業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当社グループでは、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性を向上させることを目的として、2018年3月期よりIFRSを適用しております。同基準に基づいた当連結会計年度の業績につきましては、売上収益182,537百万円(前期比1.0%減)、営業利益26,793百万円(前期比3.9%増)、税引前当期利益26,497百万円(前期比3.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益19,279百万円(前期比0.5%減)となりました。なお、当社は、IFRSの適用に当たり、会社の経常的な収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を導入し、経営成績を判断する際の参考指標と位置づけることとしております。「コア営業利益」は、営業利益から当社グループが定める非経常的な要因による損益を除外しております。同基準に基づいた当連結会計年度の「コア営業利益」は、34,391百万円(前期比8.9%減)となりました。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(2019年3月期)

当連結会計年度

(2020年3月期)

増減

増減率

売上収益

184,341

182,537

△1,804

△1.0

営業利益

25,798

26,793

995

3.9

税引前当期利益

25,666

26,497

831

3.2

親会社の所有者に帰属する当期利益

19,376

19,279

△97

△0.5

コア営業利益

37,738

34,391

△3,347

△8.9

 

 

セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

 

(日本セグメント)

日本事業においては、2017年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2017~人材への投資を通じた生産性向上~」(骨太方針2017)により、ジェネリック医薬品使用割合80%の目標の達成時期を2020年9月までとされています。これを受け、2018年4月には、保険薬局における「後発医薬品調剤体制加算」、医療機関における「後発医薬品使用体制加算」の要件見直しに加え、院内処方を行う診療所における「外来後発医薬品使用体制加算」の要件見直し、一般名処方の一層の推進等のジェネリック使用促進策を含む診療報酬改定が実施され、薬局市場を中心にジェネリック医薬品の需要が伸長しており、日本ジェネリック製薬協会の調査(速報ベース)によれば、2019年度第3四半期のジェネリック医薬品の使用割合は77.1%まで高まってきております。

さらに、2019年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2019~『令和』新時代:『Society5.0』への挑戦~」(骨太方針2019)においても「後発医薬品の使用促進について、安定供給や品質の更なる信頼性確保を図りつつ、2020年9月までの後発医薬品使用割合80%の実現に向け、インセンティブ強化も含めて引き続き取り組む」ことが明記されています。また、2020年4月の診療報酬改定では、ジェネリック医薬品の更なる使用促進を図る観点から、ジェネリック医薬品の調剤割合が高い薬局や使用割合が高い医療機関に重点を置いた評価や、ジェネリック医薬品の普及上ポイントとなる一般名での処方を推進するために、一般名処方加算の評価の見直しが行われることとなりました。その一方で、2019年10月には消費税率の引上げに伴う臨時の薬価改定が実施され、2020年3月には4月に実施される通常の薬価改定についても告示されたことから、当社を取り巻く収益環境は厳しいものとなりました。

このような環境におきまして、当社グループは、「なによりも患者さんのために」の企業理念のもと、2021年3月期を最終年度とする3ヶ年の新たな中期経営計画「M1 TRUST 2021(以下「中計」という。)」を2018年5月に発表しました。中計では「国内GE市場での圧倒的地位の確立とUSLの成長加速による世界をリードするジェネリック医薬品企業への変革」という中長期ビジョンの達成に向け、この3年間を「戦略的提携も視野に入れた業界内ネットワークの構築」の時期と位置付け、「業界構造の変化に対応できる体制構築とコスト競争力強化」を重点課題に設定しました。

 

生産・供給体制面においては、全国7つの工場それぞれの特徴を活かした生産効率のアップに取り組んでおります。また、老朽化が進んでいる大阪工場の閉鎖を決定し、その包装工程を三田西工場へと移管することでさらなる高効率・低コストを追求しております。

製品開発・販売面においては、2019年6月に『シロドシンOD錠』を含む3成分7品目、同年12月に『アプレピタントカプセル』を含む2成分5品目、2020年3月に『タダラフィル錠』と各種新製品を発売しました。また、2019年5月に世界的なパッケージコンテストである「WorldStar Awards」を受賞した『ミノドロン酸錠50mg「サワイ」』の包装パッケージのように、患者さんの適正利用・利便性を考慮した製品開発に努めております。

