業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況が続く中で、正常化に向けた持ち直しの動きを見せているものの、未だ収束時期が見通せない状況にあります。また、エネルギー価格や原材料価格の高騰、為替変動がもたらす経済への下振れ懸念等により、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

このような経済環境下、当連結会計年度における当社グループの業績は、累計正味加入件数の減少に伴い有料放送収入は減少しましたが、テレマーケティング業務等その他収入の増加により、売上高は796億57百万円と前期に比べ4億92百万円(0.6%)の増収となりました。営業利益はサッカー等大型スポーツコンテンツの戦略的な投下により番組費が増加したため、52億68百万円と前期に比べ15億21百万円(△22.4%)の減益、経常利益は53億49百万円と前期に比べ15億84百万円(△22.9%)の減益となりましたが、当連結会計年度は減損損失の計上がなかったことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は42億39百万円と前期に比べ12億97百万円(44.1%)の増益となりました。

 

各セグメントの経営成績は次のとおりです。なお、当社グループの事業戦略と整合性をとることを目的に、従来「放送」としておりました報告セグメントの名称を「メディア・コンテンツ」に変更しております。

 

<メディア・コンテンツ>

当連結会計年度は、「UEFA EURO2020TM サッカー欧州選手権」「UEFAチャンピオンズリーグ」やテニス、ボクシング井上戦、日本代表戦が注目を集めたラグビー、笹生選手が優勝したLPGA等のスポーツコンテンツのほか、WOWOW×東海テレビ共同製作連続ドラマ「准教授・高槻彰良の推察」や矢沢永吉の音楽ライブ等が好評を得たことに加え、2021年1月からWOWOWオンデマンド経由での加入を開始したことにより、若年層(20代~30代)のお客さまの新規加入が増加しました。

また、コンテンツを「視聴」するだけではなく、お客さまに「参加」「応援」「体験」いただくために、「WOWOWテニスワールド」、「WOWOWサッカーアリーナ」、「エキサイトマッチファンクラブ」等の「コミュニティ・サービス」の拡充を行ないました。2022年1月の「全豪オープンテニス」では、当社として初の取り組みとなる、WOWOWオンデマンド及びWOWOWテニスワールドで全試合・全コートのライブ配信を行ない、好評を得ました。

しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、映画や音楽コンテンツのラインナップに苦戦していることや配信サービスとの競争激化、目的番組の終了による解約件数増加の影響等により、正味加入件数は純減と厳しい結果となりました。

以上の結果、当連結会計年度におけるメディア・コンテンツセグメントの売上高は、739億68百万円と前期に比べ10億9百万円(△1.3%)の減収、セグメント利益は46億74百万円と前期に比べ18億98百万円(△28.9%)の減益となりました。

 

当連結会計年度の加入件数の状況は次表のとおりとなりました。

(単位:件)

 

第37期

2021年3月期

第38期

2022年3月期

対前年差

対前年増減率

新規加入件数

542,246

611,860

69,614

12.8%

解約件数

605,541

722,920

117,379

19.4%

正味加入件数

△63,295

△111,060

△47,765

累計正味加入件数

2,791,471

2,680,411

△111,060

△4.0%

内)複数契約(注)1

397,191

379,057

△18,134

△4.6%

内)宿泊施設契約(注)2

75,294

77,254

1,960

2.6%

(注)1. 同一契約者による2契約目と3契約目については、月額2,530円(税込)の視聴料金を990円(税込)に割引しており、当該割引の対象となる契約を「複数契約」と呼称しております

2. 宿泊施設の客室で視聴するための宿泊施設事業者との契約については、視聴料金を個別に定めており、当該契約を「宿泊施設契約」と呼称しております

 

<テレマーケティング>

外部顧客からのテレマーケティング業務等外部売上が増加したことにより、売上高は100億円と前期に比べ5億86百万円(6.2%)の増収となり、セグメント利益は5億94百万円と前期に比べ3億77百万円(173.9%)の増益となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の期末残高は、前連結会計年度末に比べ51億81百万円増加し、273億33百万円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は64億22百万円(前期比4億60百万円増)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益53億92百万円及び減価償却費35億円の計上、仕入債務の増加額47億65百万円であり、主な減少要因は、棚卸資産の増加額37億50百万円、法人税等の支払額22億28百万円及び売上債権の増加額12億8百万円です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は21億12百万円(前期比78億36百万円減)となりました。主な増加要因は、定期預金の払戻による収入56億49百万円であり、主な減少要因は、定期預金の預入による支出49億63百万円及び有形固定資産の取得による支出23億19百万円です。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動の結果得られた資金は8億52百万円(前期では財務活動の結果使用した資金は21億96百万円)となりました。増加要因は、自己株式の売却による収入30億35百万円、主な減少要因は、配当金の支払額21億63百万円です。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当連結会計年度における売上高実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

