業績

3【経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症、米中貿易摩擦の長期化、ロシアのウクライナ侵攻等の影響により、先行きは不透明な状況となっております。

 このような状況の中、当社グループは、2025年度を最終年度とする6カ年の「長期経営構想2025」および2022年度を最終年度とする3カ年の「中期経営計画2022」のもと、試薬・機器事業とCDMO事業を通じ、バイオ創薬基盤技術開発を進め、新モダリティを継続的に創出する創薬企業を目指した取り組みを推進いたしました。また、新型コロナウイルスのPCR検査関連製品の安定的な供給や、ワクチンを含む再生医療等製品の製造体制整備等に積極的に取り組みました。

 当連結会計年度の売上高は、機器および遺伝子医療が前期比で減少したものの、試薬および受託が前期比で増加いたしました。特に、試薬は、一般研究用試薬がコロナ禍から回復し売上高が過去最高となり、新型コロナウイルスのPCR検査関連試薬も大幅に伸長いたしました。売上高は、67,699百万円(前期比46.9%増)と増収となり、原価率も改善したことから、売上原価は18,488百万円(同30.1%増)となりましたので、売上総利益は、49,211百万円(同54.4%増)となりました。販売費及び一般管理費は、人件費および研究開発費等が増加し、20,309百万円(同13.3%増)となり、営業利益は、28,902百万円(同107.1%増)と増益となりました。

 営業利益の増益にともない、経常利益は、28,459百万円(同101.0%増)、税金等調整前当期純利益は、27,532百万円(同103.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、19,849百万円(同107.9%増)とそれぞれ増益となりました。

 なお、当社グループは単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

② 財政状態の状況

 当連結会計年度末の総資産は、115,712百万円となり、前連結会計年度末に比べて25,962百万円増加いたしました。これは主に、商品及び製品が13,999百万円、売上債権が5,218百万円増加したこと、また、Takara Bio USA, Inc.の新事業所建物の内装工事および当社の製造設備取得等により有形固定資産が6,629百万円増加したことによるものであります。

 当連結会計年度末の負債合計は、19,647百万円となり、前連結会計年度末に比べて4,199百万円増加いたしました。これは主に、未払法人税等が2,352百万円、未払金が1,531百万円増加したことによるものであります。

 当連結会計年度末の純資産合計は、96,064百万円となり、前連結会計年度末に比べて21,762百万円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が17,923百万円、為替換算調整勘定が円安の進行により3,737百万円それぞれ増加したことによるものであります。

③ キャッシュ・フローの状況

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益27,532百万円、減価償却費3,554百万円によるキャッシュ・イン、棚卸資産の増加14,233百万円、法人税等の支払額5,922百万円、売上債権の増加4,812百万円によるキャッシュ・アウト等により6,985百万円の収入と、前連結会計年度に比べて6,958百万円の収入減少となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入12,877百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出12,403百万円、定期預金の預入による支出11,406百万円、補助金の受取額3,960百万円等により7,071百万円の支出と、前連結会計年度に比べて3,292百万円の支出増加となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額1,923百万円等により2,070百万円の支出と、前連結会計年度に比べて966百万円の支出増加となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物に係る換算差額を含めた当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より1,148百万円減少し、22,160百万円となりました。

 

④ 生産、仕入、受注および販売の状況

1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をカテゴリーごとに示すと、次のとおりであります。

カテゴリー

金額(百万円)

前期増減率(%)

試薬

22,123

29.1

機器

57

△72.9

受託

11,952

44.8

遺伝子医療

148

△44.7

合計

34,281

32.5

 

(注)金額は、販売価格によっております。

 

2)仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績をカテゴリーごとに示すと、次のとおりであります。

カテゴリー

金額(百万円)

前期増減率(%)

試薬

19,051

405.9

機器

1,248

△24.5

合計

20,300

274.6

(注)1.金額は、仕入価格によっております。

2.当連結会計年度において、仕入実績に著しい変動がありました。これは、試薬カテゴリーにおける、抗原検査キットの輸入等の増加によるものであります。

 

3)受注実績

 バイオ産業支援事業において受託を行っていることから、一部受注生産を行っておりますが、ほとんどの場合において、生産に要する期間が短く、受注残高が僅少であることから記載を省略しております。

4)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をカテゴリーごとに示すと、次のとおりであります。

カテゴリー

金額(百万円)

前期増減率(%)

試薬

54,605

55.2

機器

1,518

△12.1

受託

11,426

28.4

遺伝子医療

148

△44.5

合計

67,699

46.9

(注)カテゴリー間の内部売上高は除いて記載しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」および「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

1)当連結会計年度の経営成績等

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高67,699百万円(前期比46.9%増)、営業利益28,902百万円(同107.1%増)、経常利益28,459百万円(同101.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益19,849百万円(同107.9%増)で、増収増益となりました。売上高・各利益ともに過去最高業績を更新するとともに、営業利益および経常利益は、13期連続増益を達成いたしました。

 なお、経営成績等の概要につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

2)経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

3)資本の財源および資金の流動性

 当社グループは、研究開発型企業として研究開発投資を積極的に実施し、また、今後の持続的成長のための戦略投資(設備投資やM&A投資等)も必要に応じて実施していく方針であることから、これらの資金需要に対応するため、内部留保の充実、十分な手元流動性の確保が必要であると考えております。

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は、22,160百万円であり、十分な手元流動性は維持できているものと認識しております。

 当社グループは、現在の十分な手元流動性と営業活動によるキャッシュ・フローの創出により、財務健全性を維持しながら、今後の資金需要に対応可能であるものと考えております。

4)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境および対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。

 

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