研究開発活動

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、事業を拡充していくためには科学的エビデンスが不可欠であるとの考えのもと、ウォーターヘルスケア事業におきましては、水を電気分解して得られるアルカリ性で水素を豊富に含んだ「電解水素水」の研究及びそれを生成する「整水器」等の機器開発を行っております。また、再生医療関連事業におきましては、「さい帯血」や「さい帯」等の周産期組織由来の細胞を利用した新しい医療の実現を目指した共同研究等を実施しております。

 

(1) ウォーターヘルスケア事業

① 飲用分野

電解水素水は、医療効果の認証を得ている「胃腸症状の改善」だけでなく、溶存する水素の抗酸化作用による様々な効果が期待されており、産官学共同研究により、新たな機能の解明、実証、多用途化に取り組んでおります。

昨年5月に早稲田大学との共同研究により、アルコールによる肝細胞の障害を電解水素水が抑制することとその作用機序に関する共同論文が科学誌「Antioxidants」に掲載されました。それを受け、次期におきましては東海大学と当作用に関する臨床試験を実施する予定です。同年7月には、「電解水素水飲用により2型糖尿病患者のインスリン抵抗性高値を改善した」という論文を東北大学と共同で日本糖尿病学会欧文誌「Diabetology International」に発表いたしました。インスリン抵抗性とは、血糖値を正常範囲まで下げることができるホルモンであるインスリンが、その効果を十分に発揮できない状態をいいます。そのインスリン抵抗性が高値であるというのは、血糖値が高く維持されやすく、メタボリック症候群及びそれによる重度の合併症への進展リスクが高くなることから、メタボリック・ドミノの上流に位置し、当該高値を抑制することは様々な疾病リスクを軽減できる可能性があります。

その他、電解水素水飲用による健康維持・増進、疾病予防の作用を解明する有力なエビデンスとして、現在、理化学研究所との共同論文2報を含め4報を投稿中であり、さらなる研究の深化を検討してまいります。

また、高知県須崎市との3年間に亘る電解水素水飲用による健診データや医療費に関する疫学調査事業につきましては、引き続き進行中で、2025年3月期末頃に終了する計画です。

今後も引き続き、電解水素水の用途拡大、普及促進を目的に、精力的に取り組んでまいります。

 

② 農業分野

農業分野では、農作物の栽培に電解水素水を応用することにより、生産効率向上、抗酸化性や糖度の高い機能性作物生産への寄与、「還元野菜®」のブランド化など高品質・高付加価値農業の実現に向けて取り組んでおります。

昨年9月に、パーシモン研究所(代表兼島根大学名誉教授:板村裕之氏)と共同で、電解水素水潅水による柿の果皮黒変の抑制効果とそのメカニズムに関する研究成果について第7回カキ国際シンポジウムにて発表いたしました。商品価値を下げる黒変を電解水素水の抗酸化性で抑制することで、平均単価を27%上げるという試算も得られました。当内容は国際園芸学会の学会誌「Acta Horticulturae」へ掲載される予定です。

農作物栽培に関する電解水素水の効果については、これまで農家の方々にも協力いただき確認してまいりましたが、現在、その機序解明を目的に、遺伝子レベルでの解析を行う共同研究を理化学研究所と推進しております。効果の機序を明らかにし、国内のみならず世界にも目を向け、農業分野事業拡大に向けて精力的に研究開発に取り組んでまいります。

 

(2) 医療関連事業

① 電解水透析分野

電解水透析の産学共同研究は、東北大学病院内に設置している慢性腎臓病透析治療共同研究部門を中心に、聖路加国際病院などの協力機関と連携して推進しております。昨年6月に開催された第66回日本透析医学会学術集会においては、電解水透析に関して8演題が発表され、電解水透析治療後の高血圧治療薬(降圧剤)投与量が21.6%、貧血改善剤の投与量が17.3%減少したとの報告や、日本国内の透析患者の粗死亡率10.1%に対して電解水透析患者の粗死亡率が3.7%と、6.4%低かったという観察結果が発表されております。また、10月には、聖路加国際病院、東北大学病院などと英国誌「Renal Replacement Therapy」にて、電解水透析により透析患者の重度の透析関連疲労感が8週間経過後にほぼ消失したとの研究成果が発表されており、電解水透析への関心は大いに高まっております。これらの学術面での大きな成果に、電解水透析の今後の普及拡大に確信を得ることができました。引き続き、臨床データを蓄積していくとともに、今後、当システムの医療機器化や海外展開も視野に、更なる開発を推進してまいります。

 

② 再生医療分野

ステムセル研究所では、再生医療・細胞治療のためのさい帯血の分離・保管及び周産期組織由来細胞の研究開発に取り組んでおります。自己さい帯血治療の実用化に向けた臨床試験では、大阪公立大学医学部を中心としたグループで、低酸素虚血性脳症に対する第Ⅱ相試験が実施されております。高知大学医学部附属病院においては、国内初の「きょうだい間のさい帯血投与研究」が厚生労働省の承認を得て進められております。アカデミアとの共同研究につきましては、引き続き、東京大学医科学研究所及び東京大学医学部附属病院との小児形態異常等の先天性疾患に対する「さい帯」を用いた治療法の開発、大阪大学大学院医学系研究科との「さい帯」を用いた新たな半月板治療法の開発等を推進しております。

 

(3) 製品開発

上記の様々な研究成果を反映して、水の質をより高めるための機能向上は勿論、業務用機器、電解水透析用機器、農業用機器始め、新たな事業開拓を目指した製品、技術開発にも取り組んでおります。また、再生医療分野でも独自の技術によるユニークな製品開発に取り組んでまいります。

 

このように、当社グループでは、電解水素水の機能の解明、普及促進への後押しとなるエビデンスの取得、並びに農業分野、電解水透析分野、再生医療分野等での新たな事業軸の構築に向け、研究開発及びより高機能な製品開発に注力し、更なる企業価値向上に取り組んでおります

以上の結果、ウォーターヘルスケア事業における研究開発費は205百万円、医療関連事業における研究開発費は11百万円となりました。

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