課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは 1.社会に存在価値ある会社 2.会社に存在価値ある部門 3.部門に存在価値ある個人 4.向上の矢印で確実な前進 を経営理念としております。この理念のもと、事業計画を策定し、各セグメントがその年度計画を達成することにより、一歩一歩、確実に前進して行くことを基本方針としております。

同時に、お客様のニーズを的確に捉えた製商品と行き届いたサービスの提供という活動を地道に進めていくことを通じて、社員は育ち、会社は発展し、社会にも貢献できることを使命と考えています。

 以上の経営方針に沿って事業を推進していくために、当社グループは以下の2つのセグメントにより事業計画を推進・管理しています。

① 国内

当社の国内事業に係るセグメントで当連結会計年度の売上高では82.1%を占め、主に圧砕機及び油圧ブレーカ等の建機アタッチメント並びに環境関連機器・林業機械・金属リサイクル機械等の製造・販売・メンテナンスを行っています。主要な顧客はショベルメーカー系ディーラー、建機ディーラー、レンタル会社、エンドユーザーです。また、ゼネコン向けの請負事業としてダム建設工事等の運搬設備であるケーブルクレーンの設計・施工・運用管理を行っています。

   ② 海外

当社の海外事業に係るセグメントで当連結会計年度の売上高では17.9%を占め、主に油圧ブレーカ及び圧砕機等の建機アタッチメントの販売、メンテナンスサポートを行っています。主要な顧客は各地域の建機ディーラー等の提携販売代理店やレンタル会社です。

 

 

 

(2)マーケット環境と各セグメントの状況

①  国内

(解体環境アタッチメント)

当社国内の主力商製品である解体環境アタッチメントは、油圧ショベルやクレーン等の建設機械の先端に装着し、ビル、マンション、公共建物等のコンクリート建造物の解体工事や砕石・土木工事、建築廃材やスクラップ等の再利用のための搬送、分別処理等に使用されています。解体環境アタッチメントは用途・形状等により以下の通りに分類しています。

・圧砕機・・・コンクリート建造物解体用のアタッチメントでコンクリートや鉄筋・鉄骨を破砕・切断します。大割機(1次破砕機)、小割機(2次破砕機)、鉄骨カッターに分類しています。

・油圧ブレーカ・・・解体や土木工事、砕石など幅広い用途で使われ、打撃により岩盤、コンクリート等を破砕します。

・つかみ機・・・木材やがれき、金属スクラップ等の搬送作業用のアタッチメントで、グラップル、フォークの他、定置アームと一体型になった定置式スクラップローダも含まれます。

・環境アタッチメント・・・産業廃棄物処理等に使用される様々な混合物の回転ふるい機や軟質系カッター、木材カッター等のアタッチメントが含まれます。

    (林業機械)

      主に油圧ショベルに装着され、木材の伐採や集材に利用されます。用途別に、林業用グラップル、地引ウイ

ンチ、プロセッサ、スイングヤーダ、高性能林業機械のプロセッサ・ハーベスタやタワーヤーダー等が含まれ

ます。

    (大型環境機械)

      木材やガレキ物、産業廃棄物等の破砕に使用される大型の破砕機で、海外メーカーから輸入し当社で販売と

     アフターサポートを行っています。

    (ケーブルクレーン)

      ダム建設や山間部における工事にスポット的に使用される中・大型のクレーン運搬設備で、設計から施工・

     運行管理までを行うゼネコン機能を果たしています。大型ウインチの販売・設置等も含まれます。

    (補材・修理)

 各製商品の補修部品の販売や修理・メンテナンス事業が含まれます。

    (その他)

 舶用クレーン、自社製品以外の仕入商品、一般産業用機器や物品等の販売が含まれます。

 

コンクリート建造物は建築後、数十年経過すると劣化が進んできます。そのため、大規模地震等の自然災害発生に対する安全対策上からも劣化が進んだ建物は解体・建て替えの対象となってきます。わが国では戦後の高度成長期以降に建てられたコンクリート建造物が順次解体対象に入ってきており、茲許の都市再開発の動きやインフラ再整備の必要性からも国内での解体環境アタッチメント需要は今後も堅調に推移するものと思われます。

