業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、一部で企業収益や設備投資に持ち直しの動きがみられたものの、新型コロナウイルス感染症が再拡大したほか、長期化する原材料の調達難やロシア・ウクライナ情勢の影響等による資源価格の高騰などの不安要素が大きくなりました。また、世界的な金融引き締めによる景気の下振れが懸念されるなど当社を取り巻く環境はなお厳しくかつ先行き不透明な状況のなかで推移いたしました。

 このような状況におきまして、当社グループは、従業員への新型コロナウイルスの感染拡大と生産活動への影響を防ぐため引続き感染防止策を講じたうえで、生産能力の増強に向けた設備投資を継続するとともに、持続可能な社会への貢献も念頭に、当社独自の光技術をいかした研究開発・製品開発を推進することで、売上高、利益の拡大に努力してまいりました。

 当連結会計年度の業績につきましては、国内売上げ、海外売上げともに増加いたしました結果、売上高は208,803百万円と前期に比べ39,776百万円(23.5%)の増加となりました。利益面につきましても同様に、営業利益は56,983百万円と前期に比べ22,664百万円(66.0%)増加、経常利益は58,879百万円と前期に比べ24,230百万円(69.9%)増加、親会社株主に帰属する当期純利益は41,295百万円と前期に比べ16,241百万円(64.8%)増加いたしました結果、売上高、利益とも過去最高となりました。

 

 セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

 

 [電子管事業]

 光電子増倍管、イメージ機器及び光源は、産業分野において、非破壊検査用のマイクロフォーカスX線源が、EV(電気自動車)生産の拡大や世界的な5Gの普及に伴い、車載用バッテリー検査や基板検査向けなどアジアを中心に売上げが増加したほか、シリコンウェハを高速・高品位に切断するステルスダイシングエンジン及び半導体検査装置向けの光電子増倍管、光源の売上げが、世界的な半導体設備投資の活況を受けて増加いたしました。また、医用分野において、フローサイトメーターなどの検体検査装置向け光電子増倍管が、国内外で需要が増加し売上げが増加いたしました。

 この結果、電子管事業といたしましては、売上高は80,881百万円(前期比24.8%増)、営業利益は32,915百万円(前期比45.5%増)となりました。

 [光半導体事業]

 光半導体素子は、半導体製造・検査装置向けのイメージセンサ等の売上げが、世界的な半導体需要の高まりを受けて増加したほか、産業用ロボット等の制御などFA分野におけるフォトIC、フォトダイオード及びLEDの売上げも増加いたしました。また、医療分野においては、X線CT向けのシリコンフォトダイオード及びPET用MPPCの売上げが国内外における継続的な需要の高まりを受けて増加いたしました。

 この結果、光半導体事業といたしましては、売上高は95,554百万円(前期比22.7%増)、営業利益は35,230百万円(前期比55.5%増)となりました。

 [画像計測機器事業]

 画像処理・計測装置は、デジタルカメラの売上げが、生命科学やバイオ分野に加え、新製品の投入により量子や天文などの物理分野においても増加したほか、海外におけるDNA検査向けも増加いたしました。また、病理デジタルスライドスキャナの売上げが、引続き欧州において増加したほか、半導体故障解析装置の売上げもアジアを中心に国内外で好調に推移いたしました。

 この結果、画像計測機器事業といたしましては、売上高は26,662百万円(前期比23.8%増)、営業利益は8,236百万円(前期比55.2%増)となりました。

 [その他事業]

 半導体レーザーに係る事業、子会社の㈱磐田グランドホテルが営むホテル事業及び子会社の北京浜松光子技術股份有限公司の独自製品に係る事業を含んでおります。

 その他事業の売上高は5,705百万円(前期比18.8%増)、営業利益は450百万円(前期比3.0%増)となりました。

 

 

②財政状態

 財政状態の状況は次のとおりであります。

 

 [流動資産]

 流動資産の主な変動は、現金及び預金が34,912百万円、棚卸資産が14,674百万円それぞれ増加したことなどから、流動資産は前連結会計年度末に比べ53,918百万円増加しております。

 [固定資産]

 固定資産の主な変動は、建設仮勘定が4,904百万円、建物及び構築物が3,071百万円それぞれ増加したことなどから、固定資産は前連結会計年度末に比べ10,583百万円増加しております。

 [流動負債]

流動負債の主な変動は、未払法人税等が4,649百万円、設備関係電子記録債務(流動負債その他)が3,232百万円それぞれ増加したことなどから、流動負債は前連結会計年度末に比べ17,228百万円増加しております。

 [固定負債]

 固定負債の主な変動は、退職給付に係る負債が1,460百万円、長期借入金が1,389百万円それぞれ増加したことなどから、固定負債は前連結会計年度末に比べ2,939百万円増加しております。

 [純資産]