新型コロナウイルス感染症の流行については、2020年2月に危機管理本部を立ち上げ、社内においては従業員の感染防止対策を徹底し、社外に対しては医薬情報担当者(MR)の医療機関等への訪問自粛や一部従業員の在宅勤務等を実施しました。当連結会計年度への影響は軽微でありましたが、今後、本感染症の影響が長引けば、原材料の輸入や物流の停滞等による影響が発生することも予想されます。当社は、医薬品製造販売業として、引き続き感染予防・対策を徹底し、国民の生命、健康の保持に必要不可欠な医薬品の安定供給体制の維持に努めてまいります。

この結果、日本セグメントにおける売上収益は144,130百万円(前期比0.0%増)、セグメント利益は24,401百万円(前期比0.7%増)となりました。

 

(米国セグメント)

米国事業においては、成長戦略を加速するため、創業100周年となるUSLを通じて米国市場への進出を果たしており、USLの持分20%を所持している米州住友商事と共にUSLの新たな成長戦略実現に取り組んでおります。中計では中長期ビジョン達成に向け、この3年間を「USLを基盤としたグローバル企業化への加速」の期間と位置付け、当社とUSLとの双方の強みを活かした連携を重点課題に設定し、取り組んでおります。

米国におけるジェネリック医薬品業界は、卸・薬局等の統合により3大購買グループのシェアが約90%を占めていること、米国食品医薬品局(FDA)による医薬品簡略承認申請(ANDA)承認件数が過去最高水準を記録したこと等により、ジェネリック医薬品価格の下落基調が続きました。

このような環境におきまして、上市製品の拡充に取り組み、ジェネリック医薬品としては、2019年9月に『モルヒネ硫酸塩錠』、2020年1月に『フルボキサミンマレイン酸塩錠』『ハロペリドール錠』『クロニジン塩酸塩徐放錠』を発売しました。また、ブランド医薬品としては、2019年6月にUSLとDr.Reddy’s Laboratories Ltd.の間で契約を締結し、同年7月に取得完了した、『スマトリプタン製剤』である『Tosymra ™ 点鼻薬10mg』、『Zembrace®Symtouch®注射液3mg』の販売を開始しました。

なお、新型コロナウイルス感染症の流行により、米国では、各州において自宅待機命令が出る状況でしたが、USLの事業である医薬品製造業は重要なセクターの1つとして位置付けられており、事業活動を継続できました。USLは3月初めには部門横断の対策チーム(COVID-19 Response Team)を立ち上げ、幅広く情報収集し対策を練りました。製造部門や研究開発部門などオンサイトでの業務が不可欠な従業員を除きテレワークへと移行しました。従業員の感染防止対策を施すとともに、人事面での施策を導入したほか、IT を活用した営業活動に切り替えました。今後、本感染症の影響が長引けば原材料の確保等に影響が発生することも予想されます。USLとしましても、引き続き感染予防・対策を徹底し、ヒトの生命、健康の保持に必要不可欠な医薬品の安定供給体制の維持に努めてまいります。

この結果、米国セグメントにおける売上収益は38,407百万円(前期比4.6%減)、セグメント利益は2,388百万円(前期比52.2%増)なりました。

 

 

当連結会計年度末における財政状態は、次のとおりであります。

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は191,364百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,457百万円増加いたしました。これは主に、たな卸資産の増加によるものであります。非流動資産は193,450百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,469百万円増加いたしました。これは主に、米国事業で『Tosymra ™ 点鼻薬10mg』と『Zembrace®Symtouch®注射液3mg』の製造販売承認権を取得したことによる無形資産の増加によるものであります。

この結果、資産合計は384,814百万円となり、前連結会計年度末に比べ11,925百万円増加いたしました。

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は80,124百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,774百万円増加いたしました。また、非流動負債は71,004百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,330百万円減少いたしました。これらは主に、IFRS第16号「リース」を当連結会計年度期首から適用したことによるリース負債の増加、及び1年内償還予定の社債への振替によるものであります。

この結果、負債合計は、151,128百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,444百万円増加いたしました。 

(資本)

当連結会計年度末における資本合計は233,686百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,482百万円増加いたしました。これは主に、当期利益の計上、剰余金の配当及び為替レートの変動によるものであります。

