課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 以下に記載する事項は、当有価証券報告書提出日現在において入手した情報に基づいて当社グループが判断したものです。

 

経営方針(対処すべき課題)

◎株主価値の向上に関して

当社及び当社株主の最善の利益のために行動することが当社取締役会の責任であり、最も重要であると認識しております。

当社は潜在的な投資家やスポンサーとのエンゲージメントと戦略的選択肢の検討を行うため、2022年4月、すべての委員が当社から独立した社外取締役で構成される特別委員会を設置しました。潜在的な投資家及びスポンサーとの協議は経営陣主導で行われるものとし、既に協議を開始しています。特別委員会は、事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べることにより、経営陣とともに交渉に関与するものとしています。また、特別委員会は、提案やストラクチャーの比較を徹底的に行い、株主を含むあらゆるステークホルダーにとって最良の非公開化その他の選択肢に関する提案を特定します。

 

◎当社グループの目指す姿

 当社グループは、「人と、地球の、明日のために。」というグループ経営理念に基づき、永年に亘り培ってきた社会インフラから電子デバイスに至る幅広い事業領域の知見や実績と、情報処理やデジタル・AI技術の強みを融合し、今後も新たな製品、サービスやソリューションの創出と提供を通じて、社会課題を解決し、社会のさらなる発展に貢献していく方針です。

 当社は、2022年6月、デジタルとデータの力を活用し、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現に貢献する当社グループ経営方針を発表しました。

各事業の開始時点ではその事業単位での運用が正しかった運営も、現在のデジタル化やサービス化する時代に合わなくなってきている内部硬直性と、外部と協業をせずに、独自技術を自社のみで立ち上げるようとする外部硬直性、という2つの課題を当社は抱えていると認識しており、これを克服していきます。

 また、デジタルエコノミーの発展に伴い、今後、様々な企業が産業の垣根を越えて繋がることで、新たな社会価値が想像されます。当社では、この変化に対応するために、サービス化・リカーリング化していくデジタルエボリューション(DE)、それをプラットフォーム化するデジタルフォーメーション(DX)、そして、様々なプラットフォーム自体が業界を超えて繋がる量子の世界であるクアンタムトランスフォーメーション(QX)への発展を実現し、データサービスを収益の柱とする企業へと変革していきます。

 

◎ガバナンス強化委員会による提言

 当社では、2021年3月18日開催の臨時株主総会において選任された調査者による2020年7月31日開催の第181期定時株主総会が公正に運営されたか否か(決議が適正・公正に行われたか否かを含む)についての調査が行われ、2021年6月、当該調査の結果を記載した調査報告書を公表致しました。当該調査報告書において、コーポレートガバナンス・コードの規定に照らして2020年7月31日開催の第181期定時株主総会が公正に運営されたものとは言えないという指摘を調査者から受けました。当社としては、かかる指摘を真摯に受け止め、外部の第三者の参画も得て、いわゆる「圧力問題」について、客観的、透明性のある徹底した真因、真相の究明を行い責任の所在の明確化、再発防止策等をとりまとめることとし、ガバナンス強化委員会を設置して、同委員会に対し真因の究明、責任の所在の明確化、再発防止策の策定に向けた提言を委嘱し、同委員会から、2021年11月12日、調査報告書を受領しました。

 当社は、委員会報告書の提言等を踏まえ、取締役会及び執行側において議論を行い、株主との健全な信頼関係の構築、行政庁に過度に依存する体質の改善、コーポレート・ガバナンスの再構築、「正しいトーン・アット・ザ・トップ」の実践を中心とした再発防止策を策定致しました。当社は、これらの再発防止策を具体化し、実行していくとともに、当社の取締役や執行役を始めとしたトップマネージメントが、「正しいトーン・アット・ザ・トップ」の姿勢を将来にわたって変わらず示し続けることで、今回棄損された株主を始めとするステークホルダーの皆様の信頼を一日でも早く回復できるよう、努力を続けてまいります。

 

◎気候変動

 当社グループは気候変動による影響を重要なリスクと捉えており、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD(注1))」の提言に沿って事業への影響の分析を行っています。自然災害による物理的リスクや、規制対応によるコストの増加・技術面の対応遅れによる販売機会損失・取り組みの遅れによる評判の下落などの移行リスクが想定され、これらに対応するため体制や活動の強化に努めています。一方で、脱炭素エネルギー技術や省エネ製品・サービスなどの需要拡大を機会と捉え、カーボンニュートラルを事業戦略のひとつとして、再生可能エネルギー関連事業などの展開を進めています。なお、経営に影響を及ぼす重要な気候変動関連の課題については、社長を委員長とするサステナビリティ戦略委員会で議論し、取締役会に報告する体制を構築しています。

 当社グループにおける気候変動への対応としては、「環境未来ビジョン2050」において、2050年度までにバリューチェーン全体でカーボンニュートラルを目指すとともに、2030年度までに温室効果ガス排出量を70%削減(2019年度比)することを新たな目標としています。なお、2030年度の削減目標については、パリ協定に整合する「科学的な根拠に基づいた目標」として2020年度にSBT(注2)の認定を取得しています。現在は活動計画「第7次環境アクションプラン」を推進しており、2023年度に事業活動における温室効果ガスの総排出量を104万t-CO2に抑え、エネルギー起源CO2排出量原単位を前年度基準で毎年1%改善することを目指しています。また製品・サービスにおいても、再生可能エネルギーや省エネ性能の高い製品・サービスの開発・提供を進め、2023年度にエネルギー供給時の温室効果ガス排出量(注3)を13.6%削減(2019年度基準)、再生可能エネルギー導入による温室効果ガスの削減貢献量を4,300万t-CO2(2021年度からの累計)、製品使用時の温室効果ガスの削減貢献量(注4)を8,400万t-CO2(2021年度からの累計)とすることを目指しています。

(注1) Task Force on Climate-related Financial Disclosures

(注2) Science Based Targets

(注3) 対象は火力発電など、エネルギー供給にかかわる製品・サービス

(注4) 対象は社会インフラ製品など、エネルギー消費にかかわる製品・サービス

 

 

 

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