 純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより利益剰余金が31,988百万円、為替換算調整勘定が13,751百万円それぞれ増加したことなどから、当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ44,333百万円増加し、281,904百万円となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ33,056百万円増加し、123,065百万円となりました。

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況を、前年同期と比較しますと次のとおりであります。

 [営業活動によるキャッシュ・フロー]

営業活動により得られた資金は45,126百万円となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益及び減価償却費の計上によるものであり、前連結会計年度に得られた資金39,913百万円に比べ5,213百万円の収入増となりました。

 [投資活動によるキャッシュ・フロー]

投資活動により使用した資金は13,331百万円となりました。これは主として、有形固定資産の取得などによるものであり、前連結会計年度に使用した資金16,778百万円に比べ3,447百万円の支出減となりました。

 [財務活動によるキャッシュ・フロー]

財務活動により使用した資金は7,759百万円となりました。これは主として、配当金の支払によるものであり、前連結会計年度に使用した資金4,475百万円に比べ3,283百万円の支出増となりました。

 

④生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2021年10月1日

  至 2022年9月30日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

電子管事業

80,937

26.6

光半導体事業

95,385

25.9

画像計測機器事業

27,113

35.0

その他事業

5,907

40.9

合計

209,343

27.7

 (注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 金額は販売価格によっております。

 

b 受注実績

 当社グループは主に見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

c 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2021年10月1日

  至 2022年9月30日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

電子管事業

80,881

24.8

光半導体事業

95,554

22.7

画像計測機器事業

26,662

23.8

その他事業

5,705

18.8

合計

208,803

23.5

 (注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 主要な販売先については、総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 当連結会計年度における当社グループ経営成績等の状況に関する分析・検討内容は以下のとおりであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等

 当社は自社の資本コストを的確に把握したうえで、3年の経営計画を策定し、公表しております。(ローリング方式)また、中長期的ビジョンに基づき、成長に向けた積極的な設備投資や研究開発を行うことで、持続的かつ安定的な高収益体制の構築を目指しております。

当連結会計年度の業績につきましては、国内売上げ、海外売上げともに増加いたしました結果、売上高は208,803百万円と前期に比べ39,776百万円(23.5%)の増加となりました。売上高は過去最高を記録し、2019年11月に公表した3年の経営計画の3年目の目標額177,100百万円を31,703百万円上回る結果となりました。利益面につきましても、営業利益は56,983百万円と前期に比べ22,664百万円(66.0%)増加、経常利益は58,879百万円と前期に比べ24,230百万円(69.9%)増加、親会社株主に帰属する当期純利益につきましても41,295百万円と前期に比べ16,241百万円(64.8%)増加となり、増収増益となりました。利益面についても売上高同様、2019年11月に公表した3年の利益計画の3年目の目標額を達成することができました。これは主に売上高が増収となったことによるものであります。

なお、セグメント別の業績の概要につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に記載のとおりであります。

 

a 売上高

 光電子増倍管、イメージ機器及び光源は、産業分野において、非破壊検査用のマイクロフォーカスX線源が、EV(電気自動車)生産の拡大や世界的な5Gの普及に伴い、車載用バッテリー検査や基板検査向けなどアジアを中心に売上げが増加したほか、シリコンウェハを高速・高品位に切断するステルスダイシングエンジン及び半導体検査装置向けの光電子増倍管、光源の売上げが、世界的な半導体設備投資の活況を受けて増加いたしました。また、医用分野において、フローサイトメーターなどの検体検査装置向け光電子増倍管が、国内外で需要が増加し売上げが増加いたしました。

 この結果、電子管事業といたしましては、売上高は80,881百万円(前期比24.8%増)となりました。

 光半導体素子は、半導体製造・検査装置向けのイメージセンサ等の売上げが、世界的な半導体需要の高まりを受けて増加したほか、産業用ロボット等の制御などFA分野におけるフォトIC、フォトダイオード及びLEDの売上げも増加いたしました。また、医療分野においては、X線CT向けのシリコンフォトダイオード及びPET用MPPCの売上げが国内外における継続的な需要の高まりを受けて増加いたしました。

 この結果、光半導体事業といたしましては、売上高は95,554百万円(前期比22.7%増)となりました。

 画像処理・計測装置は、デジタルカメラの売上げが、生命科学やバイオ分野に加え、新製品の投入により量子や天文などの物理分野においても増加したほか、海外におけるDNA検査向けも増加いたしました。また、病理デジタルスライドスキャナの売上げが、引続き欧州において増加したほか、半導体故障解析装置の売上げもアジアを中心に国内外で好調に推移いたしました。

 この結果、画像計測機器事業といたしましては、売上高は26,662百万円(前期比23.8%増)となりました。

 その他事業の売上高は5,705百万円(前期比18.8%増)となりました。

 