この結果、親会社所有者帰属持分比率は54.6%(前連結会計年度末は53.4%)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は56,082百万円となり、前連結会計年度末に比べて985百万円減少いたしました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益26,497百万円、減価償却費及び償却費17,954百万円、売上債権及びその他債権の減少4,664百万円、たな卸資産の増加12,208百万円、法人所得税等の支払額7,852百万円を主因として30,256百万円の収入(前期比12,667百万円の収入減)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出5,501百万円、無形資産の取得による支出12,672百万円を主因として18,173百万円の支出(前期比1,353百万円の支出増)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額5,910百万円、長期借入金の返済による支出4,802百万円を主因として12,747百万円の支出(前期比3,234百万円の支出増)となりました。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

162,984

+18.6

米国

31,975

△14.2

合計

194,959

+11.6

 

(注) 1.上記金額は、売価換算額で表示しております。

     2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b. 受注実績

当社グループは見込み生産が主で受注生産は僅少であるため記載を省略しております。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

144,130

+0.0

米国

38,407

△4.6

合計

182,537

△1.0

 

(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

(自 2018年4月1日

    至 2019年3月31日

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

    至 2020年3月31日

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社メディセオ

23,857

12.9

24,513

13.4

アルフレッサ株式会社

20,485

11.1

24,029

13.2

 

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.概要

当社グループは、ジェネリック医薬品の研究開発、製造及び販売を日本及び米国で行っております。「何よりも患者さんのために」の企業理念のもと、高品質で高付加価値の医薬品を安定的に供給するとともに、2021年3月期を最終年度とする中期経営計画の課題である「業界構造の変化に対応できる体制構築とコスト競争力強化」及び「USLと双方の強みを活かした連携」に取り組み、持続的な営業利益の成長を通じ、企業価値向上を図っております。

当社グループは、循環器官用薬、中枢神経系用薬、消化器官用薬など、さまざまな薬効の700超の品目を提供しております。当社グループは、当連結会計年度末現在で9つの製造拠点を有し、そのうち7つは日本、2つは米国に所在しております。生産能力は当連結会計年度末で150億錠超(錠換算)となっております。

b.経営成績の分析

当連結会計年度の業績を前連結会計年度と比較した表は、次のとおりです。

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2018年4月1日

    至 2019年3月31日

 

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

    至 2020年3月31日

 

増減額

売上収益

 

184,341

 

182,537

 

△1,804

売上原価

 

△109,442

 

△109,037

 

405

売上総利益

 

74,899

 

73,500

 

△1,399

販売費及び一般管理費

 

△32,380

 

△33,375

 

△995

研究開発費

 

△16,671

 

△13,487

 

3,184

その他の収益

 

269

 

238

 

△31

その他の費用

 

△319

 

△83

 

236

営業利益

 

25,798

 

26,793

 

995

金融収益

 

421

 

295

 

△126

金融費用

 

△553

 

△591

 

△38

税引前当期利益

 

25,666

 

26,497

 

831

法人所得税

 

△5,939

 

△6,720

 

△781

当期利益

 

19,727

 

19,777

 

50

当期利益の帰属

 

 

 

 

 

 

親会社の所有者

 

19,376

 

19,279

 

△97

非支配持分

 

351

 

498

 

147

合計

 

19,727

 

19,777

 

50

 

 

 

売上収益は前連結会計年度より1,804百万円(1.0%)減少し、182,537百万円となりました。事業セグメント及び薬効別で売上収益を分解した表は、次のとおりであります。

 

 

 

 

(単位:百万円)

薬効別分類

 

前連結会計年度

(自 2018年4月1日

    至 2019年3月31日

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

    至 2020年3月31日

増減額

循環器官用薬

日本

41,842

40,749

△1,093

米国

17,432

14,817

△2,615

合計

59,274

55,566

△3,708

中枢神経系用薬

日本

12,241

14,267

2,026

米国

17,277

17,389

112

合計

29,518

31,656

2,138

 

日本

21,659

19,733

△1,926

消化器官用薬

米国

80

252

172

 

合計

21,739

19,985

△1,754

 

日本

15,756

15,538

△218

血液・体液用薬

米国

 

合計

15,756

15,538

△218

 