売上高(百万円)

対前年増減率(%)

メディア・コンテンツ

73,942

△1.4

テレマーケティング

5,715

36.2

合計

79,657

0.6

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主要な販売の相手先は一般視聴者であり、主な相手先別に記載するべきものはありません。

3.「メディア・コンテンツ」セグメントには有料放送収入66,277百万円(対前年増減率△2.0%)を含んでおります。

 

加入件数の状況、加入方法及び有料放送の料金体系を示すと、以下のとおりです。

A 加入件数の状況

「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」における加入件数の状況をご参照ください。

 

B 加入方法

(A) デジタル機器(直接受信)による視聴の場合

加入申込は、カスタマーセンターでの電話による受付及びインターネット等を通じて顧客と当社が直接契約する形態と特約店業務委託契約をしている電器店等を通じて行う形態があります。

 

(B) ケーブルテレビ局経由による視聴の場合

加入申込は、当社が契約しているケーブルテレビ局を通じて行っております。

 

(C) スカパー経由による視聴の場合

加入申込は、スカパーJSAT㈱を通じて行っております。

 

(D) ひかりTV経由による視聴の場合

加入申込は、㈱アイキャストを通じて行っております。

C 有料放送の料金体系

区分

視聴料

備考

衛星デジタル有料放送サービス

月額視聴料 2,530円(税込)

(プログラムガイド込み)

衛星デジタル有料放送サービスに更に衛星デジタル有料放送サービスを追加して有料放送契約を締結する場合の衛星デジタル有料放送サービス(複数契約)

月額視聴料  990円(税込)

(プログラムガイドなし)

ただし、同一世帯による同一口座から視聴料の引落しを受ける衛星デジタル有料放送サービス契約1契約につき新たな衛星デジタル有料放送サービス2契約までとする。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって、決算日における資産・負債の数値並びに当該会計期間における収益・費用の数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行います。

見積り及び判断の基礎としては、過去の実績や合理的と考えられる査定方式を採っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性により、見積りと異なる場合があります。見積りに大きな影響を及ぼす重要な会計方針の主要なものは以下のとおりです。

 

A 固定資産の減損処理

当社グループは、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損して、当該差額を減損損失として計上しております。

固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等を合理的に見積った上で計算するため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の見積りに変更があった場合、当社グループで減損損失が計上される可能性があります。

 

B 繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、回収可能性を判断したうえで繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、当該見積額が減少した場合には繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

C 投資有価証券の減損処理

当社グループは、長期的な取引関係維持または将来における事業の多角化を見据え、特定の有価証券を保有しております。これらの株式のうち、市場価格のない株式等以外のものについて時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理をしております。市場価格のない株式等について実質価額が著しく低下したときは、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられない限り、減損処理をしております。

将来の市況悪化または投資先の業績不振等により、現在簿価に反映されていない追加的な評価損の計上が必要となる可能性があります。

 

当連結会計年度において、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)及び 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

A 連結経営成績の推移

最近5期間における経営成績(重要な経営指標)は、以下のように推移しております。

回次

第34期

第35期

第36期

第37期

第38期

決算年月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

新規加入件数

(件)

590,649

660,191

563,915

542,246

611,860

解約件数

(件)

537,432

635,100

610,642

605,541

722,920

正味加入件数

(件)

53,217

25,091

△46,727

△63,295

△111,060

累計正味加入件数

(件)

2,876,402

2,901,493

2,854,766

2,791,471

2,680,411

売上高

(百万円)

81,574

82,623

82,450

79,165

79,657

経常利益

(百万円)

10,698

7,531

9,225

6,934

5,349

売上高経常利益率

(%)

13.1

9.1

11.2

8.8

6.7

営業活動による

キャッシュ・フロー

(百万円)

9,421

5,017

9,982

5,961

6,422

 

2018年3月期

 新たに㈱WOWOWプラスを連結子会社化したこと等により、売上高は前期に比べ4.2%の増収となりました。経常利益は広告宣伝費等が増加するも、為替差損益が良化したことにより、前期に比べ4.0%の増益、経常利益率は前期と同率となりました。営業活動の結果得られた資金は前期に比べ22.8%の減少となりました。

 