 

b 為替変動の影響

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、為替相場があげられます。当連結会計年度における為替感応度(1円の為替変動が年間営業利益に与える影響:円安+/円高△)は、米ドルで300百万円、ユーロで100百万円、中国元で800百万円と試算しております。なお、当連結会計年度における営業利益に占める為替影響額は、8,249百万円であり、利益を増加させております。

 

c 売上原価、販売費及び一般管理費

売上原価は、前期比10,790百万円(12.6%)増加し96,421百万円となり、売上総利益は前期比28,986百万円(34.8%)増加し112,381百万円となりました。また、売上総利益率につきましては、電子管事業が前期比3.8%、光半導体事業が前期比5.4%増加したことから、前期比4.5%上昇し53.8%となりました。

販売費及び一般管理費は、前期比6,321百万円(12.9%)増加し55,398百万円となりました。これは給料が前期比1,967百万円(14.3%)増加したこと及び支払手数料が前期比1,075百万円(24.0%)増加したことなどによるものであります。なお、研究開発費につきましては、前期比97百万円(0.9%)減少し、売上高に対する比率は5.4%となりました。

 

d 営業利益

営業利益は、前期比22,664百万円(66.0%)増加し56,983百万円となりました。電子管事業は、光電子増倍管をはじめとして、売上げが増加したことに伴い、売上総利益が前期比12,415百万円増加したことにより、営業利益は10,291百万円(45.5%)増加し32,915百万円となりました。光半導体事業は、シリコンフォトダイオード等の売上げが増加したことに伴い、売上総利益が前期比13,121百万円増加したことにより、営業利益は12,573百万円(55.5%)増加し35,230百万円となりました。画像計測機器事業は、デジタルカメラ等の売上げが増加したことに伴い、売上総利益が前期比3,471百万円増加したことにより、営業利益は2,928百万円(55.2%)増加し8,236百万円となりました。その他事業は、売上高が増加し、営業利益は450百万円(3.0%)となりました。

 

e 営業外損益

営業外損益は、1,896百万円の利益となり、前期比1,565百万円の利益の増加となりました。これは前期の為替差損267百万円が当連結会計年度は為替差益671百万円に転じたことなどによるものであります。なお、支払利息の増加などにより金融収支は1百万円収入減となりました。

 

f 特別損益

特別損益は、211百万円の損失となり、前期比318百万円の利益の減少となりました。これは、固定資産除却損が232百万円増加したことなどによるものであります。また、補助金収入も288百万円減少しております。

 

g 親会社株主に帰属する当期純利益

以上のことから、税金等調整前当期純利益は前期比23,912百万円(68.8%)増加し58,668百万円となりました。また、法人税等の負担率が、前期の27.42%と比較して、当連結会計年度は29.30%と1.88%上昇しております。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比16,241百万円(64.8%)増加し41,295百万円となりました。

 

 

②経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載しております。

 

③キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

④資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは経営方針・経営戦略を遂行し、企業価値の継続的な向上と経営の安定を図るため資金需要ごとに適切な資金調達方法を選択することが重要と認識しております。主要資金需要ごとの資金調達方針は以下のとおりであります。

・建物、製造設備及び研究開発用設備等の設備投資に関する資金は自己資金で賄うことを基本とし、設備投資規模など状況によっては金融市場又は資本市場からの調達を検討する。

・光産業創成のための研究開発投資、基礎研究開発等に関する資金は自己資金で賄うことを基本としながら、適宜資本市場からの調達を検討する。

・運転資金は、自己資金で賄うことを基本としながら状況によっては金融市場から調達する。

・企業買収のための資金は、自己資金で賄うことを基本としながら、買収金額や資金状況によっては金融市場もしくは資本市場での調達を検討する。

 当社グループの資金調達の状況は、主に営業活動によるキャッシュ・フローにより賄われており、外部からの多額の資金調達に頼ることなく事業を遂行しております。

 また、地震などの自然災害からの復旧対応資金については十分な手元資金の確保に努めるとともに、地震保険並びに金融機関との専用コミットメントライン契約により、非常時の流動性確保にも備えております。

 今後も、収益力及びキャッシュ・フロー創出力を強化しつつ、株主様への適切な利益還元を行ったうえで、内部留保を積み増し、資金需要に対しては上記の基本原則に基づき自己資金と外部調達によるバランスに配慮し、財務健全性を維持しながら手元流動性を確保していくことを基本としてまいります。

 なお、新型コロナウイルス感染症等不測事態における運転資金への対応及び企業買収等に対する機動的な対応を目的として、コミットメントラインを締結しております。

 

⑤財政状態の分析

 財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態」に記載しております。

 

⑥重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表作成にあたり、当社グループが採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や当該事象の状況に応じて、合理的と考えられる方法に基づき見積り及び判断を行い、必要に応じて見直ししておりますが、見積り特有の不確実性により実際の結果は異なる場合があります。

 なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであり、新型コロナウイルス感染症に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

 

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