業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化により、景気は厳しい状況で推移しました。新型コロナウイルスの変異型による感染症再拡大やウクライナ情勢等の地政学リスクの動向によっては、世界経済の減速懸念もあり、国内経済の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

 国内の情報通信分野においては、株式会社電通の発表では、2021年のインターネット広告費は動画広告需要の高まり等を背景に前年比21.4%の増加となり、マスコミ四媒体広告費を上回りました。

 このような状況の下、当連結会計年度の当社グループの連結経営成績は、次のようになりました。

 コミュニケーション事業は前年同期比で増収となり、データサービス事業とモバイル事業は前年同期比で減収となりました。この結果、売上高は前連結会計年度比472,577千円増(11.7%増)の4,502,622千円となりました。

 費用面では、前連結会計年度と比べて、売上原価は25,352千円減(1.8%減)、販売費及び一般管理費は人件費の増加等により36,201千円増(2.3%増)となりました。

 以上の結果、営業利益は前連結会計年度比461,729千円増(43.6%増)の1,520,224千円となり、営業利益率は、第1四半期連結会計期間(2021年4月~6月)32.4%、第2四半期連結会計期間(2021年7月~9月)30.7%、第3四半期連結会計期間(2021年10月~12月)34.0%、第4四半期連結会計期間(2022年1月~3月)37.7%となり、当連結会計年度で33.8%となりました。経常利益は前連結会計年度比463,469千円増(44.4%増)の1,507,279千円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べて、投資有価証券売却益等の特別利益が223,235千円減少したことにより、前連結会計年度比151,365千円増(17.6%増)の1,011,454千円となり、自己資本利益率(ROE)は26.1%となりました。

 第4四半期連結会計期間における前年同期との比較では、売上高が10.3%増、営業利益が45.0%増となりました。

 当連結会計年度末の総資産は5,009,753千円となり、前連結会計年度末と比べ611,007千円増加しました。負債合計は893,699千円となり、現預金から有利子負債を差し引いた正味現預金は3,207,363千円となりました。純資産合計は4,116,053千円となり、前連結会計年度末と比べ476,374千円増加しました。

 流動資産は4,074,713千円となり、前連結会計年度末と比べ571,716千円増加しました。これは主に、現金及び預金の増加によるものであります。固定資産は935,039千円となり、前連結会計年度末と比べ39,290千円増加しました。これは主に、投資有価証券の増加等によるものであります。

 負債合計は893,699千円となり、前連結会計年度末と比べ134,632千円増加しました。これは主に、未払法人税等の増加によるものであります。

 純資産合計は4,116,053千円となり、前連結会計年度末と比べ476,374千円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益1,011,454千円、配当金の支払234,997千円、自己株式の取得269,772千円等によるものであります。

 以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は82.2%となり、前連結会計年度末と比べ0.5ポイントの低下となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

1.コミュニケーション事業

 ニュースコンテンツの提供並びにWEBサイトの制作・運営・広告販売等を行うコミュニケーション事業では、「顧客満足度(CS)調査事業」と「ニュース配信・PV事業」を展開しております。

 顧客満足度(CS)調査事業の当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比べ36.2%増加し、商標利用・デジタルプロモーション(送客)・データ販売の各ビジネスともに前年同期比で収益規模を拡大して推移しました。第4四半期連結会計期間における前年同期との比較では33.7%増加しました。顧客満足度(CS)調査事業は「ブランドコラボレーション」により付加価値を生み出す、世界でも類を見ない、斬新でユニークな「最先端の知財ビジネス」であります。

 ニュース配信・PV事業の当連結会計年度の売上高は、2020年11月から開始したコンサルティング事業を含め、前連結会計年度と比べ9.1%増加し、第4四半期連結会計期間における前年同期との比較では4.4%増加しました。外部メディア向けコンテンツ提供やコンサルティング事業の業容が前年同期比で拡大しました。また、自社メディア「ORICON NEWS」は注目度が高まる記事・動画等のコンテンツ作りやWEBサイトのユーザビリティの向上等を進めた結果、当社グループの事業基盤の一つであるセッション数は、前連結会計年度と比べ約9%増加し広告収入を伸ばしました。さらに、公式YouTubeチャンネル「ORICON NEWS」では2022年3月にチャンネル登録者数が155万人を超え、再生数も順調に増加しており、エンタテインメント分野を代表する有力なチャンネルとしての地位を確立しております。

 以上の結果、コミュニケーション事業全体の当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比624,334千円増(22.5%増)の3,401,422千円、セグメント利益は前連結会計年度比578,784千円増(36.0%増)の2,185,009千円となりました。

 

2.データサービス事業

 音楽ソフト・映像ソフト・書籍のマーケティングデータを提供するオンラインサービス「ORICON BiZ online」を中心に、当社グループが保有するエンタテインメント関連データを活用したビジネスを展開しております。当連結会計年度の売上高は前連結会計年度比3,048千円減(0.5%減)の662,983千円、セグメント利益は前連結会計年度比12,680千円減(5.1%減)の235,020千円となりました。

 

