出数量が増加し、総じて増収となった。情報電子化学品事業は、旺盛な半導体用途の需要を受けた数量増により増収となった。機能性化学品事業は、原材料価格高騰や自動車生産台数減少の影響が出たものの国内、輸出の数量増により増収となった。産業ガス事業、コーティング材料事業は数量増により増収となった。

 この結果、当セグメントの売上高は1,868億73百万円(前連結会計年度比20.0%増)となり、営業利益は215億97百万円(同60.2%増)となった。

 

(エレクトロニクス)

 当セグメントでは、ハードディスク事業はHDメディアがデータセンター向け、PC向けともに出荷数量が増加し増収となった。化合物半導体は輸出数量が増加し増収となった。リチウムイオン電池材料事業は、車載・PC・モバイル向けLIB用アルミラミネート包材SPALF®の販売量が増加し増収となった。SiCエピタキシャルウェハー事業は、需要拡大に加え、パワー半導体デバイスメーカー複数社との長期供給契約締結に伴い販売数量が増加し増収となった。

 この結果、当セグメントの売上高は1,208億68百万円(前連結会計年度比24.1%増)となり、営業利益は161億53百万円(同76.9%増)となった。

 

(無機)

 当セグメントでは、黒鉛電極事業は、前連結会計年度後半からの世界的な鉄鋼需要の高まりに伴い販売数量が増加し増収となった。セラミックス事業は研削材、電子材料用ファインセラミックスの販売数量が増加し増収となった。

 この結果、当セグメントの売上高は1,023億0百万円(前連結会計年度比23.4%増)となり、営業利益は前連結会計年度の原材料等棚卸資産低価法の戻り益等により大幅増益となる144億12百万円(同467億12百万円増)となった。

 

(アルミニウム)

 当セグメントでは、アルミ機能部材事業は、半導体供給不足の影響を受けつつも、自動車部材、工作機械、OA機器業界向けに需要が増加し増収となった。アルミ圧延品事業とアルミ缶事業は当連結会計年度中に事業売却したため減収となった。

 この結果、当セグメントの売上高は761億79百万円(前連結会計年度比5.0%減)となったが、営業利益は69億2百万円(同64億81百万円増)となった。

 

(昭和電工マテリアルズ)

 2020年第2四半期連結会計期間より、昭和電工マテリアルズ㈱及びその子会社を連結の範囲に含めたことから、報告セグメントを新設し、2020年第3四半期連結会計期間期首より売上高、営業利益を取り込んだ。

 当セグメントでは、旺盛な半導体需要を背景に、半導体回路平坦化用研磨材料等の電子材料、銅張積層板等の配線板材料が堅調に推移した。また、樹脂成形品等のモビリティ部材は、当連結会計年度前半はCOVID-19感染拡大の影響を受けた前連結会計年度から回復したものの、後半は半導体供給不足による自動車生産台数の低迷の影響を受けた。

 この結果、当セグメントの売上高は6,350億33百万円(同109.8%増)となり、営業利益は原材料価格の高騰が減益要因となったものの、堅調な販売を背景に、203億16百万円(同266億19百万円増)となった。なお、当セグメントの営業利益には、昭和電工マテリアルズ㈱の株式取得に伴って計上したのれん等の償却費等約334億円が含まれている。

 

(その他)

 当セグメントでは、売上高は2021年第2四半期連結会計期間から昭光通商㈱の株式譲渡による非連結化に伴い大幅な減収となる440億59百万円(前連結会計年度比58.9%減)となり、営業損益は38百万円(同12億37百万円減)の小幅な損失となった。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の増加等により、前連結会計年度に比べ59億97百万円の収入増加となる1,152億83百万円の収入となった。

投資活動によるキャッシュ・フローは、事業譲渡による839億15百万円の収入の影響等により、前連結会計年度の連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による8,902億30百万円の支出の影響等も含め、9,586億53百万円の支出減少となる286億6百万円の収入となった。

この結果、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ9,646億50百万円の支出減少となる1,438億89百万円の収入となった。

財務活動によるキャッシュ・フローは、株式の発行による824億5百万円の収入や社債の発行による995億39百万円の収入等があったが、長期借入金の返済による3,072億47百万円の支出や、前連結会計年度の長期借入金による7,021億63百万円の収入の影響等も含め、1兆182億62百万円の収入減少となる1,217億41百万円の支出となった。

この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、為替変動の影響等も含め、前連結会計年度末に比べ370億11百万円増加となる2,349億38百万円となった。

 

(生産、受注及び販売の実績)

(1)生産実績

 当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことはしていない。このため生産の状況については、「経営成績等の概要 (1)経営成績 ②セグメントの経営成績」におけるセグメントの経営成績に関連付けて示している。

