業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

[業績等の概要]

(1) 業績

当社グループでは、2016年12月に次の5カ年を対象とする中長期成長戦略を策定しました。中長期ビジョンとして「日本発のグローバル企業」を掲げ、世界の医療現場からトップブランドとして信頼されるメーカーとなること、そしてその信頼を製品・供給・サービスのトータルクオリティーで担保することを目指して経営を推進してきました。

最終年度となった当連結会計年度の売上収益は、前期比14.6%増7,033億円となり、営業利益は前期比17.9%増1,160億円となりました。

 

≪連結業績≫

 

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

売上収益

613,842

703,303

89,460

14.6

(日本)

201,758

206,143

4,385

2.2

(海外)

412,084

497,159

85,075

20.6

調整後営業利益

115,927

134,441

18,513

16.0

営業利益

98,386

115,960

17,573

17.9

税引前利益

97,060

114,501

17,441

18.0

当期利益

77,200

88,813

11,612

15.0

親会社の所有者に帰属
する当期利益

77,268

88,813

11,545

14.9

 

 

セグメントの業績は以下のとおりです。

 

セグメントの名称

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

心臓血管カンパニー

売上収益

328,549

397,130

68,580

調整後営業利益

74,399

93,227

18,827

メディカルケア

ソリューションズ

カンパニー

売上収益

175,545

185,335

9,789

調整後営業利益

25,739

23,604

△2,134

血液・細胞テクノロジー

カンパニー

売上収益

109,491

120,586

11,094

調整後営業利益

19,088

20,841

1,752

 

(注) 調整後営業利益は、営業利益から買収に伴い取得した無形資産の償却費及び一時的な損益を調整した利益です。

 

 

<心臓血管カンパニー>

海外では、特に欧米において全事業が堅調に推移しましたが、中でもTIS(カテーテル)事業とニューロバスキュラー事業の需要について、力強い回復が見られました。日本では、新型コロナウイルス感染症拡大からの需要回復は緩やかだったものの、ニューロバスキュラー事業の頸動脈ステントなどが牽引し、増収となりました。

その結果、心臓血管カンパニーの売上収益は前期比20.9%増3,971億円となりました。

 


 

<メディカルケアソリューションズカンパニー>

当連結会計年度より、これまでの「ホスピタルカンパニー」から、「メディカルケアソリューションズカンパニー」へ名称変更しました。5カ年成長戦略の始動に合わせて、カンパニーの持続的な成長を目指した機構改革と、新しいブランドの浸透を進めていきます。

当連結会計年度の実績については、主要な市場である日本を中心に、シリンジや輸液関連製品などの需要が回復したことに加え、輸液ポンプ・シリンジポンプや、ファーマシューティカルソリューション事業(旧アライアンス事業)の製薬企業との提携ビジネスがグローバルで拡大しました。

その結果、メディカルケアソリューションズカンパニーの売上収益は前期比5.6%増1,853億円となりました。

 


 

<血液・細胞テクノロジーカンパニー>

海外では、欧米を中心に全血採血や自動製剤化関連製品、アフェレシス治療の需要が回復しました。また、中国では、血液センター向けの成分採血装置を中心に、30%台に迫る大きな伸長となりました。日本では、血液センター向け製品において、血液バッグの需要が減少し、わずかに減収となりました。

その結果、血液・細胞テクノロジーカンパニーの売上収益は前期比10.1%増1,206億円となりました。

 


 

 

 

(2) キャッシュ・フロー

≪キャッシュ・フロー計算書概要≫

 

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

121,485

141,467

19,982

投資活動によるキャッシュ・フロー

△85,317

△78,454

6,862

財務活動によるキャッシュ・フロー

△7,436

△70,879

△63,442

現金及び現金同等物の期末残高

200,770

205,251

4,481

 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、1,415億円となりました。税引前利益1,145億円、減価償却費及び償却費589億円、法人所得税の支払額305億円が主な要因です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、785億円となりました。生産設備等への投資に伴う有形固定資産の取得による支出535億円、新ITシステムへの投資等に伴う無形資産の取得による支出206億円が主な要因です。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、709億円となりました。長期借入金の返済による支出307億円、社債の償還による支出100億円、配当金の支払額235億円が主な要因です。

 

以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より45億円増加2,053億円となりました。

 

 

[生産、受注及び販売の状況]

(1) 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。

 

報告セグメント

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

心臓血管カンパニー

388,358

11.5

メディカルケアソリューションズカンパニー

181,857

6.5

血液・細胞テクノロジーカンパニー

114,402

1.6

合計

684,619

8.4

 

(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.報告セグメントに含まれる製品は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 5.セグメント情報 (1) 報告セグメントに関する基礎」をご覧ください。

3.当連結会計年度の仕入製品の仕入実績は、当連結会計年度平均販売価格算出で、39,440百万円です。

 

(2) 受注実績

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。

 

報告セグメント

サブセグメント

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

心臓血管カンパニー

TIS(カテーテル)

263,947

19.6

ニューロバスキュラー

58,155

29.2

カーディオバスキュラー

47,350

13.9

血管

27,677

29.8

メディカルケアソリューションズ

カンパニー

ホスピタルケアソリューション

128,041

6.1

ライフケアソリューション

26,690

1.9

ファーマシューティカルソリューション

30,603

6.9

血液・細胞テクノロジーカンパニー

120,586

10.1

調整額

251

△2.0

合計

703,303

14.6

 

(注) 1.調整額251百万円は、報告セグメントに帰属しない外部向け人材派遣による収入等です。

2.報告セグメントに含まれる製品は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 5.セグメント情報 (1) 報告セグメントに関する基礎」をご覧ください。