特に、解体用アタッチメントは解体工事現場等で厳しい使用環境にさらされており、摩耗・損傷が常時発生する中で、当社は自社でメンテナンス部門を持ち、販売後のアフターサービス体制を整備していることで、同業他社メーカーと差別化を図っております。加えて、より強度が求められる大割機や鉄骨カッターは鋳鋼製品とする等、製品強度面・品質面でも優位性を追求しており、圧砕機販売シェアは約4割と国内トップシェアを維持しております。また、土木工事、砕石、建物解体等の幅広い用途で汎用性の高い油圧ブレーカ、木造解体や復興処理等で使用され最近需要が高まっているつかみ機等、幅広い建機アタッチメントを取り揃え幅広い需要に対応しています。つかみ機の中でも、スクラップ工場内で活用される大型の定置式スクラップローダは安定受注が見込まれる一方で、納期待ちの状態が続いているため、納期短縮のための生産体制見直しにより供給体制を整備して対応を図っております。

     また主に子会社の株式会社南星機械が製造する林業機械は木材の伐採や集材に活用されます。国内の林業マーケットは戦後の輸入木材の急増に伴い、一時期は木材自給率の低下が続いていましたが、茲許は官民挙げての森林再生、林業再生への取組みや木質バイオマスのエネルギー利用等による国産材の需要拡大を背景に自給率は上昇しております。その一端を支えているのが、林業の機械化であり、今後も林業機械には一定の需要の増加が期待できると考えております。

林業機械の国内推定シェアは約2割程度とみておりますが、株式会社南星機械がオカダアイヨングループ入りしたことにより、販売面での連携強化や安定した部品供給・メンテナンス等のアフターサービス体制の充実、ユーザー目線の商品改良・商品ラインアップの見直し等の施策を進め、業界での評判・シェア向上を図っております。

バイオマス発電用のチップ製造や産廃処理等に使用される大型環境機械のシェアは約2割程度とみていますが、再生エネルギーである木質バイオマス発電関連業者やリサイクル業者向けの安定した需要を見込んでおります。

  主にダム建設や山間部における運搬設備であり国内で約5割のシェアを有するケーブルクレーンに関しても、

茲許再生可能エネルギーとして再見直しされている水力発電所のリニューアル工事の引き合いが多く、当面は安

定した受注が見込まれると考えております。

 

<国内セグメント売上高>                                                                 (単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

解体環境機械

9,045

10,708

(圧砕機)

 (5,713)

 (6,877)

(ブレーカ)

(807)

(928)

(つかみ機)

 (1,113)

 (1,362)

(環境アタッチメント)

(585)

(608)

(その他)

(825)

(932)

林業機械

662

852

大型環境機械

1,054

842

ケーブルクレーン

990

1,064

補材・修理

2,373

2,595

その他

 566

 598

合計

14,692

16,661

 

② 海外

海外では販売の約8割が汎用性の高い油圧ブレーカとなっており、土木工事、砕石、建物解体等で幅広く使用されています。当社の海外販売は、北米地域はOkada America,Inc.、欧州地域はOkada Europe B.V.、またそれ以外の地域は、当社海外事業所が担当しております。

主力の油圧ブレーカに関しては、オカダブランドの信頼の品質と品揃え、販売代理店への安定した部品供給や修理指導等のサポート体制によりシェア獲得に注力しております。当社海外販売額の約6割を占める米国でのシェアは推定3~4%程度、世界でのシェアは推定2~3%程度と海外進出においては後発の当社にとってはまだまだ開拓余力が大きく、最大マーケットの欧州や成長の見込まれるアジアを中心に今後の伸びしろに期待できます。また、圧砕機に関しては、日本国内と比較すると欧州以外では未成熟のマーケットであり、メンテナンス負担の少ない海外専用モデルや各地域のニーズに合わせた新商品の投入等により市場開拓、市場育成を図っております。

 

<海外セグメント売上高>                                               (単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

北米

1,839

2,158

欧州

478

717

アジア

508

552

その他

72

216

合計

2,899

3,645

 

 

 