(2)受注実績

  当連結会計年度における受注実績は、次のとおりである。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

その他

648

△5.8

38

35.7

 (注) 上記金額には、消費税等は含まれていない。

(3)販売実績

  当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

石油化学

283,145

46.4

化学品

186,873

20.0

エレクトロニクス

120,868

24.1

無機

102,300

23.4

アルミニウム

76,179

△5.0

昭和電工マテリアルズ

635,033

109.8

その他

44,059

△58.9

調整額

△28,822

合計

1,419,635

45.8

 (注)1 セグメント間の取引については、相殺消去前の数値によっている。

2 上記金額には、消費税等は含まれていない。

3 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略している。

4 販売実績が前連結会計年度と比べて大幅に増加しているが、これは主に昭和電工マテリアルズ㈱及びその子会社の通期連結化によるものである。

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

(1)財政状態の分析

 当連結会計年度末の総資産は、販売量の回復と製品・原材料の高騰により営業債権や棚卸資産は増加、現金及び預金は主に公募増資の払い込みにより増加したものの、有形固定資産、のれん等無形固定資産は減少し、前連結会計年度末比612億16百万円減少の2兆1,423億90百万円となった。負債合計は、営業債務は増加したものの有利子負債(借入金、コマーシャル・ペーパー、社債及びリース債務)が減少し、前連結会計年度末比1,615億88百万円減少の1兆3,239億37百万円となった。なお、有利子負債残高は営業キャッシュ・フロー及び事業売却等によって得られた資金を返済原資として前連結会計年度末比2,095億43百万円の大幅減少となる8,506億3百万円となった。純資産は、主に半導体関連材料の急拡大しつつある需要を前倒しで取り込むための設備投資の資金調達を目的とした公募増資の実施により、資本金及び資本剰余金が増加、為替換算調整勘定等の増加もあり、前連結会計年度末比1,003億72百万円増加の8,184億52百万円となった。

 

(2)経営成績の分析

 当連結会計年度の連結営業成績については、売上高は、その他セグメントは昭光通商㈱の株式譲渡による非連結化で大幅減収となり、アルミニウムセグメントもアルミ圧延品、アルミ缶の各事業売却により減収となったが、石油化学セグメントは市況回復、化学品、エレクトロニクス、無機の各セグメントはCOVID-19の影響を受け落ち込みの大きかった前連結会計年度に比べ数量が回復し、さらに昭和電工マテリアルズセグメントの通期連結化により、総じて前連結会計年度に比べ4,459億35百万円増加し1兆4,196億35百万円となった。

 売上原価は、売上高の増加に伴い前連結会計年度に比べ2,672億64百万円増加し1兆816億42百万円となった。

 販売費及び一般管理費は、昭和電工マテリアルズセグメントの通期連結化により前連結会計年度に比べ720億25百万円増加し2,507億96百万円となった。

 営業利益は、各セグメントで半導体供給不足に伴う自動車等生産減や、原材料価格高騰の影響を受けるなか、昭光通商㈱の非連結化によりその他セグメントは減益となったが、石油化学セグメントは主にナフサ要因の大幅な改善、無機セグメントは鉄鋼需要の回復に伴う販売数量の大幅な増加、昭和電工マテリアルズセグメントの通期連結化により増益となった。化学品、エレクトロニクス、アルミニウムの3セグメントも諸施策の効果顕現等により増益となり、総じて営業利益は、前連結会計年度に比べ1,066億47百万円増加し871億98百万円となった。

 経常利益は、支払利息は増加したが、前連結会計年度の旧日立化成㈱株式取得に関連する一過性の各種手数料等がなく、為替差益、持分法による投資利益が増加し、前連結会計年度に比べ1,308億32百万円増加し868億61百万円となった。

 特別利益は、事業譲渡益の計上等により前連結会計年度に比べ146億3百万円増加し230億33百万円となった。

 特別損失は、蓄電デバイス・システム事業の譲渡に係る事業構造改善費用301億円、アルミ機能部材事業の生産拠点における環境対策費90億円等を計上したことにより、前連結会計年度に比べ542億48百万円増加し869億68百万円となった。

 これにより、税金等調整前当期純利益は229億26百万円となり、親会社株主に帰属する当期純損益は120億94百万円の損失となったものの、前連結会計年度に比べ642億10百万円の大幅な改善となった。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の増加等により、前連結会計年度に比べ59億97百万円の収入増加となる1,152億83百万円の収入となった。

投資活動によるキャッシュ・フローは、事業譲渡による839億15百万円の収入の影響等により、前連結会計年度の連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による8,902億30百万円の支出の影響等も含め、前連結会計年度に比べ9,586億53百万円の支出減少となる286億6百万円の収入となった。

この結果、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ9,646億50百万円の支出減少となる1,438億89百万円の収入となった。

財務活動によるキャッシュ・フローは、株式の発行による824億5百万円の収入や社債の発行による995億39百万円の収入等があったが、長期借入金の返済による3,072億47百万円の支出や、前連結会計年度の長期借入金による7,021億63百万円の収入の影響等も含め、1兆182億62百万円の収入減少となる1,217億41百万円の支出となった。

