課題

1【経営方針、経営環境および対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、「遺伝子治療などの革新的なバイオ技術の開発を通じて、人々の健康に貢献します。」という企業理念のもと、技術基盤であるバイオテクノロジーを活用し、「バイオ産業支援」と「遺伝子医療」の両事業を通じて、社会への貢献を果たしていくとともに、企業価値の向上を目指しております。

 

(2)経営戦略等

 当社グループは、2025年度を最終年度とする6カ年の「長期経営構想2025」および2022年度を最終年度とする3カ年の「中期経営計画2022」を策定し、遂行しております。

 

(参考)「長期経営構想2025」のビジョン

 

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①事業領域の拡大

 アカデミアの研究支援から、産業応用、臨床関連分野、さらに創薬へと事業領域を拡大させる

 

②新技術の開発

 研究用試薬などの新製品開発やCDMO事業の新メニューの開発を通じ、創薬基盤技術開発を進める

 

「長期経営構想2025」の概要

(1) 位置づけ・目的

 「遺伝子治療などの革新的なバイオ技術の開発を通じて、人々の健康に貢献します。」という企業理念のもと、2025年における目指す姿を示し、持続的成長を実現する。

(2) 期間

 2020年度~2025年度(6年間)

(3) ビジョン(目指す姿)

 試薬・機器事業とCDMO事業を通じ、バイオ創薬基盤技術開発を進め、新モダリティを創出し続ける創薬企業(注)を目指す。

(注)医薬品の研究開発、製造、販売のすべての機能を自社内で完結する完全統合型製薬企業のビジネスモデルではなく、新しく開発した治療法のライセンスを導出する等により収益を得ることをビジネスモデルとする企業

(4) 計画最終年度定量目標

 営業利益:100億円、ROE:8%以上

「中期経営計画2022」の概要

(1) 期間

 2020年度~2022年度(3年間)

(2) 全体方針

 事業成長戦略と経営基盤強化戦略を推進し、長期経営構想2025の実現(営業利益100億円)に向けた成長基盤の礎を構築する3年間とする。

(3) 計画最終年度定量目標

 営業利益:65億円、ROE:6%以上

 ※2022年度の業績予想では、営業利益:150億円、ROE:10.7%としております。

(4) 事業戦略

・コア事業である「試薬・機器事業」と「CDMO事業」の持続的成長

・将来の飛躍的成長に向けた創薬アライアンスの加速と新規臨床プロジェクトの創出

・伸び行くグローバル市場での展開の加速、事業領域の拡大

・事業部門制を廃止し、部門融合による成長加速へ向けた組織体へ再編

(5) 経営基盤強化

・積極的な成長投資、株主還元の充実、ROEの向上

・成長を支える人・組織・労働環境づくり

・技術・研究開発基盤の強化

・生産性向上によるあらたな収益基盤の構築

・企業理念の実践による社会的価値の創造

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 定量目標:計画最終年となる2025年度に、営業利益100億円、ROE8%以上

 

(4)経営環境

 当社グループを取り巻く環境は、国内外ともに大きく変化し、厳しさを増しております。直近では、新型コロナウイルス感染症、米中貿易摩擦の長期化、ロシアのウクライナ侵攻等があげられます。また、当社グループが積極的に取り組んでいる遺伝子医療、再生医療等製品の分野では、多様なモダリティの開発、実用化が進み、バイオベンチャーや製薬企業等、企業規模とは関係なく、世界的に競争が激化しております。

 さらに、環境・社会問題等、サステナビリティへの企業の取り組みに対し、社会的関心が高まり、企業は業績・財務だけではなく、社会課題解決への積極的な取り組みが求められております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

