業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化に伴う景気悪化が継続しており、依然として経済活動の回復には至っておらず厳しい状況にあります。世界経済につきましても、新型コロナウイルス感染症拡大による各国での経済活動抑制などにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 このような環境の下で当社グループは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、営業活動が制限されるなか、国内外の市場における顧客への取引深耕にグループが一体となり積極的に取組んでまいりました。また、一部の事業セグメントにおいて新型コロナウイルス感染症の影響に伴う消費減退による一部製品需要の鈍化による売上高への影響があったものの、売上高全体では影響は僅少でありました。

 この結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は9,522百万円(前期比+136百万円、1.5%増)、営業利益は652百万円(同+130百万円、24.9%増)、経常利益は712百万円(同+81百万円、13.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は549百万円(同+145百万円、36.2%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

ファインケミカル事業

 ファインケミカル事業につきましては、連結子会社においては、前期比で売上高、利益共に増加いたしました。当社においては、経費削減に努めているものの、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う消費減退による一部製品需要の鈍化により売上高、セグメント利益共に前期比で減少いたしました。

 その結果、売上高は3,916百万円(前期比△176百万円、4.3%減)、セグメント利益は611百万円(同△19百万円、3.1%減)となりました。

 

難燃剤事業

 難燃剤事業につきましては、2020年5月後半より新型コロナウイルス感染症の影響による消費減退傾向が表れ始め、家電製品等に使用されるプラスチック用難燃剤の需要が鈍化いたしました。秋頃から少しづつ回復基調となりましたが、売上高は前期比で僅かに減少いたしました。また、製造原価低減及び経費削減に努めているものの、セグメント利益も前期比で減少いたしました。

 その結果、売上高は4,167百万円(前期比△18百万円、0.4%減)、セグメント利益は592百万円(同△16百万円、2.8%減)となりました。

 

ヘルスサポート事業

 ヘルスサポート事業につきましては、人工透析用原料は安定した国内需要を維持いたしました。また、広島大学と共同開発(特許取得)し製品化した固定化抗菌剤「Etak®」の需要が、コロナ禍のなか、大幅に増加したことにより、売上高、セグメント利益とも前期比で増加いたしました。

 その結果、売上高は1,438百万円(前期比+331百万円、30.0%増)、セグメント利益は382百万円(同+263百万円、222.0%増)となりました。

 

 財政状態に関しましては、次のとおりであります。

(資産、負債及び純資産の状況)

 当社グループの当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて410百万円増加し、13,056百万円となりました。これは主に、設備投資により有形固定資産が増加したことによるものであります。

 負債は、前連結会計年度末に比べて22百万円減少し、3,290百万円となりました。これは主に、返済により借入金が減少したことによるものであります。

 純資産は、前連結会計年度末に比べて433百万円増加し、9,765百万円となりました。これは主に、利益剰余金及びその他有価証券評価差額金が増加したことによるものであります。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び預金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ974百万円増加し、当連結会計年度末には、1,946百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は1,034百万円(前年は812百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の増加によるものであります。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果獲得した資金は476百万円(前年は1,111百万円の支出)となりました。これは主に、金銭の信託の解約によるものであります。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は535百万円(前年は420百万円の支出)となりました。これは主に、自己株式の取得によるものであります。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自2020年4月1日

至2021年3月31日)

前年同期比(%)

ファインケミカル事業(千円)

3,306,866

85.9

難燃剤事業(千円)

4,077,659

94.1

ヘルスサポート事業(千円)

1,028,319

149.3

合計(千円)

8,412,845

94.8

(注)1.記載金額は販売価格によっております。

   2.記載金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自2020年4月1日

至2021年3月31日)

前年同期比(%)

ファインケミカル事業(千円)

550,172

75.9

難燃剤事業(千円)

26,581

70.1

ヘルスサポート事業(千円)

401,113

98.3

合計(千円)

