業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況

 当連結会計年度(2020年12月1日~2021年11月30日)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」という。)の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチンの普及等が進み、徐々に回復しつつありますが、新たな変異株の発生により依然として先行きが不透明な状況が続いております。また、製造業においては半導体を筆頭に、部品の需給逼迫や原材料価格の高騰による生産停止、納期遅延及び調達価格の上昇等の影響を受けております。

ア.財政状態

(資産)

 当連結会計年度末の資産につきましては、流動資産は前連結会計年度末と比較して272百万円増加し、9,700百万円となりました。これは主として、現金及び預金が1,427百万円増加、商品及び製品が843百万円減少、原材料及び貯蔵品が101百万円減少したこと等によるものです。固定資産は前連結会計年度末と比較して26百万円増加し、3,069百万円となりました。これは主として、繰延税金資産が186百万円増加したこと等によるものです。

(負債)

 負債につきましては、流動負債は前連結会計年度末と比較して、511百万円減少し、4,062百万円となりました。これは主として、支払手形及び買掛金が539百万円減少、1年内返済予定の長期借入金が140百万円減少、訴訟損失引当金が640百万円増加したこと等によるものです。固定負債は前連結会計年度末と比較して、63百万円増加し、3,661百万円となりました。これは主として、長期借入金が61百万円増加したことによるものです。

(純資産)

 純資産は前連結会計年度末と比較して747百万円増加し、5,045百万円となりました。これは主として、利益剰余金が448百万円増加したことによるものです。

 以上により総資産は前連結会計年度末と比較して298百万円増加し、12,769百万円となりました。

イ.経営成績

 このような状況下で、当連結会計年度における当社グループは、前年度比で増収増益となりました。

  当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高8,317百万円(前年度比27.0%増)、営業利益1,177百万円(前年度は308百万円の営業損失)、経常利益1,151百万円(前年度は356百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益448百万円(前年度は1,254百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

  セグメントの売上高の内訳は、日本は3,258百万円(前年度比13.2%増)、米国は2,532百万円(前年度比69.2%増)、欧州・アジア他は2,526百万円(前年度比16.2%増)となりました。

 また、製品別売上実績では、スキャナ製品は4,637百万円(前年度比48.7%増)、ターミナル製品は1,451百万円(前年度比17.4%増)、モジュールその他製品は2,229百万円(前年度比26.8%増)となりました。

 売上高及び利益の要因は、以下の通りとなります。

(売上高)

 当社グループの売上高は、8,317百万円(前年度比27.0%増)となりました。

 新型コロナウイルス感染症により経済活動が停滞しておりましたが、米国において特需案件を獲得したことにより大幅な売上増となりました。その他の地域においても経済活動の正常化が推進されたことなどから、新型コロナウイルス感染症発生以前の水準に回復いたしました。

 日本においては、新型コロナウイルス感染症による案件の遅延や、部品調達難による取引機会の喪失、顧客側の部品不足による受注減等の影響を受けておりましたが、工場向けや医療機器向けを中心にモジュール製品等が寄与いたしました。

 米国においては、前年度から第2四半期にかけて、2次元ハンディスキャナ「L-22X」が新型コロナウイルス感染症検査装置の付属機器として採用された案件が寄与したことから、大幅な売上増となりました。ただし、第3四半期以降の売上については当該案件の終了により、前年同期比で減少となりました。

 欧州・アジア他においては、前年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症による経済活動の停滞の影響を受けておりましたが、ワクチン等の普及により経済活動の正常化が推進されていることなどから、前年度比で増加となりました。

(営業利益)

 当連結会計年度の営業利益は、1,177百万円(前年度は308百万円の営業損失)となりました。

 前述の売上増に加え、米国HONEYWELL社及びその子会社から提起された特許侵害訴訟が2021年2月10日に終了したことから、弁護士費用等の訴訟費用が大幅に減少したことが主な要因です。この費用は、販売費及び一般管理費に含まれております。

