業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績
  当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルスの感染動向に左右されながらも、総じて回復傾向が続きました。米国経済は、新型コロナウイルスの感染再拡大やインフレ率の高まり等により減速感が強まる時期もありましたが、堅調な雇用情勢に支えられて景気は底堅く推移しました。欧州においては、2021年末にかけて新型コロナウイルスの感染が再拡大したほか、年明け以降はウクライナ情勢が緊迫化し、景気の減速感が強まることとなりました。一方、欧米に先駆けて新型コロナウイルスの封じ込めに成功していた中国では年度前半は拡大基調で推移しましたが、夏場以降、新型コロナウイルスの感染再拡大や電力不足による製造業の停滞、不動産市場の調整等により景気回復の勢いは鈍化することとなりました。我が国においては、ワクチン接種の進展を背景に経済活動の正常化へ向けた動きが本格化しましたが、複数回にわたる新型コロナウイルスの感染拡大や世界的な半導体不足が自動車の減産につながったこと等から、景気の持ち直しは緩慢なものにとどまりました。年明け以降は、感染拡大の第6波に加え、ウクライナ情勢の緊迫化から資源高や円安が加速し、景気の下振れ懸念が強まっています。

 当社グループが関わる情報通信関連やエレクトロニクス関連市場においては、デジタルデータ量の増加を背景に5G通信が普及し始めています。5Gの超高速・大容量・低遅延な通信環境を活用した様々なアプリケーションが実用化され、並行して、5Gを超える通信環境を可能とするビヨンド5Gの開発も進むこととなりました。また、ネットワーク上に構築された、現実世界とは異なる3次元の商業的な仮想空間「メタバース」の活用が始まり、市場の注目を集めました。自動車関連市場においては、半導体の供給不足により生産台数が計画比で下振れする中、自動車メーカー各社においては電気自動車の生産拡大に向けた経営資源のシフトや、自動運転レベルの高度化に向けた技術開発が進むこととなりました。
 こうした中で当社グループは、2016年度から取り組んでいる6ヶ年の中期経営計画『マスタープラン2016』の最終年度として、引き続き「既存事業の収益力強化」、「事業ポートフォリオの最適化」、「経営基盤の強化」の各施策の遂行に努めました。

 「既存事業の収益力強化」に向けては、各種の成形品や金型、精密金属加工部品等を主力製品とする精機事業、光通信用部品とその関連機器、レンズ、光伝送装置や光電界センサー等を主力製品とする光製品事業の両セグメントにおいて、販売力と価格競争力を強化すると共に、当社の技術資源である精密加工・精密成形・光学技術を応用し、市場や顧客のニーズに応える新製品、新技術の開発に取り組みました。

 「事業ポートフォリオの最適化」に向けては、「成長期待事業」に位置付けている精密樹脂成形品やレンズを「成長牽引事業」へと進化させるべく、ターゲット市場のマーケティングやパートナー企業との連携強化に努めました。併せて、当社グループの持続的な成長を促す「次世代事業」を創出するため、「成長牽引事業」や「収益基盤事業」で獲得した資金を投資するM&Aや事業提携先の模索も行いました。

 「経営基盤の強化」に向けては、WEB会議を積極的に活用して当社グループ会社間のコミュニケ―ションを図り、価値観の共有や事業課題の解決に向けて議論を行いました。本社においては、小集団活動を通してボトムアップによる改善活動を継続的に実施したほか、働き方改革「メリハリワーク」を推進し、より短い時間でより多くの収益を上げる強固な組織体質の確立に努めました。

 これらの施策と並行して、当社グループの各拠点において、それぞれの地域における新型コロナウイルスの感染状況に応じて出張の自粛や来客の自粛要請、自家用車通勤や時差出勤の奨励、昼食時間の二部制による食堂の過密の回避、出勤時の検温、マスクの着用義務や手洗いの徹底といった感染予防対策を講じました。

 