2019年3月期

 累計正味加入件数増加に伴い有料放送収入が前期に比べ増加したことや、テレマーケティング事業における外部売上の増加等により、売上高は前期に比べ1.3%の増収となりました。一方で、戦略的なコンテンツ強化による番組費の増加等により、経常利益は前期に比べ29.6%の減益、経常利益率は4.0ポイントの減少となりました。営業活動の結果得られた資金は前期に比べ46.8%の減少となりました。

 

2020年3月期

 累計正味加入件数の減少に伴う有料放送収入の減少等により、売上高は前期に比べ0.2%の減収となりました。一方で、新型コロナウイルス感染症の影響によるスポーツや音楽ライブ等の延期、中止に伴い番組費が減少したこと等により、経常利益は前期に比べ22.5%の増益、経常利益率は2.1ポイントの増加となりました。営業活動の結果得られた資金は前期に比べ99.0%の増加となりました。

 

2021年3月期

 累計正味加入件数の減少に伴う有料放送収入の減少等により、売上高は前期に比べ4.0%の減収となりました。新型コロナウイルス感染症の影響によるスポーツや音楽ライブ等の延期・中止に伴い番組費が減少しましたが、4Kや配信関連費用等が増加したことや、貸倒引当金繰入額を計上したこと等により、経常利益は前期に比べ24.8%の減益、経常利益率は2.4ポイントの減少となりました。営業活動の結果得られた資金は前期に比べ40.3%の減少となりました。

 

B 当連結会計年度(2022年3月期)の経営成績の分析

(A) 加入件数

当連結会計年度における加入件数の状況は、新型コロナウイルス感染症の影響により、映画や音楽コンテンツのラインナップに苦戦していることや配信サービスとの競争激化、目的番組の終了による解約件数増加の影響等により、新規加入件数は611,860件(対前年増減率12.8%)、解約件数は722,920件(同19.4%)、新規加入件数から解約件数を差し引きました正味加入件数は△111,060件となり、当連結会計年度末の累計正味加入件数は2,680,411件(同△4.0%)と3期連続純減と厳しい結果になりました。また、当連結会計年度末時点において、複数契約は379,057件(同△4.6%)、宿泊施設契約は77,254件(同2.6%)となりました。

(B) 売上高

累計正味加入件数の減少に伴い有料放送収入は減少しましたが、テレマーケティング業務等その他収入の増加により、売上高は796億57百万円と前期に比べ4億92百万円(0.6%)の増収となりました。

 

(C) 経常利益

サッカー等大型スポーツコンテンツの戦略的な投下により番組費が増加したため、53億49百万円と前期に比べ15億84百万円(△22.9%)の減益となりました

 

(D) 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動の結果得られた資金は64億22百万円(前期比4億60百万円増)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益53億92百万円及び減価償却費35億円の計上、仕入債務の増加額47億65百万円であり、主な減少要因は、棚卸資産の増加額37億50百万円、法人税等の支払額22億28百万円及び売上債権の増加額12億8百万円です。

 

C 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループを取り巻く事業環境は、年々競争激化の様相を強めております。それに伴い事業運営のリスク要因等も多種・多様化しております。詳細につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」並びに「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。

当社グループの売上高の源泉は加入者からの視聴料です。したがって、加入者を如何にして増やし続けるか、その為に何をするかが重要な課題であり、経営成績に重要な影響を与える要因です。さらに、当社グループの基幹事業は放送です。加入への誘引、加入していただいたお客さまの視聴の継続に大きく影響を及ぼすのは、放送の内容、番組、コンテンツです。質の高いコンテンツを獲得することは、必要不可欠であり、経営成績に重要な影響を与える要因です。

 

D 資本の財源及び資金の流動性について

(A) 当社グループの資金状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、前連結会計年度に比べ51億81百万円増加し、273億33百万円となりました。詳細につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

(B) 財務政策

当社は、2021年11月26日開催の取締役会決議に基づき、2021年12月13日を払込期日とする公募により自己株式1,366,000株及び2021年12月28日を払込期日とするオーバーアロットメントによる株式売出しに関連した第三者割当により自己株式202,300株を処分し、総額30億35百万円の資金調達を行っております。

当社グループは、運転資金及び設備投資等の資金につきましては、自己資金により充当しております。

 次期の運転資金及び設備投資資金につきましては、自己資金、取引銀行4行と個別契約しております総額32億70百万円の当座貸越契約及び取引銀行4行と2021年5月31日に締結いたしました総額100億円のコミットメントライン契約により確保しております。

 

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