 

 

[財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]

文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月23日)現在において判断したものです。将来に関する事項は不確実性を内包しておりますので将来生じる実際の結果と差異が生じる可能性があります。

 

(1) 経営成績

<連結業績について>

 

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

売上収益

613,842

703,303

89,460

14.6

売上総利益

326,623

369,341

42,717

13.1

調整後営業利益

115,927

134,441

18,513

16.0

営業利益

98,386

115,960

17,573

17.9

税引前利益

97,060

114,501

17,441

18.0

当期利益

77,200

88,813

11,612

15.0

親会社の所有者に帰属
する当期利益

77,268

88,813

11,545

14.9

 

 

① 売上収益

当期の売上収益は、新型コロナウイルス感染症の影響により減少していた心臓血管領域の需要が、欧米をはじめとする海外で回復し、好調に推移しました。日本では、心臓血管領域の需要回復は緩やかであったものの、新型コロナウイルス感染症のワクチン用シリンジの供給など、新たな医療需要を取り込み、堅調に推移しました。その結果、円安による為替の影響も追い風となり、売上収益は、前期比14.6%増7,033億円となりました。

なお、地域別の売上収益及びその前期比は、下図のとおりです。


 

② 利益

営業利益は、第2四半期以降に顕在化した、製造費や輸送費の高騰によるコスト増加の影響を受けたものの、心臓血管カンパニーを中心とした売上収益の増加や、販売費及び一般管理費の抑制により、前期比17.9%増1,160億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期比14.9%増888億円となりました。

なお、当社グループは、当社グループが適用する会計基準であるIFRSにおいて定義されていない、調整後営業利益という業績管理指標を追加的に開示しております。調整後営業利益は、営業利益から買収に伴い取得した無形資産の償却費及び一時的な損益を調整した利益であり、セグメント利益と一致しています。

調整後営業利益は、当社グループが中長期的に持続的な成長を目指す上で、各事業運営の業績を把握するために経営管理に利用している指標であり、財務諸表の利用者が当社グループの業績を評価する上でも、有用な情報であると考えております。

 

 セグメントごとの業績の概況については、「業績等の概要(1) 業績」に記載しております。

 

(2) 財政状態の分析

<主要財務指標>

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

親会社所有者帰属持分当期利益率

9.6

9.5

資産合計当期利益率

6.0

6.3

親会社所有者帰属持分比率

63.4

68.7

1株当たり親会社所有者帰属持分

1,133.13

1,338.46

フリー・キャッシュ・フロー

36,168

百万円

63,013

百万円

 

 

① 資産

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,225億円増1兆4,737億円となりました。

これは主に、生産設備等への投資により有形固定資産が342億円増加したことに加え、為替相場が円安に推移した影響及び新ITシステムへの投資等によりのれん及び無形資産が430億円増加したことによるものです。

 

② 負債

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ332億円減4,614億円となりました。

これは主に、長期借入金の返済及び社債の償還等により社債及び借入金が346億円減少したことによるものです。

 

③ 資本

当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ1,557億円増1兆123億円となりました。

これは主に、当期利益の計上により888億円増加した他、上記同様の為替の影響等に伴うその他の包括利益の計上により896億円増加した一方で、剰余金の配当により234億円減少したことによるものです。

 

なお、キャッシュ・フローの状況については、「業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載しております。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性

① キャッシュ・フロー

当連結会計年度の「業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載のとおりです。

 

② 財務政策

当社グループは、資本政策の基本方針として「事業オペレーション改善などを通じた資産効率の向上と、財務健全性も考慮した適正な資本構成の構築を図りつつ、売上成長・利益率改善に加えて、投下資本利益率(ROIC)および株主資本利益率(ROE)の改善を目指します」を掲げております。

運転資金需要の主なものは、製品製造のための原材料、部品購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。研究開発費は営業費用の一部として計上されます。また、持続的な成長のため、設備投資をはじめ、企業買収による投資などへの投資資金需要が発生します。

当連結会計年度における重要な資本的支出の予定とその主な財源は「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。

当社グループは、事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、資本政策の基本方針に沿って、内部資金、借入、社債等により調達しております。具体的には、年度事業計画にもとづく資金調達計画を策定・更新するとともに、定期的に手元流動性及び有利子負債の状況等を把握・集約しております。また、欧米・アジア・中国の拠点とキャッシュマネジメントを運用し、グループ内余剰資金を活用するなど資金効率の向上に努めています。

さらに、金融機関には十分な借入枠を有しており、内部資金、資金調達と併せ、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備等投資資金を調達することは可能であると考えています。中長期的な成長投資は継続しつつ、さらにM&Aに関しても持続的かつ収益性のある成長に資する案件は、今後も継続し追求します。一方、不急とみなすことのできる経費や投資案件は見直していきます。

また、利益配分につきましては、「安定的に配当を増やし、中長期的に配当性向30%を目指す」を基本方針としており、当期の年間配当金を1株につき34円(うち中間配当金16円)と5円増配します。また、次期の年間配当金につきましては1株につき36円(うち中間配当金18円)と増配を予定します。

なお、当連結会計年度の有利子負債の残高については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 14.社債及び借入金」に記載のとおりです。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (5) 見積り及び判断の利用」に記載のとおりです。

 

(5) 次期の見通し

GS26の初年度となる2022年度は、3カンパニーがそれぞれの強みを活かした価値創造に取り組むと同時に、コーポレートの機能が質と効率を向上させることに取り組み、業績見通しの達成を目指します。 なお、GS26の詳細は、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営環境、経営戦略及び優先的に対処すべき課題」に記載のとおりです。

 

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