業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に含めて記載しております。

 

②生産、受注および販売の実績

 a. 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

増減率(%)

材料事業

124,110

21.2

装置事業

4,129

89.6

合計

128,239

22.6

 (注)金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。

 

 b. 受注実績

 当社および連結子会社は、基本的には見込生産を行っております。ただし、装置事業は受注生産であり、その実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

増減率(%)

受注残高(百万円)

増減率(%)

装置事業

3,446

99.9

2,331

389.6

 (注)金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。

 

 c. 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

増減率(%)

材料事業

137,725

20.0

装置事業

2,329

△17.1

合計

140,055

19.1

 (注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2020年1月1日

至  2020年12月31日)

当連結会計年度

(自  2021年1月1日

至  2021年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

Taiwan Semiconductor Manufacturing Company,Ltd.

31,321

26.6

37,623

26.9

3 金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 a. 経営成績等の状況に関する経営者の視点による認識・分析・検討

財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は、2,172億64百万円で、前連結会計年度末に比べ160億78百万円増加いたしました。

 流動資産は前連結会計年度末に比べ219億39百万円増加し1,188億83百万円となりました。これは現金及び預金が90億13百万円増加し、受取手形及び売掛金も75億92百万円増加したことが主な要因であります。

 固定資産は前連結会計年度末に比べ58億61百万円減少し983億80百万円となりました。これは、有形固定資産が38億20百万円増加した一方、長期預金の短期振替により、投資その他の資産が99億円減少したことが主な要因であります。

(負債)

 当連結会計年度末の負債合計は、520億73百万円で、前連結会計年度末に比べ108億82百万円増加いたしました。これは、支払手形及び買掛金が55億4百万円増加し、また、長期借入金の短期振替により、短期借入金が39億円増加したことが主な要因であります。

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は、1,651億90百万円で、前連結会計年度末に比べ51億96百万円増加いたしました。これは、為替換算調整勘定が30億11百万円増加したことが主な要因であります。

 この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は71.7%となりました。

 

経営成績の分析

 当連結会計年度の世界経済ならびに日本経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響から経済活動が抑制されたため、一部において持ち直しの動きが見られたものの、本格的な回復には至らない状況で推移しました。

 当社グループ製品の主な需要先であります半導体やディスプレイをはじめとするエレクトロニクス市場においては、5GやIoT等の普及に加え、テレワークの浸透やクラウドサービス利用の拡大等により、パソコンやデータサーバー向けの半導体需要が好調に推移しました。

 このような情勢下において当社グループは、「豊かな未来、社会の期待に化学で応える“The e-Material Global Company”」という経営ビジョンの下、当連結会計年度を最終年度とする3カ年の中期計画「tok中期計画2021」に掲げた全社目標「TOKグループがやるべきニッチな市場を開拓する」を達成すべく、全社戦略である「顧客の声を的確に捉え、迅速に応え、顧客とのパイプを、より太く、より強いものとする」、「マーケティングを強化し、顧客の価値創造プロセスへの理解を深め、新たな価値創造に結び付ける」、「自ら調べ、自ら判断し、自ら行動できる人材を強化する」、「tok経営基盤を強化する」の遂行に総力をあげて取り組んでまいりました。また、前年度に引き続き新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けた措置を講じてまいりました。さらに、新型コロナウイルス感染症等の影響による世界規模のサプライチェーンリスクが見られた中でも、当社グループは安定的な供給体制の維持に努めるなど、事業活動を継続してまいりました。

 まず、当連結会計年度においては、高度化する顧客の要求に応えるべく、次世代半導体材料開発の促進のため産官学連携を強化したほか、製品の品質や生産技術の向上を加速させるための専門部署を新設いたしました。また、高まる製品需要に応えるため、中国に販売子会社を設立するなど、顧客サポート体制の強化を実施いたしました。

 次に、顧客の価値創造プロセスに応じた最適な製品を提供する体制を強化するため、営業部門の組織再編を実施いたしました。また、新規事業分野においては、外部機関との協業の成果となる遺伝子診断や創薬の発展に貢献する次世代ライフサイエンス向け材料の販売を促進してまいりました。

 加えて、今後の当社グループを支える人材基盤を強化するため、人事制度改革に継続して取り組むとともに、人材の活性化を目的とした従業員向けの研修体制を拡充するなどの諸施策に取り組んでまいりました。

 さらに、財務資本施策として、経営資源のより有効な活用を目的としたバランスシートマネジメントの推進に取り組んでまいりました。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みの一つとして、情報分析技術を活用した材料開発の効率化を推進いたしました。加えて、当社グループのCSR方針に基づく取り組みを強化した結果、企業のCSR活動の取り組みを審査する外部機関より最高評価の認定を取得するなど、経営基盤の強化に向けた諸施策を着実に実施してまいりました。

 

 この結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は、1,400億55百万円(前年度比19.1%増)となりました。利益面におきましては、原材料価格の高騰による影響がありましたものの、営業活動の成果や高付加価値製品の売上増加により、営業利益は207億7百万円(同32.8%増)、経常利益は216億64百万円(同34.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は177億48百万円(同78.8%増)となり、売上、利益ともに、2期連続で過去最高を更新することができました。

 「tok中期計画2021」の実績は、次のとおりであります。

                                        (単位:百万円)

 

tok中期計画2021 最終年度業績目標

最終年度実績

連結売上高

125,000~145,000

140,055

連結営業利益

15,000~20,500

20,707

ROE(自己資本利益率)

