課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。

(1) 当社グループの経営方針

当社グループは、2018年度から始まる3年間の中期経営計画として策定した中期経営計画「M1 TRUST 2021」及び中長期ビジョンに掲げた諸施策を確実に実施することで企業価値の向上に努めております。

Ⅰ.中長期ビジョン

国内GE市場での圧倒的地位の確立とUpsher-Smith Laboratories, LLC(以下、「USL」という。)の成長加速による世界をリードするジェネリック医薬品企業への変革

Ⅱ.中期経営計画「M1 TRUST 2021」の基本方針と重点施策

1.日本市場  業界構造の変化に対応できる体制構築とコスト競争力強化

(1) 安定供給・高品質の継続とコスト競争力の両立

(2) ジェネリック80%時代に即した製品開発・営業体制への転換

(3) 積極的なアライアンス強化による効率性の追求

2.米国市場  USLと双方の強みを活かした連携

(1) 米国製品ラインナップの拡充・知財戦略の強化

(2) パラグラフⅣ申請品の開発継続

(3) USLの独自色を活かした成長戦略の実現

 

(2) 当社グループの現状認識

  1961年に実現された国民皆保険制度の恩恵を受け、日本は世界最高水準の長寿社会を実現してきました。その反面、医療費をはじめとする社会保障費用は、年々増加の一途を辿っているため、少子高齢化も相まって現役世代の負担がますます重くなり、一定の自己負担で高水準の医療を受けられる仕組みの維持が困難になりつつあります。

  このような状況に対して、近年、医療の質を落とすことなく、医療の効率化(医療費の削減)を図るべく、ジェネリック医薬品の使用促進が図られてきました。

 政府は2017年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2017~人材への投資を通じた生産性向上~」(骨太方針2017)において「2020年(平成32年)9月までに、後発医薬品の使用割合を80%とし、できる限り早期に達成できるよう、更なる使用促進策を検討する。」とし、さらに、2019年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2019~『令和』新時代:『Society5.0』への挑戦~」(骨太方針2019)においても「後発医薬品の使用促進について、安定供給や品質の更なる信頼性確保を図りつつ、2020年9月までの後発医薬品使用割合80%の実現に向け、インセンティブ強化も含めて引き続き取り組む」としています。

 ジェネリックシェア80%時代を迎える中、ジェネリック医薬品が担う責任と重要性の高まりに応じて、従来以上に安定供給体制、品質に対する信頼性の確保及び情報収集・提供体制の整備・強化等が求められており、効率的な医療の実現に貢献する企業として、これらの要請に応えていくことが当社として果たすべき社会的責任であると認識しております。

  一方、政府により決定された薬価制度の抜本改革によって、最初のジェネリック医薬品収載から12年経過後のジェネリック医薬品の原則1価格帯化や、通常の2年に1度の薬価改定の間の年度においても薬価調査・薬価改定(中間年改定)が導入されたことにより、今後薬価の下落幅が拡大する可能性があります。

  このような経営環境の中で当社グループは、ジェネリック医薬品業界のリーディング・カンパニーとして、いち早く新しいジェネリック医薬品を開発・上市するとともに、品質・安定供給・情報提供においてトップレベルの水準を維持し続けることにより、ブランド価値を比類のないものに高め、競争に打ち勝つことが持続的に成長していくために不可欠との判断のもと、その達成のために次の(3)にあげた7点が優先課題であると認識しております。

 

 

(3) 優先課題及び具体的取組状況等

 ① 高付加価値ジェネリック医薬品のいち早い開発と確実な上市

競合が多いジェネリック医薬品業界において競争に打ち勝つためには、市場環境、患者さんや医療従事者のニーズに応えた他社品目との差別化が重要であり、また、一番手で上市することがジェネリック医薬品として患者さんのニーズに応えることにもなります。特許・技術・コスト・効率化等の諸課題に挑戦し、高付加価値ジェネリック医薬品の確実な一番手上市を目指してまいります。

 ② 安定供給の維持・確保

治療を必要とする患者さんの元に高品質な医薬品を安定的に供給することは、医薬品メーカーにとって最も重要な使命の一つです。世界中から高品質で適切な原材料を確保し、適宜適切かつ継続的な設備投資、厳格な基準による製造管理・品質管理を行うとともに、的確な需要予測と適正在庫の確保を行うことを通じて、安定供給の維持・確保を図り、ジェネリック医薬品の需要増に対応してまいります。また、災害時にも安定供給を維持できるよう策定したBCP(事業継続計画)に基づき、原材料の複数ソース化、生産機械の共通化、代替要員の確保、人財の多能職化並びに工場間の人財交流及び技術の標準化等に取り組んでまいります。

 ③ 信頼性の向上

2013年厚生労働省作成「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」に対応した品質確保、市販後安全対策への対応は当然のことであります。更なる信頼性向上を目指し、より高いレベルに設定した自主品質基準の遵守、国内及び海外の製造工場の査察、医薬品リスク管理への対応並びに医薬品医療機器等法等の遵守体制の強化を図ってまいります。

 ④ 情報提供の充実

医薬品は、正確な情報を伴ってはじめて患者さんの治療目的が達成されるものであります。MRの活動のみならず、ウェブやコールセンター等のマルチチャネルを効率的に活用し、情報提供力の充実・強化を図ります。正確な効能・効果、用法・用量、副作用、品質や付加価値といった医薬品情報のほか有用な情報を医療関係者に迅速かつ確実に提供し、顧客満足度の向上に努めてまいります。

 ⑤ マーケティング機能の充実

競争優位を確立するためには、マーケット分析に基づいた的確な開発品目の選定、ターゲティングの明確化によるMRの生産性の向上が不可欠であります。マーケティング機能の充実と薬価制度改革や医療政策の変化等に伴う競争環境の変化を踏まえた営業戦略の見直しを図ってまいります。

 ⑥ 企業体質・経営管理の強化

企業理念の浸透、コンプライアンス委員会の活動強化、リスク管理の充実、内部統制の整備・拡充といったコーポレート・ガバナンスの強化とCSR(企業の社会的な責任)への取組みを図ってまいります。また、環境変化に的確に対応できるよう意思決定や事業展開のスピードを追求するとともに、コスト削減等による徹底したコスト競争力の強化や業務の効率化、業容拡大に伴う経営基盤の整備・強化、会社の成長を支える人財の育成、ダイバーシティへの取組みといった企業体質及び経営管理の強化に取り組んでまいります。

 ⑦ 新規事業基盤の構築・強化

当社グループが中長期ビジョンの達成を目指すにあたり、また将来にわたって持続的成長を遂げていくためには、既存のジェネリック医薬品事業以外の新規領域への展開を図っていく必要があります。当社は2017年5月にUSLを買収し、米国ジェネリック医薬品市場における基盤を獲得しましたが、当社グループの企業価値向上に寄与させるべく、早期のシナジー発揮・実現に取り組んでまいります。

 

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