課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 「スペシャリティーケミカルをベースに社会の進化・発展に貢献する」の企業理念の下、電子・情報・医療といった先端技術産業が求めるニーズ機能を、化学技術を基にして、単に化学品を受託製造するのではなく、それらに関連した情報を組み合わせることにより、オリジナリティーのある製品を提供し、世界への貢献を行います。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、投下資本の運用効率と収益を重視し、自己資本利益率(ROE)を経営管理の重要指標としており、当社グループでは中期的な目標値を5%以上、長期的な目標値を10%以上に設定しております。

 

(3)経営戦略等

 当社グループは、これまでファインケミカルをベースとして主に国内市場を対象として取組んでまいりました。しかしながら、近年は海外品との競合が激化し、当社グループを取り巻く事業環境は、少子高齢化による国内需要の減少や環境コストの上昇等厳しい状況が引続いております。

 こうした中で、当社グループは①新たなマーケットである国際市場を目指した環境対応とグローバル・スタンダード対応の強化、②海水化学で培った臭素化・ヨウ素化技術への自信を誇りに、新しい技術開発、新しい分野への開拓の継続、③高機能製品・高付加価値製品の提案を通じたスペシャリティーケミカルの未来の構築が必要と考えており、その実現のため当社中期計画2021「Challenge for Change ~変革への挑戦~」において、以下の重要施策、重点施策を掲げ、着実な実行を推進してまいります。

【重要施策】

 ① グローバル

 国際市場へ積極的な展開を行っていき、難燃剤はEVや家電市場等の成長著しい中国市場を、ヨウ化物は医薬用途等ヨウ素製品需要の旺盛な欧州市場を重点的に開拓してまいります。

 ② アライアンス

 従来の自前主義から脱却し、他社との協業やオープンイノベーション等様々な可能性を求めてアライアンス戦略を進めてまいります。

 ③ リスクテイク

 リスクを覚悟した上で、適切な投資を検討し、実行してまいります。

【重点施策】

 ① ICT/IoT化の加速

 2019年度に更新した基幹システムを活用した業務改善によるムダムリムラの排除、工場スマート化によるコストダウンの取組みを進めてまいります。

 ② 人材への投資

 柔軟な働き方や女性社員の活躍しやすい職場環境の構築、従業員に対する処遇改善等の取組みを進めてまいります。

 ③ グループガバナンスの強化

 株式市場の要望に対し、連結子会社との連携の更なる強化を図り、グループとしての一体的な取組みを行ってまいります。

 ④ 投資基準の明確化

 社内における投資基準の検証を実施した上で、基準の設定を進めてまいります。

 ⑤ 製品リストラクチャリングの徹底

 グローバルニッチ市場においてコスト競争力を有する「売れモノ」づくり工場となることを目指し、医薬関連等の事業拡大に向けた工場能力増強対応や事業部門と連携した製品リストラクチャリングによる収益改善を図ってまいります。

 

(4)経営環境

 当社グループは、これまでファインケミカルをベースとして主に国内市場を対象として取組んでまいりましたが、経営環境の変化により海外品との競合が激化しております。当社グループを取り巻く事業環境は、少子高齢化による国内需要の減少や環境コストの上昇等厳しさを増しており、また、新型コロナウイルス等の感染症拡大をはじめとする異常事態が経済に与える影響は、国内外の需要にも拡大することが想定され、引続き厳しい経営環境が続くものと予想しております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題、対処方針

 当社グループにおいては、ファインケミカル事業及び難燃剤事業において新型コロナウイルス感染症の影響に伴う消費減退による一部製品需要の鈍化による売上高への影響があったものの、売上高全体では影響は僅少でありました。しかしながら、中長期的には新型コロナウイルス感染症の影響による世界経済の停滞等や当社グループの生産体制、物流体制、営業活動等の事業活動の継続に支障が生じた場合には、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 このような経営環境のもとで当社グループは、製品で社会に貢献し、グローバルに展開する開発志向型の高収益企業を目指して強い企業体質の構築が重要であると認識しております。

 上記のありたい企業像を実現していくため、各セグメントにおいて以下の課題を認識しており、その課題解決に向けた施策を推進してまいります。

 ファインケミカル事業につきましては、当社においてはポートフォリオにおける医薬関連比率を高めていくこと、連結子会社である八幸通商株式会社においては、ポリイミド樹脂原料事業が柱となる企業を目指しております。

 その実現のための課題として、医薬関連製品を中心とした生産能力の増強と製品リストラクチャリングの徹底を認識しております。その施策として、当社福山工場において生産能力増強のための設備投資を実行いたします。また、収益性の低下している製品について生産計画の見直し等の検討をしてまいります。

 難燃剤事業につきましては、世の中が望む難燃不燃材料を提供する事業を核として、高付加価値の高分子添加剤及び高機能材料を提供していく事業像を目指しております。

 その実現のための課題として、既存難燃剤の収益性向上と新商品開発の必要性を認識しております。その施策として、中国現地法人であるマナック(上海)貿易有限公司を活用し、需要が旺盛な中国市場に向けた拡販と工場におけるコストダウン及び増産体制の整備を行ってまいります。また、環境配慮型難燃剤、難燃不燃材料開発のためのアライアンス活動を推進してまいります。

 ヘルスサポート事業につきましては、サプライチェーンの維持に努め、顧客ニーズに合わせた人工透析用原料や抗菌剤原料等、社会に必要とされる製品を安定的且つ持続的に供給してまいります。

 加えて、当社グループは企業の社会的責任を認識し、内部統制の有効性を高め、コンプライアンスの推進に努めると共に、安全操業、環境に配慮した事業活動を行ってまいります。

 コロナ禍での変化にも対応しつつ、この取組みをさらに加速させ、株主の皆様をはじめとするステークホルダーからの期待に持続的に応えるために、当社グループは、グループガバナンスの一層の強化を進め、様々なニーズに応じて、迅速かつ果断に挑戦し続けることが必要であると考えており、2021年10月の持株会社体制への移行に向けた準備を進めております。持株会社体制においては、事業子会社への権限委譲による意思決定の迅速化、経営資源配分の最適化による成長の促進、グループ各社における優秀な人材の育成に取組んでいくことにより、経営理念の実現を目指してまいります。

 

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