業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当社グループは、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しました。このため、比較対象となる前連結会計年度の収益認識基準が異なることから、当連結会計年度の経営成績については、前連結会計年度と比較しての増減額及び前期比(%)は記載せず説明しております。なお「収益認識に関する会計基準」等の適用による営業利益及び経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益への影響はありません。詳細は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 [注記事項](会計方針の変更)(収益認識に関する会計基準等の適用)」をご参照ください。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当期における国内医薬品業界は、薬価制度改革の基本方針に沿って実施された薬価改定等の薬剤費抑制策及び新型コロナウイルス感染症拡大による受診抑制等の影響を受け、国内医療用医薬品市場は1桁台前半の成長率で推移しました。

このような環境のなか、当社グループは長期ビジョン「HOPE100」の実現に向けて、中期経営計画「HOPE 100 -ステージ3-(2020年度~2023年度)」のもと、2022年3月期は経営方針に「オリジナリティーの追求に向けた”見極め”」を掲げ、新薬群の成長加速、開発パイプラインの拡充、創薬のスピード向上、コスト競争力の向上に積極的に取り組み、成長トレンドへの転換に邁進しました。

また、当社連結子会社であるキョーリン製薬グループ工場㈱は新工場として、高岡工場(富山県高岡市)の建設を決定しました。同社は中期経営計画の重点戦略にコスト競争力の向上を掲げ、新医薬品・後発医薬品の安定供給と低コストを実現する製造体制の構築に取り組んでいます。この度、医薬品の生産数量の拡大に伴い、キョーリン製薬グループ工場㈱全体として製品供給能力の強化が必要となったことから、高岡新工場の建設に至りました。今後は、2024年4月(予定)の稼働に向け、工場建設を着実に推し進めます。

なお、2021年11月29日に発生した杏林製薬㈱西日本配送センター(㈱日立物流西日本 舞洲営業所)における火災による影響については、杏林製薬㈱及びキョーリン リメディオ㈱による製品保管体制が機能し、製品供給に大きな影響は生じておりません。また当連結会計年度の業績への影響につきましても軽微でした。

 

当連結会計年度における売上高は、薬価改定(杏林製薬㈱6%台)及び新型コロナウイルス感染症の影響により、当社グループが重点領域とする呼吸器科・耳鼻科等の医療用医薬品市場がマイナス成長となりました。そのようななか、効率的な製品普及に努めたことにより新薬群が伸長するとともに、一部の後発医薬品企業の品質問題に端を発した製品の供給不安の影響によって主要な長期収載品の売り上げが増加したものの、導出品の売り上げ及び導出品に関わる一時金の減少等により、新医薬品等(国内)は前期に対して横ばいとなりました。他方、後発医薬品の売り上げは増加し、全体の売り上げは1,055億34百万円(前期は1,029億04百万円)となり、前期を上回る実績となりました。

利益面では、売り上げは前期を上回ったものの、薬価改定等の影響による原価率上昇により、売上総利益は494億41百万円(前期は516億27百万円)と前期に対して減少しました。他方、販売費及び一般管理費は、咳嗽治療薬「リフヌア錠45㎎(一般名:ゲーファピキサントクエン酸塩)」の導入に関わる契約一時金を計上したものの、コスト削減等により、444億33百万円(前期は458億41百万円)と前期に対して減少しました(内、研究開発費:88億97百万円、前期は97億03百万円)。これらの結果、営業利益は50億07百万円(前期は57億86百万円)、経常利益は55億69百万円(前期は64億47百万円)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は39億32百万円(前期は61億30百万円)となりました。

なお前期は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)から借入れておりました長期借入金に対する返済義務の一部免除による債務免除益10億73百万円などを特別利益に計上しています。

 

当連結会計年度の業績

売上高        1,055億34百万円(前期は1,029億04百万円)

営業利益          50億07百万円(前期は   57億86百万円)

経常利益          55億69百万円(前期は   64億47百万円)

親会社株主に帰属する

当期純利益         39億32百万円(前期は   61億30百万円)

 

   売上高の状況につきましては、以下のとおりです。

〔新医薬品等(国内)〕

継続的に実施される薬剤費抑制策により、国内医療用医薬品事業を取り巻く環境は一層厳しさを増しています。この急速な環境変化に対応すべく、杏林製薬㈱はFC(フランチャイズカスタマー)戦略を推進するとともに、ソリューション提供型営業活動(課題解決策の提案)への変貌を現中期経営計画の重点戦略に掲げ、事業を展開しています。当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の流行が継続するなか、各医療機関の意向に沿ってMRによる訪問面談の自粛等を行う一方、従来の訪問による面談に加えてデジタルチャネルを活用した情報提供を複合的に行うことで営業力の補完・強化を図り、新薬群の成長加速に取り組みました。その結果、主力製品である過活動膀胱治療剤「ベオーバ」、アレルギー性疾患治療剤「デザレックス」、ニューキノロン系抗菌剤「ラスビック」が伸長しました。2021年4月に新発売した間質性膀胱炎治療剤「ジムソ膀胱内注入液50%」については、泌尿器科専門医を中心に情報提供活動を行い市場への浸透を図りました。

また一部の後発医薬品企業の品質問題に端を発した製品の供給不安の影響によって、潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「ペンタサ」、気道粘液調整・粘膜正常化剤「ムコダイン」等の売り上げが増加しました。

なお杏林製薬㈱は、MSD㈱と日本国内におけるコ・プロモーション契約を締結した新型コロナウイルス感染症に対する経口の抗ウイルス剤「ラゲブリオカプセル200㎎(一般名:モルヌピラビル)」について、2022年1月31日より両社でコ・プロモーションを開始しました(詳細は2022年1月17日公表のプレスリリースをご覧ください)。