3.モバイル事業

 当事業では、従来「フィーチャーフォン向け事業」と「スマートフォン向け事業」の2つに区分して状況を記載しておりましたが、経営資源配分等の観点において、当連結会計年度より一体管理する体制へ移行しました。モバイル事業全体の当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比148,709千円減(25.3%減)の438,215千円、セグメント利益は前連結会計年度比75,488千円減(28.5%減)の189,365千円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、3,307,363千円となり、前連結会計年度末と比べ523,174千円増加しました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、得られた資金は1,146,644千円となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益1,538,867千円、減価償却費112,230千円を計上し、法人税等の支払額△461,764千円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は119,112千円となりました。これは主として、関係会社株式の取得による支出△60,395千円、無形固定資産の取得による支出△45,934千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、使用した資金は504,357千円となりました。これは、自己株式の取得による支出△269,772千円、配当金の支払額△234,585千円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績及び受注実績

 当社グループは、WEBサイトの制作・運営、モバイル端末へのコンテンツ提供及びソフトECのデータベース提供を主体とする会社であり、生産設備を保有していないため、生産実績は記載しておりません。

 また、当社グループは受注生産も行っていないため、受注実績の記載はしておりません。

 

b.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

コミュニケーション事業(千円)

3,401,422

122.5

データサービス事業(千円)

662,983

99.5

モバイル事業(千円)

438,215

74.7

報告セグメント計(千円)

4,502,622

111.7

その他(千円)

合計(千円)

4,502,622

111.7

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.総販売実績に対する割合が100分の10未満の相手先に対する販売高及び割合は、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。

経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度末における売上高は、前連結会計年度比472,577千円増(11.7%増)の4,502,622千円となりました。これは主に、基幹ビジネスであるコミュニケーション事業の伸長によるものであります。各報告セグメントの外部顧客への売上高の連結売上高に占める割合は、コミュニケーション事業が75.6%、データサービス事業が14.7%、モバイル事業が9.7%となりました。

(売上総利益)

 当連結会計年度末における売上総利益は、モバイル事業のフィーチャーフォン向けサービスの終了等により売上原価が減少し、前連結会計年度比497,930千円増(19.0%増)の3,119,926千円となり、売上総利益率は前連結会計年度比4.2ポイント増の69.3%となりました。

(営業利益)

 当連結会計年度末における販売費及び一般管理費は、人件費の増加等により、前連結会計年度比36,201千円増(2.3%増)となりました。当社グループが最重要指標としている当連結会計年度末における営業利益は、増収に伴い前連結会計年度比461,729千円増(43.6%増)の1,520,224千円、営業利益率は前連結会計年度比7.5ポイント増の33.8%となり、いずれも上場以来最高となりました。

(経常利益)

 当連結会計年度末における営業外収益は、前連結会計年度比6,513千円増の12,262千円となりました。営業外費用は、前連結会計年度比4,773千円増の25,207千円となりました。

 以上の結果、経常利益は、前連結会計年度比463,469千円増(44.4%増)の1,507,279千円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度末における特別利益は、投資有価証券売却益等の減少により34,057千円となりました。特別損失は、前連結会計年度比1,200千円減の2,469千円となりました。

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比151,365千円増(17.6%増)の1,011,454千円となり、8期連続の増益となりました。

財政状態の分析

 当社グループの当連結会計年度末における財政状態は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、連結ベースの営業利益及び営業利益率、親会社株主に帰属する当期純利益、一定の自己資本比率と自己資本利益率(ROE)を確保することを経営指標として位置づけております。

 当連結会計年度における営業利益、営業利益率及び親会社株主に帰属する当期純利益はいずれも前年度を上回り、自己資本比率は82.2%、ROEは26.1%となっており、一定の水準を超えているものと判断しております。

 

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

1.コミュニケーション事業

 当社グループの主力ビジネスとして成長を続けており、顧客満足度(CS)調査事業は商標利用、デジタルプロモーション(送客)、データ販売のいずれのサービスも好調に推移し、ニュース配信・PV事業は閲覧数の増加による広告収入やPRコンサルティングのビジネスの拡大も寄与し増収増益となりました。

 

2.データサービス事業

 新しい情報提供先の開拓やデジタルランキングにストリーミングを追加する等サービスメニューの拡充に注力しましたが、システム関連投資による償却負担等もあり減収減益となりました。

 

3.モバイル事業

 フィーチャーフォン向けサービスは電気通信事業者のサービス終了に伴い終了しました。スマートフォン向けサービスは特典を設ける等、当社独自の手法でコンテンツを展開し最大限の利益確保に努めております。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの状況の分析

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は事業投資や設備投資等によるものであります。また、株主還元については、財務の健全性等を留意しつつ、安定的・継続的な配当を実施してまいります。

 運転資金及び投資資金並びに株主還元等については、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローを源泉とする内部資金又は金融機関からの借入を基本としております。また、当社グループは、キャッシュ・マネジメント・システムを導入しており、グループ会社から資金を預かり、効率良く運用しております。

 当社グループは、健全な財務体質、継続的な営業活動によるキャッシュ・フロー創出能力により、今後も事業成長を確保する目的で手元流動性を高める資金調達や、個別投資案件への資金調達は可能であると考えております。なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,307,363千円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、「第5 経理の状況」に記載した会計方針を基にしております。

 

 

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