日本

10,448

9,863

△585

その他の代謝性医薬品

米国

 

合計

10,448

9,863

△585

抗生物質製剤

日本

7,831

7,704

△127

米国

293

356

63

合計

8,124

8,060

△64

 

日本

3,864

4,951

1,087

腫瘍用薬

米国

739

1,004

265

 

合計

4,603

5,955

1,352

 

日本

5,899

5,328

△571

化学療法剤

米国

 

合計

5,899

5,328

△571

アレルギー用薬

日本

5,467

5,244

△223

米国

合計

5,467

5,244

△223

 

日本

19,091

20,753

1,661

その他

米国

4,421

4,589

168

 

合計

23,513

25,342

1,829

 

日本

144,098

144,130

32

合計

米国

40,242

38,407

△1,835

 

合計

184,341

182,537

△1,804

 

日本セグメントでは、2019年10月における消費税率の引上げに伴う薬価改定が薬効別の売上収益にマイナスの影響を及ぼしました。また、インフルエンザのピークアウトが前連結会計年度よりも早まり、化学療法剤にマイナスの影響が生じました。その一方、中枢神経系用薬では『アトモキセチンカプセル』(2018年12月発売)及び『ナルフラフィン塩酸塩OD錠』(2018年6月発売)、腫瘍用薬では『カペシタビン錠』(2018年12月発売)など、2016年から2018年に薬価収載された新製品の販売がプラスの影響となりました。

米国セグメントでは、競合他社の新製品発売により循環器官用薬において既存品の売上収益にマイナスの影響が生じましたが、中枢神経系用薬では『Tosymra ™ 点鼻薬10mg』及び『Zembrace®Symtouch®注射液3mg』、腫瘍用薬では『ベキサロテンカプセル』(2018年8月発売)等の販売がプラスの影響となりました。

 

 

売上原価は前連結会計年度より405百万円(0.4%)減少し、109,037百万円となりました。売上総利益率は0.3%減の40.3%となりました。日本セグメントにおいて、各工場の特徴を活かした生産効率のアップを通じ原価が改善されましたが、前述のとおり売上収益の減少により売上総利益率が低下しました。

販売費及び一般管理費は前連結会計年度より995百万円(3.1%)増加し、33,375百万円となりました。日本セグメントにおけるブランドイメージの浸透及び米国セグメントにおける新製品の広告宣伝のため、広告宣伝費を増加させた影響によるものです。

研究開発費は前連結会計年度より3,184百万円(19.1%)減少し、13,487百万円となりました。これは米国セグメントにおいて、前連結会計年度に開発の中止及び開発状況の変化により収益性が見込めなくなったことによる仕掛中の研究開発の減損損失2,872百万円(当連結会計年度は424百万円)を認識した反動であります。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 14 のれん及び無形資産」を参照ください。

以上より、営業利益は前連結会計年度より995百万円(3.9%)増加し、26,793百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

Ⅰ キャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、30,256百万円の収入となりました(前連結会計年度比12,667百万円収入減)。収入減少要因は主に、日本セグメントにおいて、安定供給を目的とした在庫確保のためたな卸資産を増加させたこと、及び米国セグメントにおいて前述のとおり無形資産の減損損失額が減少したことによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、18,173百万円の支出となりました(前連結会計年度比1,353百万円支出増)。支出増加要因は主に、米国セグメントにおいて、前連結会計年度に子会社株式取得に係る条件付対価の支払いが生じた反動、及び当連結会計年度に『Tosymra ™ 点鼻薬10mg』及び『Zembrace®Symtouch®注射液3mg』を取得したことによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、12,747百万円の支出となりました(前連結会計年度比3,234百万円支出増)。支出増加要因は主に、IFRS第16号「リース」の適用に伴いオンバランスとなったリース負債の返済支出が増加したためです。

Ⅱ 資金需要

当社グループにおける主な資金需要は、市場の環境変化に対応した安定供給及び生産効率の最適化を目的とした設備投資並びにニーズを捉えた高付加価値ジェネリック医薬品の実現を目的とした研究開発投資によるものであります。