この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、為替変動の影響等も含め、前連結会計年度末に比べ370億11百万円増加となる2,349億38百万円となった。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、必要な資金について、自己資金の利用に加え、長期資金を主に設備投資計画等に基づき銀行借入及び社債の発行等によって調達するとともに、短期的な運転資金を銀行借入及びコマーシャル・ペーパーの発行等により調達している。

当連結会計年度においては、足元の半導体市場の活況により想定以上に早く到来した集中投資のタイミングを鑑み、2021年9月に公募増資により約772億円、2021年10月に第三者割当増資により約60億円をそれぞれ調達した。その結果、当連結会計年度末の自己資本比率は24.0%、ネットD/Eレシオは1.15倍まで改善した。引き続き財務健全性の維持・向上に努め、中期的にはネットD/Eレシオを1.0倍に近づけることを目指していく。

 

当社は、株主還元について、中長期的に化学業界で上位25%の水準の総株主還元(TSR)を目指している。企業価値向上のため、コア成長事業向けを中心とした設備投資を積極的に行うとともに、財務体質強化のための有利子負債圧縮を進め、配当については、当面、安定配当を継続する。

 

当社グループは、事業活動における収益力の向上に加え、運転資金の効率化等により、フリー・キャッシュ・フローの拡大を進めている。また、グループ各社の資金集約化等により、資金の効率的な活用も行っている。資金の流動性については、当連結会計年度末に保有している2,349億38百万円の現金及び現金同等物に加え、1,500億円のコミットメント・ラインを確保しており、資金需要にタイムリーに対応ができる状態を維持している。

 

(5)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 2020 年12 月発表の長期ビジョン(2021~2030)においてEBITDA マージン、ネットD/E レシオ等を統合新会社としての長期数値目標として設定した。今回、規律を重視する観点でROE に代わり今回新たな数値目標としてROIC を導入し、これらの数値を達成していくことで総株主還元(TSR)は中長期的に化学業界で上位25%の水準を目指していく。

 

 

 

2021年実績

2022年予想

2025年

2030年

売上*

(兆円)

1.42

1.35

1.6

1.8~1.9

EBITDAマージン

(%)

14.3

14.4

20

 

ROIC

(%)

4.3

4.8

中長期的に10%

ネットD/Eレシオ

(倍)

1.15

1.19

1.0倍を目指す

 

      * 今後のM&A等を考慮しない場合の目安値

 

(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成している。この連結財務諸表の作成にあたり、当連結会計年度における資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える将来に関する見積りを実施する必要がある。経営者は、これらの見積りについて、当連結会計年度末時点において過去の実績やその他の様々な要因を勘案し、合理的に判断しているが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる場合がある。

 当社グループの連結財務諸表作成において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しているが、特に次の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えている。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定についての情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載している。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載している。

 

①有形固定資産及び無形固定資産(のれんを含む)の減損

 当社グループは、営業活動から生ずる損益またはキャッシュ・フローが継続してマイナスとなるなど減損の兆候が見られる場合に資産又は資産グループについて減損の判定を行い、使用価値と正味売却価額のいずれか高い方が帳簿価額を下回っていると判断される場合には、その差額を減損損失として認識する。使用価値は予算等社内における管理会計の計画数値を基に見積り、正味売却価額については不動産鑑定評価額等から関連する経費等を差し引いた額で見積っている。

 将来の不確実な経済条件の変動等により有形固定資産及び無形固定資産(のれんを含む)の評価に関する見積りの前提が変化した場合には、認識される減損損失の金額に重要な影響を与える可能性がある。

 

②たな卸資産の評価

 当社グループで保有するたな卸資産は取得原価をもって貸借対照表価額とし、収益性の低下により期末における回収可能価額が取得原価よりも下落している場合には、回収可能価額までたな卸資産の評価を切り下げている。回収可能価額は、商品及び製品については正味売却価額に基づき、原材料等については再調達原価に基づいている。

 当社グループの保有するたな卸資産の一部は、価格変動の著しい経済環境の影響を受ける傾向にあるため、市場価格が下落した場合には、たな卸資産の帳簿価額を切下げることになる。特に原油価格が下落した場合や黒鉛電極の需要が急激に減少した場合には、たな卸資産の評価損の金額に重要な影響を与える可能性がある。

 

③繰延税金資産の評価

 当社グループが計上している繰延税金資産は、将来減算一時差異等に関するものであり、定期的かつ合理的に回収可能性の評価のための見積りを実施している。繰延税金資産の回収可能性は、主に将来の課税所得の見積りによるところが大きく、課税所得の予測は将来の市場動向や当社グループの事業活動の状況及びその他の要因により変化する。繰延税金資産の回収可能性に不確実性がある場合、将来回収される可能性が高いと考えられる金額までを繰延税金資産に計上している。

 当該見積りについて、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合には、繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性がある。

 

④退職給付債務及び費用

 当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在する。確定給付制度の退職給付債務は、数理計算上の仮定を用いて算定しており、当該数理計算上の仮定には、割引率、退職率、昇給率等の様々な計算基礎がある。

 当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合には、退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び退職給付に係る調整累計額の金額に重要な影響を与える可能性がある。

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