(3)経営戦略及び優先的に対処すべき業務上及び財務上の課題

 経営理念の実現に向けて、会社の中長期の経営方針に基づき、中長期経営計画を策定し、更に年度の経営計画に展開し業務運営を行っています。

<長期ビジョン「VISION 30」>
  当社は、2020年度まで実施してきた「アーチ2020作戦」に続き、2030年度へ向けた長期ビジョン「VISION 30」を策定するとともに、2022年度から2024年度にかけて中期経営計画「ローリングプランFY2022~FY2024」を推進してまいります。
  VISION 30計画のスローガンとして「人は環境をつくる」という言葉を掲げました。
私たちの周りには自然環境や労働環境、すべてのステークホルダーの皆様との関係など、色々な環境があります。
そのような環境は全て人がつくります。当社は今後、ESG経営の実践により、「環境」づくりができる人材を育成し、事業を通じて「環境」にやさしい社会の実現に貢献したいと考えています。
そして、当社事業セグメント毎には次のような成長のポテンシャルがあると考えています。

 

国内(解体市場)
  都市インフラ老朽化により国内の解体市場(ビル、工場プラント、公共建物等)はこれからが本格化の段階に入ります。メンテナンス対応と作業効率性高い大型機に強みを持つ当社には有利な状況であり、シェアダントツNO.1を目指す素地があると考えています。また、国内の工場及び営業所・整備工場の設備投資は山場を越え、2023年度以降は投資回収・利益積み上げ時期に入る事も、計画達成の後押しとなっています。
 

国内(林業市場)
  40年から50年前に植林した人工造林が伐採適齢期となり、間伐問題等の環境保全の観点から国も国産材の利用を促進しているところ、林業機械は安定的な伸びを期待できる環境があると考えています。現在南星機械は、オカダとの協働・統合による営業・メンテナンス体制により、競争力のある販売体制を構築中です。もともと内製メーカーであることから、生産効率改善、開発力強化と品質改善、営業・メンテナンス力強化等を実施することで、生産力向上と利益改善の余地は今後十分にあると見込んでいます。
 

海外市場
  世界的にインフラ投資が拡大していく中、注力市場の米国・欧州・アジア(除く中国・日本)でもシェアは2%弱のため、開拓余力は十分あると考えています。収益性の高い米国でのシェアアップ余力はもちろん、また開拓途上の欧州・アジアは、拠点展開と人員・商材の投入でシェア獲得に注力します。今後も主力商材の油圧ブレーカで一層の競争力強化を狙いつつ、圧砕機は海外向けモデル投入によりブランド確立を図り、解体アタッチメントメーカの世界Tier1グループ入りを目指します。
 

上記成長環境を踏まえ、VISION 30の業績評価指標(KPI)を次の通り設定しました。

・ トリプル3
  売上高300億円以上、営業利益30億円以上、時価総額300億円以上

・ トリプル10
  売上高伸び率10%以上、売上高営業利益率10%以上、ROE10%以上

そして、これらの目標を達成するために次の3つの戦略を計画いたしました。

 ①人材戦略 :「人を大事に」のトップ方針のもと、社員の働き方改革やダイバーシティ等の実現に向けて注力

  してまいります

 a. 人づくり・・・・・人材の採用・育成・活用
 b. 人事戦略・・・・・実績・貢献を反映した公明正大な評価・報酬制度
 c. 働き方改革・・・・働きやすい・働きたくなる・働きがいのある職場づくり

 ②マーケット戦略 :成長ポテンシャルを取り込んでいくために、拠点・商材・人材へ積極的に投資してまいり

  ます

 a. 国内戦略・・・・・需要拡大に対応した一気通貫バリューチェーンの強化
 b. 海外戦略・・・・・米・欧・アジアの3拠点への商材・戦力投入による市場開拓
 c. 新規事業・・・・・新技術応用(新解体工法、DX等)と戦略的M&Aの推進