 売上原価は4,707百万円(前年度比18.2%増)、売上総利益は3,609百万円(前年度比40.6%増)、販売費及び一般管理費は2,431百万円(前年度比15.4%減)となりました。

(経常利益)

 当連結会計年度の経常利益は、1,151百万円(前年度は356百万円の経常損失)となりました。

 前述の営業利益が増加したことに加え、受取賃貸料及び補助金収入が増加したこと等が主な要因であります。営業外収益30百万円(前年度比57.0%増)に対し、営業外費用は56百万円(前年度比15.9%減)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益448百万円(前年度は1,254百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 2021年11月30日に公表した「訴訟の提起並びに特別損失の計上及び2021年11月期通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」のとおり、HONEYWELL社より和解契約に違反したものとして損害賠償請求訴訟を提起されたことを受け、判決または和解により当社にて支払義務が発生した場合に備え、訴訟損失引当金繰入額640百万円を当連結会計年度において特別損失として計上したことが主な要因です。

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して1,227百万円増加し、当連結会計年度の期末残高は5,625百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は、1,369百万円(前年同期は66百万円の支出)となりました。主な要因は、訴訟損失引当金の増加640百万円、たな卸資産の減少1,086百万円によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、239百万円(前年同期は274百万円の支出)となりました。拘束性預金の預入による支出200百万円が主な要因であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、119百万円(前年同期は215百万円の支出)となりました。長期借入れによる収入2,820百万円、長期借入金の返済による支出2,898百万円等が主な要因であります。

〔キャッシュ・フロー関連指標の推移〕

 

2017年

11月期

2018年

11月期

2019年

11月期

2020年

11月期

2021年

11月期

自己資本比率(%)

40.2

41.1

41.2

34.5

39.5

時価ベースの自己資本比率(%)

27.0

54.6

31.4

19.4

28.5

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

8.7

4.7

54.8

4.5

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

28.1

77.6

8.1

35.9

 自己資本比率:自己資本/総資産
 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
 インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数により算出しております。
※ キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

また、利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

※ 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

※ 2020年11月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナスであるため記載しておりません。

③ 生産、受注及び販売の実績

  当社グループ(当社及び連結子会社)の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 このため生産及び受注の実績については、「① 財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。

 

ア.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

日本

3,258,674

13.2

米国

2,532,092

69.2

欧州・アジア他

2,526,813

16.2

合計

8,317,580

27.0

(注)1. セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2019年12月1日

至  2020年11月30日)

当連結会計年度

(自  2020年12月1日

至  2021年11月30日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

Abbott Rapid Dx North America, LLC

1,546,625

18.6

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたりまして、必要な仮定と見積りを行っており、それらは資産、負債、収益及び費用の計上金額、長期性資産の減損の認識、金融商品の時価、及び偶発債務の開示情報に影響を与えております。こうした仮定と見積りは本質的に不確実であり、必要に応じて当社の過去の経験、既存契約の条件、業界動向の観測、お客様から提供される情報及びその他外部機関から入手可能な情報に基づいて行われます。詳細につきましては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度における経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況」に記載のとおりであります。

 また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

③ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の仕入れのほか、製造費、研究開発費を含む販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

設備投資や運転資金の調達につきましては、国内においては自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。海外においては現地に事業基盤を築き安定した営業活動を行うため、借入は実施せず、自己資金を基本としております。

また、災害の発生等に伴う仕入先の事業停止や社会情勢の変化等に柔軟に対応するため、資金の手元流動性を高めております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は6,218百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,397百万円となっております。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、中期的な経営戦略の実現のため柔軟な経営判断を行えるよう、特定の経営指標を目標として定めておりません。なお、当連結会計年度の売上高、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益の計画に対する達成状況は、以下のとおりであります。

 

2021年11月期計画(千円)

2021年11月期実績(千円)

計画比(%)

売上高

8,295,000

8,317,580

0.3

営業利益

1,165,000

1,177,894

1.0

経常利益

1,123,000

1,151,931

2.5

親会社株主に帰属する

当期純利益

338,000

448,204

32.5

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