 当社グループは、「長期経営構想2025」および「中期経営計画2022」において、以下の課題に取り組み、持続的成長を実現してまいります。なお、当連結会計年度は新型コロナウイルスPCR検査関連試薬により収益が大きく上振れましたが、中期経営計画・長期経営構想に掲げた成長基盤の構築のための諸施策に引き続き取り組んでまいります。定量目標、KPIについては今後の推移を確認しながら必要に応じ適宜見直しを検討してまいります。

 

事業成長戦略

 コア事業である「試薬・機器事業」と「CDMO事業」の両輪で、持続的成長を目指すとともに、将来の飛躍的成長に向けて、バイオ創薬基盤開発、創薬アライアンスの加速と臨床開発プロジェクトの新規創出をはかります。

 

(1)試薬事業

・日本、米国、中国の各開発拠点の開発テーマの最適化をはかり開発効率の向上を目指します。

・日本、米国、中国、欧州における製造体制を分散・再編し、グループ全体での最適化、効率化をはかります。また、継続的なコストダウン、品質マネジメントシステムの取得範囲の拡大等により、価格・品質面での競争力向上をはかります。

・地域特性を考慮した「グローカル」な販売戦略を構築します。

 

(2)機器事業

・ウイルス検査等の産業・医療分野向けのPCR関連製品の開発を強化し、さらに獣医・畜産、環境分野への展開をはかります。

・シングルセル解析装置等のアプリケーションの充実による拡販を目指すとともに、CDMO事業の新規メニューの開発にも活用します。

・製造・開発体制を再編し、機器と専用試薬のシステム化による付加価値の高い新製品開発を行います。

(3)CDMO事業

・遺伝子・細胞プロセッシングセンターの増設・拡張により、再生医療等製品等の製造能力が格段に向上したことを活用し、CDMO事業の拡大を目指します。

・再生医療等製品関連分野では、ウイルスベクター製造のスケールアップや、遺伝子導入細胞の生産性の向上、コストダウンも含めたGMP製造体制のさらなる強化を進めます。また、mRNA等新規モダリティへの対応が可能な製造体制を整えます。

・遺伝子解析・遺伝子検査分野では、臨床関連分野への参入、大型ゲノム解析プロジェクト対応能力の向上等に努めます。

 

(4)創薬アライアンス

・TBI-1301(NY-ESO-1・siTCR®)プロジェクトについては、提携企業と確実に臨床開発を進め、早期の上市を目指します。

 

(5)新規臨床開発プロジェクト

・TBI-2001(CD19・JAK/STAT・CAR)をはじめ、あらたな複数の遺伝子治療プロジェクトの開発を推進します。

・体外遺伝子治療では、治療効果がより高く、血液がん以外の固形がんへも応用可能なCARおよびsiTCR®治療法の開発を目指します。

・体内遺伝子治療では、治療効果がより高く、患者への負担が少なく投与できる新しいウイルスベクターの開発を目指します。

 

経営基盤強化戦略

事業戦略と連動した、5つの経営基盤戦略を推進することで、「長期経営構想2025」を実現する企業風土へと変革し、強固な成長基盤を確立します。同時に、サステナビリティに配慮した経営も実践します。

 

(1)財務

財務健全性を維持しながら、積極的な成長投資を継続し、株主還元の充実とROEの維持向上を目指します。

 

(2)人・組織

グローバル化、次世代を担うリーダーの人材育成に注力し、個々の能力を高める成長機会を充実させるとともに、ワークライフバランスとやりがいを実感できる労働環境づくりを実現します。

 

(3)技術

持続的成長の生命線である研究・開発力を強化し、オープンイノベーションも積極的に活用することにより、新技術創出の基盤を構築します。

 

(4)収益

業務管理・プロセスの見直し、IT基盤の一層の整備・活用による業務の効率化や生産性の向上をはかります。

 

(5)社会的価値の創造

企業理念に基づいた、先端研究用試薬の開発・実用化等を通じたライフサイエンス研究支援、遺伝子治療薬の開発によるアンメットメディカルニーズの充足等、当社グループならではの事業活動を行います。

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