 ③経営基盤強化 :持続的成長を支える経営基盤の強化を図ってまいります

 a. CG体制・・・・・誠実で(Integrity)、透明性高く(Open)、

                      積極的な(Active)経営判断ができるガバナンス体制の構築

 b. ハード・ウェア・・国内・海外の工場・営業拠点の整備(増設・新築)
 c. ソフト・ウェア・・システムインフラの整備とDXによる業務改革・顧客対応力進化

<中期経営計画 ローリングプラン FY2022~FY2024>

上記の長期計画を実施するにあたり、今後3ヶ年計画を立てたうえ、毎年ローリングさせていく予定です。

① 業績計画
2023年3月期は、売上高215億円、営業利益20億円、売上高伸び率5.9%、売上高営業利益率9.3%、ROE10.3%、 2025年3月期は、売上高250億円、営業利益25億円、売上高伸び率8.7%、売上高営業利益率10.0%、ROE10.9%

を計画しております。
② マーケット戦略
国内では、一気通貫バリューチェーンの更なる強化を図ってまいります。

・ 商材・部材を安定確保するための協力サプライヤーとの紐帯強化

・ 子会社アイヨンテック増産体制強化のための人員確保、協力会社の拡大、生産設備増強

・ オカダNANSEI (南星機械)の生産能力向上と原価低減の追求

・ 原材料価格や輸送コストによる原価アップに対応するための販売価格改定の浸透

・ 国内営業店所のリニューアル(販売・修理対応強化)

・ オカダNANSEI (南星機械)とオカダとの統合・協働

・ ベトナム製造による油圧ブレーカラインアップ強化

・ 大型環境機械の仕入・販売・修理部門の組織強化

・ アタッチメント保険の開始(損害保険会社と提携した業界初の補償制度)

次に海外では、米・欧・アジアの3拠点への商材・戦力投入による市場開拓を図ってまいります。

・ タイ拠点の現地法人化 ~アジア市場の深堀~

・ オカダ・アメリカ本社移転拡張

・ 海外向け商材・アフターサービスの一層の拡充

更に新規事業として、新技術応用(新解体工法、DX等)と戦略的M&Aの推進を図ってまいります。

・ 新商品開発・新工法への対応 [わくわくものづくり推進チーム]

・ 戦略的M&Aの推進

③投資計画
アタッチメントの大型化に対応した国内の営業所・整備工場設備増強は、2024年上期中に札幌営業所を新設移転し一定の目途がつきます。また、2023年3月期にはアメリカ本社工場を、2024年3月期にはアイヨンテック工場の設備投資を行う予定です。
④配当方針
中長期の安定成長により、増配を続けていく累進的配当方針といたします。

なお、 2023年3月期では13期連続増配の予定となっております。


長期計画「VISION 30」に関しては、2030年度に向けて出来るだけ早期に計画達成出来るよう尽力するとともに、更なる持続的成長に向けた経営基盤の強化に向け、社員一丸となって社業に邁進いたします。

 

⑤サステナビリティへの取組

当社グループは、経営理念である「社会に存在価値ある会社」を実現するため長期ビジョン「VISION30」を策定し、その中心課題として、持続可能な社会の実現に向けたESG経営を追求し、サステナビリティに向き合っていくことを掲げています。

 

a.サステナビリティ基本理念

当社は以下の通り、サステナビリティ基本理念を定めています。

基本理念:人は環境をつくる

「私たちの周りには色々な環境があります。

今、世界的な課題となっている自然環境のほか、会社における労働環境や社員間の対人関係、また、お客様との関係、協力会社様・仕入先様・株主様・金融機関様・地域社会の皆様との関係、そういったすべてのステークホルダーの皆様との関係も「環境」です。

そのような環境は全て人がつくります。今おかれた環境に決して流されず、より良い環境づくりを目指す人材。私たちはそういう人材づくりを行い、私たちの事業の発展を通じて、環境にやさしい社会の実現に貢献したいと考えています。」

 

 

 

b.マテリアリティとKPI

サステナビリティへ向き合い、私たちの経営理念である「社会に存在価値ある会社」の実現を目指して、

マテリアリティ(重要課題)に取組んでいます。

 

マテリアリティ

コミットメント

KPI

カーボンニュートラルの実現

□ 脱炭素社会の実現に向けて、エネ

ルギー消費量の最少化、次世代再生

可能エネルギーの利活用を図る。

□ 解体現場及び林業、大型土木工事現場での当社製品利用におけるCO2排出について重要度が高いと認識し、電動化、高エネルギー効率化に向けた製品開発・改良の取り組みを推進する。