Ⅲ 財務政策

当社グループでは、持続的な企業価値の向上とそれを通じた株主還元の向上を実現するために、資本効率を向上させつつ、財務の健全性・柔軟性も確保された、最適な資本構成を維持することを基本方針としております。設備投資及び研究開発投資による資金需要につきましても、営業活動によるキャッシュ・フローを継続的に確保していくとともに、市場の環境変化に対応した柔軟な財務政策を実現していくことで基本方針を実現していきます。

当連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フローが30,256百万円となり、当該資金をもとにUSL買収時の借入金の一部を返済しております。なお、重要な資本的支出の予定はありません。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

④ 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大等に伴う当社グループの影響

2019年12月頃からCOVID-19に関連する病気が報告され、ウイルスはそれ以来、地域全体の日常生活と経済に広範囲にわたる重大な混乱を引き起こしました。 世界保健機関はこの発生をパンデミックに分類しました。

当社グループは、COVID-19パンデミックがビジネス、業務、財政状態及び業績に及ぼす影響を継続して監視しており、事業計画や予算策定上、パンデミックの深刻度とパンデミックの世界的なマクロ経済への影響を含む、パンデミックに関する特定の仮定を行っております。現時点では、以下のとおり当社グループに及ぼす影響は限定的であると判断しております。しかし、慎重な調査及びプランニングにもかかわらず、将来の動向の不確実性のために、パンデミックが当社の事業、運営、財政状態及び結果に与える影響の範囲を正確に予測することはできません。当社グループは、ビジネスのすべての側面に焦点を当て、デジタル技術を使用して製造、販売及び研究開発に係る業務を支援する等、問題を軽減するための対策を実施しています。

a.危機管理体制について

日本セグメントでは、2020年2月に危機管理本部を立ち上げ、従業員の感染防止対策を徹底するとともに、一部従業員の在宅勤務等を実施しました。米国セグメントでは、同年3月初めに部門横断の対策チーム(COVID-19 Response Team)を立ち上げ、幅広く情報収集し対策を練りました。各州において自宅待機命令が出る状況でしたが、医薬品製造業は重要なセクターの1つとして位置付けられたため、事業活動を継続できました。製造部門や研究開発部門などオンサイトでの業務が不可欠な従業員を除きテレワークへと移行したほか、従業員の感染防止対策を徹底しました。日米とも、医薬品製造販売業として、引き続き感染予防・対策を徹底し、国民の生命、健康の保持に必要不可欠な医薬品の安定供給体制の維持に努めてまいります。

b.販売活動への影響

日本セグメントでは、同年3月より医薬情報担当者(MR)の医療機関等への訪問を自粛し、医療機関への情報提供体制はITを活用しております。米国セグメントも同様に、IT を活用した営業活動に切り替えました。当社グループは医療用医薬品を販売しており、COVID-19に関係なく様々な適応症の患者様に当社グループ製品を提供しており、現時点で当社グループに及ぼす影響は限定的であります。ただし、営業活動の変化が将来の新製品の販売開始に及ぼす影響を正確に予測することはできません。

c.製造及びサプライチェーンへの影響

日米両セグメントともに、患者様への当社グループ製品の安定供給という使命のもと、製造活動はCOVID-19前と変わらず継続されました。原材料の確保、卸売業者や販売会社等への供給についても、関係各位の協力のおかげで滞りなく進められております。そのため、現時点で当社グループに及ぼす影響は限定的であります。ただし、今後、本感染症の影響が長引けば原材料の確保等に影響が発生することも予想されます。

d.研究開発活動への影響

日米両セグメントともに、研究開発活動はCOVID-19前と変わらず継続されました。現時点で当社グループに及ぼす影響は限定的でありますが、今後政府による製造販売承認プロセスに及ぼす影響を正確に予測することはできません。

e.財務への影響

当社グループの売上債権等の回収及び資金調達はCOVID-19前と変わらず、当社グループは予測可能な将来にわたり流動性リスクは無いと考えております。

 

⑤ 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠しております。当連結財務諸表の作成にあたり、経営者は資産及び負債の金額、財務諸表の末日時点の偶発資産及び偶発負債の開示、並びに報告期間における収益及び費用の金額に重要な影響を及ぼす見積り及び仮定の設定を行うことが求められております。見積り及び仮定は継続的に見直されます。経営者は過去の経験及び見積り及び仮定が設定された時点において合理的であると判断されたその他の様々な要因に基づき、当該見積り及び仮定を設定しております。実際の結果はこれらの見積及び仮定とは異なる場合があります。