977,866

83.5

(注)1.記載金額は仕入価格によっております。

   2.記載金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.受注実績

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

 

d.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自2020年4月1日

至2021年3月31日)

前年同期比(%)

ファインケミカル事業(千円)

3,916,746

95.7

難燃剤事業(千円)

4,167,987

99.6

ヘルスサポート事業(千円)

1,438,149

130.0

合計(千円)

9,522,883

101.5

(注)1.記載金額には、消費税等は含まれておりません。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

 

前連結会計年度

(自2019年4月1日

至2020年3月31日)

当連結会計年度

(自2020年4月1日

至2021年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

第一工業製薬株式会社

1,444,248

15.4

1,278,282

13.4

中尾薬品株式会社

767,902

8.2

748,490

7.9

   3.記載金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

 当社グループの連結財務諸表の作成において、損益又は資産の状況に影響を与える見積り及び判断は、過去の実績や当該取引の状況、入手可能な情報に基づいておりますが、見積りは不確実性を伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

売上高

 売上高は前連結会計年度に比べ136百万円増加の9,522百万円(前期比1.5%増)となりました。これは、ファインケミカル事業及び難燃剤事業において、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う消費減退による一部製品需要の鈍化による売上高減少があったものの、ヘルスサポート事業において、広島大学と共同開発(特許取得)し製品化した固定化抗菌剤「Etak®」の需要が、コロナ禍のなか、大幅に増加したことにより売上高が増加したことが主な要因であります。

営業利益

 営業利益は前連結会計年度に比べ130百万円増加の652百万円(前期比24.9%増)となりました。これは各事業において製造原価低減及び経費削減に務めたこと、及びヘルスサポート事業において、固定化抗菌剤「Etak®」の売上高が大幅に増加したことが主な要因であります。

経常利益

 経常利益は前連結会計年度に比べ81百万円増加の712百万円(前期比13.0%増)となりました。これは、営業利益と同様の要因であります。

親会社株主に帰属する当期純利益

 親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ145百万円増加の549百万円(前期比36.2%増)となりました。これは、営業利益と同様の要因、及び保有する投資有価証券の一部を売却したことが主な要因であります。

 当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因として、国内外の景気動向及び当社グループが使用する原材料の市況変動に影響を受ける可能性があります。

 

 資本の財源及び資金の流動性については、当社グループは事業運営上必要な資金の流動性の向上と資金の源泉を安定的に確保することを基本としております。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入費用のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資及び投資有価証券の取得等であります。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資等の資金調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における借入金の合計残高は330百万円となっており、現金及び現金同等物の残高は1,946百万円となっております。

 

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、当社グループは投下資本の運用効率と収益を重視し、自己資本利益率(ROE)を経営管理の重要指標として位置付け、中期的な目標値を5%以上、長期的な目標値を10%以上に設定しております。

 当連結会計年度におけるROEは5.6%(前期比1.3ポイント増)であります。これは製造原価低減及び経費削減に務めたこと、及びヘルスサポート事業において、固定化抗菌剤「Etak®」の売上高が大幅に増加し親会社株主に帰属する当期純利益が増加したことが主な要因であります。引続き当該指標の改善に向けグループが一体となり取組んでまいります。

 

 セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

ファインケミカル事業

 連結子会社においては前期比で売上高、利益共に増加いたしました。しかしながら、当社において、経費削減に努めたものの、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う消費減退による一部製品需要が鈍化した結果、前期比で減収減益となりました。

難燃剤事業

 2020年5月後半より新型コロナウイルス感染症の影響による消費減退傾向が表れ始め、家電製品等に使用されるプラスチック用難燃剤の需要が鈍化いたしました。秋頃から少しづつ回復基調となりましたが、前期比で減収減益となりました。

ヘルスサポート事業

 人工透析用原料は安定した国内需要を維持し、また、広島大学と共同開発(特許取得)し製品化した固定化抗菌剤「Etak®」の需要が、コロナ禍のなか、大幅に増加した結果、前期比で増収増益となりました。

 

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