□ 間接部門、生産工程でのCO2排出を削減する。

□ CO2排出削減(スコープⅠ・Ⅱ) 2050年に実質ゼロ

[グループ内(海外販社を除く)]

□ CO2排出削減(スコープⅠ・Ⅱ)

    2030年に70%減(2018年比)

[グループ内(海外販社を除く)]

□ スコープⅢCO2排出削減への取組

   (仕組み構築とターゲット選定)

社会における

リサイクルシステム支援

□ 資源の有効活用とリサイクルは少資源国では重要な課題であり、効率的なスクラップ&ビルドに資する。

□ 解体現場の効率化に寄与し、併せて廃材の再資源化により循環型社会を目指す。

□ 2030年アタッチメント解体業務の生産性10%向上(当社従来自社製品2020年比)

 

□ コンクリート等の建設廃材の再資源化率98%以上維持への寄与

山地・森林資源の

保全と有効活用の実現

□ 林業の効率化に寄与する。

木材資源の有効活用に寄与する。

□ 建設困難地における資材物資の移動・搬入用の装置提供により、土地の有効活用を目指す。

□ 2030年林業関連機器の生産性10%

向上 (当社従来製品2030年比)

 

□ 水力発電能力の維持への寄与

2.5億kwh/年(2030年まで)

働き方改革や

ダイバーシティ等の実現

□ 国内の生産人口減少への対応とし

て、DX活用による生産性向上や自動

化等に取り組む。

□ 採用、人材育成、登用の仕組みと

環境を整備することで誰もが働ける

場所を提供する。

□ グループの協力会社においても労

働/人権に配慮する。

□ 働き方改革やダイバーシティ等の

実現に向けたコーポレートガバナン

ス体制を強化する。

□ 社員幸福度測定の仕組み導入と幸

福度の向上

□ 女性社員比率 13%(2021年)

→25% (2030年)

□ 女性取締役比率 12.5%(2021年)

→25% (2030年)

□ 協力会社選定時の労働/人権配慮

の実施

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

c.TCFDへの取組み

<ガバナンス>

 当社では取締役会は気候変動に関して報告を受け監督をしています。また、当社では気候変動を含むサステナビリティに関する委員会(サステナビリティ委員会)があり、気候変動の戦略策定に関してその内容を取締役会に報告・提言しています。また、別途、委員会運営や各種施策の展開・推進を円滑・機動的に行うためにサステナビリティ推進事務局を設置しています。

<戦略>

 当社では気候変動に関する重要な物理的リスク・移行リスクと機会として、下記を想定しています。具体的な影響に関しては、今後検討と開示を進めてまいります。

 

 

リスク・機会

種類

項目

移行リスク

政策・法規制リスク

規制対応コストの増加

規制による一部素材の価格上昇や調達の困難

技術リスク

環境配慮技術(脱炭素化、資源循環等)開発の遅れ

環境配慮技術に対する投資・研究開発コストの増加

市場リスク

環境負荷の大きい商材需要の減少

省エネ・電動化対応の要請の高まり

原材料コストの上昇による輸送コスト、部材価格の上昇

評判リスク

対応の遅れによる企業ブランドの低下

情報開示の不足による外部評価の低下

物理リスク

急性リスク

急激な災害による事業拠点の操業度低下

サプライチェーンの被災による操業停滞

慢性リスク

気温上昇による従業員の健康影響と生産性低下

自然資源や水、電力、原材料等の供給不安定化

機会

資源の効率性

解体・インフラ工事・林業の効率化のための機械化の一層の促進

製品・サービス

環境配慮技術(脱炭素化、資源循環、高効率設備など)開発の先行による事業機会獲得

災害対策や強靭化、インフラ整備のための建機、林業機械需要の増加

市場

気候関連情報の開示促進による企業イメージの向上

資源リサイクル、林業、再エネ関連需要の増加

強靭性

治水ダム、水力発電所リニューアル、法面工事などのインフラ強靭化工事需要

 