 

経営者の見積及び仮定に影響を受ける重要な会計方針は次のとおりです。また、見積及び仮定の変更が連結財務諸表に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(収益認識)

当社グループの収益は主に医薬品販売に関連したものであり、製品に対する支配が顧客に移転した時点で認識されております。収益の認識額は、当社グループが製品と交換に受け取ると見込まれる対価に基づいております。収益からは、主要顧客である卸売業者及び販売会社に対するリベートやチャージバック等の様々な項目が控除されております。これらの控除額は関連する義務に対し見積られますが、報告期間における当該収益に係る控除額の見積りには判断が伴います。総売上高からこれらの控除額を調整して、純売上高が算定されます。

 

収益に係る調整のうち最も重要なものは、次のとおりであります。

・顧客に対するリベート: 当社グループは、マーケットシェアの維持と拡大を確実にするために、卸売業者、販売会社等の顧客に対してリベートを付与しております。リベートは契約上取決めがなされているため、係る負債は各取決めの内容、過去の実績に基づく予想割戻率及び予想される流通チャネル内の在庫量を基に算定しております。

・卸売業者に対するチャージバック: 当社グループは卸売業者の顧客と売買価格を設定することがあり、当該価格と当社グループが卸売業者に請求する金額との差額をチャージバックとして卸売業者に支払います。チャージバックの見積りに係る負債は各取決めの内容、過去の実績に基づいた予想チャージバック率及び予想される流通チャネル内の在庫量を基に算定しております。

・返品に関する負債: 返品権付き製品を顧客に販売する際は、当社グループの返品ポリシーや過去の返品実績に基づいた予想返品率を考慮して返品見込み額を測定し、負債として計上しております。

 

引当額は見積りに基づくため、実際の発生額を完全に反映していない場合があり、特に予想される流通チャネル内の在庫数量及び製品の売上構成により変動する可能性があります。

これまで実績又は見積りの見直しの反映による当初の見積りに対する調整額が、当社グループの業績に重要な影響を与えたことはありません。しかしながら、当社グループが見積りに際して使用した比率、要因、評価、経験もしくは判断が将来の事象の見積りにおける適切な予測値ではなかった場合、当社グループの業績に重要な影響を与える場合があります。見積りの感応度は、制度及び顧客の種類により左右される可能性があります。

 

(のれん及び無形資産の減損)

当社グループは、償却を開始している無形資産について、その資産の帳簿価額が回収不能であるかもしれないことを示す事象又は状況の変化がある場合、減損テストを行っております。のれん及び他の未償却の無形資産については、少なくとも年次で減損テストを実施しております。2020年3月31日時点において、当社グループはのれんを38,636百万円、無形資産を61,669百万円計上しており、これは総資産の約25%を占めております。

資産は、通常、連結財政状態計算書上の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に減損していると判断されます。回収可能価額は個別資産、又はその資産が他の資産と共同で資金を生成する場合はより大きな資金生成単位ごとに見積られます。資金生成単位は独立したキャッシュ・インフローを形成する最小の識別可能な資産グループであります。のれん及びUSL取得時に識別した商標権は、すべて資金生成単位の1つである米国セグメントに配分され、回収可能価額は米国セグメントで見積られます。製品に係る無形資産及び仕掛中の研究開発は、個別に回収可能価額を見積ります。

回収可能価額の見積りには、以下を含む複数の仮定の設定が必要となります。

・将来キャッシュ・フローの金額及び時期

・競合他社の動向

・将来の税率

・予測最終成長率

・割引率

キャッシュ・フローが変動する可能性のある事象としては、資金生成単位である米国セグメントの業績悪化、研究開発プロジェクトの失敗又は上市後製品の価値の下落があげられます。研究開発プロジェクトの失敗には、開発の中止、オーソライズドジェネリックの販売見込みや競合他社の参入等による収益性の悪化が含まれます。これらの事象が発生した場合、見積った将来キャッシュ・フローが回収できない可能性があります。

これらの仮定に変更が生じた場合は、当該連結会計年度において減損損失及び減損損失の戻入れを認識しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 14 のれん及び無形資産」を参照ください。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得