診断事業に関わる取り組みとしては、研究用試薬「GeneSoC PCR前処理キット」を2021年7月に、遺伝子解析装置「GeneSoC mini」を同年11月に発売しました。また、新型コロナウイルス核酸検出キット「GeneSoC SARS-CoV-2 N2検出キット」の製造販売承認を2022年3月に取得し、同年4月に発売しました。今後とも新型コロナウイルス感染症の診断におけるPCR検査の時間短縮等、検査体制の充実に向け、より一層の貢献を目指します。

以上の結果、新医薬品等(国内)の売上高は697億25百万円(前期は697億35百万円)となりました。

 

〔新医薬品(海外)〕

製品の導出に係わる一時金の受領等により売上高は10億33百万円(前期は9億96百万円)となりました。

 

〔後発医薬品〕

キプレスのオーソライズド・ジェネリック等の実績が前期を上回るとともに、2021年6月、12月に発売した追補収載品の売り上げが寄与し、売上高は347億75百万円(前期は321億72百万円)となりました。

昨今、後発医薬品について品質や安定供給をめぐる問題が相次ぐなか、当社グループでは杏林製薬㈱、キョーリン リメディオ㈱、キョーリン製薬グループ工場㈱の全ての子会社が一丸となって、GMPなどの法令遵守の徹底を図るとともに、品質管理体制のより一層の強化に努めました。新医薬品、後発医薬品ともに医療用医薬品に関わる製造・品質管理につきましては、今後とも信頼性の確保に最大限注力し、高品質で安心・安全な製品の提供を推進します。

※医薬品等の製造管理及び品質管理の基準

 

② キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、63億46百万円の収入であり、これは主に税金等調整前当期純利益52億16百万円、減価償却費37億14百万円、売上債権の増加12億26百万円、棚卸資産の増加36億33百万円、仕入債務の増加39億10百万円、法人税等の支払額12億48百万円によるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、25億60百万円の支出で、これは主に有形固定資産の取得による支出24億44百万円、投資有価証券の取得による支出34億07百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入34億00百万円によるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、41億12百万円の支出で、これは主に配当金の支払額37億67百万円によるものです。

この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比較して1億86百万円減少し、262億89百万円となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(a)生産実績

当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

医薬品事業

94,191

102.1

合計

94,191

102.1

(注)上記金額は、消費税等抜きの売価換算によっております。

(b)商品仕入実績

当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の商品仕入実績は次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

医薬品事業

7,370

97.0

合計

7,370

97.0

(注)上記金額は、消費税等抜きの実際仕入れ額によっております。

 

(c)受注実績

当社グループ(当社及び連結子会社)は販売計画に基づいた生産を行っておりますので、該当事項はありません。

 

(d)販売実績

当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

医薬品事業

105,534

合計

105,534

 (注)最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおり

    であります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額 (百万円)

割合(%)

金額 (百万円)

割合(%)

アルフレッサ ホールディングス株式会社

18,280

17.8

18,603

17.6

株式会社メディパルホールディングス

16,405

15.9

17,464

16.5

 株式会社スズケン

15,046

14.6

16,523

15.7

 東邦薬品株式会社

11,454

11.1

11,863

11.2

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)財政状態の分析

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して47億97百万円増加し、1,719億

   24百万円となりました。このうち、流動資産は1,163億76百万円と前連結会計年度末と比較して23億

   49百万円の増加となりました。主な増減要因は、売掛金の増加11億48百万円、有価証券の減少28億99

   百万円、原材料及び貯蔵品の増加37億06百万円等によるものです。また、固定資産は555億47百万円と

   前連結会計年度末と比較して24億47百万円の増加となりました。主な増減要因は、有形固定資産の増加4億

   37百万円、無形固定資産の減少4億96百万円、投資有価証券の増加20億58百万円等によるものです。

負債総額は、前連結会計年度末と比較して49億51百万円増加し、474億16百万円となりました。主な増減要因は、支払手形及び買掛金の増加39億10百万円、流動負債のその他の増加7億33百万円等によるものです。

純資産は、前連結会計年度末と比較して1億54百万円減少し、1,245億07百万円となりました。主な増減要因は、利益剰余金の増加1億52百万円、その他有価証券評価差額金の減少3億71百万円等によるものです。

 

(b)経営成績の分析

当連結会計年度の経営成績の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 

(c)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、中期経営計画「HOPE100-ステージ3-」において、連結ベースでの売上高年平均成長率5%以上、研究開発費控除前 営業利益対売上高20%以上を数値目標としております。当連結会計年度における連結売上高は前期比3.5%増、研究開発費控除前 営業利益対売上高は13.1%でした。これらの指標を達成するための取り組みにつきましては、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な会社の経営戦略及び会社の優先的に対処すべき課題」に記載しております。

(注)数値目標に関わる実績は、収益認識に関する会計基準等の適用による減収影響を除いております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。

(資金需要)

当社グループの運転資金需要の主なものは、製品製造のための原料・材料の購入、商品仕入のほか、製造費用、研究開発費、人件費の支払いであります。

また、継続的に設備投資を行っておりますが、当連結会計年度において36億24百万円の設備投資を実施いたしました。

(財務政策)

当社グループの運転資金及び設備投資資金の調達は、自己資金及び借入金等により賄っております。

2023年3月期においては、工場設備の拡充等、固定資産取得による支出約50億円を予定しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、重要な会計方針及び見積りによる判断をおこなっております報告数値があり、実際の結果は見積りによる不確実性のために異なる結果となる可能性があります。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 [注記事項] (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

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