業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における国内経済は、前年度と比較すると景気の持ち直しが見られたものの、当連結会計年度後半は、新型コロナウイルス感染症が再拡大し、行動制限による消費の鈍化や、部品不足により生産活動が停滞する等、景況感は足踏み状態となりました。世界経済においても、国内同様、当連結会計年度の前半は急激な景気回復が見られましたが、後半は半導体不足が主因となり、回復が鈍化しました。
 このような状況の中、当社グループは、製品開発や顧客需要に応える生産体制の再整備の効果もあり、前年度と比較し、売上は大きく増加しました。売上構成比の高い電子・半導体業界では、市場が活況であったことから売上は大きく増加しました。また、輸送機器業界、機械業界向けの関連工具においても、当連結会計年度の前半は両業界共に生産が好調であったことから、関連工具の販売は前年度を上回る結果となりました。

 

その結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下の通りとなりました。

 

a. 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、72,241百万円と前期と比べ4,097百万円(6.0%)の増加となりました。
  当連結会計年度末の負債合計は、11,372百万円と前期と比べ525百万円(4.8%)の増加となりました。
  当連結会計年度末の純資産合計は、60,869百万円と前期と比べ3,572百万円(6.2%)の増加となりました。

 

b. 経営成績

当連結会計年度の売上高は、37,161百万円と前期と比べ7,018百万円(23.3%)の増収となりました。

当連結会計年度の営業利益は、2,811百万円(前期は営業損失732百万円)となりました。

当連結会計年度の経常利益は、3,650百万円(前期は経常損失337百万円)となりました。

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、3,288百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失331百万円)となりました。

 

なお、業界別の経営成績は、次の通りであります。

 

(a) 電子・半導体業界

当業界向けの売上高は、13,752百万円と前期と比べ2,682百万円(24.2%)の増収となりました。

(b) 輸送機器業界

当業界向けの売上高は、8,115百万円と前期と比べ1,314百万円(19.3%)の増収となりました。

(c) 機械業界

当業界向けの売上高は、9,832百万円と前期と比べ2,371百万円(31.8%)の増収となりました。

(d) 石材・建設業界

当業界向けの売上高は、4,124百万円と前期と比べ489百万円(13.5%)の増収となりました。

(e) その他(大学、研究機関、窯業及び宝飾等)

その他の売上高は、1,335百万円と前期と比べ159百万円(13.6%)の増収となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、15,548百万円となり、前連結会計年度末と比べ4,898百万円の増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によって得られた資金は、5,948百万円(前年同期は90百万円の支出)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益が4,408百万円、減価償却費が2,961百万円、売上債権の増減額が1,287百万円あったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出された資金は、356百万円(前年同期は4,289百万円の支出)となりました。この主な内容は、有価証券の売却による収入が1,000百万円、有形固定資産の取得による支出が1,701百万円あったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出された資金は、1,077百万円(前年同期は604百万円の支出)となりました。この主な内容は、配当金の支払額が612百万円あったことによります。

 

③ 生産実績及び受注状況

当社グループはダイヤモンド工具事業の単一セグメントでありますが、生産・販売品目は多種多様であり、同種の製品であってもその形状等は一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品もあり、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示す事はしておりません。

 

 

 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。なお、当社の経営者は、この連結財務諸表の作成にあたって、重要な判断と見積りや計画の策定に対し、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、これらは不確実性を伴うため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。

 

(棚卸資産)

当社グループは、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により、棚卸資産の帳簿価額を評価しており、主に一定の保有期間を超える棚卸資産について滞留もしくは陳腐化しているとみなして評価損を計上しております。今後、市場環境の悪化等により滞留もしくは陳腐化が生じた場合、追加の評価損の計上が必要となる可能性があります。

(貸倒引当金)

当社グループは、売掛金、未収入金その他これらに準ずる債権を適正に評価するため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。将来、債権の相手先の財務状況がさらに悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上や貸倒損失が発生する可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の拡大による市場環境の著しい悪化などの外部環境の変化により債権の信用リスクが増加した場合には、必要に応じて見積りに対し補正を加える可能性があります。

 

(有価証券)

当社グループは、保有合理性検証の結果、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上に資すると判断した有価証券を保有しており、これらの有価証券には価格変動性が高い市場価格のある有価証券と、市場価格のない有価証券が含まれます。当社グループは、保有する有価証券の実質価額が著しく下落した場合には、回復可能性がある場合を除き減損処理を行っております。市場価格のある有価証券については、期末日における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には、回復可能性がないものとして判断し、30%以上50%未満程度下落した場合には、回復可能性を判断して減損処理を行うこととしております。市場価格のない有価証券については、発行会社の1株当たり純資産額が取得価額に比べ50%程度以上下落した場合には、将来の展望などを総合的に勘案して、回復可能性があると判断したものを除き減損処理を行っております。なお、将来の市況悪化又は投資先の業績不振など、現在の帳簿価額に反映されていない損失又は帳簿価額の回収が不能となる状況が発生した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