 こうした諸施策を実施した結果、当連結会計年度の売上高は16,188,796千円となり、創業以来最高となりました。営業利益は1,524,792千円、経常利益は1,641,303千円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,150,022千円となりました。2016年度から取り組み始めた6ヶ年の中期経営計画『マスタープラン2016』で掲げた、連結売上高250億円、連結営業利益25億円以上という中期経営目標に対しては、遂行期間中に生じた米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの感染拡大といった外部環境の変化のほか、新規顧客開拓、新製品の市場投入の遅れ等もあり、大変不本意ながら未達となり、2022年度から開始する新しい中期経営計画に課題を引き継ぐこととなりました。

 なお、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用しており、前連結会計年度との比較はしておりませんが、当連結会計年度の実績値と前連結会計年度の実績値との増減を単純に比較すると、売上高は1,370,766千円の増加(前連結会計年度比9.3%増)となりました。営業利益は200,064千円の増加(前連結会計年度比15.1%増)、経常利益は209,562千円の増加(前連結会計年度比14.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は166,137千円の増加(前連結会計年度比16.9%増)となり、前連結会計年度から売上、利益共に増加しました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

〔精機関連〕

 精機関連では、樹脂と金属を一体で成形するインサート成形や金属材料のプレス成形等の技術を活用した精密成形品や、成形品を効率的に量産するための高品質な金型、高い寸法精度が要求される金属部品等を顧客に提供しております。当連結会計年度は、新型コロナウイルスや半導体の供給不足の影響で自動車メーカーが生産台数を抑制する中、各種の圧力センサー用のインサート成形品や、エアコンに組み込まれる電動コンプレッサー用部品等、車載用成形品の売上が増加しました。一方、スマートフォンやモバイル端末のキーボード等に使用される金属プレス成形品は、新型コロナウイルス感染症の影響により、スマートフォンの消費地であるインドや欧州の需要が縮小し、売上が減少することとなりました。開発面では、創業以来培ってきた精密金型技術や射出圧縮成形技術、樹脂成形品にミクロン単位の凹凸を施す微細転写技術等を応用し、自動車や医療、バイオ等の産業領域において、顧客と共に新たな製品の量産化に向けた技術課題の解消に取り組みました。

これらの結果、当連結会計年度の精機関連の売上高は8,478,455千円となりました。

 

〔光製品関連〕

 光製品関連では、光通信インフラやデータセンター等に使用される光コネクタ等の接続部品や、これら光通信用部品の製造機器、検査・測定装置、電界の強度分布を正確に測定する光電界センサー、テレビや携帯電話等の電波を安定的に伝送する光伝送装置、センサーや医療用内視鏡等に応用可能な超小型の樹脂レンズ等の製品を顧客に提供しております。現在、5Gの商用化やリモート需要の拡大を背景に、基地局やデータセンターを繋ぐ光通信用部品の需要が世界規模で増加しており、世界各国の光通信用部品メーカーが生産体制を増強しています。これを受けて当連結会計年度は、光通信用部品やその製造機器、検査・測定装置の売上が大きく増加することとなりました。中国大連の子会社は、光コネクタの基幹部品であるフェルールの生産能力を拡大するため、総床面積が現在の1.6倍となる新工場を2021年6月に取得し、立ち上げ準備を行っています。また中国杭州の子会社は、中国国内のケーブルテレビ関連顧客に向けて光接続部品を販売する新会社を2021年10月に設立し、販売力の強化を図りました。

これらの結果、当連結会計年度の光製品関連の売上高は7,710,341千円となりました。

 

当連結会計年度も前連結会計年度に引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、需要の停滞や原材料の納期に遅延が生じる等の事態が生じました。ワクチン接種が進み、行動規制が緩和される国が増えつつありますが、国をまたぐ人の移動は当面の間、制限が続く見通しであります。新型コロナウイルスの影響は縮小しているものの、2023年3月期も完全に払拭するには至らず、若干のマイナス影響が残ると見込んでいます。