<リスク管理>

サステナビリティ推進事務局が関係各部と協議の上、全社的なリスクの洗い出しを年次で行ってまいります。その後、リスク評価プロセスにより選定し特定された重要リスクに対する対応方針に関しては、サステナビリティ推進事務局が関係各部と協議の上年次で見直します。その後、そのリスクアセスメントの結果は、サステナビリティ委員会を通じて取締役会に報告されます。

 <指標と目標>

    気候変動の評価指標として、CO2排出量を選定しています。また、CO2排出量としてScopeⅠ・Ⅱについての実績を開示しています。CO2排出量の目標と実績は以下の通りです。

   (目標)CO2排出量(スコープⅠ・Ⅱ) 2050年に実質ゼロ、2030年に70%削減(2018年比)[グループ内(海外販社を除く)]

   (実績)CO2排出量(スコープⅠ・Ⅱ) 2020年実績 46.6%削減(2018年比)[グループ内(海外販社を除く)]

   <今後開示を検討する項目>

    シナリオ分析および各リスクと機会が及ぼす財務的影響等に関しては、今後開示を拡充すべく検討を進めてまいります。

 

 

 

 

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの経営指標につきましては、事業の成長性をはかる売上高伸び率、事業の収益性をはかる売上高営

業利益率、事業の資本生産性をはかる自己資本利益率(ROE)の3つの指標を重視し、中長期経営計画「VISION30」では、売上高伸び率(平均)10%以上、売上高営業利益率10%以上、自己資本利益率(ROE)10%以上を目標値としております。当連結会計年度における売上高伸び率は15.4%(前年同期実績△2.0%)、売上高営業利益率は8.7%(前年同期実績7.8%)、自己資本利益率(ROE)は10.0%(前年同期実績8.3%)でした。引き続きこれらの指標について、改善及び比率上昇を目指し取り組んでいき更なる企業価値の増大に努めてまいります。

 

(5)経営環境と対処すべき課題

次期の見通しにつきましては、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響に加えて、国内外の政治リスクや地政学リスク等も高まっており、引き続き、物流の停滞や海上運賃・原材料価格の高止まり等による影響が予想されます。

一方では、国内では、全国各地の老朽インフラの再整備、大都市圏を中心とした都市再開発、災害復興工事や耐震・防災構造への建替え、資源再利用のためのリサイクル、森林・林業再生プランに基づく林業機械化等、国土のレジリエンスに貢献する幅広い分野での機械需要は、引き続き底堅いものと思われます。また、海外では欧米各国に加えて、アジア・中東・オセアニア・南米等、全世界的にインフラ・解体工事需要は今後も拡大していくものと期待されます。

このような環境のもと、当社グループは、従業員および関係する皆様方の安全を最優先とし、新型コロナウイルス感染再拡大の防止に努めつつ、顧客需要に対応した安定的な商品供給とアフターサービスに心がけ社会的責任を果たしてまいります。さらには、中長期的に期待される国内外の需要増加に対して、長期ビジョン「VISION30」の方針に則り、お客様の期待に迅速且つ適切にお応えできるよう社内体制の整備を図ってまいる所存でございます。

具体的には、長期ビジョン「VISION30」の実行計画である中期経営計画「ローリングプランFY2022~FY2024」の方針に基づき、国内では需要拡大に対応して、引き続き営業所のリニューアルや製品ラインアップの強化を図るとともに、課題である生産体制や部品供給体制、原価管理体制を見直し再構築することで、一気通貫のバリューチェーンの強化を図ってまいります。同時に、成長余力の大きな海外では、拠点進出した米・欧・アジアへの商材・戦力を投入し、市場開拓を継続してまいります。

また、持続的成長を支えるガバナンス体制の構築やシステムインフラの整備、DX活用による業務改革と顧客対応

力の強化等により経営基盤強化を図るとともに、成長の担い手である従業員が「働きやすい、働きたくなる、働きが

いのある」会社の実現に向けての人材戦略や、地球温暖化対策をはじめとした環境問題へも重点的に取り組み、グル

ープ一丸となってESG経営を実践してまいります。

 

 

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