(繰延税金資産)

当社グループは、中長期の損益見込みを基として将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を評価したうえで計上しております。既に計上した繰延税金資産については、その回収可能性について毎期検討し内容の見直しを行っております。なお、新型コロナウイルス感染症による当社グループへの経営成績及び財政状況に与える影響につきましては、感染の収束時期が見通せず、先行き不透明な状況が続くと思われますが、重要な影響はないものと仮定し、会計上の見積りを行っております。

(固定資産の減損)

当社グループは、固定資産の減損判定にあたり、管理会計の区分をもとに概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位でグルーピングを行っております。収益性が低下した資産グループについて、将来における回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。回収可能価額については、将来キャッシュ・フローや正味売却可能価額等の前提条件に基づき算出しているため、事業計画の変更や市場環境の悪化等により、その前提条件に変更が生じた場合には、減損損失を計上する可能性があります。

(退職給付)

当社グループは、従業員に対する退職給付債務及び退職給付費用について、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、昇給率、退職率、長期期待運用収益率、及び直近の統計数値に基づいた死亡率等が含まれます。実際の計算結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合には、数理計算上の差異に影響し、当社グループの退職給付債務及び退職給付費用に影響を与える可能性があります。

(事業構造改善)

連結子会社である旭ダイヤモンドインダストリアルヨーロッパSASにおける収益構造の安定化を図るため事業構造改善を実施しており、製造拠点の統合により発生する費用等を見積り、事業構造改善引当金として計上しております。今後、市場環境の変化等に対応するため計画の変更が発生した場合は、追加の事業構造改善費用の計上が必要となる可能性があります。

 

② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 財政状態の分析

(資産の部)

  当連結会計年度末における資産合計は、72,241百万円と前期と比べ4,097百万円(6.0%)増加となりました。資産の増加の主な要因は、有形固定資産が1,100百万円減少した一方で、現金及び預金が4,122百万円増加、受取手形及び売掛金が1,494百万円増加したことによるものであります。
(負債の部)

  当連結会計年度末における負債合計は、11,372百万円と前期と比べ525百万円(4.8%)増加となりました。負債の増加の主な要因は、未払法人税等が461百万円増加したことによるものであります。
(純資産の部)
 当連結会計年度末における純資産の額は、60,869百万円と前期と比べ3,572百万円(6.2%)増加となりました。純資産の増加の主な要因は、剰余金の配当により612百万円減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により3,288百万円増加、為替換算調整勘定が929百万円増加したことによるものであります。
 この結果、自己資本比率は82.1%となり、1株当たり純資産額は1,067円79銭となりました。 

 

b. 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、37,161百万円と前期と比べ7,018百万円(23.3%)の増収となりました。

(営業利益)

当連結会計年度における営業利益は、2,811百万円(前期は営業損失732百万円)となりました。

(経常利益)

当連結会計年度における経常利益は、3,650百万円(前期は経常損失337百万円)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、3,288百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失331百万円)となりました。

 

c. 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通りであります。

 

 

業界別の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次の通りであります。

 

電子・半導体業界

電子・半導体業界では、新型コロナウイルス感染症拡大によるテレワークや在宅勤務等の増加に伴い、関係機器の生産が増え、更に5Gの本格的な普及により携帯端末等の通信機器の生産が好調に推移しました。

当社グループでは、生産が好調であった携帯端末部品をはじめとした情報機器向けや基板材料向け関連工具の販売に注力したことにより、関連工具の販売が大きく増加しました。

 

輸送機器業界

 自動車業界では、第4四半期後半に再び減産となりましたが、当連結会計年度前半の生産が好調であったことから、通期の生産台数は前年と比べ微増に留まりました。当社グループでは、開発を進めていた切削工具をはじめ、研削ホイール及び歯車加工関連工具の販売に注力し、関連工具の販売は増加しました。一方、航空機業界においては、各国で行われていた移動制限等が緩和されましたが、航空機需要の低迷が続き、関連工具の販売は減少しました。

 

 

 

 

機械業界

 軸受や工作機械業界では、自動車等の輸送機器や一般産業用の生産が回復しました。また、超硬工具業界においても自動車・機械部品の需要増により生産が増加しました。当社グループは、新規拡販の取り組みや新製品投入を進める等、販売強化に努めたことにより、当業界向け関連工具の販売は増加しました。

 

石材・建設業界

国内の建設業界では、高速道路の補修工事をはじめ、国土強靭化等の施策もあり、公共工事、民間工事ともに堅調に推移しました。当社グループでは解体、補修用関連工具の販売に注力し、石材業界では、墓石、建築材料等の需要低迷による売上減少もありましたが、全体では前年度を上回る売上高となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、15,548百万円と前期と比べ4,898百万円(46.0%)の増加となりました。

キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

なお、日々の運転資金、設備投資資金については、ほぼ全額を自己資金で賄う事が可能であります。

 

 

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