8.0%以上

11.5%

 

 事業別売上の概況は、次のとおりであります。

 

事業別の概況

(材料事業)

 当事業の内部取引を除いた売上高は、1,377億25百万円(前年度比20.0%増)となりました。これは、エレクトロニクス機能材料、高純度化学薬品の販売が好調に推移したことが主な要因であります。

(単位:百万円、%)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

売上高

114,773

137,725

22,951

20.0

営業利益

20,395

26,438

6,042

29.6

 部門別の概況は、次のとおりであります。

 

〔エレクトロニクス機能材料部門〕

 当部門の売上高は、前年度を大幅に上回る794億91百万円(同20.7%増)となりました。これは、5G、IoT関連やデータサーバー向けなどの旺盛な半導体需要に支えられ、半導体用フォトレジストや高密度実装材料の販売が好調に推移し、売上が増加したことが主な要因であります。

〔高純度化学薬品部門〕

 当部門の売上高は、前年度を大幅に上回る578億4百万円(同18.6%増)となりました。これは、最先端半導体製造プロセスに使用される半導体用フォトレジスト付属薬品の販売が好調に推移し、売上が増加したことが主な要因であります。

 

(装置事業)

〔プロセス機器部門〕

 当部門の内部取引を除いた売上高は、前年度を下回る23億29百万円(前年度比17.1%減)となりました。これは、新型コロナウイルス感染症の影響による部品調達の遅延や渡航制限を受けた装置立ち上げの長期化が主な要因であります。

(単位:百万円、%)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

売上高

2,811

2,329

△481

△17.1

営業損失(△)

△310

△290

20

 

b. 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性のある要因として、当連結会計年度末現在において以下のとおりと認識しております。

 当社グループが事業展開する業界は、素材価格の変動や販売価格の低下の動きが見られるほか、技術革新が速く製品ライフサイクルが短くなり、一方で研究開発用機器は高額化してきております。また、当社グループにおいては海外事業の進展に伴い、為替相場の変動による影響や各国における各種法令の重大な改変または遵守できなかった場合等、海外での事業活動を取り巻く様々なリスクが顕在化するという事態も懸念されます。加えて、当社グループが提供している多数の製品をユーザーが使用する過程において、欠陥により不具合が生じた場合、原則として生産物責任賠償保険での対応を行いますが、負担金額すべてを保険金でカバーできず、経営成績に重要な影響を与える可能性もあります。

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ31億95百万円減少し197億58百万円の資金収入となりました。これは、税金等調整前当期純利益が104億49百万円、投資有価証券売却益が48億18百万円、売上債権の増加額が36億96百万円それぞれ増加したことが主な要因であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ10億94百万円増加の45億76百万円の資金投下となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が19億52百万円増加したことが主な要因であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ121億76百万円増加の181億14百万円の資金支出となりました。これは、自己株式の取得による支出が100億50百万円増加したことが主な要因であります。

 これらの活動の結果、現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ12億58百万円減少の414億69百万円となりました。

 

財務政策

 当社グループの運転資金需要の主なものは、製品製造のための原材料購入や労務費の製造費用のほか、商品の仕入、販売費及び一般管理費であります。当社グループの運転資金および設備投資資金は、内部資金または借入により資金調達することとしております。

 

③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、期末日の資産・負債の計上および会計期間の収益・費用の適正な計上を行うため、見積りや仮定を行う必要があります。連結財務諸表に影響を与え、より重要な経営判断や見積りを必要とする会計方針は以下のとおりであります。

 a. 貸倒引当金

 当社グループは売掛債権等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権および破産更生債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。相手先の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合、追加の引当金を計上する可能性があります。

 b. 固定資産の減損

 当社グループは、市場価格、営業活動から生ずる損益等から減損の兆候が識別された場合、将来の事業計画等を考慮して、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。

 将来の市況悪化等により事業計画が修正される場合、減損処理を行う可能性があります。

 c. 投資有価証券

 当社グループは、時価のある有価証券と時価のない有価証券を所有しております。

 時価のある有価証券は、決算日の市場価格等に基づき時価評価を行い、税効果調整後の評価差額を純資産の部のその他有価証券評価差額金に計上しております。

 また、期末における時価等が取得原価に比べ50%以上下落した場合には原則減損処理を行い、30%~50%未満下落した場合には、当該金額の重要性、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行うこととしております。一方、時価のない有価証券は、実質価額が取得原価に比べ50%程度以上下落した場合には、回復可能性等を考慮して減損処理を行うこととしております。

 なお、将来の市況悪化または投資先の業績不振等により、現在の帳簿価額に反映されていない損失が生じ、減損処理を行う可能性があります。

 

 d. 繰延税金資産

 当社グループは、財務諸表と税務上の資産または負債の額に相違が発生する場合、将来減算一時差異に係る税効果について、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産のうち、実現が不確実であると考えられる金額に対し評価性引当額を計上して繰延税金資産を減額しております。繰延税金資産の実現の可能性により、評価性引当額が変動し損益に影響を及ぼす可能性があります。

 e. 退職給付に係る資産および負債

 当社グループは、年金数理計算に基づいて退職給付に係る資産および負債ならびに退職給付費用を計上しております。年金数理計算は割引率、年金資産の長期期待運用収益率、昇給率、退職率等の前提条件に基づいて行われており、これらの前提条件の変更は連結財務諸表に影響を与えます。割引率の低下や年金資産運用における期待運用収益と実際運用収益の差異は、翌期以降の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。

 

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