そうした中、当社グループは引き続き、既存事業の収益力の強化に努める一方、将来に向けて永続的に企業価値を向上することができる強固な経営基盤を確立してまいりたいと考えております。

 

 

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用しているため、前年同期比は記載しておりません。

 

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比

精機関連(千円)

8,788,540

光製品関連(千円)

8,792,341

合計(千円)

17,580,881

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は販売価格によっております。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比

受注残高(千円)

前年同期比

精機関連

8,716,571

2,254,594

光製品関連

8,524,947

1,772,127

合計

17,241,519

4,026,722

 

 (注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比

精機関連(千円)

8,478,455

光製品関連(千円)

7,710,341

合計(千円)

16,188,796

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社デンソー

5,249,393

35.4

5,490,327

33.9

 

 

 

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末における総資産の残高は30,339,101千円となり、前連結会計年度末から1,372,963千円増加いたしました。当連結会計年度末における資産、負債の状況とそれらの要因は次のとおりであります。

〔流動資産〕

当連結会計年度末における流動資産の残高は20,635,636千円となり、前連結会計年度末から1,609,230千円増加しました。その主な要因は、売上高の増加に伴い受取手形、売掛金及び電子記録債権が増加したことや、材料の調達リスクを鑑み一部の部材を先行手配したことに伴い、原材料及び貯蔵品が増加したこと等に因ります。

〔固定資産〕

当連結会計年度末における固定資産は9,703,464千円となり、前連結会計年度末から236,266千円減少いたしました。その主な要因は、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」を適用したことや、建物や機械装置、のれん等の減価償却が進んだこと等に因ります。

〔流動負債〕

当連結会計年度末における流動負債の残高は3,367,228千円となり、前連結会計年度末から8,598千円減少しました。その主な要因は、材料等の買掛金や未払法人税等が減少したこと等に因ります。

〔固定負債〕

当連結会計年度末における固定負債の残高は1,477,512千円となり、前連結会計年度末から100,593千円増加しました。その主な要因は、退職給付に係る負債が増加したこと等に因ります。

〔純資産合計〕

当連結会計年度末における純資産の残高は25,494,360千円となり、前連結会計年度末から1,280,968千円増加しました。その主な要因は、利益剰余金や為替換算調整勘定が増加したこと等に因ります。

 

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は4,198,415千円となり、前連結会計年度末から678,967千円減少いたしました。当該残高は、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑みても、現在の事業活動を推進するうえで十分な水準を確保しているものと認識しております。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、当社グループの成長投資、手許資金、株主還元等の資金の配分のあり方が変わるものではありません。

当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕

営業活動の結果増加した資金は、1,868,816千円(前連結会計年度は2,374,046千円の増加)となりました。営業活動による資金増加の主な要因は、税金等調整前当期純利益1,624,409千円、減価償却費958,457千円、のれん償却額308,096千円、仕入債務の増加額110,737千円等であります。資金減少の主な要因は、法人税等の支払額599,655千円、棚卸資産の増加額438,852千円等であります。

〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕

投資活動の結果減少した資金は、2,328,118千円(前連結会計年度は626,188千円の減少)となりました。投資活動による資金減少の主な要因は、機械装置や工具器具等、有形固定資産の取得による支出1,618,391千円等であります。

〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕

財務活動の結果減少した資金は、429,011千円(前連結会計年度は411,245千円の減少)となりました。財務活動による資金減少の主な要因は、配当金の支払額368,598千円等であります。

 

 

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。


 

(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの主要な資金需要は、製品製造に使用する原材料や部品の調達等の製造原価と、販売費及び一般管理費の他、既存製品の増産や新規製品の開発に向けた新しい機械装置の購入や既存の機械装置の改修等に使用しております。また、今後に向けては、当社グループの企業価値向上につなげるためのM&Aにも資金を積極的に投入していく考えです。

現時点におきましては、これらの資金については、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金を充当していく予定であります。

 

 

 

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